カルデア甘やかしライフ、射精するだけで誉められたい 作:37級犬築士
後輩ヒロインに甘えたい、そんな願い
夕食を済まし、入浴を終えて部屋に戻る。いつもなら談話室に使う食堂か、もしくは娯楽室に行くなりして過ぎていく夜の楽しい時間を惜しむ頃合い。
健康的といえば聞こえばいいが、この時間にもう一人部屋に戻るなんて味気の無いったらありはしない。でも、今この部屋にて待たないといけないのは、ひとえに約束故
「……まだ」
来ない、そう思う今はちょうど時刻の短針が12時を示している。
結局約束とは何なのか、俺はいったい誰を待っているのか、わからないまま時間が経つ。いっそ寝てしまえばいいかとも思ったけど、どのみちそれも出来ないから、諦める
「伊吹さん……」
愚痴るように溢してしまう名前、だけど相手は伊吹さんではない
〇
少しだけ時間をさかのぼる、今日の夕方のこと
眠れなくて困っている、そんな悩みを打ち明けた。
ここ三日、妙に眠れない夜が続いている。四日前は何もなかったのに、三日前から不思議と眠りが妨げられるのだ
疲れが原因、体調の不調か、それは無いと断言できる。日々は変わらず、ミッションや訓練、そしてプライベートのちょっとした蜜事、でも眠りに支障が出るとは思えない。
四日前を機に、いきなり起こった睡眠障害、眠りが浅くなって時には寝入るまで妙に時間がかかって望まない夜更かしをしてしまう
そんな、そんな悩みを今医療系のサーヴァントやダヴィンチちゃんに話すでもなく、訪れたのは伊吹童子のネームプレートが張られた居室へ
蛇に睨まれたならぬ、蛇に慈しまれた状況で、俺は相談をしている。
「……と、いうことでして」
つらつらと話はした。けど、緊張した面持ちになってしまうのは、やはりこの人の神々しさゆえか
「へえ……眠れない、眠れないのは良くないわ。あらあら、人間って眠らないと死んじゃうはずよね、それはいけないわ」
大変ねえと、いささか尺度の違いに異を唱えたくなる物言い。伊吹さんは顔に手をついて悩んでくれている反応を、空中に浮かんで逆さまのまま見せてくれる。
「いけないわ、マスターが死んじゃうのはとっても嫌なことね……嫌、嫌だわぁ、本当に嫌よ」
ぷかぷかゆらり、そしてくるくると宙を動きながら頭を抱えている。
そんな伊吹さんのいるここは当然宇宙ステーションの中でもなければ重力仕様の無い電脳空間と言う訳でもない。ただ、俺の目のまえにいるこのお方だけが自由にプカプカと浮いているだけだ
ここは、サーヴァント様にあてがわれた私室だから、伊吹童子さんの部屋は日本風で且つ雅な仕上がりで且つ横にも縦にも広々としているから、だから気のままにサイズを大きくしたまま自由にしているとこうなってしまう。
赤珊瑚と金で飾られた天上の間で、伊吹さんは伸び伸びと手足と尻尾を自由にくつろがせているからこその無重力姿
くつろいで適当に聞いているようにも見えなくもないが、ちゃんと真面目に集中しながら話を聞いてくれている。
「あの、目で追うのも疲れるので止まってください」
「……あらそう、ごめんなさいね」
ピタッと、慣性のままに動く体がその場で静止、くるっと回って俺の前に着席
クッションの置かれたキングサイズのベッドの上、俺のいる場所はそんな所。伊吹さんとの行為でも用いている場所だから、もう慣れてしまったベッドの上だ
……思い出しちゃった、まずい
行為、あの日経験した初体験からすぐ繰り返された蜜事、場所はどこでも、けどプライベートが保たれる私室で行うのは当然というべきか
ベッドのシーツの手触りは十分に知り尽くしている。押し倒されて、添い寝して、柔らかさと暖かさと一緒に知ってしまった伊吹さんのベッド
「そうねえ、大変なのねぇ…………ねえ、ちょっと聞くけど」
「!」
すらり、ぬらり、気が逸れた一瞬で伊吹さんは目の前から姿を消して
声の聞こえる方向は、真後ろから
「……これ、かしら?」
腕と横腹の隙間から伸びる手、それは俺の胸当たりに触れて、そのまま下へ降りて行って
「眠れない、それってやっぱり……これのせい、なのかしら?」
「……ぁ」
ゆらりすらり、空を漂い懐へニョロっと滑り込んで、脇腹から腕を回して指先が下半身をなぞる。
爪の尖った部分が、優しくいじらしく、半ば硬くなった先っぽを
「……あの、今は」
「あぁ、ごめんなさいね……でも、眠れないのってそういうことじゃないの。おちんちんがむらむらして、それで悶々しちゃって、だから眠れない」
「いや、それはちが……だって、ちゃんと抜いてもらってるから、伊吹さんも知ってるでしょうに」
「ええ、知ってるわよ。清少納言ちゃんにさっきおマンコで二回、口で三回してもらったわよね……匂い、残ってるから丸わかり」
「……ッ」
「図星で拗ねちゃう所も可愛いわ……よしよし、いいこいいこ」
いい子いい子、そう言いながら撫でる手は頭だけじゃなくてもう一つの頭、つまりは亀頭のあたりにも。
性事情を見抜かれるだけでも恥ずかしいのに、今そこをされては
「あの……今日は話を、しに」
「ええ、要らないの? おっぱいちゅうちゅうしながらお手でシコシコ」
「———―ッ!!」
〇
結局、悩み相談も出来なかった。ただ、情けなく声を出して可愛がられただけ
しかも、それが終わった後は
……さ、今日はもう遅いから早く部屋に戻ること。いい、鍵を開けて10時まで大人しくしなさい!
最後に妙な命令を残して、いったい何故か聞こうとしたら。草薙の太刀をバチバチ放電させながら、黒と赤に染まる目で高圧的に
有無を言わせず、結局今に至る
「……はぁ」
伊吹童子さん、異性のサーヴァントでいうならプロテアちゃんに次いで大きい存在。その上でどきどきさせる魔性の魅惑と肉感的な肢体、そして蠱惑的で且つ艶やかに男を捕食する性格とまで来た
関係をもって、やはりこの人はたまらなく魅力的だと痛感しているし、安眠を得たい悩みなんてすっと解決されてしまうことも理解している。正直、それを頼りにして悩み相談したのに
結局、俺はそうしたかったのかすらわからなくなってしまった。
一人眠るベッドが、清潔な匂いと熱がどこか味気なくかんじるようになったのは何故か。
毛布を固く握って、体を丸めて眠るのは寂しさをまぎわらすのは、いったい何故か
足りないもの、それは情けないことに解りきっている。人肌、それもとびっきりのぬくもりが欲しい。でも、それは伊吹さんやなぎ子さんの二人では何故ダメなのか
今日にしても昨日にしても、俺は二人と体を合わせている。タガが外れてしまった若さは、二人だけでは飽き足らないというのか
……なんだよ、それ
「自分で自分が嫌になる、男として情け無いよな」
自棄になった気持ち、ベッドに腰掛けた状態から背中を預けて天上を仰ぐ。
眠れない悩みは、自分のふがいなさと考えて、であれば無理にでも目を閉じて寝入ってしまえば
————コン
「?」
————コン—―コン
ノックの音、スライド式の機械戸なのに、インターホンは鳴らさず、ただ静かなノック音
そこに透き通る声を乗せて
『……先輩、いらっしゃいますか』
『起きていますか? もし、起きていらっしゃるのなら……』
「…………マシュ?」
綺麗な声、声の主が誰だか一瞬迷って、そして言いよどみを経てから名前が出た。
聞きなれているからこそ、今聞く音はどこか初めて聞くような新鮮さを帯びていた。夜の時間、訪れる後輩の声に背筋は伸びてしまう。
繰り返す確認のノック、夜更け故に小さい音、なのに俺はどたどたと足音を断たせてドアの前に、火事で非常ベルを鳴らすがごとく、痛いほどに指でコンソールを押して
「せんぱ……ぁ」
「……ッ」
間近で、距離にして20センチもない間合いが扉の開くことで生み出された。
驚いて後ずさり、けどマシュは逆に一歩踏み込んで
「!」
「あ、すみません………………その、あぁ、すみません」
二歩、俺よりも多く踏み込んでしまった故に、胸板に触れる手の平と、見上げるマシュの顔が驚くほどに近い。
20㎝なんて目じゃない、それこそ吐息が触れ合う距離感だ
……マシュが、近い
互いに固まる、突然のことで動揺しようにも今はもう遅い方の時刻。だから声を出すことがはばかれるのか、妙な沈黙が始まってしまった。
聞こえるのは、レトロなアナログ置時計が刻む針の音と、互いの息と、そして鼓動
魔力のパスが繋がっているからだろうか、大きく聞こえてくるなんてことまずは無いはずの心の音色、それが誇張されて大きく聞こえてしまう、ような気がする
「……先、輩」
「!」
せわしない沈黙の時、先に切り出して騒々しい音を断ち切ったのは、聞きなれたその呼び名
「先輩……先、輩…………うん、大丈夫です。問題、ないはず」
くりかえし、確かめるような独り言。うつむいたまま、少し逡巡してからまたこっちの顔を見上げて
「お時間、よろしいですか。私、マシュ・キリエライトは先輩に用があります」
「…………ッ」
いつも見慣れた後輩の、どこか意を決したような目の色
そしてそのすぐにルームの扉が自動でしまる。マイルームに二人きり、時刻は短針が12を少し右に逸れて指し示す刻
流されるまま、俺は後輩の手に押され誘導されるようにベッドに坐した。腰を据えて、気が少し落ち着いたその時
部屋の明かりが消えて、ベッドライトが明け色の光を照らす。操作のスイッチは、いつの間にかマシュの手に
「……マシュ、何を」
口を開いて、短く問うてみる。マシュは顔色を変えず、ただ真っ直ぐに俺を見ているまま
気づけば、俺はまたも天井を仰ぐ態勢で、けどさっきと違うのは味気無い証明ではなく息をのむほどに綺麗に魅せる後輩の上半身
押し倒されていることは理解した。ベッドライトに照らされる姿は、肌の美しさを妖艶に晒す
いつもの、ノースリーブの私服がやけに色っぽくて、肌に照らされる二の腕は肉感的で、そしてこちに迫るように存在感を示す膨らみは、嫌が応でも性欲で反応してしまう。
「マシュ……」
名を呼ぶ、優しい目で俺を見て、閉じた唇がほんの少し開かれた
「……先、輩」
か細く、しかし確かに聞こえる声、そして同時にその距離感がおかしい。
焦点がずれるのは、近づいているからだと理解するのは少し遅れた。判断の合間を縫って、マシュは不意打ちを放った
……くちゅ……ちゅ
「!!」
無防備に、反応に遅れてしまった代償は
「……先輩、せん、ぱいッ……ん、ァ」
…………チュ……ぬちゅ、くッ
理解を超えてなお踏み込み、こっちの心を乱して壊してくる。すでに知っているはずなのに、マシュから受け取るそれに俺は今までの経験全てが吹き飛んだ
マシュのキス、そう理解して、けどそこまで
意識のページは二度目で消えた。そこから先は何もない、真っ暗な感覚
× × ×
……ジリリリリ!
「!?」
覚める、意識の目覚めと同時に右手が何かを叩く。アラームの音が消えて、そして俺はバネ仕掛けの玩具の様にバっと体を起こした
覚めた意識、妙にさっぱりと思考が冴えわたっている。あまりにも奇妙なほどに
「……よく、眠れた?」
眠気は無い、朝のだるさなんてどこにも感じていない。ざぶざぶと、頭の中を洗ってしまったかのような爽快感。
四日前、いや今となっては五日前になるが、その日までは感じていたいつもの目覚めの間隔。
戸惑う思考、どうしてこれほどに快適な目覚めなのか考えているうちに、手元にわずかな感覚が
シーツに乗る異物感、手に掴んで手元に
目を凝らしてみるまでもなく、それは色の違いではっきりと判る
「……ッ」
それは長い頭髪、少なくとも自分の髪の気ではない長さ、そして色はピンク色
そんな髪、俺の知っている限りでは、うん数名いるけど、でも思い当たるのはたった一人に絞れてしまう。
昨日のこと、消えきっていない記憶、改めて俺は
「……マシュ」
その名を呼ぶ、ずっと人理を守る旅路で寄り添ってくれた彼女が
今まで見せたこともない艶やかな色、彼女が異性であることを知らしめさせた衝撃の前夜
このままでは、きっといられない。伊吹さんがきっかけ、継続はなぎこさんから
……今度は、マシュと
予感はもはや確定事項なのだろうか、マシュは踏み込んできたのだから
関係を持ってしまうこと、男と女の関係へと踏み込んでしまえる度胸がすでにあるかと聞かれれば首を縦に振りたい心境。だけど、思うだけで万事がうまくいくならここで今戸惑ってなんかいない
勘違い、思い違いでは済ませられない。キスの楔は、今もこの唇に。
簡単には忘れられない、マシュの熱と色を俺はゼロの距離感で感じてしまったのだから
逃げられない。そして、逃がさないだろう。
感想・評価等あれば幸い
マシュの陰毛は悩みどころ、黒かピンクかパイパンか、皆違ってみんないい故に悩む