※この作品はR-18です。

孕神 -ある冒険者の旅行記-   作:劇鼠らてこ

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大型スライム(雷)

 スライム、という生物がいる。楕円体のボディと一見可愛らしい目、多くが群れで行動し、主に自身の持つ元素に見合った場所に生息している。私達人間やトリックフラワー、あるいはヒルチャール達のように元素を扱う生物、ということではなく、このテイワットに溢るる元素そのもの……元素生物、と呼ばれる生き物だ。

 生殖機能や捕食機能は存在せず、ただそこにあるだけ、というのが彼らの在り方。どうしてスライムを人間を襲うのか、については様々な説が囁かれているけれど、彼らの攻撃方法が元素を付着させてくるものであることを考えるに、「元素の無い状態である物へ元素を浸透させんとしているのではないか」という説を私は推している。

 多分、彼らの視界には酷く異常に見えるのだろう。元素の無い生物、元素の無い場所、というのが。

 

 話を戻して、スライムだ。

 スライムは元素の塊といっても過言ではない存在だけど、身体を構成しているものが全て同じ、というわけではない。彼らを構成する要素は大きく分けて三つ。中身と、表面と、分泌液である。この内分泌液は人間の肌に触れると炎症を起こすので注意が必要だ。まぁ元素力が人間の身体に毒であるのは知れた事、その純度が高ければ高い程、悪影響を起こしやすいというのは納得出来る事だと思う。

 彼らは種別として大小があり、主に大型スライム一匹と取り巻きの小型スライム数匹、という形でいることが多い。唯一草元素のスライムだけが、大小単独でいたり、大型スライムが対象を襲った後で小型スライムが生まれる、という形を取っている。

 先のトリックフラワーといい、植物の要素を持つ生物は独自進化というか、より攻撃的、あるいは隠密的になり、擬態や他には見られない攻撃手段を持つようになる……気がする。

 これは一般冒険者としての意見であり、学者サマとか錬金術師方々に言ったら鼻で笑われてしまうかもしれない戯言だけれど。

 

 それで。

 

「キツいなぁ」

 

 モンド城より北へ行った所にある望風山地の一角。主にヴァルベリーが生息する場所で、一般冒険者こと私、レデスパルはまたも窮地に陥っていた。でも今回は無謀な冒険じゃなくて依頼。一般国民より出される依頼の一つを熟すため、というかまさにそのものヴァルベリーを集めるためにこの山地へやってきた。

 悲しいかな、見習い冒険者であった頃は遠地への依頼であればベテラン冒険者が付き添いで来てくれていたのだけど*1、めでたくも先日一般冒険者として認められてしまったので、この窮地を助けてくれる優しい先輩は存在しない。

 

 そう、窮地だ。

 

「うぅ、ビリビリ痛いなぁ」

 

 ヴァルベリーを採集していた時のことだ。残り四つ、というタイミングで、突然私の周囲に雷スライムが姿を現した。これ自体はよくある事だ。ぶっちゃけ元素の溢れていない街中を除けば、どこにだって現れるのがスライムである。私も一応成り立てとはいえ一端の冒険者、スライムの倒し方くらい心得ている。

 風元素使いは風元素そのもの、拡散反応そのものでは元素生物にダメージを与え難いため、周囲の元素を利用したり対象を天高くまで突き上げて落とす、などの創意工夫が求められる。私は主に対象を空に打ち上げて落とす方法で戦っていて、今回もそれでいけると思っていた。

 

 私の隙を突いたのは、一匹の雷蛍。

 もうソイツは倒したけれど、雷蛍の放った電撃に一瞬身体が麻痺して、瞬く間にスライムたちに囲まれてしまった。嗜欲の雷は「神の目」が制御する元素を減らしてしまう。風が起こせなければ彼らを突き上げることなど到底できるはずもなく、大型雷スライムと変異した大型雷スライムに挟まれ、こうして電撃に晒される次第となってしまった。

 無論冒険者の持ち得る攻撃手段は元素攻撃だけではないのだけど、この感電した体ではもうどうしようもない。

 

「あっ──うっ!?」

 

 一匹のスライムが私の足に突撃してきた。それを避けるも、上空より落下してきた大型スライムに伸し掛かられてしまう。全身に浸透し始める雷元素。力が入らない。重量こそそこまででもないけれど、全身……頭部にまで侵食してきているらしい雷元素が思考力を奪っていく。

 ただ、肌をチリチリと焼く分泌液の存在が、逆に私を引き留めてくれていた。

 

「あ、あが、ぁぐ、ぎ……」

 

 ただ、言葉は纏まらない。トリックフラワーの時に比べたら痛みはほとんどないのだけど、体の動かなさは同等くらい。むしろ意識外の痙攣が入る分、氷元素の時より疲労が蓄積する気がする。痛みではなく反応で声が出て、反応で全身がピクピクと震える。

 大型雷スライムは私の上でぷるぷると身体を震わせているようで、どこかに行ってくれる気配はない。スライムが人体を捕食するという話は聞いたことが無いから食べられる心配はないだろうけど、このまま雷元素に浸りきってしまえば当然危険だ。心臓にまで辿り着けば、そこで生命活動が停止してしまうかもしれない。

 

 ぐ、と死力を込めて「神の目」に風元素を集中させる。雷スライムは集団でいると厄介だけど、一匹にしてしまえば脅威度は下がる。どうにかして取り巻きと変異雷スライムを吹っ飛ばしてしまえば、大型雷スライムの一匹どうってことは──。

 

「ひゃ、え、ぎぃ!?」

 

 突然、冷たい流体が私のおしっこの穴に入り込んでくるのを感じた。それは強烈な痛みと共に駆け上がり、すぐに奥へと辿り着く。

 

「い、ぁ、ぁ、ぁ、ぁぎぎぎ」

 

 シュー、という音。今まで覚えていた雷元素の麻痺とは違う、下腹部の……膀胱内で生じる感電と蒸発。鋭い痛みがお腹を襲い、まるで壊れた風車が出すような軋み声が口から洩れる。さらに侵入してきたソレが膀胱内で膨張を始めたのがわかった。雷スライムの一部なのだろう、おしっこの穴なんてか細いか細い穴を通って、しかし千切れてはおらず、中でグネグネと変形を繰り返しながら膨張する。

 多大なる排泄感は勿論、痛みと……そして、どうしてだろう、僅かばかりの快感が下腹部を浸し始めた。こんなの痛いだけのはずなのに、脳がおかしくなってしまったかのように、甘く、甘く、甘い……じんわりとした快楽が広がる。

 

「う、ぅあが、ぶ、あぇ、ぃぎ、ぐ」

 

 痙攣が止まらない。声は出続ける。

 私の身体は痛みや快感で跳ね回る事を許されず、ただ通電の痙攣を繰り返すばかり。だというのにおしっこの穴と膀胱を好き勝手にされているから、私の感覚はもうグチャグチャだ。ずっとおしっこをしているような、そのおしっこが戻ってきているような感覚。時折太くなるスライムがおしっこの穴を大きく広げ、その度に鋭い痛みに襲われる。

 「神の目」の制御なんて出来るはずもない。下腹部にばかり意識が集中してしまって、それが逆に感覚を研ぎ澄ます。鋭敏になった意識がおしっこの穴からの刺激をダイレクトに脳へ届けてしまう。

 

「おぶっ!?」

 

 力を入れることが出来ず、半開きにした口から舌を出していたら、そこへも雷スライムが侵入してきた。舌や歯には目もくれず、奥へ奥へ……喉への侵入を試みる雷スライム。当然拒絶反応で私はそれを吐き出そうとするけれど、筋肉が完全に弛緩してしまっているのか上手く行かない。とても呼吸の苦しいまま、雷スライムの侵入を許してしまう。

 何度も咽る。それをしなければ死ぬとわかっているから。けれど雷スライムを押し出す事は出来ず、ついに胃にまで、雷スライムが侵入したのを感じた。

 

「──アアアアアッ!?」

 

 直後、灼熱をお腹に覚える。

 灼熱さえも優しい。お腹を八つ裂きにされたような痛み。肉の焼ける匂いが自分の中からした。

 

「た゛──す゛、げ、ェ」

 

 誰もいない望風山地。

 その虚空へ手を伸ばす──事も出来ず、私は意識を失ったのだった。

 

 

☆☆☆

 

 

「ゴ──ぷっ」

 

 覚醒は吐き気と共に。

 

 目を覚ますとそこは、医務室らしき場所。見た事がある──というか、前回のトリックフラワーの時もここで目を覚ました。モンド城、西風大聖堂が一室だ。

 

「良かった、無事取り出せた……大丈夫? 意識はある?」

「けほっ、ぇほっ……げ、ぅ」

「落ち着いて深呼吸して、はいお水。息が落ち着いたら飲んでね」

 

 喉の奥に辛いものが溜まっている。辛くてすっぱいものだ。それがどうにも呼吸を妨げるけれど、首元に当てられた手から溢れる水気がそれを押し流し、正常な流れに戻してくれたのを感じた。

 先程まで激しく脈打っていたような気がする心臓が、少しずつ落ち着いていくのを感じる。

 

「あ、あり、あぃが、と……」

「うん! どういたしまして! ……でも、頑張り所はこれからだよ」

「え──」

 

 私を治癒してくれたのは、モンドでは知らぬ者のいないアイドル……もとい祈祷牧師、バーバラちゃん。西風教会で唯一「アタリのキツくない人」として有名で、人気も高い。そんな彼女は「神の目」による治癒術を得意としていて、先ほどの喉やトリックフラワーの時の怪我なんかは水元素による魔法で治癒してくれている。

 今回も死に際を救ってくれたのだろう、感謝しかない……けれど、バーバラちゃんは何やら不穏な事を言いながら、寝台に寝転がった私の足の方を見た。

 

 そこには。

 

「え、ぁ……ひっ!?」

 

 ぽっこりと。お腹より、少し下。赤ちゃんの部屋のある所から少しずれた部分が、ぽっこり、ぷっくりと膨らんでいる。下半身の衣服を何も纏っていない事実に羞恥の冷や汗が出るのと同時、今まで意識していなかった事で無視できていた痛みがその部位を襲う。

 火傷だ。膀胱の火傷なんて、今まで生きてきて経験したことは一度も無かった。

 

「い、痛い! 痛い痛い痛い!」

「痛いよね、大丈夫、私が癒してあげるから、今は頑張って」

「きゃぁ!?」

 

 雷元素に浸されていた時は痙攣で出せなかった言葉が今になって発される。そうだ、ずっと痛かった。あの時はどうしてか生まれていた快感が痛みを緩和していたけれど、全身から雷元素が抜かれた今、元素力への拒絶反応とスライムの分泌液の炎症、そして膀胱の粘膜を灼く雷元素の三重苦が私を襲っている。

 頑張って、なんて言われても、耐えようがない痛みに思わずのたうち回ろうとして──グ、と身体を抑えつけられた。バーバラちゃんに、ではない。

 

「お願いします」

「はい、任せてください」

 

 西風教会のほかのシスターだ。「アタリがキツい」「怖い」「目つきが鋭い」なんて散々な言われようのシスターたちが、こぞって私の身体を抑えつけている。下半身丸出しで、おしっこの穴から微かに紫色の流動体をはみ出させている私の身体を。

 

「レデスパルさん、力まないでね、大丈夫、治癒をしながら抜いていくから……」

「ァ──あ、あ、あ、ああ──あぐっ」

 

 なんらかの医療道具なのだろう、ペンチのような形をしたものが紫色をぐに、と掴む。途端、ビリッ! と膀胱に電流が走った。

 刺激を受けて雷スライムが放電したらしい。ここまで小さくなっても雷スライムは雷スライムとしての機能を保っているというのだから驚きだ。

 

「しび、れ、あぁ、ふ」

「大丈夫、だいじょーぶ」

「いぎ、ぎぎ、ぁあ!」

 

 バーバラちゃんの法器より出でる水元素が下半身に浸されていく。幼き頃にお漏らしをしてしまった時のような感覚にいっそうの羞恥心を覚え、更には雷スライムの出す雷元素と水元素が反応し合い、感電反応が下腹部に広がって苦痛と……その、快感、のようなものが芽生えた。

 自分の身体を見下ろす形だからわかる。痺れた体にも関わらず、大事で敏感なお豆さんが屹立してしまっているのが。

 身体を抑えつけているシスターは完全な無表情、バーバラちゃんも雷スライムの摘出に真剣で気にした様子は全くないけれど、同性とは言え、同性だからこそ、これだけの人数に自身の大事な部分が屹立した姿を見られるというのは恥以外の何物でもなかった。

 特にバーバラちゃんはモンドのアイドルで、そんな子の目の前に私の屹立したお豆さんがあるのだ。彼女らは真剣な医療行為をしてくれているのに、私ただ一人が快感なんてものを得ている。

 ただただ、恥ずかしかった。

 

 けれど、私がいくら恥ずかしがった所で治療は止まらない。

 

「う、ぷ」

 

 おしっこの穴が、その道が一回り大きく膨らむ。スライムにはそれなりの弾性があり、狭所へ通そうものならそこを押し広げんとするのが当然の反応だ。だから引っ張られ、引き摺り出されていく雷スライムの身体は狭い狭いおしっこの穴を無理矢理に拡張しようとして、当然その刺激は私を襲う。

 バーバラちゃんが絶えずかけてくれている治癒の魔法が痛みを緩和してくれているけれど、おしっこの穴が広がる、という感覚は痛みを取り除いた分不快感の拭えないもので、だけどもどこか甘い……これまた快感のようなソレに変じて拡散していく。

 

 ぶるり、と下半身が震えた。

 

「あ、だ、ダメ──今抜いちゃ、だめ」

「もうちょっと! もうちょっとだよ、頑張って!」

「だめ、だめなんで、」

 

 ずる、ぽっ! と。

 特殊なペンチによって挟まれ、引き摺り出された雷スライムが、私のおしっこの穴から完全に抜けたのが分かった。ダメなんです、と言い切る前に。

 その瞬間──今まで感じていた恐怖によって生成されたか、あるいは雷スライムの分泌液かはわからないけれど、バーバラちゃんへ目掛けてソレが出てしまう。

 

 即ち、おしっこが。

 

「きゃ!?」

「あ──あ、あぁ……あぁ……」

 

 バーバラちゃんの魔法は凄いもので、膀胱内の火傷や炎症は既に治っている感じがした。痛みが全くないのだ。

 だからこそ、この排泄は勢いがあって、だからこそ我慢が利かなかった。

 幸い彼女の顔にかける事態は避けることが出来たけど、バーバラちゃんの愛らしい服を私のおしっこが濡らしていく。顔が熱い。何故かシスターたちはまだ私の身体を離してくれない。

 

「ごめ、ごめんなさい、ごめんなさい……」

「あー、大丈夫! 場所が場所だったし、安心して、緊張が解けたんだよね? だったらしょうがないよ。服なんか変えればいいし、シャワーを浴びたら元通り! それより、生きててくれてよかったぁ」

「ありがと、ございます……」

 

 未だ私の身体を抑えつけたままのシスターが口を開く。

 

「疲労が蓄積しているようですね。眠っていただいても大丈夫ですよ。私達西風教会は負傷者を裸で放り出したりはしませんから」

「──っ」

 

 その表情には、少しばかりの同情が含まれていて。

 羞恥と共に、やはり耐えきれなかった疲労から意識を手放し──一応、安堵の息を吐けた。

 

 

 

 二ページ目に記される出来事はこれ。誰もが知ってるモンドのアイドルにお股を凝視されたばかりか、おしっこまでかけちゃって……恥ずかしいし、とても失礼な思い出がこの旅行記の二つ目の話。雷スライムを舐めていた……ワケではないんだけど、勝てなかったのは事実なので鍛え直さないといけないって事と、周囲をよく観察して常に油断しない事を心掛ける。それが今回学んだことかな。

 特に雷蛍。今度から見つけたら真っ先に倒す。色んな逆恨みも込めてね。

 

*1:
前回の窮地は依頼ではなくただの冒険

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