光銃閃姫レイガンスリンガー! 〜爆乳生意気変身ヒロイン、わからせヴィランに屈服宣言!?〜 作:オリーブドラブ
「……気化式媚薬を無効化したからと言って、調子に乗って粋がるんじゃあないッ! つい最近まで乱れ狂って腰を振っていた、淫売風情がァッ!」
戦力の差は歴然。だが、戦闘員としての純粋な経験値だけなら負けてはいない。
グラトニオはその自負を頼りに愛用の黒い装甲服を素早く纏うと、スーパーヒロイン達を捕らえるべくワイヤーフックを射出する。
「ICICLE-SNIPEッ!」
「ぬぅッ……!?」
そのフックの先端を撃ち落としたのは、美瑠玖の指先から放たれた鋭利な氷柱だった。忌々しげに自分を睨み付けてくるグラトニオに対し、美瑠玖は怯むことなく冷徹な眼光で睨み返している。
「……母校の体育教師も、あなたのようなケダモノでした。『マスター』の弟子として、SNOW-WITCHとして……雪上美瑠玖として。あなたのような人を、赦してはおけません」
「貴様の赦しなど誰がッ……ぐおッ!?」
喋る暇すら与えない、2発目の氷柱がグラトニオの太腿を撃ち抜く。装甲服をも容易く貫通するその威力には、歴戦のヴィランも苦悶の声を上げて片膝を着くしかなかった。
そんな彼を鋭い眼差しで射抜く美瑠玖の脳裏には、この某国に留学してくる前――日本の高校に通っていた頃の苦い記憶が蘇っていた。
彼女の母校は日本国内でも有数のエリート校だったのだが、裏では反社会的組織との癒着が常態化していたのである。そのパイプ役だったとある体育教師は暴力団をバックに付け、校内の女子生徒達を自分の雌奴隷にしていたのだ。
当然、全ての男子生徒達から憧れと欲情を集めていた美瑠玖も、体育教師のターゲットにされたのだが。その時すでに「SNOW-WITCH」として活動し始めていた彼女は、呆気なく体育教師を撃退してしまったのである。
その一件はやがて、母校と繋がっていた反社会的組織との抗争へと発展していき――美瑠玖は、その白く豊穣な肉体を徹底的に嬲り尽くしてやろうと集まった暴力団員の大群に、完全包囲されてしまったのだ。
それでも最終的には、魔導書の力を解き放った美瑠玖の圧勝に終わったのだが。その決着までに、何人もの生徒達が抗争に巻き込まれてしまったのである。
全ての女を性処理玩具として弄ぶ、卑劣漢の群れ。彼らの魔手から女子生徒達を救うために戦ったことに、後悔はない。
それでも全てが終わった後、居場所を失ってしまった彼女は、「留学」という形で某国へと逃げるしかなかったのだ。
「……ここで私が諦めたら、彼女達が流した涙も無駄になってしまう。だから私は、ここで立ち止まるわけには行かないのです……!」
「ぬ、ぬうっ……!?」
その苦い記憶を胸に、魔導書の力で氷柱を放っていた美瑠玖は。グラトニオすら気圧されてしまうほどの気迫を纏い、純白のマントと長髪を靡かせていた。
「傷付いた人々の涙を……その雫を、この氷柱に変えて悪を射る。それが、SNOW-WITCHなのですから」
見掛けは痴女だが、その佇まいは紛れもなく正義のスーパーヒロイン。氷の魔法少女、SNOW-WITCHそのものであった。
「……ええいッ! ならばお前から始末してやるッ!」
「くッ……!」
先ほどまで淫らな雌の顔を晒してイキ狂っていた小娘如きに、舐められてなるものか。その一心で美瑠玖に狙いを定めたグラトニオは、二つのワイヤーフックを同時に発射する。
一方、氷柱の矢を立て続けに放ったことで消耗していた美瑠玖は、避けることすら難しくなっていた。
「美瑠玖さん、下がってくださいッ!」
「SISTER-MARIA……!」
そんな彼女を庇うように飛び込んで来た真里は、咄嗟に杖を回転させてワイヤーを絡め取っていく。
「はぁあッ!」
「ぬッ……!?」
美瑠玖の両肩を狙っていたワイヤーは、素早く1回転した真里の杖に巻き付いてしまうのだった。しかし、これではグラトニオと真里の「力比べ」になってしまう。
「あぁっ!?」
「……ふっ、やはり戦術眼においては素人とさして変わらんようだな。詰めが甘いぞSISTER-MARIA、易々と自分の武器を奪われおって!」
当然、真里の細腕では敵うはずもなく。ワイヤーフックは杖に絡み付いたまま勢いよく引き戻され、彼女の両手から「相棒」を奪い取ってしまう。
魔法を使うために必要な杖を手にしたグラトニオは、下卑た笑みを溢していた。例え優れた装備や能力を持っていても、それを活かせる立ち回りが出来なければ無意味なのだと勝ち誇るように。
「……うふふっ。良いのですか? 私の杖を奪ってしまうなんて」
「なにッ……!?」
ところが。十字架の杖を奪われたはずの真里は狼狽えるどころか、不敵な笑みすら浮かべている。まるで、奪われることが「狙い」であるかの如く。
(あの女の眼……「本気」だッ! ブラフではないッ! ええいッ、何が狙いかは分からんが……捨ててやるッ!)
そんな彼女の挑発的な表情と冷たい眼差しが「ハッタリ」の類ではないことに気付いたグラトニオは、杖に何か仕掛けがあるのではと手放そうとする。
「皆さん、目を閉じてッ!」
だが、それよりも速く。真里は白く優美な両手を翳し、聖なる「光魔法」を発動させていた。
「――
「うぐわぁあぁああーッ!? 目、目がぁああッ!」
刹那。十字架の杖から放たれた眩い閃光が、「至近距離」でグラトニオの両眼に直撃する。一瞬のうちに視界を潰された巨漢は杖を手放すと、両眼を覆いながらのたうち回っていた。
「……お生憎ですが。魔法の力を増強するこの装束を纏っていれば、私は杖を手放していてもそこから魔法を撃てるのです。詰めが甘いのはあなたの方だったようですね?」
「SISTER-MARIAが……キレている……!?」
「真里先生って、一度怒ったら手が付けられないんだよね……」
「うふふっ、真里ったら……珍しく『本気』になってるじゃない。私達も負けてられないわね」
杖を奪い取ったことで、却ってより強い閃光を浴びてしまったグラトニオの様子を冷ややかに見つめる真里は、冷酷な笑みを浮かべていた。
そんな彼女の静かな怒気を肌で感じ取った美瑠玖とアニーは、青ざめた様子で顔を見合わせている。一方、真里の「本気」を目の当たりにした栞は、妖艶な微笑を浮かべていた。
「……貴様らァアッ! 許さん、絶対に許さんぞォッ! 全員俺の子を確実に孕むまで、犯して犯して犯し尽くしてくれるわァッ!」
だが、グラトニオもタフネスにおいては負けていない。まだ両眼が完全に回復していないのにも拘らず、気力だけで立ち上がろうとしている。
「……大したしぶとさですね。まだ満足に見えるような状態でもないのに、私達を気配だけで捉えようとしているなんて……」
「確かに見上げたタフネスだけど……あの状態なら、真っ向から接近してもワイヤーフックで先手を打たれることはないわ」
「……えぇ、チャンスは今しかありません。STAR-SYMBOL、スタースーツの最大出力で奴に『とどめ』を!」
「オッケー……! 私だって、ヤられっ放しでいるつもりはないから……ねッ!」
そんな彼に「とどめ」を刺すべく。美瑠玖達に促されたアニーは勢いよく地を蹴り、敵方目掛けて突進し始めた。
グラトニオもその気配に気付いてはいたが、視界が回復し切っていない今の状態では、ワイヤーフックで正確に迎え撃つのは難しい。
「このッ……卑劣な雌共がァッ!」
「えっ……!?」
それでも、これまでの戦闘経験から得た「直感」が。視力を封じられていたグラトニオに、奇跡を齎そうとしていた。
彼は己の勘だけを頼りに、力任せのラリアットを放ったのである。それは決して狙い澄ました一撃ではなかったのだが――懐に飛び込もうとしていたアニーの顔面を、正確に捉えていたのだ。
「う、そッ……!?」