「......ようやくか。待ちくたびれたぞ馬鹿ども」
漸く辿り着いたそこには、ロッキングチェアで虚空を見上げる老人と本に埋もれながら読書する青髪の少年がいた。
「言っておくが、古書店の老主人は俺が来たときにはこの状態だ。俺の所為ではないぞ、なんせ扉も窓も開けてないからな」
「私たちは魔本を探しに来たのですが、見かけませんでしたか」
「あれなら、数分前に老主人をつついて出ていったぞ」
「先輩!まだ近くにいるかもしれません、探しましょう」
「おい待て、俺も連れていけ。ただの屋内より、正気を保っている奴のいる外の方がマシだ。
ああ、でも、この外より霧の濃い場所は寄るな。どうなるかわからん、これでもファンの影響を受ける程度には感受性が豊かでな」
「おい、置いていこうぜ。役に立ちそうもねぇし」
「俺を置いていくと月の裏まで後悔するぞ。味方にするには頼りないが、敵に回すと厄介だぞ」
「ご家族がこんなことになってしまっているんですし、せめて避難所に連れていって差し上げませんか」
「よし、話は決まったな、行くぞ」
「おい、待てガキ。仕切るな、連れていくとも言ってねぇぞ」
「ガキではない、ハンス・アンデルセンだ。こんなナリだが成人している」
「ハンス・アンデルセン?童話作家と同じ名前なんですね 老主人がつけたんでしょうか」
「馬鹿者、こんなおところでピンピンしている子供などサーヴァントに決まっているだろう。ああ、戦力としては数えるな、俺は弱いぞ」
そういって、彼はスタスタと古書店を出ていく。
モードレッドがアンデルセンに訊く。
「で、偉そうに仕切ってるお前。どう探すつもりだ。闇雲に当たればかえって被害が広がるぞ」
「なんだ、お前たち。霧と魔本が同一勢力だとでも思っているのか。会えば分かる、来たようだぞ。流石はカルデアのマスター、覿面の釣り餌だな」
「先輩っ」
ふらふらと光に釣られる虫のように、魔本が私に近づいてくる。
マシュとモードレッドが迎撃するものの、当たっている手応えはあるのに倒れない。
「おい。人類最後のマスター様を餌にしたってことは対抗策はあるんだろうな?」
「まあ、そう急くな。お前は本を結末から読むタイプか?
よくみろ、こいつは襲っている訳ではなさそうだぞ。まあ、倒せないのは、こいつ自身が固有結界になっているからだろうな。やはりはぐれサーヴァントとみて良さそうだ」
「それでは、私たちはどうすれば良いんですかっ?」
そう言われると、アンデルセンは持っていたペン先を魔本に向けて、宣言する。
「やれやれ。お前に名前をやる。ナーサリーライム、さっさとこの女と契約しろ」
「なっ。予想してたなら、先に言ってくれっ。盲打ちではあるまいし」
驚きつつも手が足りないのは確かなので、可愛らしい少女に姿を変えた魔本と仮契約を結ぶ。
「ナーサリーライム?私はありすよ」
「それで、何故、重症の市民達を気絶させていた」
「だって、きえちゃうんだもの。霧はみんなをお話に変えちゃうの。どきどきのない物語なんて、退屈じゃないのかしら」
「え、えっとありすさん......」
『よし、アンデルセン。もうちょっと大人の姿に変えてくれ』
「別に俺は姿まで与えてないぞ。大方この姿がありすとやらなんだろう」
「ねえ、だれも私を読んでくれなくなっちゃうのかしら?お手伝いするから、みんなを起こしてちょうだい」
「もちろんだ」
「あー、魔本は解決したし、戻んぞ」
ジキルさんの元に戻ると、モードレッドは言った。
「お前らは休んでろ。俺はちょっとジキルとナーサリーライムに話がある」
「待て、俺も混ぜろ。ああ、カルデアのマスターには確信できれば、教えてやる」
「何か有ったのか?私もっ」
「おい四四八、マスター連れてってくれ」
そう頼まれた四四八にベッドに運ばれて、私は大人しく寝ることにした。
ーー痴れた音色を聴かせてくれ
私の隣に何かの機械がある
一人の男が私に手の甲を向けて、怒っている
お前はどうしてそう、怒っているんだ
笑ってくれよ、おまえたち
世界が燃え尽きるとしても、俺がおまえたちを救ってやろう
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キャスター「ああ、そう。いかにも善良って、綺麗事言ってるけど、あんたは