裸ノ乙女達 ~魔力健康法実践の為にすっぽんぽん生活を強いられる御嬢様(ロリ)に執事として仕えることになりました~ 作:室谷 竜司
アルテロア……。確かこの国の名前じゃなかったっけ?御嬢様方が度々その名前を口にしていたような気がする。
そして、ユーアさんの言動……。アルテロア……、姫様……。考えられることとしたら、シャルティーナ様はこの国の王族……ということだが……。
異世界人であるということを隠さなければならないので、下手にこのような質問をできない。恐らく、この国の人間であれば誰でも知っているような常識のはずなのだから、"貴方は王族ですか?"なんて聞けば変な目で見られること間違いなしだ。
これは、後でこっそり御嬢様に聞くほかないかなぁ。今はそれっぽい態度を取っておこう。幸い、僕は執事だ。遜った態度を取るのは何らおかしいことはないだろうし。
「あっ、そっか……。え、えっと、シャルティーナ王女」
すると、少し困惑していた僕の様子に目ざとく気付いたアルフィオーネ様が、あえてシャルティーナ様の名前を敬称付きで呼び、僕にフォローを入れてくれた。すごいな、僕の考えていることが分かってしまうなんて…。アルフィオーネ様はなかなかの観察眼をお持ちのようだ。
僕はフォローを入れてくれたアルフィオーネ様に感謝の念を伝えるべくぺこりと一礼した。すると、アルフィオーネ様は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてもじもじしてしまっていた。って、そうだよな。彼女たちは裸なんだ。不用意に見られたくはないよね。そう思った僕はすぐにアルフィオーネ様から目を逸らす。
「……?っとと、それでアルフィオーネ、どうしたのかしら?改まって」
「あ……、はい……。そ、その……、シャルティーナ様は既にこの生活を1年間ほど経験されているのですよね……?」
僕の様子に一瞬疑問の表情を浮かべたシャルティーナ様だったが、すぐにアルフィオーネ様との話に戻った。シャルティーナ様からの問いかけに対し、アルフィオーネ様は何処か落胆したような声色でそう言った。やはり、僕に裸を見られたことがショックだったのだろう。大事なところはしゃがんでいるおかげで隠れているとはいえ、乙女にとって自らの肌を好きでもない異性に見られること自体屈辱的なことだろうからな。
だが、そうなると今後彼女たちとはどのように接していけば良いのだろうか?僕は彼女たちの専属執事だ。だから、今後も彼女たちの生活のサポートを行っていかなければならない。けど、彼女たちは僕に裸を見られることに抵抗感を覚えてしまっている。
となると、やはり使用人を変更すべきなのではないだろうか?年が近いという理由で僕が選ばれたというのは理解しているつもりだが、それでも乙女の柔肌を異性である僕が見てしまうのは申し訳ない。
それならば、年が近いという条件は一旦除外して、同性の使用人をここに呼ぶべきなのではないだろうか?使用人の役目とは、主人たちに快適な暮らしを提供することだろう。ならば、不快な異分子はさっさと排除するに限る。
御嬢様方には後で改めて提案してみることにしよう。先ほど変える必要はないと言ったのは、あくまで来たばかりの僕をすぐに帰らせるのは気が引けるから、という理由に過ぎないだろうし、もう一度提案すれば彼女たちも本心を吐露してくれるはずだ。
僕は職場が変わろうと全力を持って働くつもりだ。ローラント家の皆さんに恩を返すために。まぁ、女の子の裸体を合法的に拝める幸せ空間から離れるのは少しだけ名残惜しくはあるが。でも、これに関しては単なる僕の下心のようなものだし、それを理由にここに留まるのはあまりに不誠実だろう。それに、こんな欲を抱いてしまっては、僕はロリコンのレッテルを貼られてしまう。
僕はロリコンではないはずなのだ。現に、僕の股間は平常の状態を保ったままだ。彼女たちの裸に少しドキドキしてはいるが、たったそれだけだ。僕の強靭な理性は興奮なんかに負けたりしない。……理性で興奮を抑えようとしている時点でロリコンに片足突っ込んでしまっているのかもしれないけど……。
まぁ、とにかく後でお二人と話し合おう。そう決意している間に、アルフィオーネ様とシャルティーナ様のお話は進んでいた。
「ええ、そうよ。でも、それがどうかしたの?というか、ちょっと暗くない?何処となく落ち込んでいるように見えるのだけど……、何かあったのかしら?」
「い、いえ、気にしないでください……、私の問題ですから……。そ、それより、1年間で何か変化があったとか、そういう成果は見られたのでしょうか?」
「あー、そういうことね。ふふん、よく聞いてくれたわね。そうなのよ!これ、本当に効果があったのよ!ちょっと触ってみて頂戴、私の腕」
「えっ、あっ、は、はい」
そう言うとアルフィオーネ様はチラチラと僕の方を伺いながら恐る恐る立ち上がり、シャルティーナ様の傍まで近づいていく。
見ないよう心掛けてはいたが、それでも男としての習性には抗えずに少しだけアルフィオーネ様の姿を視界に捉えてしまった。細くて白いその身体は少し触れただけでも壊れてしまいそうなほど繊細で、そして美しかった。
胸部や腰回り、無毛の股間の秘所、それから脚に至るまで、肉付きはまだまだ不十分で、それが一層彼女の華奢さを引き立てていた。平坦な胸部の先端に佇む二つの乳頭は、その無垢さを象徴するような薄い桃色をしており、緊張しているからか少し膨らみツンと上を向いていた。
などと御嬢様の裸身に視線を向けていると、不意に彼女の表情がチラリと映る。その表情には羞恥の色を見せつつも、何処か嬉しそうにも見えた。いや、気のせいか。
女性は男の視線に敏感だと聞くが、もし彼女が僕の視線に気づいているのなら、羞恥は分かるが嬉しいという感情を覚える意味が分からない。むしろ露骨に嫌な顔をされるはずだ。
だから、きっと僕の見間違い。もしくは、彼女が僕の視線に気づいていないかのどちらかだ。そう結論付け、僕はアルフィオーネ様から視線を外した。
一瞬、誰かから視線を向けられているような感覚を覚えたが、きっと裸をチラ見していたことが誰かに気づかれ睨まれているのだろう。本当に申し訳ない……。
「で、では失礼して……。わあ、とてもすべすべです!すごい、私のものとは全然違います!こ、こんなに綺麗になるものなのですね!」
「そうなのよ!すごいでしょ?魔力健康法は実在するのよ、きっと。現に、私の肌がこうして証明しているわ。ユーアもそう思うでしょう?」
「そうですね。ですが、中にはあまり効果が見られないという学生もいるようです。もしかすると、人によって効果の強弱が異なるのかもしれません。姫様はこの健康法と非常に相性が良かったのでしょう」
「そうなのかしらね。まぁでも、大なり小なり効果は期待できるはずよ。だから、アルフィオーネもエルシャローゼも恥ずかしがらずに試してみましょう」
シャルティーナ様は実に堂々とした立ち居振る舞いでエルシャローゼ様とアルフィオーネ様に対し笑顔でそう言った。彼女の魔力健康法に対する絶大な信頼が伝わってくる。きっと、御嬢様方にもその素晴らしさを分かってほしいのだろう。
「わ、私もシャルティーナ様のようにきれいになりたいです!」
既にアルフィオーネ様は魔力健康法の魅力に魅入られているようだった。きっと、シャルティーナ様の肌に触れて実際に効果を目の当たりにしたことで、自分もそうなれるのではという小さな希望を抱くことができたのだろう。
「ええ、一緒に綺麗になりましょう!」
「はい!改めて、これからよろしくお願いいたします、シャルティーナ様」
「よろしくね、アルフィオーネ」
そう言って裸のまま握手を交わす姫様と御嬢様。そんな二人の様子を、ユーアさんは静かに、でも何処か嬉しそうな表情で見つめていた。
「綺麗になって、振り向いてもらえると良いわね」
「へ?」
「フフフ、頑張ってね、アルフィオーネ」
「は、はわわわわ……、何故それを……!?」
「気づかないはずがないでしょう?あからさまな態度だったもの」
「そ、その、本人には言わないでいただけると……」
「分かってるわよ。そんなことはしないわ」
お互いの手を握ったまま、姫様と御嬢様はこそこそと小声で何かやり取りをしていたが、僕にはよく聞こえなかった。というか、ひそひそ話をするということはあまり聞かれたくない内容なのだろう。僕に盗み聞きするような趣味はないので、無理にお二人の話を聞こうとも思わなかった。
だが、シャルティーナ様と話をしているアルフィオーネ様の顔が、見る見るうちに紅潮していく様子が少しだけ気になった。もしや、先ほど僕がチラチラアルフィオーネ様の裸を見ていたことをシャルティーナ様が目ざとく気付いて、アルフィオーネ様に報告されているのでは!?なんか、こちらをチラチラ盗み見てきているような気がするし……。
最悪の場合、即解雇なんてことも有り得ない話ではない。これは……、後で覚悟しておかなければな……。はぁ、男ってどうしてこうも欲望に忠実なのだろう……。本当に愚かな習性を持った生き物だよ……、トホホ……。