完全に作者の力不足。
いつからだっけ?自分に好意を持つ異性の心の声が伝わってくるようになったのは?
あれは、確か・・・中学生の時。
あの日私は放課後、学校の教室で居眠りをしてしまい、目を覚まして時計を見ると19:30だった。
「寝過ごしちゃった・・・」
今日は特売日で私が買い物当番の日なのに。いつも利用しているスーパーの閉店時間は20:00。今から走っても当然間に合わない。
私は早く帰ろうと家への近道の林道を通った。この林道は痴漢が出るって噂だったけど、先日捕まったらしいから大丈夫だよね?と油断していた。まさか自分が痴漢に襲われるなんて思わなかった。
その時の記憶は少し曖昧である。
目が覚めると私は病院のベッドの上で寝ていた。病院の人によると男性が『頭から血を流してる半裸の私』を抱き抱えてきたらしい。
その後、警察の人がやって来て事情を説明してくれた。
私を襲った男は既に捕まえたとの事。驚く事に私を襲った男は同級生だった。その同級生は何度も私に告白してきた『須藤金紅』という男。
『俺が一番好きなのにどうして付き合ってくれないんだよ!』
『どうせその身体使ってあちこちで男作って盛ってんだろ!』
『うわあああ!お前が悪いんだぞ!僕が付き合ってやるっていったのに拒絶するから!』
この辺の記憶が曖昧。地面に押し倒され馬乗りしてきた須藤から逃れようと暴れて・・・必死に逃げようする私の髪が千切れるほどの力で引っ張られ・・・地面に叩きつけられたと思う。
『おい?塚本さん?気を失ったのか?・・・そうだ、今の内に犯してやる!僕がどれだけ好きか身体に教えてやる!』
『・・・あれ?・・・これ何だよ?・・・血か?頭から?・・・まさか倒れた時に?う、うっ、うわあああああああああああ!!!』
運悪く突き飛ばされた先に転がっていた石に頭をぶつけた私はどうやら気絶したらしい。須藤金紅は救護せず逃亡しようとしたところを通行人が発見し取り押さえられた。その通行人が警察に電話してくれて、救急車を呼ぶより早いと林道から近いこの病院に運んでくれたそうだ。
少し思い出した・・・私を抱き抱える男の人。
刃物で裂かれ破れた服の間から見えた『首に硬貨を咥えた白蛇のタトゥー』、『サングラス』をしていた・・・ような気がする。あと『独特な香水』の香りがした。
警察の人の話は続き、どうやら須藤金紅は塚本家に侵入して私の私物を盗んだり、部屋に盗聴器を仕掛けたり、捨てたゴミ袋を回収して持ち帰ったりしていたらしい。
私は・・・頭の中が真っ白になった。
それから数日間の事もほとんど覚えていない。覚えているのは姉さんが私に抱き付いて泣いている姿だ。
私は額に一生消えない傷を負わされ、左目の視力が著しく低下してしまった。そのかわりに自分に好意を持つ異性の心の声が伝わってくるようになった。
それから私は男の人を避けるようになった。
怖かった・・・もし侵入した須藤が姉さんと鉢合わせしていたら・・・怪我を、いや、最悪の場合・・死・・・想像してしまう・・・吐き気が・・・
年月が経ち、姉さんは高校に入って好きな人ができたらしい。
『八雲も恋愛の一つもしなさいよ~』と言われたが、私はその気持ちが全く理解できなかった。
中学を卒業するまで私は、彼氏も、友達も作らなかった。
「・・・このまま・・・独りで・・・」
高校に入ってすぐ、妙な先輩に付き纏われるようになった。
名前は花井春樹。合気道部(実際は同好会)の部長さんで姉さんの同級生。
「僕は・・・君の袴姿が見たい(すごく袴姿見たい)」
見事なまでに心と言動が一致した男は初めてだった。
「私は・・・すみません格闘技は、ちょっと・・・」
花井先輩の勧誘をお断りしたのだが、この先輩があまりにしつこかった。他の部活の見学にも付いてきてメチャクチャにしてしまう。
正直・・・『物凄く気持ち悪かった』。
花井先輩のあそこまでの直接的で強烈なアピールが、須藤金紅の存在を思い出してしまう。触れてくる手を振り払いたくなる。けど逆上されて襲われるのではと怖くてできない。
「八雲も一緒に茶道部に入らない?」
孤独だった私にも友達ができた。
名前はサラ・アディエマス。校内に入り込んだ野犬に私が襲われているところを助けてもらった。とても勇敢で、とても優しい子。その友達からのお誘いは嬉しかったが、私のせいで迷惑を掛けるのは心苦しい。
「花井先輩は茶道部には近づかないって!」
茶道部には花井先輩が苦手する人が二人いて、茶道部のある旧校舎にも近づかないらしい。
高野晶と播磨拳児、高野晶は姉さんの友達で知っている。相当な悪戯好きで花井先輩はよく被害にあっているらしい。
播磨拳児という名前だけは私も知っている。
【矢上の帝王】と呼ばれている札付きの不良。クラスで男子達がよく噂しているのを聞いた事がある。
不良生徒、一般生徒、教師までもが恐れる2年生の先輩。播磨先輩は入学当初から、ゴーグル付きのフードで顔を隠し、ズボンも迷彩柄のカーゴパンツと校則無視の私服で登校していて、更に学校の正門前に他の生徒の進路を遮るように改造バイクを駐車している。不用意に目を合わせただけで殺られるとまで言われる程、凶暴で容赦がない男と噂されている。
去年、そんな好き勝手やっている播磨先輩に腹を据えかねた花井先輩が勝負を持ち掛けたのだ。
「君を負かして更正させてやる!!!」
結果は・・・花井先輩の惨敗。
「武道家・・・が・・・喧嘩屋に・・・負けるわけ・・・には・・・いかないんだあああ!!!」
「うるせえぞ、雑魚野郎・・・とっとと死ね」
全校生徒が期待して見守る中、一方的にボコボコにされたらしい。花井先輩と同門である周防先輩が、花井先輩を痛め付ける播磨先輩の間に割って入りなんとか止めたが、花井春樹は全治二週間以上の重傷を負った。
花井先輩は『打倒播磨!!』を掲げ猛特訓中らしい。
話だけを聞くなら須藤金紅どころではないが、サラが補足してくれた。
播磨先輩はサラのバイト先の中華飯店によくラーメンを食べに来るらしく、播磨先輩は店長よりサラが作るラーメンの方が美味しいと評価しており、サラがシフトに入っている時は指名してくるそうだ。見た目は怖いが話してみると動物好きでとても優しい人らしい。
私はサラと共に、放課後茶道部の部室を訪れたが・・・その日は顧問の刑部先生と部長の高野先輩は不在で大きな男の人が一人でソファーで気持ち良さそうにぐうすかいびきをかいて寝ていおり、男の人のお腹には以前野犬から助けた黒猫が丸まって寝ていた。
まるで休日のお父さんを思い浮かばせる播磨先輩の寝姿だった。
塚本八雲(ステータス)
【原作】→【本作】
身長:166cm→変化無し
好きなもの:姉→播磨>姉
苦手なもの:犬→播磨以外の男性
好きな場所:陽のあたる縁側→播磨の隣
特技:料理と姉の世話→変化無し
困っていること:いつでもどこでもよく寝てしまう→播磨とのコスプレHにハマる。
備考:自分に好意を持つ人間の心が視える。原作では小学生だが本作は中学生時に覚醒。
額の傷を隠すため前髪が少し原作より伸ばしてる。