第四特異点って、やたらキャスター多いですよね
3/6追記 モードレッド追跡を静謐からナーサリーに修正しました
「なるほどね。モードレッドが不機嫌な訳だ」
『アサシンには逃げられたけど、パラケルススが廃神になった直後に倒せたのはよかった。
それにしても、ボクとしては、こんな死の街を作っておいて、クラスがルーラーなのが納得いかないよ。メフィストの発言と一致するし、エネミーの対立の説明もつくけども』
「ジキル!巡回行ってくるからな!」
「おい、待て。どうせ出かけるなら俺をロンドン塔に連れて行け」
その言葉に返答することなく、モードレッドは出ていった。
「行ってしまいましたね、一人で大丈夫でしょうか」
「はーとのじょおうさまは怒りっぽいから、うさぎさんは大変ね。おいかけっこの鬼ははじめてだわ」
「よろしく頼む」
返事をすると、ナーサリーライムは本になって、ふわふわ飛んでいった。
「仕方がない。さっさと行くぞ、カルデアのマスター」
「作家の方のキャスター、石神さんたちは戻ってきたばかりなのだし、少し休ませてあげたほうが良いと思うよ」
「あの、アンデルセンさんは霧を吸っても大丈夫なんですか?」
「何を言っている。ここに来るときも何とも無かっただろう。読者の妄想を一身に体現する霊基だが今回は感謝してやったほうがいいか?いや、いらんな。俺にやけつく喉など的確すぎる。
つまりだ。童話作家がヤク中だと思う読者は居ないから、気にするな。大体、夢を見せる側が夢に溺れてどうする」
「えっと、それで良いのでしょうか」
「スキルの影響については不明だが、現実主義者なら掛かりにくくはあるだろう」
ジキルのお陰で、数時間休憩することになったので、
私は、出掛けているモードレッドのお気に入りの席に座ってみた。
「先輩、私はお茶を入れてきますね。先輩はそのまま休んでいてください」
マシュがキッチンに向かったが、私はマシュの言葉に甘えて、深く腰掛ける。
あのモードレッドが気に入っていただけはあって座り心地がよく、身体と一緒に意識まで沈んでいった。
ーー霧の中、新たなサーヴァントが現れる
「サーヴァント、キャスター!
む......、誰も居ませんな?観客も役者も無しとは、私に無音を観劇にしろとでも言うのだろうかっ。いえ、あれは一作存在するだけで充分。
まあ、出歩けば誰かしら居るでしょう。
しかし、見晴らしが悪いことこの上ないですな!」
ーーロンドン五人目のキャスターは、霧の中を当てもなく歩きだした
霧に似合わない爽やかな香りに私は目を覚ます。
「起こしてしまいましたか?」
「いや、寝るつもりは無かったから気にしないでくれ」
『ちょっといいかな。二人に聞きたいのだけど、特異点マスターにいるロンドン塔にアンデルセンを連れていくのかい?自己申告では最弱サーヴァントらしいけど』
荷物を持って現れたアンデルセンを交えて、話し合った結果、ジキルまで来ることになった。
「なあ、アンデルセン。気になったことと言うのは何だ?」
「どうせ調べたあとに説明することになる。後で聞いてくれ」
「先輩っ、声が聞こえますっ。えっと、執筆?」
「なんだ、締め切りなぞ聞いていないぞ。まったく編集というやつはこちらの事情を考えろ。書き上がった時が締め切りで良いだろう」
「いえ、それはどうかと思います。そうではなく、声が聞こえるんです」
『なんか、負けっぱなしだけど、確かにマシュのいう方向に生体反応があるよ』
「どうしましょうか、先輩」
「おい待て。俺は最弱サーヴァントだぞ。
わざわざお荷物の居るときに危険に近づくな」
「敵だった場合、放置した方が危険だ。警戒しつつ、近づこう」
マシュの指した方向に向かうと私の耳にも届くほど声が近くなり、ほどなくして人影が映る。
様子を見るために私が足を止めると、向こうも気がついたのか、足音と共に霧の中から派手な男が現れた。
「良いというのは悪いことだ、悪いことはよいことだ。さあこの靄がかったひどい空を飛んでいこう!
おや、ごきげんよう。良い霧の日ですな。
なんとも創作意欲が湧いて仕方がない!」
『今のはシェイクスピアの言っていた言葉だね。本人ならサーヴァントの可能性が高そうだ』
「我輩をご存知とは!ファンですかな?いや、今はパトロンも欲しいところ!両方でも構いませんぞ」
「貴方はサーヴァントでしょうか?私はカルデアのマスター、石神静乃。人理修復のため、協力して貰えないだろうか」
『待った。彼はこの霧の中にいつから居るんだ。シェイクスピアにーー』
「ほう、カルデアのマスター!焼却された人理の最後の希望!
このキャスター、喜んで協力させていただくともっ、是非とも一作書かせて欲しい!
傑作が書けそうだ、いや、もう完成していたな。最高傑作だ」
「キャスター?どうした」
『阿片に耐性を持つような逸話や影響があるとは思えないんだけど』
「おい、だから嫌だったんだ!構えろっ」
虚空に視線をさ迷わせるシェイクスピアの持つペンが、霧の中で踊る。
産み出される文字は霧に黒く滲んで、壮大な影絵に変化していく。
シェイクスピアの姿は見えなくなり、大袈裟な声だけが響く。
「こちらに来てから、インスピレーションが刺激されて仕方がなく、筆が物語に遅れるところでしたが、何本でも同時に執筆できるとは素晴らしい!
さて、今後のことなど
「先輩......!?」
「なんだこれはっ」
私の魔術礼装が黒いドレスに変わっていた。
そして、私の目の前にスーツ姿のシャドウサーヴァントが並んでおり、招くように手を差し出している。
「マスターっ!」
叫んだ四四八さんの横にはドレス姿のシャドウサーヴァントが居る。
四四八さんは、ドレスのシャドウサーヴァントを殴り倒し、走って私とスーツのサーヴァントの間に割り込んでくれた。
そこにシェイクスピアの声が響く。
ーーああ、なんということだろうか
ーー英雄は将来を誓った
ーー魔女の
ーー英雄と戦友を知る周囲は騒然とし、程なくして騎士達が雪崩れ込む!
その言葉をなぞるように新たに数十体のシャドウサーヴァントが現れた。
だというのに、この場には四四八さんしか居なくなっている。
「マスター、周りは見えているか?」
「四四八さん?今、大量のシャドウサーヴァントが!」
「方向を指示してくれ、彼の宝具なのか、マスター以外見えない代わりに力が増しているようだ」
「任せてくれ」
私は武器を構え、シャドウサーヴァントの攻撃を受け流しながら四四八さんに指示を出す。
シャドウサーヴァントは普段より弱いが、数と四四八さんの視界制限が厄介だ。
だが、相棒になったようで気分が高揚してしまう。
しばらく、戦っていると急に視界が元の霧に戻る。
「お客人!劇が気に入らないからといって、脚本家に当たるのはマナー違反ですぞ」
「黙れ、作家失格。この俺に捻りのない弱小同士の貧弱な殴り合いなどさせるな」
「ハンス・アンデルセン、貴方もまた作家なら分かるでしょう!作家にとって、創作意欲に勝るものなどないとっ」
「『今望んでいるものを手にして、何の得があろうか。
それは夢、瞬間の出来事、泡のように消えてしまう束の間の喜びでしかない』、そう言ったのはお前だろう、シェイクスピア」
何が起こっているのか分からないが、アンデルセンがシェイクスピアを倒してくれたおかげで、解放されたらしい。
しかも、シェイクスピアは何かに気づかされたようなこえをあげている。
「いやはや、まったく持ってその通りだ。消える直前で気がつくとは何とも勿体無い。惜しいですな、貴方とはゆっくり語らってみたかった!」
その言葉を最後にシェイクスピアは還っていった。
次回2/28 0:00
芸術家と万仙陣は相性よさそうだな(゚∀。)y─┛~~