裸ノ乙女達 ~魔力健康法実践の為にすっぽんぽん生活を強いられる御嬢様(ロリ)に執事として仕えることになりました~ 作:室谷 竜司
「あら、戻ったわね、ユーア。それと、ナギサさんも一緒だったのですね」
そうして、僕たちが共有スペースに戻ると、そこにはシャルティーナ様が待ち構えていた。ユーアさんは、自身が使える主人を前にし、表情をぐっと引き締めた。流石の切り替えの早さだ。
「姫様、わたしに何か?」
「あ、そうだったわね。今日の夕食についてなのだけど、せっかく新入生たちが来たのだし、パーティー的なことをやりたいと思ってね」
「あー、なるほど。では、それ相応のお食事を用意いたします」
「ええ、よろしくお願いするわ」
なるほど、歓迎パーティーか。年長者として新入生たちを精いっぱいもてなしてあげたかったのだろう。シャルティーナ様はとてもお優しい方だ。
畏まりましたと隣で頭を下げるユーアさんの瞳は、シャルティーナ様への敬愛の色で満ちているように見えた。
「それならば、私もお手伝いいたします」
僕もユーアさんに便乗してシャルティーナ様に頭を下げた。けど、シャルティーナ様から帰ってきたのは驚きの声だった。
「えっ、ナ、ナギサさんが手伝う必要はありませんよ?むしろ、貴方は歓迎される側なのだし……」
「いえ、そういうわけにはいきません。それに、私は学園関係者でもありませんから。歓迎されるような立場ではございませんよ」
「で、でも……」
「そういえば先ほど、私の作る料理が食べてみたい、とおっしゃっていましたよね?それでしたら、この機会に是非私の料理を皆様に振舞わせてください」
少し卑怯かもしれないけど、こう提案すればきっとシャルティーナ様は僕が食事の準備を手伝うことを許してくれるはずだ。僕としては、使用人でありながら御嬢様方の食事の準備をしないというのはある種の職務放棄だからね。
それに、僕はあくまで契約使用人であって、魔法学園の新入生ではない。だから、歓迎される側に交じるわけにはいかないだろう。
「そ、そういう言い方はずるいと思いますわ……。わ、分かりました。それでは、お願いいたします」
「はい、畏まりました」
「そ、その、楽しみにしてますね」
「ふふっ。ええ、お任せください」
シャルティーナ様は僕の返事に満足気に頷くと、共有スペースの奥に設置されているダイニングテーブルに駆けていった。その足取りはとても軽かった。
ユーアさんより少し肉付きの良いお尻がプルプルと揺れる目の前の光景にさり気なく視線を向けながら、僕は思った。あー……、これ……、相当期待されているやつだ、と。
まぁ、期待されている以上、それ相応のものを用意できるよう頑張らないと。御姫様の御眼鏡に適うと良いなぁ。
「それじゃ、キッチンに行こうか。お料理、いろいろと教えてね」
「いやいや、教えられるほどの腕はないって。とにかく、皆さんに美味しいと思ってもらえるよう一緒に頑張ろう」
「うん、そうだね」
というわけで、僕とユーアさんは連れ立って共有スペースの奥にあるキッチンへと移動した。そういえば、この寮のキッチンにも初めて入るな。内装はどんな感じなのかなぁと思い、僕はキッチン内を一通り見渡す。
コンロやシンクの配置なんかはローラント家の屋敷のキッチンとだいたい変わらないかな。屋敷に比べると広さはそこまでない。まぁ、それでも元の世界の僕の実家よりかはずっと広いんだけど。
でも、あまり広すぎても逆に落ち着かない。多分、これに関しては僕自身の慣れが影響しているのだろう。
それはさておき、僕は隣に立つユーアさんの姿を見て少し心配になった。裸のまま料理って、ちょっと危なくないかな?ひとまず本人に聞いてみるのが手っ取り早いな。
「そういえばユーアさん、まさかその恰好のまま料理はしないよね?」
「えっ、あ、うん。流石にね」
「そうだよね。油が跳ねたりしたら危ないしね」
「うん。だから、お料理する時はエプロンをつけるようにしてる」
そう言うとユーアさんは、キッチンに備え付けられている棚の引き出しから白い布……畳まれたエプロンを取り出した。
そうしてユーアさんはそのエプロンを広げ、自分の身体に身につける。シンプルなデザインなのかと思ったら、フリルが要所要所にあしらわれたとても可愛らしいデザインのエプロンだった。
しかし、それ以上に今の彼女の恰好は何というか……ちょっとエッチだ。元々彼女は衣服を何も身につけていなかった。そのため、現在の彼女の恰好は裸エプロンということになる。年も外見も幼い少女が裸エプロン姿でキッチンに立っている……。あまりに背徳的な光景だった。
くっ、これは流石に刺激が強い……。今まで落ち着いていた心臓の鼓動が再びドクドクと力強く脈動を開始する。裸エプロンって、こんなにドキドキするものだったのか……。知識はあれどエロに疎いことに間違いはなかったので、初めて目にする女の子のエッチな姿に途端に恥ずかしさを覚えてしまう。
けど、決して興奮はしない。僕の理性は頑丈なのだ。これくらいで崩壊するほど軟弱ではない。故に、僕の股間は未だに下着の中で通常サイズを保ち続けている。ピクリとも反応しない。理性があれば余裕で興奮を抑え込むことができる。だから僕はきっとロリコンなんかじゃないはずなのだ。
「このエプロン、姫様にいただいたものなんだぁ。どう?似合ってるかな?」
などと心の中でそんなことを考えていると、ユーアさんは自分のエプロン姿を僕に惜し気もなく見せつけてくる。きっと彼女にとっては裸エプロン=エッチな恰好という認識にはならないのだろう。いやまぁ、まだ幼いのだし分からなくて当然だ。むしろ、分かられても困る。
ひとまず僕は心中に渦巻く邪念を取っ払い、改めて彼女の今の恰好を眺める。彼女は僕に感想を求めているのだ。それならば、ちゃんと答えてあげなければならないだろう。
だが、見れば見るほどエッチな恰好に思えてきてしまう……。首掛けの紐が長い所為か、胸元の露出はかなり激しい。おかげでユーアさんが動く度にその未発達な桜色の小さなぽっちがチラチラと見え隠れしている。それを見るだけで、僕の中の羞恥心は高まっていく。
「え、えっと、すごく可愛いと思うよ。う、うん、似合ってる。ユーアさんの髪の毛が黒いから、白いエプロンがよく映えているね」
そんな感想を溢す。もちろん、全て嘘偽りのない僕の本心だ。元々可愛らしい容姿をしているユーアさんがフリル付きで可愛いエプロンを身につけることによって、彼女の可愛さがさらに引き立っていた。
それと、黒と白のコントラストはとても綺麗だった。純粋な気持ちで彼女の姿を見れば、今の彼女は天使級にキュートだろう。
「ホ、ホント?う、嬉しいな、えへへ」
僕の言葉を受け、ユーアさんは頬を朱に染めて照れ笑いを浮かべる。その表情も非常に可愛らしい。けど、見方を変えるとやはりエッチだった。
こ、これはまずいな……。別のことに気を移さないと、幼女×裸エプロンの魅力に引きずり込まれてしまいかねない。僕は、ロリコンに成り下がるつもりはないんだ。
「よ、よし、そろそろ料理始めよう」
僕は気を紛らわすようにそう宣言する。
「うん、そうだね。それで、何を作ろうかなぁ」
彼女も僕の言葉に便乗してくれる。料理に集中しさえすれば、恐らく彼女の恰好も気にならなくなるはずだ。僕はいろいろな意味で気合を入れる。
「うーん、とりあえず食材の確認しても良い?」
「平気だよ。というか、この冷蔵庫は共用なんだし、別にわたしに許可を取る必要なんてないよ」
「あ、ごめん。つい癖で。それじゃ、失礼して……」
そう言って僕は冷蔵庫の戸を開く。もちろんのことながら、この冷蔵庫も魔道具である。いやぁ、便利だなあぁ。
「って、結構たくさん食材入ってるんだね」
冷蔵庫の中には大量の食材がぎっしり詰まっていた。こういった食材等は自分たちで買い集めなければならない。恐らく、これらの食材はユーアさんが定期的に買いに行っているのだろう。
「あー、うん。多いよね。これ、実は旦那様……王様からちょくちょく仕送りとしていただいてるものなんだ」
「あっ、そうだったの?てっきり、ユーアさんが買いに行っているものとばかり……」
「あはは、違うんだなぁ、それが。仕送りの量が多すぎるから、わたし最近お買い物も全然行ってないんだよ」
「そ、そうだったんだ……。これ、使って大丈夫?」
「あ、うん。それは平気だよ。むしろ、どんどん使っちゃって。じゃないとなくならないから。現に、大分前にいただいた食材もまだ残ってるしね」
「そっか、分かった」
僕は彼女の言葉に一つ頷くと、再び冷蔵庫の中身を吟味し始める。実はこの世界の冷蔵庫、非常に優秀なのだ。というのも、食材を冷蔵庫に入れておけば、その食材は腐ることなくそのままの鮮度を保ち続けるのだ。つまり、消費期限などを気にする必要もないのである。いやうん、魔力って有能すぎるよね。
というか、先ほど魔力健康法の話を聞いたということもあって、この冷蔵庫の仕組みと魔力健康法には何かしらの関係があるのではないかと考えてしまうな。根拠も何もないんだけどさ。
「おっ、鶏もも肉あるじゃん。それなら、今日のメインは唐揚げにしようか。あとは……、ペンネがあるからグラタンとかも良いなぁ」
食文化が変わらないのは非常に助かる。元の世界基準で料理を考えられるからね。今、僕の頭の中には幾つもの献立が思い浮かんでいる。なかなか悩むなぁ。何が一番喜んでもらえるだろうか……?
ひとまず、みんな大好き……なはずの唐揚げは作ることに決めた。す、好きだよね?子供は特に。これはどの世界でも共通……だと良いなぁ。
「おっ、トマト缶がある!なら、グラタンはラザニア風にしようかなぁ。それから……、サラダも必要だよね……」
「す、すごい……。よくそんなに献立がポンポン思いつくね」
「いやぁ、これだけ食材が充実してれば、結構いろいろ思い浮かぶものだよ」
「そういうものなのかぁ。尊敬しちゃうなぁ」
「それは大げさだって。ただ献立考えてるだけなんだし」
僕は彼女の言葉に思わず苦笑を浮かべてしまう。料理の手際が良く、それでいて味も良い……という点を尊敬されるならまだしも、僕は単に献立を考えているだけなのだ。そこを尊敬されても逆に困ってしまう。
「あっ、スモークサーモンか、良いね。それに、アボカドもある。なら……、あとは玉葱、胡瓜、レタス、トマトも使ってサラダを作れば良いかな。なかなか豪勢じゃないか」
「おお、確かに美味しそう。スモークサーモンとアボカドをサラダに使うんだね。サ、サーモン……、ふへへ……」
サーモンに異様なまでの反応を示すユーアさん。これって、猫族だからなのだろうか?好みは元の世界でよく見かける猫と変わりないのかな?
「おっと、いけないいけない。ついサーモンに反応しちゃった。後でのお楽しみにしておかないとね。いやぁ、歓迎会楽しみだなぁ。ナギサさんもそう思うよね?」
「えっ、い、いや、僕は流石に混ざれないよ。ユーアさんは学生でもあるから交じっても問題ないだろうけど、僕は部外者だからね。使用人が主人と一緒に食事をするなんてできないよ」
「あっ、そういうのは姫様の前じゃ通用しないよ。姫様、主人だとか使用人だとか関係なく、食事はみんなで行うものだって考えてるから」
「えっ、そ、そうなの?で、でも……」
「多分ナギサさんでも許してはくれないと思うなぁ。それが姫様だから」
「そうなんだ。シャルティーナ様は本当にお優しい方なんだね。率先して歓迎会をやろうと提案してきたこともそうだけど」
思わず感心してしまった。本当に、この世界の人はなんて心優しいのだろうか。自然と僕の心が温かくなってくる。
「えへへ、でしょ?姫様はとても優しくて素敵な方なの」
そんな僕の言葉を受け、ユーアさんはえへんと胸を張る。きっと、敬愛する自分の主人が褒められたことが嬉しかったのだろう。
僕はそんなユーアさんの姿についほっこりしてしまった。あぁ、この世界に来られて本当に良かった。今僕はとても幸せだ。
それから僕とユーアさんはそれぞれ手分けして歓迎会のための食事の用意を進めるのだった。
「うわぁ、やっぱりすごく料理上手だぁ!すごい!」
「えっ、そ、そうかな?」
料理している最中、僕はユーアさんから頻りに持て囃されていた。正直、悪い気はしなかった。というか、普通に嬉しかった。