光銃閃姫レイガンスリンガー! 〜爆乳生意気変身ヒロイン、わからせヴィランに屈服宣言!?〜 作:オリーブドラブ
(間に、合わないッ……!?)
圧倒的に体格とパワーで勝っているグラトニオの一撃をまともに受ければ、例えSTAR-SYMBOLのスーツと言えども、ただでは済まない。それに今から回避行動を取るには、アニーはあまりにも近付き過ぎていた。
もはや回避も、防御も間に合わない。ただ、迫り来る絶望的な衝撃を覚悟するしかない。
「ぐぉわぁああッ!」
「えっ……!?」
「――
そんな彼女の運命を変えたのは――遥か遠方から栞が振るっていた、電撃の鞭であった。
白い爆乳の弾みと共に飛び出した彼女の鞭は、瞬く間にグラトニオの太い腕に絡み付くと、ラリアットを放とうとしていたその鉄腕に高圧電流を流し込んでしまったのである。
「今、いいところなのよ。アニーの邪魔……しないで貰える?」
「ぐぅう、ぅおぉおおッ……!?」
その電撃に怯み、ラリアットを中断して後退していく様は。まるで、「蛇」に咬まれた愚者のようであった。
そんなグラトニオの姿を冷たく嘲笑う栞は、これまで自分達が受けてきた「恥辱」に相応しい痛みを与えんと、さらに電撃鞭を振るう。
「何も出来ないまま、一方的に嬲られる気分はどう? ……それは、あなた達がしてきたことよ」
「なッ……なんだ、これはァァアッ!? 一体何が起きているッ!? あの鞭による電撃なのかッ!? し、しかしッ、VIPER-WHIPとはかなりの距離があったはずだッ! この一瞬で鞭が届く距離にまで近付いていたというのかッ……!?」
「私が動いたわけじゃないわ。……動いたのは、鞭の方よ」
「な、なんだとッ……!?」
「……この電撃鞭は私の操作で、最大20mまで伸長する。さらに、自在に軌道を操作することも出来るわ。例えば電流を流したまま、あなたの装甲の隙間に入り込むとか……ね」
「ぎぃあぁあぁああーッ!」
栞の操作によって蠢く電撃鞭は、まるで生物であるかのようにグラトニオの身体を這い回っていく。関節部の隙間へと入り込んだその先端が、内側の「肉体」に触れたのはその直後だった。
直接電撃を浴びせられたグラトニオはさらに悲鳴を上げ、力任せに電撃鞭を振り払おうとのたうちまわる。だが、彼の挙動に合わせて変幻自在に伸縮する栞の鞭は、どれほど暴れても全く解けない。
それはもはや意志を持ち、身体に纏わり付いた「蛇」そのものであった。
「おっ、のッ……れぇえぇーッ!」
「……ッ!」
この電流地獄から一刻も早く逃れねば。グラトニオはその一心で敢えて鞭を掴むと、さらなるダメージを覚悟した上で引っ張ろうとする。
いくら状況に応じて伸縮出来ると言っても、20mという限界があるならば、その長さまで手繰り寄せてしまえば真里の杖のように奪い取ることが出来るはず。その可能性に賭けた、捨て身の反撃であった。
「……確かに、振り解こうとするよりは懸命な判断ね。さすがは、あの組織の生き残り……と言ったところかしら。けれど、それは私が『鞭を操れるだけの女』でなければ成り立たない計算よ」
「な、なにィッ……!?」
限界まで手繰り寄せられた鞭が一直線に張り詰め、栞とグラトニオの「力比べ」の構図に至った瞬間。栞は爆乳と巨尻を弾ませて地を蹴り、敢えて真正面から急接近する。
ビキニアーマー型の装備によって強化された彼女の身体能力は、驚異的な疾さでグラトニオの間合いに入り込んでいた。そのまま勢いよく跳び上がった彼女は、すらりと伸びる肉感的な脚を振り上げ、グラトニオの下顎を宙返りの要領で蹴り上げてしまう。
「ぐが、ぁ……!」
「……鞭を持っている私自身が有効範囲に接近すれば、その努力も徒労に終わる。そして装備を着ている今の私は、あなたが簡単に捕まえられるほど鈍くはない」
白い爆乳を揺らして弓なりに仰け反る、鮮やかなサマーソルトキックが決まった。その身体が描く流麗な曲線は、新体操の演技を彷彿とさせる。
扇情的な背中をくの字に曲げ、優美なラインを描くポーズでくるりと1回転した彼女は、爆乳を弾ませながら軽やかに着地していた。
「つまり私は付かず離れずの距離を保ってさえいれば、永続的にダメージを与え続けることが出来るのよ。せっかく苦労して手繰り寄せたのに……残念だったわね?」
「ぐぉ、あッ……! こ、この肉雌がッ……!」
下顎への衝撃によって脳を揺さぶられたグラトニオは、大きくふらついてしまう。視界を封じられている今の彼では、栞のサマーソルトキックをかわすことも防ぐことも出来なかったのだ。
そんなグラトニオの姿を、冷ややかな眼で見詰める栞は――電撃鞭によるダメージを与えながら、彼の打撃が届かない絶妙な間合いを保ち続けていた。
「……22世紀の現代科学が成せる力は、すでに『魔法』とさして変わらない域にまで到達しているのかも知れない。それでも、『科学』と『魔法』には決定的な違いがある。それは『明確な責任の所在』よ、グリード・グラトニオ」
「ぐぅお、ぉおおッ……!」
「美瑠玖や真里が行使している魔法の力は、もしかしたら『神様からの贈り物』なのかも知れない。けれど私やあなたが纏っている科学の鎧は、例えどれほど魔法染みているのだとしても、やはり人の手で造られた『モノ』に過ぎないわ。……ならばその暴走の責任は、造り出した人間の手で取らなければならないのよ」
「き、貴様がその責任を取るとでも言うつもりかッ……!? ぬ、ぅうおぉーッ!」
「……あなたの装甲服に搭載されているワイヤーフックは元々、私の父が犯人捕縛用として開発していた装置なの。生みの親の血を引く者として……取らなければならない責任があるのよ。世界の平和を守るために働いている、国連軍の科学者としてはね」
手が届かない中距離を保ちつつ、絶え間なく一方的に電撃を与え続ける。敢えて離れ過ぎず、反撃が出来るかも知れないと希望を与え、ここぞというところで絶望に突き落とす。力技で近距離まで引き寄せられても、強化された身体能力を活かしたスピードで撹乱することも可能。
そんなサディスティックな立ち回りこそが、VIPER-WHIPが最も得意とする戦法なのだ。その瑞々しくグラマラスな肉体を捕まえ、獣欲のままに犯し尽くしてやろうといきり立つ男であればあるほど、彼女の術中にまんまと嵌まってしまうのである。
「ひ、ぃ、ぎぃあぁああーッ! おッ、おぉッ、俺の中に入るなァァアーッ! 出て行け、出て行ってくれぇぇえーッ!」
「……それは『こっち』の台詞よ。あなたは、あなたが重ねてきた罪と向き合わなければならない。ヴィランに堕ちた以上、あなたはその宿命に付き合っていくしかない。人の正道から外れるというのは、そういうことよ」
死ぬまで続く高圧電流の苦しみ。それによってグラトニオの精神が崩壊するまで、この攻撃を続けることも出来る。
だがそれは、仮にも「正義のスーパーヒロイン」を名乗っている者がやることではない。ならば、それに相応しい「とどめ」を刺せる人材に任せるべき。
「……アニー。『お仕置き』の続き……任せちゃってもいいかしら?」
「もっちろんッ! 特等席で見ててよね、栞博士ッ!」
その結論に至った栞は、敢えて電撃鞭をグラトニオの装甲内から引き抜くと。アニーの背を優しく押し、「必殺技」の発動を促していく。
そんな彼女の母性的な微笑に、最年少のスーパーヒロインは快活な笑顔を向けていた。必ずその期待に応えて見せると、言わんばかりに。
「っていうわけだから……食らいなァッ!」
「うごぉあッ!?」
ようやく電撃鞭から解放されたグラトニオに、追い討ちを掛けるように。アニーは彼の懐に飛び込むと、そこから跳び上がるようにアッパーを放つ。
間合いに入り込まれたグラトニオは再び急所の顎に強烈な拳打を浴び、大きくふらついてしまった。
その瞬間こそ、絶好のチャンス。そう確信したアニーは強気な笑みを浮かべ、スタースーツの出力を全開にする。胸のマークが眩い輝きを放ったのは、その直後だった。
(師匠ッ……!)
彼女の脳裏を過ったのは、腕っ節しか取り柄の無かった自分を「正義のスーパーヒロイン」へと導いた、「師」の背中。それを想起させる、過去であった。
――ニューヨークのブルックリン区にあるスラム街で生まれ育ち、幼い頃から用心棒として悪の拳を振るっていた彼女はある日、「GRIT-SQUAD」の主力メンバー「QUARTZ」と出会い、人生初の「完敗」を喫した。
当時すでに、大の大人達が束になっても敵わない強さを持っていた彼女は、その時初めて「叱られた」のである。
持って生まれた力は、才能は、正しく使うためにある。そんな綺麗事を抜かす人間達は皆「力無き正義」であり、結局は為す術なく「正義無き力」の前に捩じ伏せられてきた。
その現実の中で育ってきた少女にとって、「正義無き力」を持つ自分を「力有る正義」を以て制したQUARTZの勇姿は、あまりにも衝撃的だったのだ。
彼との出会いと敗北を経たアニー・リチャーズはそこで初めて、スラム街の「外」にある世界へと目を向けるようになったのである。
そして。身寄りの無い孤児だった彼女はQUARTZの元で教養を養い、正規の訓練を受け――ついに、新進気鋭のアメリカンスーパーヒロイン「STAR-SYMBOL」として生まれ変わったのである。
(「正義無き力」は暴力ッ! そして「力無き正義」は無力ッ! だから私は掴み取らなくちゃいけないんだ、「力有る正義」をッ!)
そんな自分を導いてくれた師のためにも、肉雌に堕とされたままで終わるわけにはいかない。アニーはその想いを胸の星に宿し、白銀の鉄拳を振り抜くのだった。
「うご、ぉッ……!?」
「――
やがて絶叫と共に放たれたのは、機関銃の如き拳打の猛嵐。その連撃を絶え間なく浴びせられたグラトニオの巨体は、衝撃のあまり「滞空」している。
「ダダダダダダダダダダァッ!」
「ぐぉわぁあぁッ……!?」
装甲服を装着した2m級の巨漢すら浮かせる威力のパンチが、秒間90発という速度で連打されているのだ。グラトニオの身体は着地することすら叶わず、「重力による下降」と「拳打による上昇」に挟まれてしまったのである。
(こ、こんなッ……この俺が、こんなァッ! お、俺は……俺は「BLOOD-SPECTER」を甦らせる「RESIDUE-ROGUE」だぞッ! その俺が、こんな肉雌共に負けるはずがないィイ〜ッ!)
そのダメージは徐々に彼の身体を保護していた装甲服に、亀裂を走らせていく。そしてアニーは、これまでの「お遊び」とは比べ物にならない「最大級の1発」を繰り出すのだった。
「――ダァァアラァァァッ!」
「ぐはぁあぁあーッ!」
スタースーツに込められた「星の力」を解き放ち、勢いよく振り抜かれた全力のストレートパンチ。ラッシュの最後にその一撃を浴びたグラトニオの巨体は、激しく吹き飛び部屋の壁に叩き付けられてしまうのだった。