前回、投稿日間違えてずれてましたね。
「ようやく帰って来れたな、マシュ」
「やっぱり、カルデアに帰ってくるとホッとしますね、先輩」
部屋で出迎えてくれた中に、Dr.ロマニの姿はなかった。
あのとき相当ショックだったようだが、まだへこんでいるのだろうか。
「おかえり、2人とも。無事でよかった。柊四四八もこれからよろしくね。ゆっくり休んで欲しいところだけど、ルーラー討伐後におき――――」
出迎えてくれたダヴィンチちゃんの言葉が途中で止まる。
「どうかしましたか?」
「石神ちゃん、マシュ......。ロンドンから誰か連れてきてるかい?」
「いえ。皆、座に還るのを見届けましたはずですが」
「先輩、緋衣南天さんだけ見てないです」
「だが、彼女が居なくなったのは、ソロモンが現れるよりも前だ。一体誰がレイシフトなんて......。
まさか――ソロモン!?」
そういって、私は視線を辿るように後ろを振り返って固まった。
「総員、警戒態勢!サーヴァントは――」
慌ただしく全員が緊急時の配置に移動する。
「ん、なんだなんだ、そんなに俺が待ち遠しかったのか?愛い愛い、そんなに見つめてくれるな、照れるだろう」
そこに現れたのは
ソロモンではなかったことに気が抜けそうになるが、十分警戒すべき相手だ。
「サーヴァントーッ!早くー!!特にアヴェンジャーとバーサーカー!!いや、出来ればアヴェンジャーで頼むよっ」
ダヴィンチちゃんは慌てつつも、杖を構える。
非戦闘員のスタッフたちは、そっと機材や机の影に隠れた。
「どうした、なんだ怒っているのか?ほら、抱きしめてやるから、笑ってくれよ。悲しいだろう」
「
私は
「お前が居るのだから、俺も居るのは当然だろう」
「何をしにした」
言葉は通じているのに話が通じない奴を相手に、応援が来るまでの時間稼ぎを試みる。
「心配するな、俺がお前たちを羽化登仙を手伝ってやろう。人類は救ってやらねばならんものなあ」
相変わらずの意味不明な言動で何をするつもりか、まるで分からない。分かる方がおかしいだろうが、本陣に乗り込まれてしまっている以上、今だけは奴の考えを知りたかった。
文字通りに捉えるなら戦力強化に来たのだろうが、人類を救う手段として阿片をばら撒く相手の言葉がそのままの意味とは到底思えない。
張り詰めた空気と澱んだ空気の入り混じる中、視界の外から勢いよく扉の開く音が響く。
「急患はここですか!」
入ってきたのは、バーサーカーのナイチンゲールさんだった。
「そういえば、ここの直ぐそばに救護室があったな」
彼女はスタスタと
「ナイチンゲールさん!危険ですっ」
ナイチンゲールさんは、制止も聞かずに
「こうしてると、病人に見えるな」
「まあ実際、阿片中毒者ではあるらしいし、患者ではあるのか?」
「重度の薬物中毒の疑いがあります。精密検査後、結果が出るまで病室で安静にしてもらいます」
そういって、要介護者のように背負って、出て行った。
「はっ、余りにも自然だったので、受け入れてしまいましたが良かったのでしょうか」
「なぜか抵抗はしてなかったみたいけど、大丈夫なんだろうか」
「ナースにあんなことされてみたいけど、ナイチンゲール女史だけは辞退したい」
物陰からそんな声がするが、人の事を言えないので、気づかなかったことにする。
入れ違いで駆けつけてくれた十数人のサーヴァントたちに成り行きを話し、アサシンの方のエミヤ、メディアリリィ、ルーラーマルタさんの3人が面会をとりつけることになった。
「面会......ですか」
「確保しに行ったら、ナイチンゲール女史に追い出されたからね。目的はどうあれ名目は合わせてあげた方が、スムーズだよ」
救護室の前で結果を待っていると普段通りのメディアリリィと、疲れた顔のエミヤさん、マルタさんが出てきた。
「マスター、終わったわよー。正直荒くれ時代のタラスクの方がまだ話が通じるわ......。殴ってもヘラヘラしてるし」
「殴った、え、ええ?」
「それで我々まで追い出されただろうが。まあ、最低限のことは訊きだせたが。リリィが」
「マスターさん!特異点にいたほどのことはできないけれど、人理修復を手伝ってくれるそうですっ。ちゃんとマスターのおねがいも聞いてくださると約束してくれたので安心してくださいっ」
一応、カルデアのサーヴァントに成りに来た、ということらしい。
おねがいを聞くと言っても、まともにあいつの脳にまで言葉が届かないので安心できないのだが、メディアリリィは満面の笑みだ。
エミヤは問診を記録に残すようにナイチンゲールに依頼してくれたらしいので、そちらでもう少し詳しいことが判るといいのだが。
数日後、結局、問診でもリリィの言ったような結果だった上に、酩酊は体質によるものだったということで、要観察という診断結果で
今は、カルデアサーヴァントの良識人たちが交代で監視しているが、勝手に空き部屋を占拠して住みついている以外に特に動きは無いようだ。
「ところで侵入サーヴァント騒ぎで預かり損ねていたのだけど、2人とも、聖杯は?」
「えっと、緋衣南天さんに渡した後......。返してもらいましたか、先輩?」
「いや、柊四四八さんの再召喚で使い切ったのではないのか?」
「おかしいな。あれだけの規模のことが起こせるなら、一騎増えたぐらいで無くならないはずなんだけど。特異点は消失しているようだし、計測ミスかな?」
それから、しばらくしてロンドンで消費したリソースが回復してきたので、10騎のサーヴァントを追加で招くことにした。
召喚を始めて折り返しまできたが、全てマナプリズムに分解されてしまった。
「なかなか新たな協力者が現れませんね」
「Dr.ロマニが言うには私の属性に偏っているらしい」
「あっ......、忘れていました。そろそろ、ドクターの様子を見に行った方が良いのでは?」
「あー、そうだったな。この後、慰めに行くか」
そうやって、マシュと話しながら、召喚陣を眺めていると、10騎目で金色に輝く。
そこに現れたのは。
「――まったく、喚ぶのが遅いのよ。サーヴァント、キャスター。緋衣南天。もう一度、私が上手く使ってあげるわ」
「緋衣、南天さん?よかった、また会えて。あのときはありがとうございました。お礼を言いたかったのですが、見当たらなくて」
「悪いけど、まず、締め上げなきゃいけない奴が居るのよ。こっちに来たんでしょう。ねえ、
そういう緋衣南天さんの後ろでまだ召喚陣が白く光って回転していた。
「――えっと。サーヴァント、キャスター。世良信明だ。大したことはできないが、僕を英霊まで引き上げてくれた南天のためにも頑張らせてくれ」
「どうして、11騎目が?」
「それは僕を南天が引っ張ってきてくれたからじゃないかな。
僕は彼女が健康でいてくれるならそれで良かったんだけど、僕の最初の夢を覚えてくれていたみたいで――」
「信明くん!あいつの居場所を聞き出したから行くわよ」
遮るように緋衣南天が世良信明を呼んだ。
「南天、いいじゃないか。元々、カルデアから借りたんだろう」
「借りたんじゃないわよ。私の物に決まっているでしょう」
そう気安そうに言い合いながら、彼女たちは部屋を出て行った。
「マシュ、私はマスターだよな?」
「先輩っ!?」
「いや、あんな感じのサーヴァントは今までも居たんだ。今は問題サーヴァント同士の接触を止めよう。マシュ、四四八さんを探してきてくれ。私は最悪令呪で止める」
「はいっ!」
追いかけた先では、珍しく出歩いていた
「なんだ、わざわざ、礼を言いにここまで追いかけてきたのか?愛
い愛い。夢は叶ったか?」
「あんたの所為で台無しよ。私の聖杯、どうやってレイシフトに使ったのよ。おかげでリソースが足りなかったんだけど」
「よせよせ、そう褒めるな」
「褒めてないわよ!返しなさい」
「先輩っ!」
そこに元々の目的地の
「ああ、なるほど。事情は察した。静乃とマシュは戻っていいぞ。俺が見ておこう」
「えっ。四四八さんがそう言うのなら、お任せします」
「後でダヴィンチ指令室に行って説明しよう」
「よろしくお願いします」
こうして、ロンドン関係者が増えていったカルデアだが、彼女らだけでは終わらなかった。
「おかあさん!」
「愛い愛い、抱きしめてやろう」
召喚されたジャックが腹を切り裂きながら、
「あら?ありすを知ってる人なのかしら?不思議だわ」
召喚陣から本が出てきたと思ったらナーサリーライムだったり。
色々あったが、なんだかんだカルデアは付かぬ間の日常へと戻っていった。
その後、第一のカルデアサーヴァント、盲打ちがやらかして紆余曲折のうち人類史は救われた。
ついでにAチームも生存していた。
ご愛読、ありがとうございました。
明日0時にR15に新作投稿予定です