※この作品はR-18です。

裸ノ乙女達 ~魔力健康法実践の為にすっぽんぽん生活を強いられる御嬢様(ロリ)に執事として仕えることになりました~   作:室谷 竜司

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最後の新入生

「よし、良い感じかな」

 

 そう言って僕はコンロの火を止める。元の世界のガスコンロとは違い、魔力の籠められた石に手をかざすと火の点け消しができる仕様だ。

 

「わあ、美味しそう!やっぱり手際が良いね」

 

 僕の声に反応したユーアさんが隣から手元のフライパンを覗き込んでくる。ユーアさんの瞳がお世辞なんかじゃないと物語っており、僕は照れくささと嬉しさを感じてしまう。まぁ、まだ味を褒められたわけではないけどね。

 

「あはは、ありがとう。んで、そっちはどう?」

 

「あ、うん。色は良い感じ。ちょっと見てくれない?」

 

 そう言われ、僕はユーアさんの手にしたフライパンの中身を覗き込む。今、ユーアさんにはフライドポテトを任せていたのだが、ユーアさんは出来上がっているか否かの見極めに自信がないらしく、こうして何度か僕を頼ってきていた。

 

「フライドポテトなんて普段作らないから、どのタイミングで火を止めて良いか分からないんだよね」

 

 苦笑を浮かべながらそんな言葉を漏らすユーアさん。でも、フライドポテトの調理法なんて単純明快だし、初めてでも作りやすいとは思うんだけど。現に、覗き込んだフライパンの上には良い感じにきつね色に色づいた細長くカットされたジャガイモがホクホクと湯気を立てていた。

 

 正直、ナイスタイミングだと思う。ユーアさんはもっと自分の料理の腕に自信を持つべきだと思ってしまう。

 

「うん、良い感じだよ。グッドタイミング。菜箸で掴んだ感触で分かるんじゃないかな?ほら」

 

「そ、そうなんだけどね。どうしてもこれで良いのかなぁって思っちゃって」

 

「いやいや、不安になる必要なんてないって。もっと自分に自信持ちなよ。ユーアさん、普通に料理上手だよ。僕が保証する」

 

「そ、そう?で、でも、ナギサさんが嘘を吐いてるようにも見えないし……。わ、わたしって、思ったよりお料理できるのかな?」

 

「うん、充分できてる。むしろ、ここまでできるなんて感心しちゃったよ。僕がユーアさんくらいの年の頃は、ほとんど料理なんてできなかったし」

 

 これはお世辞抜きの感想だ。実際、僕が料理を始めたのは、外出の機会が少なくなっていった中学生くらいの時だったので、それまでは料理なんてからっきしだった。だから、まだ幼いユーアさんがここまで料理できることに、僕は少なからず尊敬の念を抱いてしまっていた。

 

 って言うと、"お前何様?"とか言われそうだけどね。それに、流石にユーアさんを子供扱いしすぎかもしれない。

 

「そ、そっか。え、えへへ、ナギサさんに褒められちゃった♪」

 

「あはは、そんなに嬉しかった?でも、お世辞でも何でもないからね」

 

「えへへ、うん。ありがとう、ナギサさん。おかげで少し自信がついたよ」

 

「それは何より。っと、そうだ。ユーアさん、こっちの味見してほしいんだけど、良いかな?」

 

 そう言って僕は自分の手元のフライパンを指差す。ちなみに、先ほどまで僕が作っていたのは茄子の揚げびたしである。こちらも大して難しい料理ではない。素揚げして味付けすれば良いのだから。あっ、もちろん、御嬢様方にお出しする以上、丁寧に作ってはいるけどね。

 

「あ、味見?い、良いの?」

 

「うん。ほら、口開けて。あーん」

 

「へ?え、えっと……、あ、あーん」

 

 僕はフライパンの上の茄子を一切れ菜箸で掴み、充分に熱を冷ましてからユーアさんの口元まで運ぶ。

 

 ユーアさんは一瞬だけ躊躇うような仕草を見せたが、すぐにその小さな口を目いっぱい開いて僕の差し出した成すの揚げびたしを口の中に受け入れてくれた。

 

「んむっ……んんっ……、んんっ!!お、おいひいっ!!」

 

「おっ、そりゃ良かった」

 

「味の濃さも丁度良いし、火の通り具合も最高だよ!すごーい、こんな美味しく作れるものなんだぁ。わたしも、いつかこれくらいできるようになりたいなぁ」

 

「そ、そんなに褒められると照れるなぁ。でも、ユーアさんの腕なら、僕なんてすぐに追い抜かされそうだよ。というか、もう追い抜かれてるかも?」

 

「それはないよ。だってわたし、自分の料理味見しててこんなに感動したことないもん。ふわぁ、もうとっくに飲み込んだのに、お口の中がまだ幸せだよぉ、えへへ」

 

 両頬を手で押さえながら表情を緩ませるユーアさん。僕の料理でここまで喜んでくれるなんて嬉しいな。作ったこっちまで幸せな気持ちになってくる。

 

「これなら、姫様たちもきっと喜んでくれるよ!」

 

「あはは、そうだと良いな。よし、それじゃあそれぞれ器に盛ろうか」

 

「分かったよ。お皿は……うん。これで良いかな。あっ、フライドポテトを盛り付けるお皿にはシート引いた方が良いよね?油がすごいだろうし」

 

「うん、そうだね。唐揚げと同じような感じで盛り付けよう」

 

「オッケー、任せて」

 

 フライドポテトの盛り付けはユーアさんに任せ、僕は茄子の揚げびたしを大皿に盛り付けていく。

 

 そして、手早く茄子の揚げびたしの盛り付けを終え、僕は次にサラダの作成に取り掛かる。とは言っても、既に材料は先ほどユーアさんに全て切ってもらっていたので、後は綺麗に盛り付けるだけの簡単なお仕事だ。

 

「よし、ポテト盛り付け終わったよ」

 

「ありがとう。それじゃあ、一応シートを上から被せておいて」

 

「うん、了解」

 

「さてと、サラダも盛り付け終わったし、あとやることは……っと、グラタンはどんな感じかなぁ……。えっと……」

 

 サラダの盛り付けを終わらせた僕は、キッチン備え付けのオーブンレンジに近寄り、中の様子を覗き込む。現在、オーブンでラザニア風グラタンを焼き上げている最中なのである。

 

「おっ、良い感じに焦げ目がついてるね。なら、そろそろ取り出しても良さそうかなぁ。えっと、ミトンは何処かなぁ……」

 

「あっ、はい、ミトン」

 

「ありがとう、ユーアさん。それじゃ……」

 

 ユーアさんからミトンを受け取った僕は、それを両手に装着してからオーブンを開き、中からグラタンが盛り付けられた容器を取り出す。うん、良い感じに焼き上がっている。見た目良し。

 

「おお、美味しそうだね!」

 

「うん、見た目は良い感じ。あとは味だけど……、まぁ大丈夫かな。何も変なもの入れてないし。この見た目を信じよう。あっ、ユーアさん、ちょっと濡れタオル用意できる?この器を一度冷ましたいんだ」

 

「はいはーい、任せて」

 

 ユーアさんは僕のお願いに一つ頷くと、すぐにタオルを水道で濡らしたものを用意してくれた。準備が早くて助かる。

 

「そしたら、そのタオルを調理台の空きスペースに広げてもらえる?」

 

「うん、分かったよ」

 

「ありがとう、よいしょっと」

 

 僕はユーアさんが広げてくれた濡れタオルの上にグラタンの入ったアツアツの器を乗せる。器の熱を冷ましておかないと、もし御嬢様たちのうちの誰かが器に触れた時大変なことになってしまうからな。その辺りによく気を遣わねばならない。使用人として。

 

「ふぅ、これで粗方用意は終わりかな。っと、丁度ご飯も炊けたみたいだね」

 

「うん、そうだね。じゃあ、そろそろ皆さんの取り皿の用意とか始めようか」

 

「分かった」

 

「んー、良い匂いがする!」

 

 そうして二人して食器棚に足を向けたところで、キッチンの入り口から聞きなれない声が聞こえた。いや、ここにいる人の声は大抵聞きなれないのだけど……。

 

 僕とユーアさんは声の聞こえたキッチン入口へと同時に視線を向ける。すると、そこにいたのは……

 

「ほへ?おお、ホントに男の人がいる!」

 

 そこには、見知らぬ少女の姿があった。頭頂部から三角の耳を生やしているので亜人族なのだろうということは理解できるが、何の種族だろう?犬?狼?それとも狐かな?

 

 そして、彼女も例によって全裸である。ということはつまり、恐らく、彼女が最後の新入生なのだろう。

 

 にしても、僕を目の前にしても彼女は全く動じていない……。恥じらいの感情を一切抱くことなく、彼女はすたすたとこちらに近づいてくる。後ろに見えるふさふさの獣尻尾がぶんぶん揺れている様子からも、全く警戒心を抱かれていないということが理解できた。

 

 元気よく揺れ動くライトブラウンの獣尻尾に視線を向けながら、僕は考えてしまう。是非とも、クッションにさせてほしい、と。あの尻尾を抱きしめたら絶対気持ち良いだろう、と。

 

「あっ、ユーアさん……だっけ?さっきぶり!」

 

「あ、はい、先ほどぶりですね、フィノレア様」

 

 ユーアさんが彼女と挨拶を交わす。なるほど、彼女の名前はフィノレアというらしい。あっ、そういえばさっきのエルフ少女の名前はまだ聞けていなかったな。まぁ、さっきはそれどころじゃなかったし、仕方ないかもしれないけど。後で機会があったら聞いてみよう。というか、ユーアさんなら知っていそうだよな。ユーアさんに聞いてみるのも良いかもしれない。

 

「あはは、様付けはなんかくすぐったいなぁ。別にあたしは御嬢様でも何でもないんだし、気軽にフィノって呼んでくれて良いんだけど」

 

「すみません、そういうわけにもいかなくて……」

 

「まぁ、無理にとは言わないけどね。それで、そっちの男の人は?さっきシャルティーナ姫様から男性の使用人がいるとは聞いたんだけど」

 

 そう言いながら今度は僕に視線を向けてくるフィノレア様。なるほど、シャルティーナ様から事前に僕について聞いていたから、初対面でも彼女は驚かなかったのか。いや、それにしても反応が薄すぎるような……。羞恥心が一切感じられないんだもんなぁ。

 

 もしかして、これって亜人族の特性だったりするのか?てっきりユーアさんは職業上感情をあまり表に出さないよう振舞っているだけかと思っていたが、亜人族って裸を見られても動じない種族なのだろうか?いやでも、さっきユーアさんは僕にお尻をジロジロ見られて恥ずかしがっていたような……?

 

 それか、単純に彼女がまだ羞恥という感情を知らないだけなのか……。まぁ、あまり深く気にすることでもないか。相手が恥ずかしがっていようがいなかろうが、こちらはジロジロ見ないよう気を付けるだけだ。

 

「初めまして。私、エルシャローゼ・ローラント様とアルフィオーネ・ローラント様にお仕えする専属使用人のナギサ・モチヅキと申します」

 

「あっ、エルシャ様とアルフィ様の仕様人さんだったんだ!よろしく!あたしは、フィノレア・ビステルト。ラストネームはあるけど、これでも普通の平民なんだ」

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