裸ノ乙女達 ~魔力健康法実践の為にすっぽんぽん生活を強いられる御嬢様(ロリ)に執事として仕えることになりました~ 作:室谷 竜司
「こほん、それでは今から一人ずつくじを引いてもらいますわ」
あっ、僕の予想は当たっていたようだ。にしてもシャルティーナ様、準備が良いな。何時の間にくじとか用意していたのだろう。
「それじゃあ皆さん、並んでくださいまし」
シャルティーナ様の指示のもと、御嬢様方が列をなす。そして、一人ずつ袋に入ったくじを1枚引く。
「アタシは……、3番ね」
「あっ、私4番です。ラトナータ様のお隣ですね」
「あら、そう。嬉しいわ」
「はい、私もです」
最初にくじを引いたラトナータ様とエルシャローゼ様が仲睦まじ気に話をしながらくじに書かれた番号の席に向かっていく。
「よいしょっ!……っと、8番だね」
「私は……、1番ですね」
「ってことはあたし、アルフィ様の隣?」
「はい、そういうことになりますね。よろしくお願いしますね、フィノレアさん。いろいろお話しできると嬉しいです」
「うん!……じゃなくて、はい!こちらこそよろしくです!」
「ふふっ、敬語じゃなくて構いませんよ。同級生なのですし」
「あ、そう?助かるよぉ」
次いで、アルフィオーネ様とフィノレア様が並んで席に向かう。こういう和気藹々とした雰囲気、とても和む。
「ワ、ワタシは……、6番……です……」
続いて、名前の分からないエルフ少女がおどおどしながらくじを引いた。あっ、そういえば、彼女の名前をユーアさんに聞くの忘れてたなぁ。まぁ、さっきはそれどころじゃなかったし仕方ない。
そうしてエルフ少女も書かれた番号通りの席へと向かっていく。時折チラチラとこちらを伺ってきていたな。やはり、先ほどのことを気にしているのだろう。何処となく恥ずかしそうだ。
「ほら、次はユーアよ」
「はい、姫様」
そう言いながらユーアさんがシャルティーナ様のもとに歩み寄り、彼女の手にした袋から1枚くじを引いた。
「わたしは……、2番です」
「ということは、ラトナータとアルフィオーネの間ね」
「そのようですね」
そう言うとユーアさんは指定された席に近づいていく。
「お隣、失礼します」
「あら、ユーアが隣なのね。ふふっ、久々にいろいろお話しましょう」
「私も、ユーアさんとお話したいです」
「はい。皆様、よろしくお願いいたしますね」
アルフィオーネ様とラトナータ様に挟まれながら、ユーアさんはにこやかに言葉を返していた。同年代の同性と身体を隣り合わせて話すことができるのが嬉しいのか、ユーアさんの猫耳は忙しなくぴょこぴょこ跳ねまわっている。可愛い。
「さて、あとはナギサさんだけですわ」
席に着いて談笑する御嬢様方に視線を向けながら一人和んでいると、シャルティーナ様が僕の名前を呼んだ。そっか、8席あるということは僕もあの輪の中に混ざるってことなのか。
そういえばさっきユーアさんも、シャルティーナ様は使用人とか関係なく全員で食卓を囲まないと気が済まない方だと言っていたな。
「えっと、一応確認なのですが、私も一緒で大丈夫なのですか?」
「ええ、もちろんですわ」
「ありがとうございます。では、失礼して……」
僕はシャルティーナ様に一言感謝の言葉を述べてから、彼女の持つくじの入った袋に手を伸ばした。そして、中から紙切れを1枚抜き取る。とは言っても、中に残っていたのは僕とシャルティーナ様分の2枚だけだったのだけど。
今空いている席は5番と7番か。というか、あのエルフの子の両サイドじゃないか。ということは、必然的に僕は彼女の隣ということになるわけか。この機会に彼女ともお話ができると良いな。
そう思いながら僕は掴んだ紙切れに視線を落とし、そこに書かれた番号を確認する。5番であればエルシャローゼ様、7番であればフィノレア様と隣り合わせになる。まぁ、特にどっちが良いという希望はない。どちらでも嬉しい。
「あ、私は5番ですね」
「では、私は7番ということですわね」
僕とシャルティーナ様はお互いに自分の番号を確認し合うと、それぞれ席に向かう。
「失礼いたします」
「ふ、ふーん、ナギサが隣なのね」
「はい、エルシャローゼ様」
「あ、あの、よ、よろしくお願い……します……」
「あ、はい。よろしくお願いいたしますね」
僕は自分の席の隣のエルシャローゼ様とエルフ少女にそれぞれ挨拶を交わし、それから静かに着席した。と、その時、僕の真正面に座るアルフィオーネ様と視線が重なった。
「あっ……、えへっ……」
すると、アルフィオーネ様は僕に向かって可憐な笑顔を向けてくれる。僕はその笑顔に一瞬見とれてしまった。
「こほん、それでは、これより歓迎会を始めたいと思います」
だが、シャルティーナ様のそんな掛け声で僕は現実に引き戻された。もし、あのままアルフィオーネ様の笑顔に視線を奪われ続けていたら、僕はどうなっていただろうか。
危ない扉を開きかけてしまったかもしれない。シャルティーナ様に感謝しないとな。現実に引き戻していただいてありがとうございます。
「では早速、一人ずつ自己紹介をしていきましょう。では、僭越ながらまずは私から……。皆さんご存じかとは思いますが、私はアルテロア王国第3王女、シャルティーナ・アルテロアと申します。現在、第2学年です。皆さんの一つ上ですわね。何か困り事がありましたら何でも聞いてください。できる限りお力添えしたく思っております」
そう言ってぺこりと綺麗な所作でお辞儀をするシャルティーナ様。そんな彼女に、他のメンバーたちから拍手が浴びせられる。全員からの拍手を受けて、彼女は何処となく照れくさそうにはにかみながら、お辞儀をしたことで少しだけ乱れてしまった金髪を片手でさっと直していた。
「ありがとうございます。あっ、それと、一応このユニットのユニット長も務めておりますわ。それでは、改めてよろしくお願いいたしますね」
それからシャルティーナ様はもう一度お辞儀をした後、静かに自分の席に着席した。やはり王女様というだけあって、こういう挨拶は手慣れているのだろうか?
「それでは、次に参りましょう。そうですわねぇ……、やはりここは在校生からが良いですわね。じゃあ、ユーア。次は貴女よ」
「畏まりました、姫様」
シャルティーナ様から指名され、黒髪猫耳メイドことユーアさんはすっくと座っていた席から立ちあがる。それから居住まいを正し、全員に向き直る。
「わたしは、シャルティーナ様に仕える使用人のユーアと申します。ここにいる間は、皆様方のお世話もさせていただきますので、お困りのことが有れば何なりとお申し付けくださいませ」
「ちなみに、ユーアは第3学年よ。この中では最高学年生ってことになるわね」
「学園のことについても、何かありましたらお声かけください。それでは、改めてよろしくお願いいたします」
そう言ってこちらも実に丁寧な所作で頭を下げ、それから席に座り直す。うん、メイドモードの彼女と僕と話す時の彼女の雰囲気は全然違うね。当たり前だけど。
恐らく、ユーアさんからすれば僕も同じように映っているのだろう。
「ありがとう、ユーア。それじゃあ次は新入生の番ね。番号順に自己紹介してもらいましょう。というわけで、最初はアルフィオーネね」
シャルティーナ様はそう言いながらアルフィオーネ様に視線を向ける。アルフィオーネ様はシャルティーナ様に一つ頷き返し、それからゆっくりと席から立ち上がった。
「改めて、皆様ごきげんよう。私は、アルテロア王国第Ⅰ貴族ローラント家次女、アルフィオーネ・ローラントです。これからよろしくお願いいたします。できれば、気兼ねなくアルフィと呼んでいただけると嬉しいです」
そう言ってにこりと微笑む我が主人、アルフィオーネ様。その言葉には、変に遠慮する必要はないというアルフィオーネ様の思いが込められていた。
彼女としては、身分とか関係なく全員と仲良くしたいのだろう。それは他の人たちも同じようで、アルフィオーネ様の言葉に皆一様に頷き返していた。
「次はアタシね。もう既に皆さんとは一度お話してるけど改めて。アタシはフォルレット王国第4王女、ラトナータ・フォルレットよ」
アルフィオーネ様の次は、魔族国王女にして吸血鬼の少女、ラトナータ様が自己紹介を行う。ラトナータ様は、言葉は端的だけど表情がとても人懐っこいので、冷たい印象は抱かせない。
そういえば、吸血鬼ということは、やはり人間の血液も飲んだりするのだろうか?それとも、何かしら代用品が存在するのかな?赤毛の吸血姫様を見ながら、僕はふとそんな疑問を抱いていた。
「一応王女という身分だけれど、そういうの気にせず気軽に接してほしいわ。そういうわけで、どうぞよろしくね。……さてと、次はエルシャね」
「はい」
ラトナータ様は自己紹介を終えると、隣に座るエルシャローゼ様に一言声をかける。エルシャローゼ様はラトナータ様の言葉に一つ頷くと、さっと席から立ち上がり他のメンバーたちをぐるりと一瞥する。
「ごきげんよう。先ほど挨拶をしたアルフィオーネの双子の姉のエルシャローゼ・ローランとと申します。私のことも、気軽にエルシャと呼んでいただけると嬉しいです。妹共々、これからよろしくお願いいたしますね」
それからエルシャローゼ様は、ふわりと優しく微笑みながらそう名乗る。普段はとても強気な方だけど、こういう場では落ち着いた印象を与えてくる。オンとオフの切り替えがしっかりしている辺り、やはり流石と言う外ない。
そうしてエルシャローゼ様は静かに着席した。次の自己紹介は僕……で良いのだろうか?それとも、あくまでこれは学生たちの交友の場だから、僕は下手に出しゃばらない方が良いだろうか?
ひとまず、シャルティーナ様の言葉を待ってみよう。
「え、えっと、次は……」
「ナギサじゃないの?」
僕の両サイドの二人が困惑の表情を浮かべながら僕とシャルティーナ様を交互に見やる。そんな彼女たちに対し、シャルティーナ様が口を開く。
「いえ、ナギサさんは最後にしましょう」
僕の自己紹介は最後らしい。まぁ、おまけ的な感じだろう。僕は首を縦に振って了承の意をシャルティーナ様に伝えた。