異世界ヒロインが召喚される世界で好き勝手する話 作:もう万体
エスカルビーこと園崎アカリがこの世界にやって来たのは、僅か半年ほど前のことだ。異世界の存在については、特に違和感はない。元いた世界でも、異世界からやってきた侵略者と戦っていたし、仲間にも異世界の出身者はいた。まさか自分が世界移動をするとは思っていなかったが、もとより前向きな性格が幸いして、この世界でも何とか生活できていた。
新しくできた友人や仕事仲間に支えられながらの半年だった。
この間に、ゴンドワナ大陸の現状を知った。
戦乱の時代であり、アカリが暮らすイシハラも無関係ではいられない。それどころか、まさに時代の荒波に揉まれている真っ最中であった。アカリというヒロインの扱い一つとっても、誤れば大きな災いとなる。ずいぶんと侃々諤々の議論が交わされたようだ。
戦えるヒロインは貴重だが、同時に危険性も孕む。それでもイシハラ辺境伯がアカリを容認したのは、クロガネ大公国の行く末が、とにかく不透明だったからだ。周辺では独立の気運が高まっていて、イシハラ辺境伯は、どちらに就くかという難しい選択を迫られていた。辺境伯というだけあって、影響力は強い。田舎の貴族ではなく、国境の重要地域を任された最前線の軍事貴族である。辺境伯が独立を企図するのであれば、それは国境を守るために配備していた強力な軍事力がそのまま国内に向かうことになるのだから、中央政府としては気が気でない。
世間の注目を一身に浴びたイシハラ辺境伯は、回答を先延ばしにしながら各方面と調整を図り、緊迫する事態の打開方法を模索していた。
一先ずはアカリを領内に受け入れて留め置いたのは、そうした時間稼ぎの政策の一環ではあった。味方として共にクロガネ大公国に反旗を翻すのか、あるいは逆に反政府勢力への対抗手段として運用するのか、どちらにも運用可能ではあった。もちろん、アカリの人となりを知る時間が必要だったという面もある。強力なヒロインを擁することで、それ自体が抑止力となって時間を稼ぐことができる。そういう考えもあった。彼らの読み間違いがあるとすると、それはブリンクウォールの介入だった。
クロガネ大公国とブリンクウォールの軍事同盟。
それは、クロガネ大公国内の不穏分子をブリンクウォールが派遣するヒロインによって掃討することを法的に可能とした。それは長い歴史のある貴族であろうと例外なく処断し、反乱の意思の有無にかかわらず、その土地にいたすべての人間が抹殺の対象となる過激な軍事力の行使である。これが旗色を明確にしていないだけのイシハラ辺境伯に適用されたのは、あまりにも異例の判断だと言えただろう。
不意打ちも同然にブリンクウォールのヒロインに強襲され、イシハラ辺境伯領は為す術なく蹂躙された。
「あ、うく……」
アカリが連れてこられたのは、エルドラド。ブリンクウォールの首都であった。欲望に彩られた華やかな町並みを目にすることもなく、彼女は収容所の地下深くに繋がれていた。
力を使い果たした彼女の変身は解除されており、深紅の髪は本来の色に戻っていた。今のアカリにエスカルビーとしての力はない。
服を脱がされたアカリが身につけているのは、赤い首輪だけだ。革製のようで輪も大きいので息苦しさはないが、魔術によるものが外そうとしても、ビクともしない。
(どれくらい、時間が経ったんだろう)
敗北して意識を刈り取られてから、外の情報には一切触れさせてもらえない。いくつかの拠点を転々と移動しながら、この地下牢にやってきたのだが、ここがエルドラドだと聞かされてもピンとこなかった。
アカリはこの世界の地理も事情も疎い。
ブリンクウォールという新興勢力が、クロガネ大公国と結んで酷いことをしているという話は知っているが、その首都の名前も位置も知らなかったのだ。
それでも、ここがイシハラを襲った者たちの拠点であることは容易に想像がついたし、アカリが敵に敗れて捕獲されてしまったということも、理解できた。
(ごめんね、みんな……)
心の中で謝罪するアカリ。
お世話になった人たちが一人でも多く逃げ延びてくれることを祈ることしかできない。
地下牢は狭く、薄暗く、息苦しい。
空気の流れは感じられるが、ここにいるだけで理由の分からない寒気に襲われる。
空気の揺らぎとともに毒々しい魔力が肌に触れ、アカリは心胆から凍えてしまう。物理的な寒さではなく、この震えは恐怖によるものだった。何かよくないものが、ずっとアカリの周囲に漂っている。そう感じてしまうのだ。
不意に、牢の中が明るくなる。
近づいてきた足音は、アカリの牢の前で止まった。
「あなたは……」
「存外、元気そうで何よりだよ。エスカルビー。いや、園崎アカリだったかな」
金色の髪の剣士。
アカリを拘束したデオンであった。
「マスターがお呼びだ。付いてきてもらおう」
アカリに否やはない。
全力のアカリを退けた彼女に、今のアカリが対抗する手段はない。
アカリの必殺技の直撃を受けてなお、デオンは平然としていた。デオンを倒すのであれば、その防御力の謎を解かなければ勝ち目がない。
「逃げようとしないのはいいことだ。勘づいているのかもしれないが、その首輪には逃走防止のための魔術が仕込んである。下手な抵抗はしないほうが身のためだ」
デオンがアカリにそう告げる。
アカリが完全に拘束されていないのは、アカリが逃げたところでどうとでも対応できるからだ。そして、それはまったくの事実であって、アカリは牢から連れ出された今でも、手足の自由があるにも関わらず逃げる手立てが思い浮かばないのだった。
デオンの先導で連れてこられたのは、一つ上の階だった。
アカリが閉じ込められていた地下牢よりも大きな部屋だ。天井は高いが、内装はさほど変わりがない。
そして、部屋の中心には艶やかな黒髪の少女が佇んでいた。
「あ、エスカルビー、じゃなくて、園崎さん」
「胡蝶さん! よかった、無事だったんですね」
それは、アカリと同じく異なる世界からやって来たヒロインの胡蝶カナエであった。
カナエはイシハラ辺境伯領が襲撃される三日前に、ヒロイン生協への協力を呼びかけるためにやって来ていたのだ。
「あなたも無事でよかった」
カナエは美しい顔をほころばせて安堵の吐息を漏らす。
言動の端々に仲間思いの性格を滲ませている彼女を、アカリはずいぶんと信頼していた。
アカネはアカリがこの世界で初めて会ったヒロインであり、この世界に関する多くの客観的な情報は彼女から得ていたのである。
カナエもまた裸にされ、アカリと同じ首輪を付けられていた。
「あの、胡蝶さん。町のみんなはどうなったか、分かりますか?」
「わたしも分からないの。あの日、わたしもブリンクウォールのヒロインと戦ったのだけど、ごめんなさい。力及ばず、囚われの身に」
「謝らないでください。捕まったのはわたしも同じですから」
カナエに誤られるとアカリの立つ瀬がない。
カナエはデオンに視線を向ける。
「あなたが、園崎さんと戦ったヒロインさんですね?」
「……だとしたら、どうする?」
「どうもしません。ただ、あなたが本心からこのような所業に与しているわけではないことを祈ります」
「そうか」
デオンはそれ以上は何も口にすることはなかった。
アカリをこの部屋に連れてきたことで、彼女の仕事は終わったのだ。余計なことは話さず、デオンは部屋を後にした。
「出て行っちゃった」
言葉を交わせば、デオンがなぜ剣を執るのか知ることができたかもしれないし、そこから関係性を築いていくこともできたかもしれない。だが、軽口も交わせないとなると、分かり合うのも難しい。
「デオンさんが言ってたマスターって、やっぱりブリンクウォールの偉い人なんでしょうか?」
と、アカリはカナエに尋ねた。
「おそらく、そうですね。これだけの地下牢を運営できることから考えても、指示をしているのはブリンクウォールの首脳陣。十中八九、リドル・バージェスでしょう」
大陸西部を揺るがす大きなうねりの発生源。
大陸西部は、クロガネ大公国の軍事力を背景に、長年比較的安定していた。散発的な抗争はあっても、大規模な紛争は起こらなかった。それが、ブリンクウォールの台頭とクロガネ大公国の弱体化により、一気に政情不安定な状況になってしまった。
ブリンクウォールの内情もとにかく酷い。これでよく国としての体裁を保っているものだ。
『あー聞こえてるか、生協、そして敵対国のヒロインども』
突如、部屋の中に聞いたことのない女の声が響き渡った。
棘のある口調ではっきりと、しかし音声の発信源は分からない。
『聞こえてるのか? ん? メディア、これでいいんだよな?』
『はい、問題なくあちらに届いていますよ』
『なんだ、返事くらいはしたらどうだ? あたしが一人でしゃべっているみたいじゃあないか』
苛立ったような口調で、何者かが一方的に話しかけてくる。
カナエはアカリと視線を交わした後、口を開いた。
「声は届いていますが、あなたの姿が見えません。こちらに来て、直接お話できませんか?」
『ハハ、生憎とこっちはシャイなんでな、あんたらの前なんて恥ずかしくて出て行けねえのよ』
「それなら、せめて名前だけでも聞かせてください。あなたはわたしたちを知っているのかもしれませんが、わたしたちはあなたを知りません」
『概ね察しはついてるだろう? まあ、いい。これから長い付き合いになるかもしれないからな。リドル・バージェス。発言には気をつけろよ。お前たちの生殺与奪は、あたしが決めるんだからな』
案の定、声の主はブリンクウォールの支配者その人であった。
予想していたことなので驚きはない。
気になるのは彼女がアカリとカナエを捕らえてどうするのかということだ。
生殺与奪はリドルが握っている。
そのことに疑いの余地はない。
ブリンクウォールは、多くのヒロインを秘密裏に捕らえ、その命を糧に不老不死の研究を進めていたとされている。
だが、アカリにもカナエにも不老不死に纏わる能力はない。常人よりも強く、異能と呼ぶに相応しい力を持ってはいるが、身体は人間だ。不老不死の研究に応用できる余地はない。
『さて、あたしも一国の主なもんでな、忙しい身の上だ。無駄話をするつもりはないから、単刀直入に要件を伝えるぞ。あたしに仕えろ』
「あなたに仕えて、どうするというのですか?」
『お前たちには価値がある。女としての価値と戦士としての価値だ。どちらか才能のある方で仕事をさせてやる。女として金を集めるか、戦士として命を集めるかだ』
「ブリンクウォール、いえ、バージェス家は不老不死の探求の果てに他者に命を糧とする道を選んだのですか?」
『よく調べているな。生協がどこまで知っているのか、その辺りも、後で教えろ』
「わたしなど末端も末端。お伝えできるようなものはありません」
異能の力で声だけが部屋に届いている。
ヒロイン生協の究極の目的は、バージェス家が画策する疑似聖杯の完成を妨害することだ。不老不死の探求を悪と断ずることはしないし、内政干渉もできないが、疑似聖杯が多くの命を消費するものであり、大陸全土に致命的な悲劇を発生させる可能性が極めて高い以上、ヒロイン生協からしてもリドルの計画は降りかかる火の粉だ。
ヒロイン生協が、裏方に徹しているとはいえ、積極的に動いてブリンクウォールに反対しているのは、大義のためであると同時に将来的に自分たちにも被害が及ぶからでもある。
その芽を摘まなかったからこそ、屍や死徒が蔓延することになった。第三の災害を回避しようと積極策を執るのは、不思議なことではなかったし、ヒロイン生協が壁として立ちはだかるのはリドルも予想していたことだった。
「リドルさん。あなたは、不老不死になるために、たくさんの人を殺したんですか?」
アカリが声を上げた。
『そうだが、それがどうした?』
「どうしたって……あなたは、もうずっと昔から歳を取らないって聞いてます。不老不死、もうなってるのに、それなのに、まだ……」
『ああ、確かに今のあたしは不老不死だ。斬っても突いても、あたしは死なない。歳も取らない。お前たちじゃ、あたしを殺せない。だが、まだまだ目指すところじゃないのさ。それだけだ。こっちは完璧主義なもんでな』
「そんな……だって、みんな同じ人間で、みんなの幸せがあったのに、あなたの命令だけで、どれだけたくさんの人が傷ついたか。不老不死になりたいって、ただそれだけの理由で!」
『顔も知らんヤツの命なんて、知ったことかよ。重要なのは、あたしの役に立つかどうかだ。命一つで多少はあたしのためになるんなら、本望だろう』
「ッ……!」
柳眉を上げたアカリをカナエが制止する。
感情的に非難しても、リドルには届かない。目の前にもいない相手と口げんかをするのは、得策ではないのだ。
「園崎さんもこう言っていますし、わたしたちがあなたに協力する理由はありません。あなたの行いを容認することも、不可能です」
『勘違いするなよ。あたしは交渉をしているわけじゃない。これは命令だ。こっちは、お前たちの力が必要不可欠というわけじゃないんだ。聖杯にくべても大した魔力にならんし、もったいないから有効利用してやろうってだけだからな?』
直後、アカリの頭上に魔力が渦巻いた。ほんの僅かな空間の歪みから、強烈な魔力が湧き上がる。
目に見えるほど濃縮した黒い魔力の雫がアカリに滴り、咄嗟にアカリはそれを払いのけた。
「園崎さん!?」
「大丈夫です、なんでもありません」
アカリが飛び退いた時には、頭上の空間の歪みは消えていた。
アカリは左手の甲を擦る。
何かが触れた場所は、火傷をしたような赤い斑が浮かんでいた。
そして、突如、アカリを強烈な悪寒が襲った。
「うぷ……!」
口元を手で押さえて倒れ込むアカリ。
全身から冷や汗が吹き出して、今まで感じたことがないほどの吐き気と寒気が湧き上がる。
「園崎さん、どうしたの!?」
「あ、あ、ぐ……あ……ふぁ、あ゛、ああ」
痙攣するアカリにカナエが駆け寄る。
だが、アカリはカナエの問いに答えることもできない。
「あ、ああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
喉を引き裂かんとするほどの絶叫を上げて、アカリはのたうち回る。
「園崎さん! しっかり、園崎さん!」
「いや、いやああああ! あ、あ、ああああああああ!!」
アカリは喉を掻き毟り、カナエを突き飛ばして、悶絶する。
叫びながら床を転がり、一度大きく腰を跳ね上げて、動かなくなった。完全に失神してしまったのだ。
「い、いったい、何をしたんですか!?」
『聖杯だよ』
「せ、聖杯」
『ああ、そうだ。命がなんだと高説を垂れてくれたからな。イシハラから集めた命を少しだけ分けてやったんだ。お友達が混ざってたかな? まあ、たった一滴分でも普通の人間は即死するんだが、さすがにヒロインってところか』
カナエが見たところ、気絶しただけのように見える。だが、カナエは医療も魔術も専門外だ。気絶に至る過程の凄まじい苦しみ方を見てしまったので、安心はできない。
『そんなに不安そうな顔をしなくても、少しばかりショックを起こしただけだ。しばらくすれば気がつく』
「医者を呼んでください」
『言っただろう。しばらくすれば気がつく。それに、そもそもこいつは医者の領分じゃない。呼ぶだけ無駄だ』
カナエは唇を噛み、アカネを横向きに寝かせた。服すらない今のカナエには、枕になるものすら用意できない。回復体位を取らせるのが精々だ。
アカリの呼吸が落ち着いているのを見て取った時、突然、部屋が振動した。
石壁の一部が隠し扉になっていたのだ。
それが一人でに開いた。
「進めと?」
『そうだ』
意図は分からないが、今は従うしかない。
アカリをどうするか考えたが、リドルが今すぐにアカリの命を奪うとは考えにくい。カナエは一人で通路を進むと決めた。
通路は短く、行き着いたのは円形の部屋だった。ドーム型の天井があり、出入り口は今来た通路だけだ。
そして、部屋の中心には大きな椅子に座った人影があった。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオッ」
ビリビリとする呻き声。
立ち上がれば二メートルから三メートル程度になるだろう。
背が高いだけでなく、横幅もある。筋骨隆々の巨大な男だ。それが、椅子の上に縛り付けられているのだった。
しかも、その拘束は両手両足だけでなく、全身に及んでいる。拘束具でミイラのように顔まで縛られて、呻くことしかできないのだ。
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ、オオオオオオオオオオオオッ!」
視界も塞がれていて、カナエを認識したわけではないだろうが、誰か来たことは察したらしい。だが、彼の声に意味があるようには感じない。動物的な叫びだ。
「人、ですか……?」
『いいや、コイツは悪魔だ』
「悪魔……大昔の魔王が作ったという使い魔ですか」
『そのものではないがな。先々代が北の奥地で見つけて連れてきたギガスの末裔だ』
千年前に大きな戦争を引き起こしたヒロインが使役したという、対ヒロインに特化した強大な使い魔。それがこの大陸で悪魔と呼ばれるものだ。中には生物として生殖機能を有し、生態系の中に自らの血を残したものもいる。
『ヘミギガスと
ギガスと呼ばれた悪魔は、身の丈五メートルを優に超えたという。強靱な生命力と身体能力でごり押しする戦闘方法を好んだ巨人だった。その戦闘方法から多くのヒロインが刃を交えたため、記録が多く残っている。その生き残りであるヘミギガスは、身の丈だけで見れば、ギガスには及ばない。
目の前の個体はブリンクウォールが改造を施しているというから、どれだけ本来の姿を残しているのかは分からない。
「この部屋にわたしを通した理由は何ですか?」
『察しは付いているだろう。ソイツは見ての通り手が着けられない暴れん坊で、特に性欲が尋常じゃない。放っておけば延々と所構わず精液を垂れ流す上に魔術を使わないとろくに言うことを聞かないもんだから、そうして縛り付けるしかないってわけだ』
はち切れんばかりの筋肉を押さえつける拘束具も相当の硬度があるのだろう。魔術で強化までされている。
そんな全身拘束されたヘミギガスだが、一カ所だけ生身の部分が見えている。
今まで見ないようにしてきたが、股間だけは露出していて黒光した巨根がそそり立っているのだ。
『次にソイツを投入するときに、臍を曲げられたら面倒だ。定期的にガス抜きするのも、飼い主の仕事の一つだ』
「そういうことですか……」
『戦士としての務めを果たさないのなら、女としての務めを果たしてもらう。一人はあっちの部屋で転がってるから、お前だけで処理してもらうぞ』
「園崎さんにも、これをさせようとしていたんですね」
『それはお前らの選択とあたしの気分次第だ』
「……分かりました。わたしが、お相手します」
神妙な面持ちでカナエは言った。
選択の余地はないのだ。
自分の力をリドルのために使うなどありえない。だが、目の前のヘミギガスの相手をするだけなら、人命を奪うことにはならない。
自分の命は惜しくない。
この世界に来る前から鬼と戦ってきたカナエは、自分の命を失う程度は想定している。だが、アカリは善良な少女であり、カナエにとっては守るべきものだ。ヘミギガスのガス抜きをカナエ一人で終わらせれば、アカリにお鉢が回ることはない。
『最初の仕事だ。きっちりこなせ』
「仕事として引き受けるのではありません」
『ハハハ、後はあんたの好きに任せるぞ。精々、頑張れ』
最後まで真っ当な会話にはならなかった。
リドルの声が消えた後、見られているという感覚もなくなった。
リドルはカナエにヘミギガスの対応を任せて、完全に通信を切ったのだ。きっちり監視するというつもりもないらしい。見られているというのは嫌なので、それならそれでいいのだが、この対応を見る限り、カナエのことはまったく脅威として見られていないようだ。
(それならそれで構いません。油断してもらえれば、それだけ脱出の機会を窺えます)
カナエはヘミギガスの前に進み出る。
カナエの存在を感知しているのか、巨根がぴくりと揺れ、ひときわ大きな呻き声を上げる。
どうしたものかと思案する。
誰もが振り返る美人のカナエだが、男性経験は皆無だ。
同年代が結婚に向けて動く中、彼女は鬼を殺すために只管修行と戦闘を繰り返していたからだ。俄知識しかないが、とにかくやれるだけやるしかない。
ペニスの大きさは、カナエの顔よりも大きい。
形状は人間のものと同じだが、亀頭が大きく膨れ、張り出したエラは返しになっているようだ。
カナエはヘミギガスの前に座り、そっとペニスに触れる。
(熱い……もとの体温が高いのか、それともここだけなのか……弾力はありますけど、とても硬い)
両手でしっかりとペニスを握る。
竿は片手には納まらない太さだ。それを両サイドから握り、上下に擦る。ペニスがびくびくと震えるのは感じているからだろうか。
亀頭の裏の筋も擦り、エラの部分を優しく引っ掻く。
扱い方は分からないので、勘任せの手淫だ。
「オ、オオオオ!」
びくん、とペニスが弾む。
そして、熱い液体が先端から溢れ出た。
「あ、な……ッ」
どろりとした透明な粘液がカナエの顔に飛び散る。さらにそれは陰茎全体に伝って、床に滴る。どくどくとペニスから溢れる液体で、カナエの手も濡れてしまった。
「これ、男の人の精液? なんて臭い……」
その臭気に顔を歪めるカナエ。
強烈な生臭さは部屋中に満ちている。すぐにでも換気したいが、この部屋には窓はなく、洗おうにも水場もない。
おまけに、ヘミギガスのペニスはさらに一回り大きくなったようだ。
(どうして、今、射精したのに)
一度射精すれば、しばらくは勃起しないというのはカナエも知識としてある。
だが、ヘミギガスのペニスはそんなことは関係ないとばかりに膨れ上がり、さらに彼自身も興奮しているのか大きな雄叫びを上げている。
まず、カナエが勘違いをしたのも無理ないが、ヘミギガスが漏らしたのは精液ではなくカウパー液だ。性欲を極限まで高めたヘミギガスのカウパー液は、その量だけで射精と勘違いするには十分だっただろうが、まだほんの始まりに過ぎないのだ。
「ど、どんどん出てくる……あ、に、臭い……嘘、どうしましょう……」
カナエがペニスを愛撫すればするほど、ペニスの先端からカウパー液が溢れ出てくる。栓の抜けたバケツのように大きな水滴が先端に滲み出て、どろりと零れる。
鼻を突く生臭さ。
カナエは顔を背けることなく、亀頭をなで回す。
「臭い、臭いのに、どうして……こんなに」
呼吸の度に噎せ返るような臭いがする。
嗅覚が麻痺したのかというとそうではなく、臭いを感じてはいる。ただ、それを悪臭だと認識できない。
臭いを不快に思ったのは最初だけで、その後はむしろ魅力を感じてしまっている。おかしいと思いながらもペニスから距離を取ることも、顔を背けることもできない。
「はあ、はあ、すん、すん……キツい臭い、ん……はあ……う、ぁ……おかしい、これ、ん……」
(まさか、臭いを通じて何かしらの効果を発揮する異能? だとしたら、このままだとよくない。いったん離れないと)
臭いを利用した攻撃は厄介だ。
呼吸するだけで体内に入ってしまうし、気づいたときには手遅れということも珍しくない。
これは異能にかかわらず化学物質でも同様である。
特にカナエたち呼吸の剣士にとって、空気に毒を散布する能力は天敵だ。
肺を鍛えて、より多くの空気を取り込み利用するのが呼吸法の基本だ。そのため、大気に撒かれた毒も、多く吸い込んでしまう。
カナエが吸った臭いに含まれる何かは肺で吸収されて全身を巡る。頭がぼうっとして判断力が鈍ってしまう。
「グオオオオオッ!」
それでも強い気力を持つカナエは身体をペニスから引き離した。
見た目こそおしとやかな大和撫子だが、その意思は強靱だ。
「オオオオオオオオッ!」
カウパー液ではない白濁した液体がカナエの顔目がけて飛んだのは、その時であった。
溜め込んだ精液が勢いよくカナエの顔のみならず、その身体まで汚したのだ。
「あ――――!」
一瞬、気が遠くなった。
がくん、と膝から崩れるカナエは、咄嗟に息を止める。
カウパー液とは比較にならない生臭さだ。
一呼吸で一気に理性を持っていかれそうだった。
(呼吸を止めて、気をしっかり持つのよ。これを一吸いでもしたら)
カナエが顔を上げると、ガチガチに固く聳えるペニスが目に入る。
「う――――く、ふあ♡」
カナエの腰がガクガクと震えた。
自分の意思に反して、全身の細胞が猛ってしまう。
「あッ、だ、ダメ、これッ、あ、はあぁッ」
思わず嬌声を上げてしまうカナエ。
身体がペニスを欲しているのだと本能で理解した。
カウパー液の臭いを嗅いで、女を発情させる毒素がすでにカナエの身体に浸透していた。さらに、同じ毒素を大量に含む精液を浴びたことで、カナエの意思を無視して身体がペニスを求めてしまうようになったのだ。
臭いだけで、十分に女を狂わせる。
それがギガスの媚薬精液だ。
それを品種改良したブリンクウォールのヘミギガスの精液に含まれる媚薬成分は、源流となるギガスを遥かに上回る。
「はあ、はあ、はあ、はあ、あ、あ、あああ」
カナエはペニスから離れることなく、むしろ自分からその根元に顔を近づける。
「この臭い、はあ、はあ、す、ごい……もっと、いえ、違う、こんな、わたし、くう……ん……」
(ダメ、離れられない。臭いで頭がおかしくなる。洗わないと、せめて何か拭くものを。身体から精液を拭い取らないと)
残った理性が警鐘を鳴らす。
だが、身体はそうはいかない。
自由を失いペニスの根元に舌を伸ばしたカナエは、流れ出たカウパー液と精液の混合液を鈴口に向かって一気に舐め上げた。
「れろおおおお♡」
口いっぱいに広がる精液の味。吐きそうなくらい不味いのに、どうしてか嚥下してしまう。
「はあ、はあ、本当にダメ、こ、こんなこと……わたし、したいわけじゃないの。こんな、はあ、はあ、いっぱい出てる、ああ、違うのぉ」
鈴口に溜まった濃厚な精液。
それをカナエは舌で舐め取った。
「れろ、れろ、れろ、んむ、ちゅう♡ ちゅう♡」
さらに亀頭を咥えて吸う。
大きすぎるので頬張るのは無理がある。先っぽを咥えて、強く啜り精液の残り汁を吸い出すのだ。
「んく……ちゅぷ……ちゅぷ……れろれろれろ……んん、はあ……いや、こんな、ん、れろ……止まらない、の……いやなのに、れろ……あふ、熱い……おちんちん、熱くて臭い……美味しい」
熱に浮かされたようにカナエはフェラチオに力を入れる。
大きな鈴口の割れ目を舌で穿る。
未だ射精したりないヘミギガスが垂れ流すカウパー液は飲みきれる量ではなく、喉を鳴らしてごくごく飲んでも口に収まらない分は溢れ出してカナエを汚していく。
「はあ、はあ、はあ、れろ……れろ……んちゅ……れろれろ……本当に止まらないの、はあ、ん……何とかしないと、ダメなのに……ちゅ……分かっているのに、止められない。んちゅ……れろん♡ あはぁ……立派な、雄のおちんちん……すごいです♡」
裏筋を舌で何度も舐めた。
亀頭全体に舌を巡らせ、睾丸を撫でて射精を促す。
どうすればいいのか、不思議と分かってくる。
未経験だったカナエは、いつしか全身をくねらせてペニスに奉仕するようになっていた。
「ブオォ、オオオオ」
「気持ちイイの? れろ……れろ……ちゅ……あう……頭が、熱い……ん……はあ……あ、ぁ……」
人外の巨根を相手に初めてのフェラチオだ。カナエはいっぱいいっぱいになりながらも剥き出しになった性欲に任せてペニスを舐める。
巨根に比べればずいぶんと小さな舌だ。一舐めで愛撫できる箇所は限られているから、とにかく大きく身体を陰茎に押しつけて感じさせなければ追いつかない。そうしていると、全身にヘミギガスのカウパー液を浴びることになり、カナエはますます興奮してしまう。
媚薬が身体の中心にまで浸透する。
骨の髄まで、肉欲に溺れていくのを自覚する。
「オオオオオオオオオオオオオオオッ」
ひときわ大きな雄叫びとともに、ペニスが弾む。
ドボッ、とバケツをひっくり返したような大量の精液がカナエを襲った。至近距離からの射精を躱すことはできなかった。カナエは頭から精液を被ることになった。
「あ――――♡」
意識が飛びそうになる。
全身の細胞が絶頂する感覚。
(臭い、味、熱、全部が気持ちイイ)
座り込み、放心するカナエは、無自覚のうちにオナニーを始めていた。
(身体が、熱い。わたし、こんなにはしたないことをいつの間に)
カナエのマンコは愛液を垂れ流し、太ももまで濡れている。
いつからこの状態だったのか分からないが、かなり前からびしょ濡れになっていたに違いない。
「あッ、あ、はあ……んはあ……ふう……んん……はあ……はあ……」
指をマンコに入れてくちゅくちゅと穿る。
脳みそが沸騰するかと思うくらいに気持ちがイイ。延々とオナニーができてしまう。
オナニーをしていると、目の前からギシギシと椅子が軋む音がする。
「え……」
ヘミギガスの筋肉が膨れ上がったような錯覚を覚える。
しかも軋んでいるのは椅子だけではない。彼を拘束する拘束具そのものがひび割れているのだ。
「オ、オオオオオオオオオオオオ!」
ヘミギガスの咆哮は部屋全体を震わせるほどの大音声だ。
そして、それと同時に拘束具の留め金が拉げ、強化魔術も砕けた。魔術的強化がなければ、金属製の拘束具ですらヘミギガスにとっては飴細工も同然だ。力任せに強引に拘束を砕いたヘミギガスは立ち上がり、カナエに襲いかかった。
「ッ……!」
カナエは太い腕の間をすり抜けて飛び退る。身体に染み込んだ鬼との戦闘経験は、ヘミギガスの突進すらも遅く感じるほどで、回避は難しくなかった。
「花の呼――――くふぅ」
だが、その運動能力は呼吸法によって支えられている。全身に精液を浴び、部屋中に充満した媚薬は普通に呼吸するだけで体内を侵す。呼吸法をすれば、瞬く間に身体の自由を失うことになる。
(足が、動かない)
ヘミギガスがカナエに飛びかかってくるのが見えているのに、カナエは身動きが取れなかった。
そのまま押し倒されて、ヘミギガスに組み伏せられる。こうなれば、カナエはただの細腕の少女に過ぎない。
「あ、いや、離してください、あぐ……!」
抵抗するカナエだが、それはあまりにも空しい抵抗だった。ヘミギガスの胸板を叩いても、大した刺激にはならない。頑強な筋肉と皮下組織は、おそらく普通の剣で斬り付けても跳ね返してしまうだろう。
ヘミギガスはカナエの股を強引に開かせる。
「ひ……」
ヘミギガスの目的は明確だ。
カナエとの交尾である。
性欲のすべてをカナエの胎内に解き放とうとしているのだ。
「大きすぎる……! こ、こんなの入らない! 待って、ダメ、落ち着いて! 違う、こんなの入れられたら!」
ヘミギガスのペニスは今の時点でカナエの胸元まで届く長さだ。太さも人間とは比較にならない。カナエのマンコは人間とセックスするためのもので、この巨根は許容できない。
理性のないヘミギガスに、カナエの訴えを聞く脳がないのもまた事実だ。
強靱な筋肉に任せて、ヘミギガスはカナエのマンコにペニスを押し込んだ。
「ぎぃ、あッ、あああああああああああああああああ!」
内側から引き裂かれるような激痛にカナエは叫んだ。
ヘミギガスの咆哮が遠く聞こえる。
「あ、あく……ふあ……あ、ああ、あ」
カナエは乱れた呼吸のまま、自分の下腹部を見る。
そして、愕然とした。
カナエの身体はヘミギガスの巨根をすべて受け入れていた。痛みは一瞬で、今はなんともない。
「ど、どういうこと……んく……あ、まさか、大きさを自由に変えられる?」
ヘミギガスのペニスの大きさが変わっている。巨根であることは間違いないが、カナエが受け入れられる大きさにまで縮小している。
性欲の悪魔とはよく言ったものだ。セックスできるように、相手に合わせて最適な大きさに変化するのだ。
「おふ♡」
ごり、と音がした気がした。
ヘミギガスが腰を動かし、カナエを犯す。
単純明快な暴力は、カナエに屈辱と同時に強烈な快感を叩き込んでくる。
「こんな、ので、気持ちよくなんて、なりたくない、ん、あ……んあ……あ、ふぐぅ、あ、あ、あ!」
だが、カナエの意識は明滅し、手足に力は入らなくなる。
ペニスから分泌されるカウパー液が膣全体に行き渡る。
フェラチオの時よりもさらに量を増し、ヘミギガスがペニスを引くとドバドバと結合部から溢れ出して水たまりをつくるほどだ。
そのすべてが媚薬成分を含む。
経口摂取していた時とは比べものにならない、性器への直接塗布だ。
「んおッ、おッ、おふッ、んああ♡ あ、あ、太いッ、あ、強いッ、んん♡ はひゃ、あ、逞しいのが、あ、わたしの膣内に、いっぱいぃ♡」
あっという間にカナエは女になってしまった。
一突きされる度に、理性の皮が剥ぎ取られ、雄に媚びる本能を引きずり出されていく。
凶悪なのはカリ首だ。
媚薬で敏感になった肉襞を返しのようなカリ首が一気に引っ掻いていく。
「あああ! 引きずり、出されるッ! ん、へああああ!」
カナエは目を見開いて、仰け反る。
甘い絶頂が襲いかかってきて、どうしようもなく猛る。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「ああ、ダメ、ダメぇ、イクの、今、あなたのを注がれたら、わたし」
カナエの懇願も空しく、ヘミギガスはカナエの膣内に精液を放出した。凄まじい量と勢いで、カナエの膣から納まりきらない精液が噴き出すほどだった。
「おぐッ! お、あ、はひゃあああああああああああああ♡」
カナエの頭が真っ白になる。
性欲に支配されていく。
強烈な媚薬が脳まで侵す。
どうにもならない快感で全身を痙攣させ白目を剥くカナエ。
「あ、頭が、おかしくなる、き、気持ちイイ。いや、狂う、う、あ」
びくん、びくんとカナエの膣が震える。
そして、ヘミギガスはこの射精では足りないと、再び抽挿を開始した。
「あ、あああああああああ!」
カナエの叫びがこだまする。
「もうやめて、お願い、イク、イクから、わたしがなくなる、はひ……あ、おあ、ああああ♡」
逃げようと藻掻き、床を這うカナエを掴まえて、ヘミギガスは陵辱を加える。
力で勝てず、本能でも敗北を認めている。最後に残った理性のみの抵抗は、苦しみを長引かせるだけだった。
その理性もバックから押し潰されるように組み伏せられて動物のように交わるうちに蕩けていった。
アカリが目を覚ました時、そこにカナエの姿はなかった。
身体は重く、本調子にはほど遠い。
何が起こったのかも理解できていないが、自分が気を失っていたということだけは把握できた。
カナエはどこに行ったのかは、すぐに分かった。
覚えのない通路が開いていて、隣から男女の声が聞こえてきたからだ。言葉ではなく、それは大きな喘ぎ声だった。
「ひッ……!」
ふらつく足取りで通路を抜けると、そこには地獄が広がっていた。
見たこともない屈強な大男。明らかに人間ではない人型の巨体とカナエが激しく交わっていた。
ヘミギガスという名をアカリは知らない。
ただ大きな怪物とだけ認識した。
ヘミギガスはカナエを背後から押さえつけ、腰を打ち付けている。
「おへッ、ふあッ、あ、あ、んあああ♡ ひぐ、あへ、ああん♡ ふはぁああ♡」
カナエの表情は快楽に歪み、舌を突き出して涎を零す有様だ。美しい髪は白濁液をたっぷり浴びて穢れている。
瞳からは光が消えて、ヘミギガスの抽挿に合わせて喘ぐだけの肉人形に成り果てていた。
「お、んおおおお、イグッ、あ、おほ、おおおおおおおおおおお♡」
変わり果てたカナエの姿にアカリは立ち尽くした。
注がれた精液が零れて真っ白な水たまりになっている。ドロドロに汚され尽くしたカナエからヘミギガスがペニスを抜いて、その刺激で絶頂したカナエは精液だまりの中で気絶したようだ。
ヘミギガスがペニスをいきり立たせてアカリを見た。
「あ……」
今のアカリはただの人間と変わりない。
充満した臭気を嗅いだことで、すでに動けなくなっていた。
「あああああああああああああああああ♡」
アカリはヘミギガスに背後から貫かれている。
小柄な身体を持ち上げられて、両足を広げられた逆向きの駅弁だ。
喉を反らして上げる嬌声は苦痛ではなく快感に満ちていた。
「んあああ♡ すご、ぃぃ♡ んひ、へああ♡ 奥まで、いっぱい♡」
膣内にみっちりと詰まったペニスで下腹部が膨らんでいる。
「初めてのエッチなのにぃ、こんな、無理矢理されて、んひぃ♡ き、気持ちイイよぉ♡」
ずんずんと突き上げられて、アカリの理性は吹き飛んだ。
快感で支配され、形振り構わず淫らに喘ぐ。
ヘミギガスのペニスはアカリの膣に合わせて変化している。とはいえ、それはアカリに挿入できる限界の大きさだ。アカリからすれば十分過ぎるほど巨根であり、膣全体が擦り上げられる感覚は、オナニーでは絶対に味わうことができない。
子宮口まで押し込まれたペニスから精液が送り込まれる。
灼熱感にアカリは白目を剥く。
「おへああああああああああ♡ イッくううううう♡」
ぶっしゃあああ、と潮を吹く。大量の精液と一緒に快感の証を吹き出すアカリ。いつの間にか、アカリの髪色は深紅に染まっている。エスカルビーに変身したのだ。それは、強烈な快感と巨根の抽挿から身を守るための防衛本能から来る変身だった。
アカリにとって不運だったのは、変身できてしまったことだった。
性的興奮をエネルギーに変える能力をヒロインとして有している。ヘミギガスに犯されながらエスカルビーとなったアカリだが、それはヘミギガスにとっても都合がよかった。
「あ、あ、あ、んは、ああん♡ お、おおお♡ 深い、壊れるぅ♡」
そう言いながらもアカリが壊れることはない。変身で強化された肉体は、容易には壊れない。快楽を貪ることを覚えたアカリはヘミギガスと戦って逃げ出そうという発想が思い浮かばない。肉体は壊れず、快楽を味わい続けることができる。
ヘミギガスは壊れないオナホを手に入れたも同然で、延々とアカリの膣を突き続けるのだった。
■
カナエとアカリがヘミギガスに犯されている様を、リドルは見ていなかった。この結末は彼女の想定通りだったし、こうなったヒロインをごまんと見てきたから今更関心はなかった。ヘミギガスが飽きれば、後々戦士として調整すればいいのだ。
カナエに尋ねたとおり、リドルが気にするのはヒロイン生協の動きだ。
ヒロイン生協はリドルの邪魔をしようとしているのは明白だ。それはノワールに送り込んだスパイからも高い確度の情報として入手している。
疑似聖杯の完成まではもう少し時間が掛かる。
メディアから聞き出したオリジナルの聖杯ほどの性能を持たせることはできていないし、魔力の収集も効率が悪い。
七騎のサーヴァントをくべるだけで世界を変革できるというオリジナルには遠く及ばないのが現状だ。
そのために徹底的に魔力を集める必要があった。それもより強い力を発揮できる恨み辛みというマイナスのエネルギーという形にしなければならない。
ブリンクウォールの全人口を犠牲にしても、目的には届かないというのが、この計画の困難さを表している。
「で、貴重な聖杯用の呪いをすり減らして逃げ帰ってきたってか?」
「ひぐッ、ご、ごめんなさい、マスター、あ」
リドルの前にはブラダマンテがいる。
立ったままマンコをリドルに弄られて、もじもじと太ももを擦り合わせている。
「あ、あ、そこ、ん」
「仕事に失敗して、感じてるんじゃないよ」
「ごめんなさい、ふぅ、あ、ああん♡」
クリトリスを抓られて、ブラダマンテはイッた。
「はー♡ はー♡」
「雌犬め。残った魔力、今日中に全部絞り出しておけ」
「はひぃ♡」
ブラダマンテの身体はアヴェンジャーに変質し、呪詛を集めやすくなっている。聖杯にくべる怨念を収集するために、積極的に戦闘に用いられていた。
だが、どうも今回は相手が悪かったらしい。
せっかく集めた怨念も浪費して、エルドラドに逃げ帰ってきた。
それだけの力を持つヒロインがブリンクウォールの領内を密かに巡っている。いよいよ、ヒロイン生協も表だって動き始めたというところだろうか。
リドルはブラダマンテの再出撃に向けた調整をメディアに命じ、不機嫌さを隠しもせずにその場を後にした。