慣れたはずの場所が生き地獄に変わるなんて、こんな世界じゃありふれた悲劇に過ぎない。
「どうも~~↑↑↑炎上系アイドルの園城炎火ですぅ♡ あ~、今日も来てくれたんですねぇ~! ありがとぉ~~。え、今日も可愛い? 嬉しいですぅ~! え? テンション高杉ワロ? 燃え散らかされたいんですかぁ???」
いつものお仕事の一つ。握手会。
これをすればCDの売り上げがガツンと嵩増し出来るが、それ以上にファンの一人一人と直接顔を合わせて様子を知れるアイドルとしての大事な根幹の場所だ。
いまニコニコとした笑顔を振りまいて年上の成人男性達を相手に次々と握手やトークをこなしているのが、アイドルである園城炎火(えんじょう ほのか)だ。
愛らしい小顔にのせた大粒な紅く開いた瞳孔の瞳は握手中の男性への関心がある事を疑えない程にキラキラと輝き、八重歯が覗く小さな口と高い体温によって紅潮した頬はクルクルと可愛らしく変わる表情を作り出して楽しげな感情を僅かも隠してはいなかった。
黒から赤に毛先にいくほど熱を持ったように見えるミディアムボブの髪は肩口にかすかに触れて、彼女が動くたびにゆるふわの髪先が舞い散る火の粉のように躍動的に跳ねていた。
おでこの上部にちょこんと乗せられたピンク色のリボンは、首元胸元にも咲いたリボンと合わさってフェミニンなあどけなさを出す。
時折感情が昂ぶると手首から赤い炎が噴き出して不心得者のファンを威嚇するが、それらは決して彼らを傷付ける事は無く制御されている。
なんとか140を超える程度の低身長。肉付きの薄い身体は細く、男であれば誰でも簡単に持ち上げられてしまいそうなハイエース向きミニマムボディー。
フリルとリボンで装飾されたアイドル衣装は炎火のスラリとした肢体と少女らしい滑らかな曲線をふんだんに見せつけるべく、限りなく布地は減らされていた。
大胆に開いたデコルテと肩とお腹とアバラ、というよりはヒラヒラとした揺れるレースのついたネグリジェのブラだけをリボンのついたチョーカーからぶら下げたようなあけすけな上半身。手首には特別な耐火処理のされたフリルカフス。
女の子の尊厳を守護るエプロンスカートは膝上30センチ以上ともいえる超マイクロミニスカートでしかなく、身体の小さな炎火では股下ギリギリサイズになってしまう。ギリギリはギリギリアウトの方のギリギリである。細い脚を覆うロングオーバーニーソックスが一見すれば生足や太ももの露出を抑えているように見えるが、アウトしてしまっている超マイクロミニは時折炎火の肌色をガードしきれず周囲にチラ見せしまっていた。
なお、アイドルの当然として彼女は、処女である。
ファン達からは『膜から声が出てる』と言わしめる愛らしいボイスで今日もファンを迎えている。
「あ~っ。〇〇さんまた来てくれたんですねぇ。ありがとぉですよぉ♡ え、語尾にハートマークがツイてるように見えるんですかぁ? 嬉しくて自然についちゃうんですよぉ♡」
媚び媚びのアイドル笑顔を振りまくが、それはこの握手会の場で最も望まれているものであり、ファンの欲しがるものを提供するアイドルとして理想的なアクションだった。
やり過ぎのようにも見える動きもファンの期待する可愛らしさを溢れさせ、過剰に見える甘いコケティッシュさもそれを前にしたファンの胸をドキリと高鳴らせた。
それは、アイドルである園城炎火がアイドルという偶像の理想を追い求めるのに止まないある種のプライドの極地の産物であった。
「あはっ♡ 今日も攻めてるギリギリ衣装がエロ可愛くて最高ですかぁ?♡ ありがとですぅ〜。この格好はもちろんとっても恥ずかしいんですけどぉ、△△さんが見たいって言ってくれるならぁ、次も頑張って着ますからぁ、絶対次も来てくださいねっ!?♡」
今日のファンのお兄さん達は随分と大柄で汗かき達ばかりが多く、ねちゃりとしたネバつきが手に残ってしまうが、炎火はいつも以上にテンション高く、過剰なまでのシナを作って愛想を振りまきアイドル業に精を出していた。
普段から全力でアイドルであり続けている炎火だが、今日はそれ以上の大きな身振りを使って己のアイドル性を振りまいている。
それは、炎火が今日の握手会の冒頭からずっと感じ続けている焦燥が起因していた。
「(うぅぁ〜〜。今日のもえかすさん達ってなんでこんないつも以上にこう、ねっとり、なんですかねぇぇ〜〜?)」
それは性的な視線であり、反応だ。
もちろん男性の劣情誘いに余念の無いエッチなアイドル衣装を着ているのだから、普段から必要以上に性的に見られているのは理解している。
だが、それはあくまでアイドル『園城炎火』を見た上での劣情なのだ。
だというのに、今日のファン達からの熱視線はそれを優に飛び越えた女を見る目、いや、雌を舐る視姦と言ってもいい熱の入りようだった。
ちなみに、『もえかすさん』というのは炎火のファン達を示すファンネームだ。
仮にも自分の事を偶像として称えてくれ、少なからぬお金を落としてくれている人達を指して「カス」はなかろうと、当初炎火が彼らのファンネームを発表した時には大いに炎上もしてしまったものだったが、その時すでに炎火の萌え豚を自認していたファン達はその愛称を滂沱して悦び、自分たちの魂名としてその魂に刻み込んだのであった。
であるはずなのに、今日のもえかすさん達には本来炎火に向けていた敬愛を含んだ萌え豚としてのもえかす魂が失われてしまっているかのように、炎火にはそう感じられて仕方なかった。
なにも炎火が自意識過剰過ぎているというわけではない。
アイドルの握手会という決められたステージを円満に、そしてお互い気持ちよく交流するためのルールが守られていないことからも明らかだった。
・握手会のルールその一。
お風呂に入り清潔にしてくる。
「ひぐっ。くっっさいですぅぅ……っ。ぅあ、手もにちゃっとして手汗全然拭かれてないなんてぇ。なんでこんな気持ち悪いし、雄臭い人ばっか……。あ、あはは! だ、大丈夫ですよぉ!♡ ちょっとびっくりしただけですからぁ。でもぉ、すっごいくっさくてきちゃないですからぁ、もえかすさんはカスでも綺麗なカスになってくださいねぇ??」
「お、おふぅぅ! 分かりましたぁ炎火ちゃぁぁあん!!」
「……□□さん、いっつも綺麗にしてから来てくれてたはずなんですけどねぇ?」
豹変ともいえるオジサン臭を放ちながらやってきた古参のファンの一人と握手を終え、剥がされるのを見送りながら、炎火はぬぐい切れない疑問に首をかしげて次のファンを迎える。
・握手会のルールその二。
握手と会話以外をしない。
「これ、これね! 炎火ちゃんに似合うと思って買ってきたんだよ! 受け取ってほしいな!」
「あのぉ~、握手会ではぁプレゼント渡しちゃだめなんですよぉ? ◇◇さんなら良く知ってるはずで、って、きゃあぁ!? な、なに出してやがるんですかこれぇ!?」
「もちろん炎火ちゃんカラーに合わせた、真っ赤なピンクローターだよ!」
「燃え散ってゴミになりやがれですぅ!?」
紙袋から取り出された卑猥なラブコスメに驚いた炎火は手首から炎を噴き出して威嚇するが、それがファンを絶対に傷つけないと知っている変わり果てた古参は高笑いしながらブースから消えていく。
「今日はもう絶対おかしいんですけどぉ……?」
羞恥から荒い息を吐く炎火はなんとか息を整えて、次のファンを迎える。
・握手会のルールその三。
時間を守って剥がしに従う。
「時間ですから、もう時間ですってばぁ!?」
「炎火ちゃん! 炎火ちゃん! 炎火ちゃん! ふんすふんす! 可愛い可愛い! いつも以上にエッチで可愛い! ハァハァ、最高! ぺろぺろしたい、嘗め回したぁぁぁあい!!」
「握手しすぎですってば××さんぅぅっ!? 今まで時間厳守してくれてたのにどうしっ、ひぃやっ!? な、な、なに炎火の手を舐めてくれちゃってるんですかぁぁ!?」
剥がしの時間宣告にも拘わらず残り続けるこれも古参の一人。挙句にはベロベロと握った手を舐め回してくるほどにルール破りが甚だしく、それはもう間違いなく異常で、なぜか剥がし役のスタッフもその職務を全うしてるとは言い難く、炎火とファンがわちゃわちゃしている所に入り込み、あろうことか炎火にボディタッチを仕掛けてくるほどの無法ぶりだった。
「ひゃい!? 今炎火のお腹撫でませんでしたかねぇ!? もえかすさんだって出来ない炎火の生肌触って覚悟出来てるんですよねぇ!?」
「へへ、すいませーん。それじゃぁスタッフ交代しますんでー」
などと悪びれることなく去っていき、交代したスタッフも無遠慮な性的な視線を炎火にぶつけてくるばかりだった。
「なんかぁ。今日の雲行き絶対ヤバい気がするんですがぁ。でも、炎火ともえかすさん達の為の握手会なんですからぁ頑張らないとぉ」
誰も味方がいない中で、炎火は孤軍奮闘テンションを上げて頑張っていく。
その頑張りが、やがて無残に散らされるだけの儚いものだとも分からずに。
~ 〇 ~
その後も羞恥の多い握手会をなんとかを続けていくが、とうとう決定的な違和感が形となって炎火の前に姿を現したのだった。
「じゃぁ~、次のもえかすさーん。入ってきていいですよぉ? って、きゃあああ!? へ、へへ、変態はお呼びじゃないんですけどぉ!?」
『それ』の姿を見た瞬間に炎火が悲鳴を上げたのも当然というものであった。
平然と、だが不自然極まりなく現れた『それ』は、炎火が反射的に手首を赤く燃え上がらせるに足るほどの危険物だった。
炎火が気炎を吐きながら威嚇する。
「変質者さんはぁ、炎火のもえかすさんにはいないんですのでぇ、今すぐ帰ってブタ箱で丸まっててくれますかぁ!?」
「ぐひひ、可愛い、可愛いねぇ炎火ちゃん。即行でそんな罵倒が出てきちゃうなんてオジサン興奮しちゃうなぁ」
「スタッフさん! スタッフさーん! 警察! 早く警察呼んでくださいです! 全裸の変質者が出てるんですけどぉ!?」
炎火の悲鳴に近い絶叫が握手ブースを越えて周囲に響く。
次の握手相手として現れたのは、全裸の中年男性であった。
大きく突き出た腹肉。つるりと禿げあがった頭部。ムチムチというよりはでっぷりと脂肪をつけた四肢、身長は確実に2メートルは超えるだろう巨漢。
吐く息は粗く、全身にはにちゃりとした汗をにじませ、悪意だけを浮かべた三白眼が炎火を性的な視線で舐め回す。
炎火の倍以上もある身長差から見下ろしながら、その股間はその体躯に負けぬほどの巨根をギンギンに屹立させていた。
「ふふふ~~。なんてちっちゃいんだ炎火ちゃんは。これはもうオモチャみたいじゃないか」
「燃えて焼けて今すぐどっか消えてくれませんですかぁ!?」
威嚇するように炎火の炎が変態中年へと広がるが、男は意に介した様子も無くずんずんと近づいてくる。
全裸のまま、いきりたったソレを最前面に主張するように突き出され、炎火はこの男が現れた瞬間からとてもではないが直視することは出来ず、顔を背けながら敵意と罵倒をぶちまけていた。
だが、炎火がこれほど騒いでいるのに警備員がやってくる様子はどこにもない。
どころか剥がしとしてブース内に常駐しているスタッフや、後ろで進行管理を行っているマネージャーさえ何ら慌てた様子もなくニコニコと事態を見守っていた。
「な、なんで……、誰も、騒がないん、です……っ?」
「ふふふ~~。炎火ちゃんもなんかオカシイナって気が付いてたんでしょ? アイドル業なんかに固執しないですぐに逃げておけば良かったのに、もう逃げられなくなっちゃったんだよな―」
「それはお前が何かやりやがったってことですかぁ!?」
「ふーっふーっふーぅっ。そうさー。全部オジサンの仕業なんだよなー」
そう言って未だ全裸男性から目を逸らし続けることしか出来ない炎火の机一枚挟んだすぐ目の前に、男は裸足のまま仁王立ちする。
当たり前のように近づいて来ただけだが、炎火は驚愕してしまう。
「なっ、炎火の炎がこんなに近いのに熱くないなんておかしいですぅ!?」
「ふふふ~~。心頭滅却すれば火もまた涼し。オジサンの力をもってすれば、熱くないと思い込んでやせ我慢するぐらいなんてことはないんだなー」
「え、やせ我慢?」
「そうさー」
「…………?」
「…………?」
「…………???」
一瞬の沈黙が流れる。
「ヨシ! 虚を突かれたね! 催眠!!!」
「ひゃあ!!?」
その間を突いた全裸の中年男性の大声に炎火は驚いてしまう。
そして彼女の全身を言い知れぬ悪寒とも言うべき違和感が駆け抜けるが全ては後の祭りだった。
「と、いうわけでオジサンは催眠術士さ! 既にこの会場はオジサンの催眠術でオジサンの意のままでね。後は正気なのはもう炎火ちゃん、君だけなんだよ!」
「ア、ハイ。って、そんなバカな話しになんて付き合ってられないですから! 炎火の大事な現場を荒らしたこと黒焦げになって後悔しろですぅ!」
直視できぬまま炎火は火勢を強めたはずだが、男が堪えた様子は無い。
それどころか、炎は徐々にその熱を弱めやがてはポシュッという小さい音を立てて、熱さを失ってしまう。
「え? うそ!? え!? な、なんでですぅ!?」
それだけに留まらず、汚物を視界に入れまいと必死に後ろを向こうとしていたはずの首が、少しずつ前へと角度を変え始めてしまっていた。
「えっ、えっ、や、どうしてですかぁ!?」
「ふふふー。オジサンは催眠術士だからねぇ。さっきのに加えてこうやって話すだけで炎火ちゃんの身体の自由を少しずつ奪う事だって、出来ちゃうんだなぁ」
「や、やめろですぅ!? う、ぅぅうっ、ぜ、絶対そんなの見たくなんか……っ」
ぎぎぎっと必死に力をこめるが、いつの間にか炎火の身体は自分の思う通りには動かなくなっており、足は一歩も動かず炎を出すために前を向いていた身体を背けることも出来ず、炎火の首は机越しに仁王立ちする全裸男性の方を向かされてしまう。
「いやですぅ!!」
瞼を力強く閉じて気付かぬうちに失っていた自由に抵抗しようと試みても、それは簡単に打ち破られてしまう。
「どうしたんだいー? オジサンを見ることも出来ないのかな? ファンとして目の前に立ってるだけなのに目も合わせてくれないなんて、オジサン哀しいなぁ」
「変態が勝手に喋るなですぅ!! お前みたいなのがファンなんて炎火は絶対に認めないですから! もえかすさん達に謝って死んで詫びてくださいです!」
だが炎火がどれだけ罵声を浴びせようとも碌な効果は無いようだった。
必死に閉じていたはずの瞼も、彼女の意志に反してついには開いていってしまう。
「う、うくぅぅっ……っ!」
そして、視線をずらすことさえ認められなかった炎火が目を開き顔を上げさせられた時、彼女の眼前にあったのは。
「さぁ、『コレ』が何か、分かるかなー?」
「いやあああああああ!!!?」
140センチしかない小さな炎火と、2メートルを越す巨漢との体格差の結果、炎火は極太の肉塊にどくどくと脈打つ血管を走らせた雄臭逞しい男根を、睫毛が触れそうなほどの目の前で直視させられてしまったのであった。
「ひ、ひぅ……っ」
「ふふふ―。処女まるだしのアイドルにはちょっと刺激が強すぎたかなー。言葉も出ないみたいだ」
グロテスク、と言い切ってしまえるほどに膨れ上がった肉の塊は強烈すぎる男性性を見せつけ、炎火の可愛らしく小さな顔よりも遥かに大きく、細い炎火の肢体と比べれば腕どころか彼女の太ももよりも太い極太の肉棒なのではないかと錯覚しまいそうなほどだった。
喋るだけで縛りを強めていった催眠の力で身動き一つとれずに視線さえ固定され、結果的に己に突き付けられた肉棍棒をじっと見つめる羽目になってしまった炎火の前で、その視線に興奮したかのように肉棒がびくんっと跳ね、拍子に肉竿が炎火の額をしたたかに打った。
べちんっ。
「ひゃぁぁっ!!?」
「ふふふー。オジサン興奮してきちゃったよー。今のは良かったねー。炎火ちゃんの処女膜から出てる声を感じたよー」
「ふ、ふふ、ふ、ざけるな、で、ですぅっ……っ」
今の炎火の視界の大半には男の男性器しかない。圧倒的な暴力ともいうべき雄の迫力が、突然の事態からまだ立ち直れていない炎火から積極性を奪って、彼女の思考さえも縛り付けてしまっていた。
もう少しでも時間があれば炎火はそのショックから立ち直り、身体の自由は効かないまでも中年男性に言葉一つろくに抵抗も出来ずにいるなどということはなかっただろう。
だが、畳みかけるような性欲の熱波が体温が高いはずの炎火でさえ熱さを感じるほどに押し寄せてくる。
「ふふふー。さーあ炎火ちゃん、オジサンはね炎火ちゃんのファンなんだよ。だから、もえかすおじさんにも握手を、してくれるよねー?」
「お、お前なんかがもえかすさんを名乗るなんて、百万年早いし絶対に許されないんですからぁ……っ! こ、の、変態さん! ごみくずですっ!」
「お、おふぅぅっ! ちっちゃくて可愛い炎火ちゃんの本気罵倒っ。興奮するなー」
ぎりぎりと歯ぎしりするような想いで罵るが、男はむしろ気分を増してしまったようだった。
そしてギラついた眼差しで炎火に『握手』を強要してくる。
「ほら、炎火ちゃん。握手だよー。オジサンとあーくーしゅー」
「あ、握手って、お前は手も出してないですのに、って、まさか!? 冗談はオツムだけにしやがれですぅ!?」
「冗談なもんかいー。アイドル炎火ちゃんは公然の握手会場でオジサンの極太孕ませチンポに自分から握手するんだよー」
「い、いやああ!!?」
その言葉通り、先ほどからずっと炎火の意識の大半を奪い続けていた雄性の象徴へと、望まぬながらも炎火はその両手を持ち上げ伸ばしていってしまう。
「ひぃぃ!? さ、触りたくないですぅ! 汚い! やですぅ!?」
「ざーんねーん。炎火ちゃんは拒めないんだなー。だって、アイドルだからね!」
「炎火はそんな汚れどころかAV堕ちしたみたいなアイドルじゃないんですから! やです! やだーっ!?」
動かぬ首、動かぬ足、動かぬ目線のまま叫び、抵抗しようとするが、言われるがままの傀儡と化した腕は、命令のままに脈打つ肉塊へとその小さな手のひらで触れてしまう。
ぴとり。
「いいぃぃぃぃっっっ……っっ」
「んふーーっ。炎火ちゃんの手の平はあったかくて気持ちいいねー」
「ほ、炎火に、何て物を触らせやがるんですかぁ……っ。うぅっ、びくびくしてて、にちゃってしてて、臭くて、うぇぇ、くらくらしやがる、ですぅ……っ」
激しい獣臭ともいえるすえた男くささにやられ、男が楽しむためだけに自由にされた表情筋で目を白黒させて狼狽える。
その微塵の余裕も無く戸惑う炎火を満足そうに見下ろす全裸の巨漢。
「さあー、もっとおじさんのチンコに握手をいっぱいしておくれよー」
「お、終わりですっ! もう3秒経ちましたから、終わりにしやがれですぅ! ファンを名乗るならルールを守れですぅ!!」
「おっと、握手はもう終わりかい? オジサン悲しいなー」
両手で肉竿を握っただけだが、炎火が終わりを宣言する。当たり前だろう。こんな握手が本来許されるはずが無い。
だが、既に会場を制覇したとのたまう巨漢がこんなところでスゴスゴと帰るはずも無かった。
「ふふふー。そおかー。ルールかー。ルールなら仕方ないなー」
「そ、そぉですぅ。だから今すぐ炎火を自由にして、自首して、ストーブにでも首突っ込んで死んでくれやがれですぅ」
「えー。それはイヤだなー。仕方ないからルールを変えちゃうかなー」
「え?」
こともなげに言われた異様なセリフに、肉棒を握らされながらも少しづつ調子を取り戻しつつあった炎火に避けようも無い疑問符を浮かばせてしまう。
「ほら、丁度そこに握手会のルールが三つ、書いてあるだろー?」
「そ、それがなんだって言いやがるんですかぁ? ルール破りのもえかすさんは焼却炉行きって決まってるんですがぁ???」
「ふふふー。そーかー。怖いなー。じゃあそんな怖いルールはオジサン書き換えちゃおうかなー」
先程まで壁のボードには確かにこう書かれていた。
・握手会のルールその一。
お風呂に入り清潔にしてくる。
・握手会のルールその二。
握手と会話以外をしない。
・握手会のルールその三。
時間を守って剥がしに従う。
それが先ほどまでのこの握手会のルールだった。
厳密にはルールと言えるものはもっとあるだろうが、本来炎火の握手会にはこれくらいで足りる程度の民度があった。
だが、今そのボードに視線を向けることを許された炎火が改めてルール表を見ればそこには次のように書かれていたのだった。
・オチンポ会のルールその一。
アイドルはおちんぽ風呂に溺れて処女を散らし、ザーメンまみれの白濁に汚れきります。
・オチンポ会のルールその二。
アイドルは全身を使ってファンのおちんぽに奉仕し、出された物は全て受け取って気持ち良く喘がなければならないです。
・オチンポ会のルールその三。
アイドルは時間の限りおちんぽ専用ザーメンこき捨て肉便器生膣孕ませオナホールとして、あらん限りの尊厳を投げ捨て犯してもらえることにお礼を言います。
「は……? え……?? な……???」
「ふふー。いつもの口調も忘れるぐらい驚いてくれちゃったかなー? オジサンなにも嘘や冗談でこんなこと言ってるんじゃないんだよー?」
「……っっっ」
「炎火ちゃんは立派なアイドルとして、さっきまでおちんぽに触った事もないような素敵な処女アイドルだったかもしれないけど。このルールに従って、炎火ちゃんのアイドル処女マンコは今日今からビリビリに膜を破られ散らして、オジサンやファンの汚っさん達のチンカス汚れちんぽでレイプされて犯されて、白濁まみれの中古アイドルマンコになるのが決まってるんだよー。ぐへへへへーー。愉しみだよねー???」
「こ、う、の、ふぇっ、っっっぅ、ひ、ぅぅうぅぅっ……っ」
男の肉棒越しに覗きこまれガクガクと炎火の膝が震えてしまう。
それは明るさを装う口調とは裏腹に、狂気と肉欲に呑まれた狂人の眼差しが、これから起こる『事実という名の未来』が間違いないものであることを確信させてしまうほどに、澱んでいたからであった。
〜 ◯ 〜
(続く)