裸ノ乙女達 ~魔力健康法実践の為にすっぽんぽん生活を強いられる御嬢様(ロリ)に執事として仕えることになりました~ 作:室谷 竜司
「あ、ありがとうございます……、心配してくださって……。それと……、本当にすみませんでした……」
「い、いえ、お気になさらず。それより、もう声出されても平気なのですか?あまりご無理はなさらない方が……」
「だ、大丈夫です。少し楽になりましたので……」
「そ、そう、それなら良かったわ」
ほっと安堵の息を吐く二人。そんな二人の様子に、僕の心はさらに癒されていく。まさか、彼女たちの優しさに物理的に救われるとは思っていなかった。
「あと、これ……汚してしまいましたね……。本当にすみません……。実は僕……、女性の方が苦手なんです……」
僕は自分のトラウマについて軽く説明しておくことにした。メイドさんに対してかなり失礼なことをしてしまったが、決してメイドさんのことを嫌っているわけではないという意思表示のために。
「なるほど、そうだったのですね」
女性が苦手という僕の言葉に、メイドさんはこくりと一つ頷く。その表情には、僕に対する軽蔑など一切なかった。本当に、ここには優しい人がたくさんいるんだなぁ。
ちなみに、以前例の店員さんに襲われたことなどは話さなかった。こんな話には興味ないだろうし、僕自身あまり思い出したくなかったからね。
「では、男性の使用人を呼んでまいりますね。少々お待ちくださいませ」
そう言うとメイドさんはこの部屋から出て行ってしまった。その優しい気遣いに、僕の心は完全に元気を取り戻していた。
「あ、あの、私たちは……大丈夫なんですよね?」
「え、ええ、大丈夫です。あくまで、僕よりも大きい女性が苦手なだけで……」
「そ、そうなのですね。……幼くて良かった……と、喜んで良いのでしょうか……?ちょっと複雑です……」
何やらぼそぼそと呟いているようだったが、残念ながら僕の耳には届かなかった。
それから少しして、執事服を着こなした若い男性が室内に入ってくる。先ほどのメイドさんと言い、この執事さんと言い、何というか容姿のレベル高くない?やっぱり、そういうのも採用基準に入っていたりするのだろうか?
「体調は大丈夫ですか?」
「ええ、もう平気です。ご心配、ありがとうございます」
「いえいえ、礼など構いませんよ。それより、すぐに綺麗にいたしますので、少しだけお待ちくださいね」
そう言うと若い執事さんは何事かを呟き始める。英語……ではなさそうだ……。じゃあ、フランス語……?イタリア語……?ドイツ語……?うーん、よく分からない。
などと考えていると、次の瞬間淡い光が執事さんの手から漏れ出した。その光景に僕が唖然としていると、彼はその手をベッドにかざし、最後に一言……
「
と呟いた。すると、先ほどまでの惨状が嘘のようにベッドの上の汚れが一瞬にして消え去り、新品同然のふかふかベッドに元通りになっていた。あまりに現実離れしすぎていて、僕は完全に言葉を失った。
「これで綺麗になりましたね。おや?どうかなさいましたか?」
満足気に一つ息を吐いた執事さんは、すぐさま僕の様子に気がつきそう問いかけてくる。その声で僕は我に返った。
「あっ……、い、今のって……」
「今の……?もしかして、
「は、はい、多分それだと思います……。よ、汚れが一瞬で……」
「今のは魔法ですよ。もしかして、魔法をご存じないのですか?」
「ま、魔法っ!?」
僕は驚きの声を上げてしまう。彼はあっけらかんと魔法と言ってみせた。冗談のようにも思うが、実際に汚れが一瞬で消える様を僕は見せられている。だから、疑いようがない……。魔族とか亜人族などと聞いた時、確かに一瞬魔法の存在が頭を過ったが、まさか本当に存在しているとは……。
これはもう、異世界で間違いないのでは?僕は元の世界で車に撥ねられて命を落とし、何らかの理由でこの世界に転生してしまった……。もう、そうとしか考えられなかった。
「魔法の存在も知らないなんて……。やっぱり貴方、何か変よ……?」
「そ、そのことなのですが、先ほど思い当たることが一つあると言いましたよね?」
「そういえば、そんなことを言っていたわね。途中で話が途切れちゃってたけど。それで、その思い当たることというのは何なのかしら?」
「信じられない話かもしれませんが……」
僕は彼女の問いかけに大して、最初にそう前置きしてから、一度息を整えて再び話し始める。
「僕はもしかしたら、異世界から来たのかもしれません……」
「「い、異世界……?」」
「ええ、そうです。この世界とはまた別の次元に存在する世界……。もしかしたら僕は、その別次元の世界からこの世界に転生してきたのかもしれません……」
「に、にわかには信じがたいわね……」
僕の言葉に、御嬢様(姉)がそう呟く。まぁ、そういう反応になるのは仕方ないことだろう。むしろ、あっさり受け入れる人なんてそうはいないだろう。
「確かに普通なら信じられないですが……、ナギサ様なら……もしかしたら有り得るのではありませんか?」
「そうなのよねぇ……。いろいろと説明がついちゃうのよねぇ……」
けど、御嬢様二人は僕の話を受けて真面目に頭を悩ませていた。正直、個人的には案外説得力あるような気もしていた。だから、真剣に考えてくれている二人の様子に安堵している自分もいた。
「異世界……?以前、旦那様がそのようなことをおっしゃっていたような……?」
すると、不意に執事さんのそんな呟きが耳に届いた。旦那様……ということは、彼女たちの父親ということなのかな?その方が異世界について話していた……。もしかしたら、何か知っているかもしれない。
「あ、あの、旦那様……というのは……」
「私たちのお父様のことよ。それにしても、お父様が異世界について話していた……ねぇ……。イスト、それは本当なの?」
「ええ、詳しい内容までは覚えておりませんが……」
「そうなのですね。とすると、お父様なら何か分かるかもしれませんね」
「私もそう思っていたところよ」
どうやら御嬢様二人も同じことを考えていたようだ。それなら話は早いかもしれないな。僕は改めて口を開く。
「その、できればその方のところへ連れて行ってはいただけませんか?異世界についてお聞きしたいです。それに、僕を匿っていただいたわけですから、お礼もしたいんです」
「貴方、律儀なのね。……そういうところもちょっと素敵……なのだけど……。って、私は何をっ……!?」
「そうですね。一度旦那様にお会いいただいた方がよろしいかもしれませんね。御嬢様方も、それでよろしいでしょうか?」
「ええ、異論ないわ」
「もちろん、私もありません」
という感じに、執事さんとそれから御嬢様二人の許可もいただいたので、僕たちは彼女らの父親の元へと向かうのだった。いろいろと謎が解けると良いなぁ。