カルデア甘やかしライフ、射精するだけで誉められたい 作:37級犬築士
プロローグ
最近、先輩の様子がおかしい。
おかしいとはいっても、それは具体的に何か変わってるとか、症状に言い表せるような、問題として上げるにはなんとも主観的で、ようは私の一方的な心配だ。
人に言えば、きっとそれは思いすぎだと、単に私が先輩に対して思いに更けていると揶揄されるのがオチだろう。他人から見れば特に何もない。
ただ、それでも引っ掛かるのだ。
私には、マシュ・キリエライトには、あの人が
「…………たい」
「!」
……あぁ、まただ
カルデアの廊下で、少し後ろを歩く先輩がボソッと呟いた言葉。しかし、その最後だけがわずかに聞き取れた。
しかし、その口の動き、繰り返す口癖のような独り言、故に私には聞き逃せない。
「…………あの、先輩」
恐る恐る、問いただす。それが正しいかはさておき、マシュにはその言葉を確かめなくてはならなかった。
「今、何か独り言を」
言わなかったかと、どこか引き気味に質問を問うてみる。
「?……独り言、俺が」
「はい。確かに、今さっき、何かをしたいと…………全部は聞き取れなかったので、その」
言葉を伸ばしながら、私は先輩を観察する。確かに聞いたその言葉の裏に、この人は何を隠しているのか。見えない傷か、重荷か、自分から見る先輩が言うその言葉に、私は安穏と聞き流せるほど無理解にはなれない。
「……独り言、言ったかな?」
「覚えは、無いのですか?」
「うん、ごめん、なにか気に障ることでも言ったかな。だったら、謝るよ」
「い、いえ!そんな先輩があやまることなんて…………」
違う、そうじゃない。
先輩の口から聞けなくて、少し落胆した。
なら、もう直接聞くしかない。
「…………」
覚悟を決める。長く寄り添った身だから、このままにはしておけない。
聞こう、そしてできるなら、私は後輩として
……支える。私にできる限り、先輩を
「あの、先輩!」
「!?…………う、うん。何かな、マシュ」
「先輩は、その……」
「…その?」
一呼吸を置き、マシュは叫ぶように言葉を発した。
「先輩は、どうして…………甘えたいと、独り言をいうのですか!?」
「!」
「もし、何か思いに苦しんでいるのなら、私が「ストップ、ストップストップ!!」…………ッ!」
遮るように、先輩こと主人公はマシュの声を遮る。
「あの、ごめん、それ違う」
「………でも、最近の先輩は特に、昨日は五回、今日もさっきので八回も」
「!…………数えていたんだ」
「!?」
急にマシュの顔が真っ赤に染まる。ナスが熟してトマトになるような、何をいってるかわからない例えが出てしまった。
「ですから、あぁ…………とにかく、何もない、のですか?」
「…………うん。そうだね」
マシュの献身的な観察にマシュも主人公も共に顔を赤くする。先に行動したのは
「……うん。とにかく、見てくれていたんだ。でも、そんなに心配することはないよ。」
「はぁ…………え、でも」
「大丈夫だから、うん。ほら、早くいこう、訓練に遅れるよ」
そう言い、早足でマシュに促すように進み出す。
「…………」
………今のは、誤魔化し?……それとも
結局、それ以上の追求は出来ず、その後二人の関係に変化はなく一日は過ぎる
⚪
…………危なかった。
まさか、口に出ていたとは、危うくばれるところだった。
部屋に一人、彼はマシュの疑惑から逃れ、そして今無事に本懐を成し遂げようとしている。
「…………ふぅ」
意味深な深い呼吸。
今日も変わらず何事もなく、一日の終わりを痛感する。
「…………」
手に持つのはタブレット型の端末、写し出す映像は二人の男女
義母と息子、禁断の関係を甘く描いた作品である。
「まぁ、言えないよね、こんな趣味」
確かに、マシュは彼の変化を見抜いていた。
しかし、現実は少し違う。マシュが思い描いたような背景はなく、それは単に彼女の想い人がそういう人だったということだ。
「はぁ…………」
つい、疲れがたまっていて、そのせいであっちの疲れも溜まっていた。だから、ついその言葉が漏れていた。自分にとって、最も重要な性癖の要素であるから。
……誰かに甘えたい。
気がつけば、そんな言葉をいつも浮かべていた。
周りのサーヴァントの中には自分をそういう風に扱う人は少なくない。建前から、つい遠慮したり、照れ恥ずかしがったり、受け流すようにしているけど、本当はそんなことはしたくない。
あぁ、そうだ。情けない願いだけど、俺はきっとそうしたいんだ。
願いはいつだってシンプルだ。俺は誰かに甘えたいんだ。
「…………まあ、でも」
それができるなら苦労はしない。都合のいいことは無いのだ。
だから、これは外にもちだすものじゃない。内に秘めた、ただの性癖だ。
「部屋の片付けでもするか」
考えを切り替える。これ以上、実らない議論を一人浮かべていてもどうしようもない。そんなのはトイレで一人晴らせばいいのだから。
「…………よし、素材はここに。あとは」
思考は切り替え、既に頭は掃除のことで切り替わっている。
引き出しを開け、聖晶石や伝承結晶の在庫を確認しようとした、その時
「…………あれ」
引き開けた引き出し。そこに整理されたいくつもの中に、とりわけ厳重に保管されているもの
金色の杯、そう聖杯だ。
占めて2ダースほど、だが違和感は消えない。そして、その答えにはすぐたどり着ける。
…………数え間違えかな?……まえ、どれだけ使ったっけ?
「一つ…………足りない?」
以上がプロローグです。
聖杯の効果で主人公にエッチイベントが発生します。そういう建前になります。