裸ノ乙女達 ~魔力健康法実践の為にすっぽんぽん生活を強いられる御嬢様(ロリ)に執事として仕えることになりました~ 作:室谷 竜司
「ただいま戻りましたわ」
アルフィ様たち1年生組が帰ってきてからしばらく経った頃、玄関先からシャルティーナ様の声が聞こえてきた。どうやら上級生組が帰ってきたようだ。僕はリビングから出て彼女たちを迎えに行く。
「お帰りなさいませ、シャルティーナ様。それから、ユーアさんも」
「はい、ただいまですわ」
「ただいま戻りました。それでは、すぐに着替えてまいります」
「では、私も着替えてまいりますわ」
そう言ってユーアさんとシャルティーナ様は靴を脱いで各々の自室に戻っていった。ユーアさんは心無しそわそわしているようだったな。まぁ、僕も同じようなものなんだけどさ。
「……何時話そうかなぁ……、あのこと……」
例の件について、ユーアさんと何時話すべきか、僕は頭を悩ませる。できることなら、二人きりでゆっくり落ち着いて話したい。やっぱり……、夜を狙うのが一番なのかなぁ……。となると、アルフィ様との約束をどうしようか……。
「ナギサさん、こんなところでぽつんと佇んでどうしたのですか?」
そんなことを考えていると、不意に背後からアルフィ様に話しかけられた。確かに、玄関先で一人でつっ立っていれば変に思われるのも当然だよね。
「あ、いえ、その……」
僕は返事に迷う。ユーアさんとのことについて、アルフィ様には話しておくべきなのか考えてしまう。それと、今日の夜の約束のことも……。
いや、ここは話しておくことにしよう。もしかしたらアルフィ様だけでなくユーアさんとも関係を持つことになるかもしれないのだ。報告は必要なことだろう。
「アルフィ様が昨晩言っていらっしゃった、アルフィ様以外にも僕を慕ってくれている方がいる……というお話についてなのですが……」
「もしかして、見つけましたか?」
「恐らくですが……、はい」
「そうですか。ふふっ、できるじゃないですか、ナギサさん♪早速一歩歩み寄ってくれたのですね。私、嬉しいです♪」
僕の言葉を聞いたアルフィ様は、本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべてそう言ってくれる。そんな彼女の姿を見れただけで、一歩を踏み出してみて良かったと思えてくる。やっぱり、僕はアルフィ様に相当惚れこんでしまっているみたいだ。
「それで……ですね……、今日の夜なのですが……」
「分かっています。私のことは気にせず、ちゃんとお話ししてください。私との約束はその後で構いませんから♡」
「あっ、今日は無し……ということにはならないのですね」
「当然です♡ナギサさん、私が今どれだけ我慢しているか分かっているのですか?もう、早くイチャイチャしたくて仕方がないのです♡」
ほんのり上気した顔や潤んだ瞳、そして、幼くも綺麗な裸身を隠すことなく、アルフィ様は僕に摺り寄ってくる。廊下には現在、僕たちしかいない。だから、僕はアルフィ様の身体をそっと抱きしめる。
「僕も、早くアルフィ様を感じたいです。ですから、お預けにならなくて良かったです。安心しました」
「そうですか、えへへ♡もしあれでしたら、その方も交えて3人で……なんていうのも楽しそうですね♪」
「そ、それは……その方次第ですね……」
いきなりユーアさんとそこまで進展できるとは考えていない。そもそも、アルフィ様といきなり肉体関係まで持ってしまったことに、僕は未だに少し驚いているのだ。普通そういうのって、もう少しお互いの仲を深めてからじゃないのかなぁ……と思うのだけど、これも異世界クオリティなのだろうか。
「あっ、そうそう、これから私たち、魔法の練習をするんです。ナギサさん、良ければ見学してみませんか?」
などと考えていると、アルフィ様は唐突に別の話題を振ってきた。魔法の練習か……、何だか面白そうだな。優秀な御嬢様たちが魔法を使う姿、是非とも見てみたい。
だが、果たして何処で練習をするのだろうか?学園の敷地内に魔法の練習をするための施設が設けられていたりするのだろうか?
「それは是非とも見学させていただきたいです。ですが、場所はどちらで?」
「ここですよ。このユニット内です」
このユニット内?どういうことだ?このユニット内にそんな練習施設があるのか?少なくとも、僕はそんな施設は見たことがない。一体、何処にあるのだろうか?そのことについて、僕はアルフィ様に尋ねてみる。
「そ、そうなのですか?そんな施設があるなんて初耳です……。それは何処に?」
「あら、ナギサさんはまだ知らなかったのですね。まぁ私も、昨日シャルティーナ様から教えていただいたばかりで、実際にそこに足を踏み入れたことはないのですが」
アルフィ様はそう一言前置きしてから、再び口を開く。
「このユニットの地下に魔法の練習ができるお部屋があるようなのです」
「地下……?そ、そうだったのですか……」
「すごいですよね。地下施設まで備わっているなんて、やはり王都の学園だけはあります。私、早く行ってみたいです♪」
「確かにすごいですね。僕も少し気になります」
と、その時、廊下の奥に見える扉が開くのが見えた。ユーアさんの専用居室だ。僕は慌ててアルフィ様から身体を放す。まぁ、ユーアさんには朝、既に僕とアルフィ様がイチャイチャしているところを見られてしまっているんだけどね。それでもやっぱり、恥ずかしいことに変わりはない。
「むぅ、ナギサさん……、態々離れなくて良いじゃないですか……」
「ご、ごめんなさい、アルフィ様。でも、やっぱり少し恥ずかしいです」
「まぁ良いです。少しずつ慣れて言ってくださいね」
「が、頑張ります」
これ、慣れるまでかなり時間がかかりそうだなぁ……。けど、アルフィ様に言われてしまっては、頑張るしかないだろう。
「あ、あの……、ナギサ……さん……」
僕がアルフィ様とお話をしている間に、ユーアさんが僕たちの近くまでやってきていた。そして、もじもじしながら僕の名前を呼ぶ。この人、結構態度に出やすいなぁ。例の件について気になっているのがよく分かる。
「ふふっ、良かったですね、ユーアさん♪」
「えっ、あっ、そ、その……」
僕が気づけるということはつまり、必然的にアルフィ様にも気づかれてしまうというわけで……。意味あり気な笑みを浮かべるアルフィ様の様子に、ユーアさんは戸惑いの声を漏らしていた。
「あら、皆さん、そんなところでどうなさったのですか?」
すると、着替えを終えたシャルティーナ様が廊下の先から姿を現した。シャルティーナ様は、僕たち3人が玄関先に集まっていることが気になったようで、どうしたのかと首をかしげて話しかけてきた。まぁ、そりゃ気になるよね。
「あっ、い、いえ、何でもありません、姫様」
「あら、そう?それなら良いのだけど」
「シャルティーナ様、昨日お話しされていた地下施設で魔法の練習をしてきてもよろしいでしょうか?」
アルフィ様が話題を変えてシャルティーナ様に話しかけに行く。僕たちに気を使ってくれたようだ。アルフィ様、僕なんかよりもずっとお優しい方だ。
「あら、そうなの?良いわね、練習。私もご一緒しても良いかしら?」
「はい、もちろんです。シャルティーナ様と一緒に魔法の練習ができるなんて、とても嬉しいです♪」
「うふふ、嬉しいこと言ってくれるのね。それで、練習場を使うのは貴女だけかしら?それとも、1年みんな?」
「はい、みんなでしようって話になってます」
「そうなのね。それじゃあ、みんなを連れて早速行きましょう」
「はい、よろしくお願いします、シャルティーナ様♪」
そう言ってシャルティーナ様とアルフィ様は連れ立ってリビングに入っていった。二人の背中がリビングの中に消えていくのを見届けてから、僕はユーアさんへと視線を向け直す。
「今日の夜、またお話しよう」
そして、そう一言だけ告げてから、僕もアルフィ様達を追ってリビングに戻っていく。
「……待ってる……♡」
ユーアさんはそうポツリと呟き、僕に続いた。
*
「いくわよ、はあっ!!」
「負けないよっ、それっ!!」
現在、地下にある練習場に手御嬢様方が魔法の練習をしている。練習とは言っても、ほとんど遊びみたいなものだ。各々自分の魔法を使ってボールを打ち合っている。落とした人が負け、というルールらしい。
これはシャルティーナ様が提案されたものだ。練習は楽しくやるべきということで、ボールを使ったゲーム風の練習になった。ちなみに、使っているボールの素材は特別な物らしく、魔法の力を加えても簡単に壊れたりはしないようだ。そんな素材まで存在しているのかと、僕は感心してしまった。
「え、えいっ!」
「私もいきますわ、はいっ!!」
様々な属性魔法が打ち出され、ボールが四方八方へと飛び回る。目まぐるしいその攻防に、僕は既に目が回りそうだった。
「来たわね……、ていっ!」
飛んできたボールをエルシャ様が魔法で弾き返した。お見事だ。やはり、このユニットにいる方々は素晴らしい魔法の才をお持ちのようだ。すごいなぁ。
そして、エルシャ様の弾いたボールはアルフィ様とユーアさんの丁度中間点へと飛んでいく。それに反応したアルフィ様とユーアさんは、ほとんど同時に魔法を繰り出し、飛んできたボールを迎え撃とうとする。
「ナギサさんが見てるので張りきっちゃいます♪はあっ!!」
「わ、わたしだって!たあっ!」
二人の魔法が飛んできたボールに着弾する。そして、見事にボールを跳ね返した。……のだが、
「うわっ、速っ……」
「あ、あれに反応するのは……」
二人分の魔法の力が加わったボールは予想以上のスピードで直進してしまい、御嬢様方は誰も反応することができなかった。もちろん、僕も反応が遅れてしまう。
だが、一つ言えることは、そのボールの直進方向に丁度僕が立っている、ということだ。そして、誰にも拾われなかったそのボールは……
「ぐほあっ……!?」
当然、僕に着弾する。あまりの勢いに僕は受け止めることもできず、ボールに撃ち抜かれるままその場に崩れ落ちてしまう。
「ナ、ナギサさんっ!?そ、そんなっ!?」
「う、嘘っ……!?は、早く手当しなきゃ……!」
微かにアルフィ様とユーアさんの慌てたような声が聞こえてきたような気がしたが、意識がもうろうとして上手く判断ができない。ぐるぐると回る世界の中で、僕は思った。……魔法の威力は強烈だ……と。
そうして次の瞬間、僕は意識を失った。