カルデア甘やかしライフ、射精するだけで誉められたい 作:37級犬築士
伊吹お姉さんと色々して、童貞を卒業した俺は以前とかわりなく、普段と同じ生活を続けている。
……したくなったらいつでも言ってね。お姉さん、エッチなお願いならオールウェルカム!
気前よく、あの神様はそう言ってのけた。未成年の童貞になんてことを言うんだと内心つっこむ。ただまあ、正直ありがたいし拒む理由はないし、時たまにお願いしてしまってたりする。というかもう童貞じゃないんだった。
「…………まあ、でも」
………童貞を卒業したからって、何が変わるものでもないなぁ、性欲は若干増した気がするけど。
周回も終わり、書類提出も終わって、することもないからベッドに大の字で寝転ぶ。
特異点、ぐだぐだ、異分帯、事件がない間はどうしても気は緩むし、退屈を感じてしまうのは仕方ない。
「…………」
退屈になる。空調の音がむなしく響いていると、自然に頭は物思いに耽ってしまう。
今の自分にとって、もっとも鮮烈な記憶
経験豊富なお姉さんに絞られ、吸われ、そして絞られ、溶かされるままに甘やかされる、そんな体験、忘れるはずがなく、過去の一出来事としてカウントするにはあまりにも大きすぎる。
「…………む」
ムラムラを自覚する。脱童貞を果たしてもこの一連の作業だけは変わらない。
気分を変え、立ち上がりトイレに向かおうとした、そのときだった。
………ドンドン!
「ちゃんマス!」
「?」
活気があってよくとおる声、何よりも自分に対するその特徴的な呼称
「…………」
なおも扉をノックする音、急かされて足取りを早く扉の前に向かい解錠スイッチのパットに触れる
「!?」
戸が開く瞬間、開ききる前に空いた隙間から彼女は入り、勢いそのままに俺のもとに駆け寄る。
よろよろと後ろ足をとられ、そのまま体はベッドの方へ押され
……ボフンッ!
「……ッ!」
気がつけば、視界に映るのは知らない天井、と言うわけではないがこの光景はどうしても連想してしまう。
それた思考を修正し、今はこの人にフォーカスを戻すべきだ。今、俺をベッドに押し倒している彼女に、その正体はもちろん
「ちゃんます!マジお願い!!」
クラス、アーチャー、真名を清少納言、つい一年前にこのカルデアに来た美少女だ。
「…………」
行きなり部屋に押し掛けられて、自分よりも少し背の低い女性に押し倒される。まるで一方的な告白でも起こるのか、そんな予感が感じなくもない。いや、やっぱりない。彼女はもちろんまともな神経でことに及んでなんかいない。
万年パーリーな思考回路なこの人だ、どうせ物事をオーバーにしているに決まっている。
「あの、なぎこさん。話は聞きますけど、とりあえず退いてください。この態勢、絶対誤解招きますから」
焼死、感電死、毒死、なんともバラエティー豊かなリスクバランスだ。
「あぁ、めんごね。でも、あたしちゃん的にはちょっとマジやばのやばたにえんなんよ!こんなの、ちゃんマスにしか言えないし…………」
言えない、それは今この人の頬を染めていることと関係があるのだろうか?
しかし、今日は特に、まあいつものことだが諾子さんこと清少納言は大変パリピでキラキラなお方だ。思考と行動が直結しているような彼女の強引さに、今更驚くことは無い。
だから、その顔に浮かぶ薄紅のような感情、それだけが奇怪だ。
「……聞きますから、取り合えずどいてくれませんか?」
「それは無理、逃げられると困る。」
「……はぁ」
「ちゃんマスには悪いけど、あたしには卍なの」
肝心な部分を万能ワードにされると何も伝わらない。
両肩を掴まれ、ベッドに押しとどめられている。筋力EとはいえJK姿の少女に負けているさまはいかがなものだろうか。くろひーならご褒美だと、いやあの人諾子さん避けてたっけ?
とにかく、どくつもりは無いらしいなら、このまま話を聞くしかない。
「……」
隙間から覗くと、なんともかわいらしいライトブルーの下着が見えなくもない。というかこの人、普通におっぱい大きい方だし
(役得、なのかな……そう思っておこう)
人理を救う主人公はポジティブであった。
「あのさ、あたしちゃんマスにお願いがあって、他の人には頼めないからさ、それに、恥ずかしいし」
「…恥ずかしい?」
「うん、まあ……頼みって言うのはさ……見せて欲しい、的な?」
「?」
見たいもの、彼女にはなくて俺にはある物、流行りに生きるJKスタイルなこの人のことだから、棚にしまってある漫画やゲームか、それとも
「……エロ本」
「……エロ本?」
棚の奥深くに隠してある18金の書籍、なわけが無いと思いたい。……いや、今なんて言った?
「あと、AVってのと……薄い本」
「??」
理解が追い付かない。
少なくとも、自分の知る限りこの人はそんなキャラじゃない。というか、教育上よろしくない。犯人は歩く性感帯ことキアラさんか、最近よく一緒になってるリンボか、容疑者候補はすぐに思いつく程度には上がる。だが果たしてそそのかされたからってこんな愚行に及ぶはずが
「……あの、一応聞くけど、意味わかってるの?」
「うん、エッチな本と、エッチな映像と、エッチな薄い本。最初と最後の違いはよく分からないけど」
「……」
うん、おおむねあってる。確信犯だ。
「あの……急にまたどうして」
まさか発情したからとか、そんな単純な理由なわけがあるまい
「いやぁ、なんか最近発情してて」
「……」
「いやごめん今の嘘!さすがにないわ、ちょっとはずかったから……ちょい、マジでひくなし!!」
「…いや、話す気ないならもう降りてくれませんか?…それに、理由きいても俺見せるなんて限らないし」
大前提だが、いきなり見せろと言われて見せられるものじゃない。ましてや、エッチなこととは程遠いなぎこさんになんて
「……そ、そうなの」
手の拘束が緩む。はい出るように上がり座りなおす。ベッドの上、二人向かい合って。なぎこさんも冷静になってかどこか気まずそうに
「……一応、事情だけは聴くよ。どうして、そうなったか」
「……だね。うん、話はね、ちょっと前に」
ホワンホワンホワンアケボノ~
× × ×
…かおるっちいる~
…!!
突然の乱入にあたふたする香子さん。執筆中の原稿を隠すように机に胸をかぶせる。
乾きかけのインクがにじむのも構いなく、彼女は不意の乱入で自身の執筆が暴かれるのを避けたい、そのことで思考はいっぱいだった。
…なになに、もしかして書いてる最中?…あちゃぁ、それじゃあ出直した方が良い可能性大?
…ほっ
…んっ?これって
…!?
山のように積まれた本のうち、一番上のモノを手に取る。裏面は関係の無い広告で手に取り裏返すまでその本が何であるかはわかりえない。
…アァクアbvpdbcs@ウbうえv!!!?!?!?!?!
言語崩壊するほどの驚き、とっさに放った陰陽術はそんな彼女を手に取った本と共に部屋の外に吐き出す。
…うわぁああ!!?……あいたた、そんなに怒ること…って、あっ
はらはらと、風にたなびくページが止まり、見開きになって映し出された本の描写。それはかの紫式部本人の所有物から出たものとしてはあまりにも場違い、美しい言の葉の欠片も見いだせない、低俗な雑誌
……え、あぁ…うん、あたしちゃん知ってる。これ
見てしまったものは仕方ないと、まじまじと覗くそれはなんとも扇情的で、修正がされておらずくっきりと男女の秘部があーれーなことになっている。
…Oh、セシボーン
〇
ホワンホワンホワンエモーショナルエンジン~
「……てなわけで、ございます。」
「うん、ございますじゃないよね。というか何してくれちゃってるのこの人。あと、何で香子さんがエロ本持って………いや、あの人ならワンチャンス」
当世の文芸も嗜んでいるとか言ってたし、というか聞く感じあの人今官能小説でも書いているのだろうか?
「…俗世に染まってる。平安の貴族様が」
「あぁ、それは言い訳できないっすわ。あたしちゃんも見ての通り、JKスタイルだし、スマホ無いと落ち着かないし、ながらスマホって怖いよね。……反省」
およそ10世紀前の人から出ないであろうワードが飛び交う。だがこれもカルデアならではの光景だ。
「うん、事情は分かったけど、でもなんでそれが俺の秘蔵コレクションにつながるわけ?」
そう、問題はそこだ。なぎこさんがそこまでしてエロを知りたいという理由、そこがまだ語られていない。
「…あぁ、そうだよね。うん、まあそこに関しえてはさ、なんというかね」
「…なんというか?」
「……見たい」
「はい?」
「だから、見たいの……」
余裕が無い。顔一面に先ほど以上の羞恥が見て取れる。
気づけば、座り方も姿勢のいい正座で、見た目のきらびやかに対して態度も大人しい。
「…あのね、さっき冗談で発情って言っちゃったけどさ……あれ、割と真実。リアリー」
「へ?」
もどかしそうに、なぎこさんは語りだす。あの時、自分が見た初めてのエロ本。自分が生きていた頃にも官能、背的なコンテンツはいくらか存在した。しかし、視覚的に刺激を与えるコンテンツに触れたのはその時が初めてだった。
その本も香子さんにすぐ回収され、以降も結界で部屋に入れず続きは知れないまま。
時が経つにつれ、その興味は膨らみ続け、そしてつい近日、その衝動は炸裂したのだと。
「…ほら、あたしちゃんも一応クリエイターなわけだし、ああいうもの、あるんだなぁって知ったらさ、もう気になって気になって、でも頼りになるのちゃんマスぐらいだから、……勇気、出したんだけど」
「……」
「だからさ、お願い!!……ね、誰にも言わないからさ、あたしも知りたいんだ!!…じゃないと、あたしちゃんどうにかなっちゃいそうで」
懇願するなぎこさん、ほっといたらそのまま三つ指ついて土下座に移行しそうだ。
うん、見せる見せないか、当然そんな回答はNOだ。だが、このまま放置しておくと、それはそれで怖い。
「……見たいの?」
「!!」
嬉々として、面を上げて期待のまなざしを向ける。この後成人向けコンテンツを見る人の姿だと思うと、どこかシュールなまである。
「……はぁ」
背に腹は代えられない。このまま暴走を続けるなぎこさんを放置するわけにもいかない。
適当に、ライトなものを渡して、それであとは一人で鑑賞してください、返却は一週間後に、どこぞのレンタルビデオ屋的なムーブでことを流せばいい。
「あぁ、ありがとぉちゃんマス!…あたし、この恩一生忘れないかんね!!」
「ちょ、離れて!!近い近い!!!」
色々あたってる。無自覚なギャルさんはこれが怖い。
「あの、じゃあいくつか取り繕いますから、それもったら出ていってください。……あと、誰にも言わないでくださいね」
「……ジジー」
「あの、まだ何か」
「……うん」
頬をゆびでかき、火照った顔を両手で覆い、指の隙間からちらちらとこちらを伺う。
「……その、一人で見るの、怖いから」
「……まさか」
「うん、いっしょに見て欲しい。解説、おなしゃす」
次回に続く
なぎこさん欲しい、童貞に優しそうなギャルっていいですよね。というか二次コンテンツのギャルはみんな道程に優しい。ギャルはファンタジ―と誰かが言っていたがうまいことを言う。