裸ノ乙女達 ~魔力健康法実践の為にすっぽんぽん生活を強いられる御嬢様(ロリ)に執事として仕えることになりました~ 作:室谷 竜司
「はぁ、良かったですぅ……。ちゃんと思いが通じて」
そうして、改めてお互いの気持ちを確かめ合うと、アルフィ様はほっと大きな溜息を溢れさせながら脱力したようにそう口にした。
「ナギサさん、私の気持ちに全然気づいてくれませんでしたから、さっきまでずっと不安だったんですよ?」
「そ、その、申し訳ございません……」
「というか、意図的に目を逸らされているようにも感じて、すごく辛かったんですからね?本当、ちゃんと責任取ってくれないと嫌ですからね?」
アルフィ様は僕の胸を指でツンツンと突きながら、頬を膨らませてそんなことを言ってくる。しかし……、彼女の気持ちに気づけていなかったのは確かだけど、意図的に彼女から目を逸らしていたつもりはなかったのだが……。
「え、えっと、目を逸らしていたつもりはなかったのですが……」
「でも、何かに怯え、逃げているような感じに見えましたよ?これまでのナギサさんは。多分、私以外の人もそう感じていたと思います」
僕が何かを怖がっていた……?でも、この場所に僕が怯えるような何かがあるようには思えないのだが……。ここには、僕のトラウマを刺激する人はいないわけだし。
「そ、そんな風に見えていたのですか……」
「何となくですが……、はい……。その……、確かナギサさんは大人の女性が苦手……なんでしたよね……?もしかして、実は大人の女性に限らず女という存在自体が苦手……というわけだったりは……」
「いえ、そんなはずはありません。もしそうだったら僕は今、アルフィ様に触れることなどできるはずがありませんから……」
「そうですか……、それなら良いのですが……。でも、それならもっと私たちのことを見てください。みんな、貴方のことを受け入れています。誰も拒絶なんてしません。ですから、貴方ももっと私たちに歩み寄ってきてください」
「アルフィ様……」
僕にそんなつもりがなくとも、無意識的に距離を感じさせる振る舞いをしてしまっていたのだろう。少なくとも、アルフィ様たちにはそう感じさせてしまっていた。もしかしたら、以前心に植え付けられたトラウマの所為で、異性と関りを持つことそのものに慎重になりすぎていたのかもしれない。
けど、僕を心から受け入れてくれている彼女たちにそんな態度を見せてしまうのは間違っている。向こうが手を差し伸べてくれているのなら、僕はその手をちゃんと掴まなければならない。今までの僕にはそれができていなかった、ということだろう。
「ちゃんと、みんなの気持ちに気づいてあげてください……。そして、もっと貴方のことを見せてあげてください……」
みんなの気持ち、か。一歩引いたところからでは、そんなものは絶対に見えてこない。それに、僕自身のことだって、歩み寄らなければ誰にも知ってもらえるはずがないだろう。
もっと積極的にならないと。自分からもう一歩先に踏み出して、彼女たちに近づいてあげないと。受け身にばかりなってしまっていたら、僕のことを受け入れてくれた彼女たちに失礼というものだ。
「分かりました。頑張ってみますね」
僕はそう言って一つ頷いた。彼女たちが僕に文字通り全てをさらけ出してくれているのだから、僕ももっと自分をさらけ出そう。そして、本当の意味でユニットの一員になってみせるんだ。
「ふふっ、お願いしますね。私だけじゃなく、みんなのことも受け入れてあげてくださいね」
「あの……、アルフィ様と他の皆さんでは、受け入れるの意味合いが少し変わってきませんか?」
アルフィ様は僕のことを好きだと言ってくれたが、他の人たちはそういうわけではないと思う。けどまぁ、どちらにせよ、彼女たちとはちゃんと向き合うつもりではいるけどね。
「そんなことないです。私以外にも、貴方を慕っている人はいますから。だから、みんなの気持ちにちゃんと気づいて、そして答えてあげてくださいね」
すると、アルフィ様がそんなことを言ってきた。突拍子もないその言葉に、僕は思わず咽てしまいそうになる。アルフィ様以外にも、僕のことを好いてくれている人がいる……?そんなことが……。正直、信じられない。
「えっ、まさか……」
「やっぱり、気づいていなかったのですね……。分かってはいましたが……。そういうところですよ?」
「うぐっ……、確かにそうかもしれませんね……。皆さんのこと、全然見れていなかったのですね……。すみません……」
「とにかく、これから頑張ってください♪」
そう言ってアルフィ様が再び僕にぎゅっと抱きついてくる。どうやら、お話はこれでおしまいのようだ。
アルフィ様の他に、僕に思いを寄せてくれている人がいるなんて未だに信じられないけど、この答えは僕が一歩を踏み出せばきっと分かる。だから、頑張ろう。僕の背中を押してくれたアルフィ様のためにもね。
そんな決意を胸に、僕は目の前の愛しい存在の裸身を抱き返した。心地の良い柔らかさと温もり、それから、先ほどまでの行為で蓄積された疲労感も相まって、僕は次第にうとうとし始めてしまう。
「んにゅぅ……♡ナギサさん……温かいですぅ……♡」
それはアルフィ様も同じようで、その金色の瞳は眠たげに細められていた。きっと、アルフィ様は僕異常に疲れているだろう。早く寝かせてあげないとな。
「もう寝ましょうか、アルフィ様」
「うぅん……、ちょっと名残惜しいですけど……そうしますぅ……」
僕の言葉にしっかり受け答えはしてくれるアルフィ様。でも、もう本当に限界のようだ。眼瞼は開閉を繰り返し、吐息は寝息のように深く長い。これはもう、僕がアルフィ様をお部屋まで運んであげないとダメそうだな。
と思っていると、アルフィ様が譫言のように、
「ナギサさぁん……、寝てる間も……ぎゅってしてて……くださいねぇ……♡んぅ……んにゅぅ……」
そんなことを呟いた。えっ、一緒に寝るの?そんな展開になるとは予想していなかった。まぁでも、別にいっか。僕たち、一応もうそう言う関係……なんだもんね。
「分かりました。では、おやすみなさい、アルフィ様」
「おやすみなさい……ナギサ……さん……♡んっ……♡ちゅっ……♡」
最後にアルフィ様は僕にキスをし、そうして完全に意識を手放してしまった。いきなりのことで一瞬思考が停止してしまった僕だったが、次の瞬間には幸福感が全身に広がり、ふわふわとした感覚に包まれた。
「おやすみ……、アルフィ……」
ボーっとしながらそんなことを呟き、僕も眠りに就いた。自身でも、もはや何を呟いたのか分からなかったが、たとえ変な言葉が口からこぼれてしまっていたとしても、誰にも聞かれるはずがないのだから、気にすることじゃないだろう。
「……」
そうして、長い夜は更けていった。
*
「んん……、朝……か……」
僕は室内に差し込む陽の光の眩しさで目を覚ます。まだちょっと意識がぼんやりしているが、仕事があるのでさっさと起きなければ……。
そう思い、ベッドから身体を起そうと思ったのだが、何故か上手くいかない。どういうことだと思い視線を泳がせていると、僕の隣ですうすうと寝息を立てる裸の少女の姿があった。
「ア、アルフィ様……?って、そっか……。昨日……」
そこでようやく僕の意識がクリアになり、今現在の状況をすんなりと飲み込むことができた。そうだ、昨晩僕はアルフィ様と……したんだ……。
僕は昨晩のアルフィ様との情事を思い出し、少し気恥ずかしさを覚えてしまう。だがそれと同時に、昨晩覚えたばかりの情欲がムクムクと鎌首を擡げようともしていた。いや……、流石に今はダメだ……。仕事があるんだから……。
僕は目覚め始めた欲望を無理矢理振り払い、それからアルフィ様を起こさないようそっと彼女の腕を程気、ようやくベッドから身体を起すことに成功した。
「って、そういえば昨日、後処理とか全然しないまま寝ちゃったんだっけ……。このままだとまずいなぁ……」
そんなことを呟きながら、僕は一度ベッドから這い出て下着とズボンをしっかり身につけ、身体を拭くためのタオルを用意するべく部屋を出た。頼む、誰も起きていませんように。
そんな願いが届いたのかは分からないが、僕は無事誰とも出会うことなく洗面所へと到達し、タオルを2枚ほど持って自室に戻ることができた。
そうして部屋に戻った僕は、ひとまず自分の身体……特に股間のアレを念入りに拭き、それからベッドシーツに付着した汚れも軽く拭った。もちろん、それだけではほとんど無意味なので、後で洗濯する必要はあるだろうけど。
「さて……と……」
ベッドシーツの特に目立つ汚れを一通り拭い終えた僕は、チラリとそこに横たわる裸身の御嬢様の姿を見やる。
「一応、拭いてあげるべきだよね……」
そうポツリと呟き、まだ使っていなかった2枚目のタオルを手に取って彼女のもとへと近づく。無防備に裸身をさらして眠るアルフィ様の寝顔はとてもあどけなく、昨晩僕と交わり艶めかしい嬌声を漏らしていた存在と同一人物とは到底思えなかった。
だが、そんな彼女の股の付け根は、一晩明けたはずなのに未だに昨晩の残滓で少し濡れていた。その光景が僕に現実を突きつける。
「本当に……してしまったのか……、僕は……」
冷静になった頭で改めて昨晩のことについて考えると、少しばかり罪悪感を覚えてしまう。それと同時に、僕は昨晩の自身の行いに少し引いてしまっていた。
けど……、うん。アルフィ様を好きだという気持ちに変わりはない。彼女を手放したいとも思わない。その気持ちがあれば充分だ。いやまぁ、そんなことを考えている時点で、既に僕は冷静さを何処かに置いてきてしまったのかもしれないけど。でも、まぁ良いじゃないか。
そんなことを考えながら、僕は朝日に照らされたアルフィ様の無防備な裸身に手にしたタオルを重ね、昨晩の痕跡をなるべく丁寧に拭き取っていく。
「んっ……♡んんぅっ……♡んあぁ……♡」
すると、彼女の口から少々艶めかしい声が漏れる。うっ、その声は朝の僕には刺激が強すぎる……。立ち上がりそうになる僕の愚息をぐっと押しとどめながら、僕は作業に没頭した。気にしちゃダメだ。気にしちゃダメだ……。
「んんん……んはぁ……♡あれ……?ナギサさん……?」
そうしているうちに、アルフィ様が目を覚ましてしまった。なるべく起こさないようそっと触れていたつもりだったけど、起こしちゃったかな。
「っと、申し訳ございません。昨晩の汚れを取って差し上げようと思ったのですが、起こしてしまいましたよね」
「いえ、大丈夫ですよ。むしろ、ありがとうございます、んんぅ……♡」
少しくすぐったそうな吐息を漏らしながらも、彼女は律儀に僕にお礼の言葉を言ってくる。僕はそんな彼女に微笑んで見せたが、内心では現在情欲との格闘の真っ最中だった。朝はダメだ……、静まってください……、お願いします……。
「んふぅ……♡そういえばナギサさん……、昨晩寝る前に私の名前呼びましたか?」
ふと、アルフィ様がそんな質問を投げかけてきた。どうしてそんなことを聞くのか分からなかったが、確か"おやすみなさい、アルフィ様"とは言った気がするので、僕は正直に首を縦に振った。
「ええ、おやすみなさい、アルフィ様……とは言った覚えがありますが、それがどうしたのでしょうか?」
「いえ、その……、昨晩ナギサさんに、アルフィと様付け無しで名前を呼んでいただけたような気がしたのですが……、気のせいだったのでしょうか……?」
僕がアルフィ様を呼び捨てに?それは流石にないと思うなぁ……。立場上、流石にそんな呼び方はできない。僕はそこまで礼儀知らずではないつもりだ。
「恐らく気のせいかと。それか、アルフィ様の夢の中のお話か、ですかね?」
「うーん、残念です……。あっ、なら、今呼んでみてください♡アルフィって、様付け無しで私の名前を呼んでみてください♡」
唐突にそんな提案を持ち掛けてくるアルフィ様。僕はいやいやと首を横に振って答えた。そんなこと、できるわけがない。
「そ、そういうわけにはいきませんよ」
「むぅ、つれないです、ナギサさん」
「そんなこと言われましても……。一応、立場というものがありますから。っと、あらかた拭き終わりましたね」
「ありがとうございます、ナギサさん。でも、立場なんて気にする必要ないんですよ?わ、私たち、もうその……そう言う関係……なんですから……♡」
恥ずかしそうにきょろきょろと視線を彷徨わせながら、頬を赤らめつつそう言うアルフィ様。とても可愛らしい姿だった。
「そ、それは無理ですよ。仕事上、ルールは守らなければなりませんので」
「ナギサさん、頑固です……。じゃあ良いです。その代わり、今からまた私とその……エ、エッチ……してください……♡」
「そんな時間はありませんよ」
「もぅ、どれもダメじゃないですかぁ……、酷いですぅ……」
「そ、そんなこと言われましても……。そ、その……、でしたら今晩、また僕の部屋に……」
「はい、喜んで♪」
返答があまりに早すぎる。アルフィ様、こんな性格だったっけ?まぁ、結局可愛いから良いんだけど。
「さてと、それでは起きましょう、アルフィ様」
「はーい♡おはようございます、ナギサさん♪」
「はい、おはようございます、アルフィ様」
「んんっ……♡」
そんな朝の挨拶の後、僕はすぐさまアルフィ様に唇を奪われた。すごい積極的だな、この御嬢様……。いや、もちろん僕も嬉しいんだよ?
「んふふっ、これくらいは……良いですよね♡」
「まぁ、そうですね」
そう言って微笑みあい、それからもう一度僕たちは唇を重ねた。それは、互いの愛を確かめ合うための、とても甘く、そして優しいキスだった。