異世界ヒロインが召喚される世界で好き勝手する話 作:もう万体
二手に分かれたクロガネ大公国軍のうち、魔獣の強襲を受けたのは北方軍の先行部隊である。大軍ではあったが、全体からすればごく一部である。先鋒といえば聞こえはいいが、地方領主の率いる小規模な騎士団の集合体であって、実態は使い捨ての鉄砲玉だ。だが、地方であるということは、常に国外の異民族などと交戦してきた経験値があるので、政治の本拠地から遠く軽んじられてはいるが、軍事力は侮れない。
本来であれば、この鉄砲玉部隊だけでも相当の戦果を上げることができるはずであった。
小国を陥落させる程度は大したことはなく、険しい山道という地の利はなくても、魔法大隊による後方支援を組み合わせることで、国力差を見れば勝敗は明らかと言えるほどの過剰戦力となったはずだ。
だが、蓋を開けてみれば、侵攻は遅々として進まず、逆に押し戻され始めてしまった。
魔獣の夜襲は、非常に大きな傷を先行部隊に与えた。主力となる魔法大隊が壊滅し、ヒロインが三名も行方不明となったのだ。
特にアリーシャとベアトリクスが消えたことで指揮系統が混乱した。何とか魔獣を退けたものの、大幅な戦力の減少は避けられず、そこにノワールの騎士たちの反攻作戦が展開されたことで、優勢だったはずの戦局は覆された。
戦線が押し戻される中で多くの騎士が命を落とした。
狭い山道は撤退することもままならず、指揮官も不在となれば、その混乱は想像に難くない。アリーシャの後を継いだ副官たちはよく戦ったが、敗走の流れを変えるほどの影響力はなかった。
間延びした戦列は、魔法による連絡手段によって支えられていた。しかしマジックアイテムの機能不全が拡大したことで、その通信インフラをも失ったのである。そうなれば、もう指揮官たちの指示が通ることはない。脱落者が続出し、逃げ出す騎士が押し合って群衆雪崩れが発生した。
魔獣に直接殺されるよりも、多くの騎士の命が自滅という形で失われた。
こうして、北方軍先行部隊は壊乱の憂き目に遭った。
結局、クロガネ大公軍は大きく戦線を後退して、制圧したノワールの各砦や関所に騎士を分散させつつ防御陣地を構築して守りに入った。
行軍できるほどの士気はなく、何よりも指揮命令系統が崩壊しているのが最大の問題だった。
クロガネ大公軍は、他の封建国家と同じく各地の貴族から徴兵された騎士たちによる連合軍だ。それぞれの部隊の指揮権は細かく見れば各々が所属する貴族にある。
よって、軍を再編しようにも、その部隊を指揮する貴族がいなくなれば、配下の騎士たちは軍令に服する理由がなくなり逃亡が相次ぐことになる。契約関係というだけの傭兵も少なくないのも、この状況を混乱させる一因であった。
今までは一番上にアリーシャがいたから統率が取れていた。
アリーシャ自身に軍を指揮する能力があったことに加えて、ヒロインという立場は貴族間の世俗的な権力闘争とは別物だ。古くからの信仰も依然として根強く残っている。そのため、アリーシャが指揮をすることで、連合軍は一個の軍として機能していた。
アリーシャがいなくなれば、軍の指揮権が誰の手にあるのかというところから確認が必要になるのだが、とりまとめができる地位にある者も、この混乱の中で連絡が付かないという有様であった。
結果、各部隊には現場判断が求められることになり、軍隊としての体裁すらも失われつつあった。
この状況を打破するためには、全体を統括できる新たな指揮官を立てる必要があり、それはこの先行部隊の中から選出するのは不可能だ。
よって、守りを固めつつ本隊と連絡を取り、その指揮下に入ることで軍を再編することになったのだった。
北方軍の先行部隊が苦戦を強いられているというのは、ある程度予想されたことではあった。
古くからノワールが独立国として存在し続けられたのは、軍事力の強大さではなく厳しい自然環境が、そのまま分厚い城壁となって侵略者に立ちはだかるからだ。
また、数こそ多くないものの、質のよいヒロインが集まる国でもあった。
こうした幸運と地理的要因に加えて、国土の大半が山地でわざわざ侵略するうま味もないという事情が、ノワールを生かし続けてきたのである。
寡兵で大軍の相手をするのに適した地形を多数有するノワールに、敢えて攻め込こむのならば、それ相応の被害を覚悟すべきではある。
よって、この時点では軍首脳部は戦況を悲観してはいなかった。
送り込んだヒロインも魔法大隊も強力だ。
アリーシャとベアトリクスがどちらも行方不明という情報も、当初は誤報であろうと捨て置かれるほどであった。
マジックアイテムの通信が途絶し、現場の情報が旧式の伝令兵によるものしかなく、それも混乱した現場の有様を伝える程度の役にしか立っていないのだから、仕方のないことではあった。
ともあれ、戦況が芳しくないというのも動かせない事実だ。
「このままでは南方軍のほうが先にパラディクレールに入ることになるやもしれぬ」
それが、北方軍総司令部を預かるベルモンド卿の一番の懸念であった。
このノワールとの戦は国威を示す重大な戦であると位置づけられている。北方軍と南方軍はそれぞれ連絡を取り合ってはいるが、友軍であると同時に競争相手でもある。
道は険しいが首都パラディクレールに近い北方と、北方に比べて難所は少ないもののパラディクレールには距離のある南方。数と勢いで押し切れれば、北方軍が圧倒的に武功に近い位置にいるのは確実であったが、行軍が停滞するというのは痛手だ。
何せ南方は軍路そのものは北方よりも優しい。ノワールに入れば、まっすぐにパラディクレールに向けて北上することもできる。
このような状況だったので、アリーシャとベアトリクスの喪失はあってはならない事態であって、だからこそ、それは情報伝達の混乱によるものと解釈されたのであった。
なお、ノエルについては、先行部隊に動員された地方貴族の配下なのでベルモンド卿の勘定には入っていない。
「ノワールの抵抗もなかなかのようですな」
と、将の一人に言われれば憮然としてベルモンド卿は言葉を返す。
「予想されたこと。この地形では守る側が有利であるのは言うまでもない。だが、こちらにはそれを乗り越えるだけの戦力がある」
「とはいえ如何するか。道は狭く増援に如何ほどの意味があるか分かりませんぞ」
「まっすぐ今の道を行くだけでは確かに厳しい。ならば、獣道を探し山中を越える手を探る。それにマジックアイテムの不調も気がかりではある。イレイナを使わし、原因を探らせよう」
「あの娘を前線に出しますか」
「人付き合いの悪い娘だが、魔法の腕は確かだ。西洋魔法では原因を特定できなくても、彼女の魔法ならばあるいは可能性があるかもしれぬ」
「なるほど、確かにそうですな」
西洋魔法はその汎用性の高さから大陸で広く使われている。本場のヒロインの魔法には及ばないが、それなりの魔法使いを育成できるノウハウをクロガネ大公国は積み重ねてきた。
その知見でも、ノワール国内で生じる魔法の弱体化現象は解決できていない。
ならば、別系統の魔法で分析するというのは確かに考え得る手段ではあった。
「南方軍と連絡は取りますか?」
「あちらにはディアナ騎士団長もついている。我らのような小細工は不要だろう」
にべもなくベルモンド卿はそう言った。
魔法の弱体化は魔法大隊にも致命的な機能不全をもたらしている。この現状が広まれば、士気全体に悪影響をもたらす。
北方軍の主力である魔法大隊の再編もイレイナの働きに期待する。魔法使いとして、彼女はずっと裏方に徹しており、国内では天才的なマジックアイテムの作成者として知られている。
戦う者ではないが、技術者――――工兵として戦場での働きが期待されるのであった。
ベルモンド卿はそうと決めれば、すぐにイレイナを呼び出した。
魔法さえ回復できれば、進軍速度は改善される。
早々に山越えをしなければならないのに、初戦で足止めをされるわけにはいかないのであった。
■
北方軍司令部の希望的観測と異なり、アリーシャはすでにノワール側に捕らえられ、救援の手が届かない場所にまで連行されていた。
アサシンのサーヴァントがその気になれば、女一人を抱えて山を踏破するなど造作もないことであった。
アリーシャが目を覚ました頃には、すでに彼女はパラディクレール郊外の地下収容所に収監されていたが、アリーシャにその情報が与えられることはなかった。彼女は自分がどこに収監され、どれだけの時間が経ち、戦がどうなったのかも何一つ知ることができないまま、真っ白な独房に閉じ込められていた。
「ふう……はあ……んく……ふぅ……」
じわりと汗が頬を伝う。
室温が高いというわけではなく、体温が上がっているのだ。
アリーシャは両手に手枷を嵌められて、万歳をする姿勢で拘束されている。身を守る鎧はおろか衣服も身につけることは許されず、立ち上がることもできない。唯一の救いは何らかの魔法で食事も排泄も不要な状態が維持されているということだろう。衛生環境が悪化する心配は今のところなく、餓死する心配もない。
命の危険がないということが分かるだけで安心感がまったく違う。
これも敵の罠なのかもしれない。
情報を封鎖し、命の危機を感じさせることで心を挫くことは珍しい手ではないが、こちらは比較的快適な環境を与えることで、この生活に順応させようとしているのではないか。
事実、アリーシャは抵抗の意思が薄れているのを自覚していた。殺されるかもしれないと思えば、何としてでも逃げだそうとしただろうが、そうではない以上、無駄に抵抗しても自分の立場が悪くなるだけではないかと思ってしまう。
安易な道に逃げようとしている。
己の至らなさに愕然としつつも、自分が生まれ育ち、姫として責任を負う国ならばいざ知らず、他国の大義名分のない戦に駆り出された身ということもあっては、モチベーションが上がらない。
(何という無責任、わたしはこんな人間だったか……?)
心の中で歯がみするのは、彼女の責任の表れではあった。
クロガネ大公国に元は縁のない人間ではあるが、この世界における母国も同然である。彼女のスタンスと相容れない政治体制の部分も少なくないが、それを飲み込んで槍を執ったのではなかったか。
友人もできたし部下もいる。
彼、彼女が今、戦場に駆り出されているというのに、自分は囚われの身になって安穏としている。戦わない理由を見つけて、安楽椅子に座ってノワールに唯々諾々と従うのは、何とも責任のない行為ではないか。
アリーシャの理性はそう告げている。
その一方で、納得のいかない戦にこれ以上関わらなくてもよいとい安堵の感情も否定できない。
(みんな、すまない……)
心のどこかで常に戦わなくて済む理由を探している。
部屋の中には何もない。
無機質な白い壁とベッドがあるだけだ。
清潔感はあるが、無菌室のように何もないのは居心地が悪い。
人間は清流では生きていけないのだと思わされるかのようだ。
静かに扉が開いたので、アリーシャはそちらに視線を向けた。立っていたのは浅黒い肌の可愛らしい少女だ。
アサシンのサーヴァント、静謐のハサンだった。
顔の上半分を覆っていた髑髏の仮面を外し、素顔を見せている。アリーシャにとっては新鮮だ。クロガネ大公国にいた頃から知っている相手だが、素顔を見るのは初めてだ。
「水を持ってきた。そろそろ喉が渇く頃だろう」
「…………」
「心配するな、別に何も入っていない」
静謐が持ってきたトレーには、水筒が乗せてあった。アリーシャの体勢を考慮したのか、ストローまで付けてくれている。
「ここはどこなんだ?」
「またその話か。残念だが、返答は変えられない。あなたには、まだ何も教えられない」
「まだということはそのうち教えてもらえるわけだな」
「ああ、そうだな。アリーシャを警戒する必要がないと判断できればすぐにでも状況を教えるし、解放もする」
「気前がいいな。手枷を外してもらえると、もっといいが」
「そうだな。正直、これはパフォーマンスに過ぎないんだ。あなたがどれだけ抵抗したところで、この部屋から出ることすら叶わない。どうしようもないということを自覚してもらうのに、都合がいいのかもしれないな」
「すぐに頼む」
「無理を言う。捕虜の戒めをわたしの判断で解けるものか」
アリーシャに同意したかに思えたが、静謐は苦笑して肩を竦めた。
「さて、本来であれば、我が主直々にあなたを取り調べる予定だったが、残念ながら何かと忙しい方だ。もうしばらく、そうして待ってもらうことになる」
「そうか。あなたの主ということは、マオ殿ということか?」
「何れ分かる」
静謐は持ってきた水筒のストローを吸って水を口に含む。そして、アリーシャの頬を掴むと徐に口付けた。
「ん……! ぐ、くうぅ!」
突然の口付けに驚くアリーシャだったが、抵抗できないまま口移しで流し込まれる水を飲んでしまう。
「かは……はあ、はあ、いきなり、何をするんだ」
「水を飲ませてあげただけだ」
「ストローがあるだろう、何もこんな、うッ、くッ」
アリーシャの身体が小刻みに痙攣する。
静謐のポイズンブレスが溶け込んだ水を飲んだのだ。やっと抜けた毒が、再びアリーシャを苦しめ始める。
「ふぅー♡ ふぅー♡ はあ、はあ、ふ……ぅ♡」
頭に靄が掛かる。
マンコが熱を持ち、じゅくじゅくを汁を垂らし始めた。アリーシャは太ももを擦り合わせながら、快感を何とか逃がそうとするが、オナニーで発散することもできず、静謐を睨むばかりだった。
そんなアリーシャの前でまた静謐は水を口に含む。
「ま、待て……今は、あむッ、ん、ん、んんん♡」
静謐の涎を溶かし込んだ水がアリーシャの口から胃に送られる。
水を飲まされた後、静謐は舌をアリーシャの口内にねじ込む。それがもたらす快楽の苦悦を知るアリーシャは当然抵抗するが、腕の自由のない今のアリーシャでは舌で押し返すしかなく、必然的に熱烈なディープキスとなる。
「ふ……ぐ……ちゅ……あ、んむ♡ ちゅぷ……れる……じゅる……んんーーーー♡」
アリーシャはキスをしたままイった。
腰を跳ね上げる程の快感に溜らず呻く。
(だ、だめだ。気持ちよすぎる。苦しいほどの悦楽……頭が、変になってしまう!)
静謐から与えられる快感は、アリーシャの脳に直接作用する猛毒。麻薬と言い換えてもいいだろう。性的快感を脅威的なレベルに跳ね上げるそれは、至上の悦楽だ。
「んお……く……ちゅ……んく……んあぁ♡」
静謐が唇を離すと舌を涎の橋が繋ぐ。
アリーシャは無意識のうちに静謐の舌を追いかけて自らの舌を伸ばしてしまった。そうと気づいて慌てて引っ込めるも、その反応の愛らしさに静謐は淡く微笑んだ。
「そんなに欲しいのか、わたしの毒」
「……ッ、欲しいわけないだろう」
「そう、素直じゃないな。なら、身体に直接聞いたほうが早いかもしれないな」
「な、んんッ」
アリーシャの動揺を尻目に、静謐はアリーシャの顔に唇を寄せた。毒の吐息を漂わせながら、アリーシャの頬に舌を這わせる。経口摂取ほどではないが、肌からも毒素は吸収される。
「れろ……れろ……ちゅ……んちゅ」
「や、やめろ、こんなこと……く、う……あう……ん」
静謐の舌が艶めかしくアリーシャの肌を撫でていく。ナメクジが這ったかのように涎の跡がキラキラと光っている。
静謐はアリーシャを抱き寄せて、耳に舌を差し込み、乳首を摘まむ。
「ほら、イキそうでしょう。身体の声に素直に従ったほうがいいですよ」
優しく語りかけながら、アリーシャの性感を高めていく。
「あッ、あッ、あッ」
「ほら、もうイキそう。好きなだけイっていいです。さあ、思い切り発散してください」
「やめて、くれ……か、身体が、ん、舐めるな、あ、ふう、ぅう♡」
アリーシャは涙を浮かべながら歯を食いしばった。
静謐の好きにされて、絶頂を迎えるのは避けたかった。
意地を張って、悶えながらも絶頂を押しとどめる。
それは脅威的な精神力のなせる技であった。
静謐はアリーシャの耳たぶを噛み、首筋を舐めて乳首にキスを落とす。蛇を思わせる指の動きで腹部を撫でて、太ももを愛撫、時に抓って軽い痛みを与える。アリーシャに様々な刺激を与えて、感覚を惑わせていく。
「乳首ももうビンビンですよ。れろれろれろ」
「あ、あう……ふあ……ん、んんッ、ひぃん♡」
「腰を浮き上がってますね。ヘコヘコ振って、気づいていますか?」
「あ……くぅ」
「早く素直になったほうが、身のためです。我慢すればするほど、苦しいだけですからね」
「はあ、はあ、うぐ……ぅ……んぐうぅ♡」
太ももを擦り合わせて何とか悦楽から逃げようとしているが、どうにもならない。拘束されたアリーシャでは、オナニーすら自分ではできないのだ。
静謐の巧みな愛撫は、アリーシャの全身をくまなく鋭敏に作り替えている。
とてつもない快感だが、まだ耐えられるギリギリのところではある。そして、それは同時にアリーシャが諦めれば、いつでも絶頂できるということでもあった。
我慢を止めてしまえばいいのだ。
絶頂という極上の餌を前にアリーシャの身体は涎を垂らして飛びつこうとしている。理性と誇りが、辛うじてその手綱を引いている。
アリーシャの腰に電撃のような刺激が襲いかかった。
目がチカチカして、叫んでしまう。
静謐の指をクリトリスを爪弾いたのだ。そして、優しく瑞々しい雌穴に滑り込んでいく。
「あ、あ、ダメだ、そこを、さ、触っては、お、ぉ前の指はぁ」
「誰の指でも同じです。あなたの身体はもう、すっかり性の虜。心だけで抗うのは、もう不可能です」
卑猥な音を立てるマンコを静謐は愛撫する。
痛みはなく、ただ強烈な快感だけが存在する。
静謐のハニートラップ技術は相手の性別に関係がない。性のなんたるかをこの女暗殺者は心得ている。王族だろうと騎士だろうと、人間であれば、その本性を剥き出しにするだろう。ただ高潔さだけで、一方的な静謐の愛撫から逃れることはできない。
(イキ、そうだ。身体の真ん中に爆弾を抱えているような、これが爆発したら、わたしは……)
甘い予感にアリーシャの背筋が震える。
蓄積した快感を早く解き放ちたいと全身の細胞が訴えている。
その発破のスイッチはアリーシャの手の中にある。自分の意思でこれを押してしまえば、間違いなくアリーシャは二度と快感に抗えなくなるだろ。自らの意思で、快感に抗うという選択を放棄したのだ。今のような気持ちで、頑強な抵抗はできない。
「我慢は身体に悪いですよ」
「余計なお世話、だ。ふッ、くッ、ふうぅ♡」
「息が荒い、限界でしょう」
「くッ……ぅ」
静謐の言葉に耳を貸さない。彼女の毒だけではない。言葉も指の動きも、すべてが毒。アリーシャの心身を追い詰める術を彼女は心得ている。だから、まっとうに相手をしてはいけない。静謐のペースに乗らないように、これ以上問答に付き合わない。
静謐の指が膣内を穿り、乳首を舌が這う。絶妙な力加減で絶頂させず、しかし毒が確実にアリーシャの体内に浸透してくる。
毒に侵された部分は少し触られただけで、強烈な快感を覚えるようになった。
「強情ですね。なら、もっと激しく溶かしてあげます」
「……何をする、つもりだ」
「別に何も。今まで通りですよ」
静謐はそう言うや、アリーシャの股を開いた。マンコに差し込んでいた指を抜いて、肉襞を親指で広げる。とろりとした愛液が膣穴から零れて、シーツを濡らす。
「とろとろですね」
「待て……何を……」
静謐はアリーシャのマンコに唇を寄せる。
「待て、待ってくれ、それは……それは、ダメだ!」
アリーシャの制止を静謐が聞くことはない。
迫る快感の恐怖に震えるアリーシャを尻目に、静謐は涎を乗せた舌で膣口からクリトリスまでを舐め上げる。
ざらつく舌と媚毒が一番の性感帯にまとわりつく。
この衝撃はアリーシャが一瞬で仰け反るほどだった。
「ッ――――――――――――♡♡♡」
もはや、声にならない。
腰を突き上げて全身をビクビクと痙攣させる。
「お、お、おッ、ぐ、ぅううううう♡」
歯を食いしばって、決壊しそうだった心を押さえ込んだ。
これには静謐も驚いた。
アリーシャは根性だけで静謐の毒にここまで抗っているのだ。普通の人間ならば、文字通り精根尽き果てて廃人になりかねない状況だ。
だが、それも一舐めでこの有様だ。
そう何度も続くものではないし、静謐の涎はアリーシャのマンコにしっかりと塗りつけられている。すでにクリトリスは勃起しているし、愛液の分泌量も今までよりも格段に増えている。
心意気だけで乗り越えられる快楽にも限度があるのだ。
静謐は特に焦ることもなく、アリーシャのクリトリスを舌先で舐り、膣内に舌を滑り込ませた。
「んじゅる……じゅるる……れろれろれろ……ちゅ……れろぉ……ん、んああ……」
「いッ、ぐッ、んぐぅああ♡ あひぃ♡ や、めろぉ、舐めるな、あ、あ、ひへぁ♡ あ、あ、舌が、わたしの……んお、おおお♡」
直接、マンコに毒を塗られた時の快感は指で弄られている時と比較にならない。
我慢するかしないかといった次元の話ではなくなった。
心も身体も芯から犯され、快感の渦に巻き込まれているのを否応なく自覚させられてしまう。
「れろれろれろれろぉ、ほら、イイですよね。クリ、ビンビン……おマンコもイキたいって言っていますよ?」
「い、言ってない、イッてなど、いないぃ♡ あ、あ、あッ♡」
「こんなに腰を振っているのに?」
「だまれぇ、わたしは、こんな快楽になど、屈しない。あなたの思い通りには、断じてならない!」
静謐の舌が膣奥に突き立つ。
愛液を吸い出され、同時に涎が流し込まれた。
「お゛ッ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお♡」
雄叫びとも思える嬌声を上げて、舌根まで突き出したアリーシャは盛大にブリッジする。
ガチャガチャと手枷が鳴って、一頻り叫んだ後、がっくりと脱力した。
最後まで敗北を認めなかった彼女だが、身体のほうは音を上げた。
快楽の限界で脳がオーバーヒートした。静謐の毒素をこれだけ大量に摂取すれば、意思より先に脳が悲鳴を上げるのは当然だろう。
快感の余韻に浸ったまま戻って来られなくなったアリーシャを置いて静謐は独房を後にする。
アリーシャが思いのほか抵抗するので、つい興が乗ってしまった静謐だったが少々やり過ぎたとも思った。アリーシャが堕ちるのも時間の問題だ。マオが直接手を下せば彼女の心身は容易に堕ちるだろうが、それでもマオは多忙である。戦時中で、アリーシャの調教に時間をかける余裕が今はない。落ち着くまで、マオに従順になる下地を作っておくというのも、静謐の役割の一つであった。
アリーシャは、まだギリギリで己の意思を保っている。その高潔さに敬意は抱くが、誇りに囚われず、早く自分の立場を受け入れたほうが幸福だろうにと、少し哀れに思うのだった。