「しのぶ、カナヲ、蜜璃ちゃん、アオイの四人と女子会に行ってくるわねー」
と言って出ていく旧姓胡蝶カナエを見送ったのが昨日のこと。
ならばとこちらも宇髄、伊黒、竈門、冨岡と飲み会を開き、夜を明かして。
翌日の早朝、午前九時。
ホテル側からの苦情を受け取った不死川実弥は、竈門炭治郎と冨岡義勇を引き連れて怒り心頭であった。
「こっちも飲んでたから車も使えねぇじゃねぇか。最悪帰りはタクシーかよクソが」
「それはあいつらのせいではない」
「とりあえず無事ならいいんですけど」
この時点で。
二日酔いの頭に小言をぶち込まれた不死川実弥と違い、冨岡義勇と竈門炭治郎は、態度はどうあれ実際はそれほど怒ってはいなかった。
そう、まだ怒っていなかったのだ。
アルコール耐性が強いのか朝方なのか、起きてきたアオイと甘露寺に連れられて、部屋に訪れるまでは。
「………うわあ」
「…………………」
まったくとんでもない有様であった。
缶は散乱し瓶は砕け散り、中身が入った状態で投げ合いでもやったのか壁及び天井にべったりとシミが貼りつく地獄絵図。
どこから見たらいいんだろうか、というかもうどこも見たくないな、という一室の爆心地では、ベッドに前のめりになり、もう女なのか獣なのか怪しくなっている自分の恋人たちが眠っている。
備品に損傷がないのが唯一の救いであったが………。
深く深くため息をついて、不死川は地を這うように義弟二人の肩を叩く。
「さっきの連絡でだな。部屋が汚れてた場合は極力原状回復させてくださいってよォ……」
「「……………」」
もう黙るしかなかった。
その後、世間体より甘露寺が大事な伊黒小芭内と、連絡がつかないはずなのにどこからかやってきた嘴平伊之助がそれぞれの恋人を連れ帰ったのち。
不死川実弥はフロントに状態の報告と弁償についてのお伺いを立てに。
竈門炭治郎は上下階、ついでに左右の部屋の人たちに平謝りに謝り倒し。
赤の他人と混ぜるな危険の冨岡義勇はひたすら内装の回復に努めた。
そして。
午前中いっぱいかかった作業がようやく終わり、不愉快極まりない汗にまみれた男たちに、ようやっと起き出した胡蝶家三姉妹は口々にこう言ったのであった。
「………実弥くん、あせくさい」
「なに寝起きに忍び込んでるんですか義勇さんの変態」
「たんじろうのせいで異常者扱いされた、ばか」
繰り返しになるが。
冨岡義勇と竈門炭治郎はホテルに着くまではそれほど怒っていなかったし、彼ら二人の静止があれば不死川実弥だって無茶苦茶やることはなかったかもしれない。
が、この瞬間。
二日酔いを引きずって奔走させられていた三人の頭で、何かがぷつりと切れ落ちた。
「さてテメェら、なにか言いたいことがあるなら言ってみろ」
それから。
寝ぼけている上にベッタベタな三姉妹のことも風呂に急かして原状回復を促したのち、床に正座をさせる義兄弟三人。
風呂上りなのにもう汗だくな胡蝶カナエは、恋人を見上げて震える声で言う。
「ち、ちがうのよ実弥くん。これはちょっと、何かの間違いで」
「間違えたのはテメェらだろうが。その歳で性懲りもなく酒に飲まれた挙句、他人に迷惑かけやがって」
「……………はい」
冨岡義勇も珍しく恋人相手に冷たいまなざしで言った。
「しのぶ。お前は一度で学ぶ奴だと信じていたんだがな」
「違うんです聞いてください義勇さん! 私はあなたの名誉を守るために………っ!」
「その結果がこれか。竈門は死ぬほど頭を下げてきたし、不死川も珍しく平身低頭だったぞ。俺に関しても、こんなにみじめな掃除は初めてだ」
「………そ、それは」
そして竈門炭治郎の笑みはどこまでも底冷えしていた。
「カナヲ、俺の言いたいことがわかるか?」
「た、たんじろ。ごめ、なさ」
「それはカナヲが言うべきことで俺が言いたいことじゃないだろう? 仕方がないなあ、カナヲは。ねえ」
「ひっ………」
「まあ待て」
今から詰めようとする竈門炭治郎の肩に手を置き、不死川実弥は正座の三姉妹に上から声を落とす。
「まァなァ。お前らも反省しているみたいだからなあ。本当は百叩きでもしてやりたいところだが、俺も鬼じゃねぇ。罰はこのなかで最も反省の色が薄い奴だけに留めといてやるよ」
鬼も殺しそうな顔で指を一本立てた。
「今から帰って俺ら三人別々に、各々の家でテメェらを抱きつぶす。最初にギブアップっつった奴に恋人から追加の罰だ」
そして目を見開いてはくはくと口を動かす女共を楽しそうに見て、カナエ、と目を向ける。
「テメェが最下位だったら俺の実家で抱いてやる」
「ちょっと待って実弥くん嘘でしょ⁉ だってお義母様もいらっしゃるし玄弥くんもいるし一番下の子ってまだ中学生よね⁉」
「赤い顔で挨拶回りしたくなかったら必死で我慢しろよ?」
さて次だ、と。
目を向けられて、炭治郎は前から決めていたようによどみなく続ける。
「カナヲ、俺たちのアパートって、ベランダの前がそこそこ大きい通りだよね」
「そ、うだけど、……?」
「カナヲが負けたらカーテン開けてリビングで苛めることにするよ。ついこないだ百均でマジックミラーフィルム見つけたんだ」
「だっ! だめだめだめ絶対ダメ!」
「カナヲは目がいいもんな。きっと道行く人の顔もよく見えるんだろうね。頑張れ」
こんなに冷たい頑張れ初めて聞いた、と真っ赤になって震え上がるカナヲ。
そして胡蝶しのぶは義勇が何かを言う前に先手を取った。
「義勇さんお願いします助けてください! わざとじゃなかったんです、もう本当に海より深く反省しましたから許してください!」
義勇はふむと思案し、軽くうなずく。
「確かに反省はしていそうだな。それに、それほど多くもないしのぶとの時間を情事だけで終わらせるのも味気ない。では、しのぶは最下位だったら俺と手を繋いで町内一周の散歩にしよう」
「義勇さん………っ」
「コートの下には縄化粧だ」
「義勇さんっ‼」
上げるだけ上げて盛大に落とされた胡蝶しのぶはもう泣いてるんだか怒っているんだか曖昧な顔で思いっきり叫ぶ。
その追いつめられた表情こそ義勇が見たかったものだとは、きっと一生気づかない。
さて、じゃあ。
―――帰るか。
と、暖かみの欠片もない声で言われ、カナエ、しのぶ、カナヲは正座のまま小さく頷くしかなかった。
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タクシーで帰った不死川実弥は、一も二もなくカナエを寝室で裸に剝いて、両腕を頭の上で押さえる。
「さて、覚悟はできてんだろうなァ」
「ちょっと待ってできてないですごめんなさぁい!」
「あっそォ。じゃあされながらゆっくり覚悟してけェ」
「ちょっと一回話し合いましょう! もう今日は何されてもいいから、だから罰だけは考え直して、ねぇ!」
「今更通るわけねぇだろそんなもん。恥かきたくなかったら必死に我慢するんだな」
ゆっくりとカナエの肌を撫でる。
こんなときでも手付きは優しくて、ああ実弥くんだなあと思うカナエだったが、今日だけは荒く痛くされたほうが良かったかもしれない。
だってこんなの絶対に長時間保たない。
早くも反応し始めた体を初めて恨めしく思う胡蝶カナエに、不死川は淡々と言う。
「ちなみに、ギブアップは取り消し無しだからな。白旗上げて、他の二人はまだでしたってなったらもうその時点でアウトだ」
「え、え、え、えっとえっと………っ?」
「長女だったら妹の限界ぐらい予測できねぇとなァ」
胸を弄られ、口を吸われ、湿ってきた中心に早くも指を入れられる。
いつもより早い、と思うが難なく受け入れてしまい、与えられる快楽が段違いになる。
「ん、あっ……。さね、みくん。はやい、はやいからちょっと手加減してっ、あ、あ、っあああっ!」
「なんで俺がお前に手加減しないといけねぇんだよ」
始まって五分で果てが見え始めた胡蝶カナエは酸欠になる前に必死に頭を回す。
―――しのぶは、っあ、我慢強いし冨岡くんは無理させ、なっ、さそうだから、ふぁ、っあ、長引きそう、ぅ。炭治郎くんは、ってごわそう、だけど、ふっ、んっ、ああっ! カナヲも黙って、た、耐える、ところが、あるから、ぁぁぁあああああっ!
「っあ!」
最初の痙攣を起こして、全身の力が抜ける。
カナエは、回らなくなってきた頭で一つの絶望的な結論を導き出していた。
―――もしかして、長期戦………?
そして手で散々に弄ばれた後で、正常位と背面で一回ずつ貫かれ。
とっくに酸欠を起こして胸を上下させる胡蝶カナエに、こちらもだいぶ汗をかいた不死川実弥はふう、と一息つくと。
「さてと、そういえばまだ昼飯も食ってなかったなァ。ちょっと休憩にするか」
「ほ、ホント………?」
瞳を潤ませて尋ねる胡蝶カナエ。
不死川は良い笑顔で頷いた。
「ああ、俺はな」
そして枷を取り出すと手際よくカナエの両手両足を戒め、昨夜伊黒が持っていきかけたブツを中に入れる。
「え、俺は? ……ってまってお願い! やすませて、っふぁ」
そしてスイッチを入れた。
「ぅぅぅ、ぅぅああああああ! ああああああああああ!」
「うお、すげぇ声だな。そんなに荒れるの初めてじゃねぇの?」
こんなにされるのが初めてだからじゃないかしらね!
元気だったら一時間も二時間も文句を言ってやりたいところだったが、あいにくそんなものはもう残っておらず。
「汗臭いとも言われたからなァ、ゆっくり風呂も入って戻ってきてやるよ」
「えええちょっと待って! お願いだから待ってこれ止めてぇ!」
ベッドの上でのたうち回るカナエを放置して、不死川は寝室のドアを閉めた。
そうは言っても死んでないかは確認しないとな、と。
ウイダーを流し込んでさっとシャワーだけ浴び、二十分後に寝室に戻ると、濃密な女の匂いが鼻に抜けた。
「ははっ。人には汗臭いだの言いやがって、ったくよォ」
さっきよりは小さくなったが変わらず喘ぎ声を上げ続けるカナエの髪を梳くと、涙に濡れた目が見開かれる。
「さ、ねみくん遅いぃぃぃ! は、やくっあ、外して!」
「あ? 降参か?」
「………ぅぅぅうううううううううううっ!」
唇を噛んでぎゅっと目をつぶるカナエ。どうやらまだいけるらしい。
思ったよりも保つ。
―――これは普段ももう少し苛めて大丈夫だな。
余計なことを思わせているとは露知らず、一度スイッチを切ってもらったカナエは、不死川が持ってきたウイダーを貪るように飲み干す。
その頬に顔を寄せて、不死川は言う。
「つーかお前も昨日ろくすっぽ風呂とか入らなかったんじゃねぇの」
酔いそうなほど甘ったるい匂いをさせるカナエの首筋を舐めると、逃げられるわけもないのに首を振って呻いた。
「だって楽しかったんだもん………。あんまり鼻寄せないで実弥くんの変態!」
「そんだけ口を利ければ十分だな」
「………あ、ごめんなさいだからお願い待って、っああ!」
スイッチを再び入れて、耳を弄り口づけを落とし胸に手を埋め、と上半身を好き放題に触る。
もう限界、というところからさらに一オクターブ上がった嬌声を楽しみながら、不死川は己の欲をどこまでもカナエにぶつけていった。
「あ、あ、……っんあ、う」
「まだ意識があるな」
それから何分、何時間経ったか。
反応が虚ろになってきたところで、不死川はスイッチを止めてソレを部屋の隅に放り投げる。
―――ああ、もう………。
乾ききった喉を一度上下させる。
そのとき、ビリッ、と何かを破く音がして、沈みかかってきた意識が命の危機に急速に浮上してきた。
「待、待ってさねみ、く……、も、むり………。こうさ、んう⁉」
何かを紡ごうとしたカナエの口に骨ばった手で蓋をして、不死川は一度に体重をかけた。
「んあ、んんんんっ!」
脳天に見えない何かが突き抜け、一瞬意識を飛ばす胡蝶カナエ。
快楽を上乗せさせてその意識を無理やり引きずり出しつつ、不死川は耳元で囁く。
「感謝しろよ。親切でもうちょっと記録を伸ばしてやる」
もう記録とか言ってられない本当に死んじゃう、と。
言いたくても口は塞がれて体もほとんど動かず。
そこからさらに一時間弱、折れた心のまま弄ばれ続けた。
「おーい、起きてるかァ」
ようやく満足に欲を吐き出したらしい不死川実弥にぺしぺしと頬を叩かれて、胡蝶カナエは鉛のようになった体を引きずるように少しだけ顔を上げる。
「確認するが、まだやれんのかァ?」
「も、むり、むりぃ………!」
「じゃあ降参ってことで。さてどうなってるかねェ」
不死川はベッドサイドに置きっぱなしになっていた携帯電話を開く。
胡蝶カナエは、祈るような気持ちでその指を見つめていた。
―――さすがに、さすがに大丈夫なはず、よね? だってすごく我慢したし、最後なんてもう無理だったところからさらに伸ばされたんだから。少なくともどっちかには勝ってるわよね⁉
不死川が携帯の電源を落とす。
そして。
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冨岡義勇は、家に帰ってとりあえずしのぶを後ろ手に軽く結わいた。
「ちょっとなにするんですかこの変態!」
「お前はこうでもしないと暴れるだろう」
「ふざけないでください義勇さんのくせに! さっきといい今といい見損ないましたよ!」
「見損なったのはこっちだ」
そう言って義勇がしのぶを引きずって行ったのはリビングで。
しのぶを座らせて自分はそれを包むように後ろから抱く。
「だが安心しろしのぶ。さっきも言ったが、俺は全ての時間を情事に使おうとは思っていない。確か先週、お前が見たいと言っていた番組を録画していたな。それを見よう」
しのぶは前を向いたままいぶかしげな声を上げる。
「はあ、それは構いませんが。………ってどこ触っているんですか!」
そして番組が始まると同時に不埒なところに伸びてくる手にかっと顔が熱くなった。
「どこってそれは………」
「あああ言わなくていいです離してください!」
「それでは不公平だろう。なに、気にせず楽しんでくれ」
「み、みを嚙みながらしゃべらないでくださ、ふっ、ぅあ」
耳に舌を入れ水音を立てさせられて、手はそれぞれ太ももと胸に伸びている。
こんな状態でテレビなんて見られないに決まっている、としのぶは唸りながら叫ぶ。
「こんなこと、んっ、する、なら……いっそちゃんと、あぅ、触って、く、ださい!」
「なぜだ、罰を受けたいのか?」
「そうじゃないです、けどっ!」
その先が言えなくなる胡蝶しのぶ。
当然だ。このままされつづけたら、リビングまでそういう場所だと体が覚えてしまいそうで、なんて言えるわけがない。
そしてそれを知ってか知らずか、義勇はきわどい所にばかり指を這わせて言う。
「可愛いな」
「ぅぅうう、あああ」
「安心しろ。最後まではしない。せっかく楽しみにしていたんだろう。ゆっくり見たらどうだ」
―――この、このこのこのこのっ!
ゆっくり見たらなんてどの口が言うんだ、とか。
絶対にわざと意地悪してる。もう天然じゃなくてただの悪童だ、とか。
思うところはいろいろあったが、全身をせりあがるように少しずつ蓄積していく熱にそれどころではなく唇を噛む。
結局ずっとうつむいたまま、胡蝶しのぶは逃れようもない快楽を一身に受け続けた。
そしてエンドロールが流れるころ。
もうすっかり出来上がってしまった体を暴かれ、しのぶは義勇にベッドに横たえさせられた。
確かめるように指を入れ、義勇は淡々と事実を告げる。
「すごいな」
「ぅぅぅ………」
「まだそれほど時間は経っていないぞ」
「わかって、ますよ、っあ! っぁぁぁああああ!」
そして義勇に貫かれ、胡蝶しのぶは我慢しようもなく絶叫した。
「ぎ、ゆうさ! ちょっと止まって止まって止まってぇ!」
「どうした?」
「からだ、おかしっ、い! いつもはこんなに………っ!」
「ああ、そういえば焦らしたことはなかったな」
三十分間、出口もなく入れられ続けるばかりだった刺激に毒されたところへの目もくらむような刺激に、恐怖すら覚えるしのぶ。
強がりの仮面が剥がれ落ちかけているのを見て、一層激しくしのぶを抱く義勇。
「好きなだけ叫べ、しのぶ」
「だ、れが! ぅあ! んんんうっ! うっ、うっ、ぅぁぁあああああ!」
「我慢できていないぞ」
「むり、むりです他人事だと思って無茶苦茶言ってぇぇええええ! っああああっ、あっ、っはあ!」
これならまだ百叩きの方が何倍もマシ、という思いを最後に。
早くも酸欠に陥った胡蝶しのぶの思考はどこかに吹き飛んだ。
「ギブアップか?」
「だ、れが、負けるもんです、……かっ」
セリフだけ取れば少年漫画チックだが映像付きだと青年誌ど真ん中の胡蝶しのぶは、取り繕うでもなく荒々しく呼吸をして、少しでも体力を回復させようとしていた。
それを見た義勇はふむ、と思案する。
「苦しそうだな」
「だれの! せいで!」
「では一度休むか」
「え?」
予想外の言葉にあっけに取られているしのぶをひょいと持ち上げ、義勇が運んで行ったのは浴室で。
いつの間に用意したのか湯船にしのぶをつからせ、さっきと同じくラッコのような態勢で自らも入る。
乾ききった体にお湯がしみるなあ、昨日は結局お風呂入れてないし、とか思っていたら、また義勇の手がしのぶをまさぐりはじめた。
「ちょっ、と。ねえ義勇さん!」
「まさかとは思うが本当に休めるとは思っていないよな」
「思ってなかったですけど! だからってちょっとんんっ!」
「のぼせたら言え」
「のぼせました! のぼせましたからぁぁぁああああああ!」
「嘘をつくな」
ええもうどうしようもないじゃないですか、と思っている間にもするすると手は動き、敏感なところを掠めるように何度も撫でられてそのたびに体を震わせる胡蝶しのぶ。
「ん、ふ、ぅ。ぅあ! あっ! ぅあ! ……あ、あぅ?」
馬鹿になっている体はすぐに頂点まで持ち上げられそうになるが、そこで義勇は手を止めた。
「焦らされているのが可愛いな」
「ま、たですか………っ! 本当にもうっ」
「降参ならそう言え」
「だ、れが! あっ、んっ、ふぅ、ぅぅぅううう……っ!」
それから二十分ほど。
さらに湯から出された後で、焦らされながら念入りに体を洗われること二十分。
「うううぅぅぅっ、ぅぅぅうううっ!」
桃色に染まった全身を泡まみれにして、はち切れそうな体を抱くしのぶに、義勇は頬を持ち上げる。
そして言った。
「洗ってやる」
「え、え、え、ちょっと待ってくださっ、~~~~~~っ!」
全開のシャワーノズルをいきなり敏感なところに当てられて、しのぶは一瞬で持ち上げられる。
泡を飛ばすようにがくがくと体をゆするしのぶだったが、義勇の手は止まらない。
「ちょ、っと! ホントに、止めて止めて止めてください無理ですむりむりむりむりっ!」
「泡が落ちていないだろう。為せば成るともいう」
そして完全に泡が落ちるまでさらに三回。
反響する自分の声に沸騰しそうなほどの羞恥を感じながら体をのけぞらせたしのぶは、かくんと力の抜けた体を義勇に抱き留められる。
そしてしのぶは、青い目の奥で燃える義勇の欲に囚われた。
「続きだ。寝室に戻るぞ」
「ごめんなさいもうしないから許してくださいお願いしますぅぅぅあああああっ! 」
そこからさらに二回も抱かれ。
後半は半分泣きながら嬌声を上げ続けた胡蝶しのぶは、義勇の抽挿が落ち着いて満足に酸素を取り込むと、ざりざりする喉でようやく言葉を紡ぐ。
「こ、こうさ……っ、降参ですっ………」
手で顔を覆って、悔しそうに歯ぎしりする胡蝶の胸を弾き、ぅあ、という声に笑うと、冨岡義勇はコートに入れっぱなしにしていた携帯電話を取り出した。
数度の操作で、その指が止まる。
続く無言の時間に、しのぶは乾いていたはずの唾をのみ込んだ。
―――さすがに、さすがに大丈夫ですよね………。炭治郎くんも不死川先生もサディストですし嗜虐癖ですし、まさか私が最下位なんてことは………っ! お願いしますから早く何か言ってください義勇さん!
そして。
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「カナヲ、痛い所はないか? 不死川先生にスペアの枷を借りてきたけれど元々カナエ先生のだから、サイズが合わなかったら言ってくれ」
「いたくは、ないけど……」
「そうか。それならよかった。痛くするつもりはないから、後からでも痛みを感じたら言ってくれ」
「いたくは、ないんだけど………っ!」
「足は辛いかもしれないが、突っ張り棒はそんなに丈夫じゃないから我慢してくれ。一応お仕置きだからな」
「………はい、ぃ」
いつもより早足で栗花落カナヲを引っ張るように連れ帰ってきた竈門炭治郎の脳味噌は、二日酔いのせいか異常事態のせいかあらぬ方向に高速回転していた。
まず、帰って来るや否や玄関でカナヲに深い口付けを落として酸素を奪い取り。
朦朧としている間に服を脱がせて枷をはめ。
玄関と廊下を隔てるカーテンを取り外し、代わりに突っ張り棒で天井近くに枷を固定した。
一糸纏わぬ姿で吊り上げられたカナヲの首からすーっと指を一本下ろし、炭治郎は下腹の辺りで止める。
そして濡れているのを確認して、中に指を入れた。
「ぅあっ!」
「カナヲ。もう一回聞こうか。俺はなんて言いたいと思う?」
「ぅあ、たんじろ、ごめ、ごめんなさ……」
「それじゃあさっきと同じじゃないか」
「え、え、ぅあ! あっ! あっ! ぁぁああああああっ!」
いきなり激しく指を動かされ、勝手に準備を終えてしまっていたカナヲの体はすぐに頂点を極める。
がくん、と力が抜けそうになるが、プラスチック製の突っ張り棒が嫌な軋み方をして、慌てて足に力を入れる栗花落カナヲ。
それを見て炭治郎は、笑顔でキスを一つ落とした。
「ちゃんと立ったままでいられたな。偉いぞ」
「ぅあ、はあ、はあ、ぅぅ」
「じゃあもう一回だ。俺はなんて言いたいと思う?」
「え…………?」
炭治郎の質問に、固まる。
さっきと同じ笑顔、さっきと同じ場所で止まった指、さっきと同じ質問。
ということは、もし外したらさっきと同じように………?
―――む、むり耐えられない当てないと当てないと……っ!
「えっとえっと! わ、私の馬鹿……」
「俺が私なんて言うわけがないだろう? そんなところも可愛いけれど、不正解だよ」
「あっ! ああああっ、うあ、あああああああああああっ!」
数十秒で再び果てに飛ばされたカナヲは、体の変なところに力が入って体重を下にかけてしまう。ぎしぎしと嫌な音が上から聞こえるが、上手く力を入れられない。
そして中に入れられたままの手が再び激しく動き出した。
「あ、な、なんでなんでぇ、ぅぅぅうううううううう、っんんあ!」
「そんなに負荷を掛けたら壊れちゃうだろう。ちゃんと立って? うん、そう。偉いな」
あ、ふぁ、と。
もうすでにちょっと呼吸のリズムがおかしくなってきた栗花落カナヲの体を指で貫きながら、もう片方の手で耳や脇を撫でて。
竈門炭治郎は三日月のように笑って言った。
「さあカナヲ。俺はなんて言いたいと思う?」
―――何言っても正解にするつもりはなかったんだけどな。
結局、カナヲがどう頑張っても足に力を入れられなくなったので、適当なところで正解を与えて体を横抱きにする炭治郎。
果てさせた回数は十回から数えるのをやめたが、まだそんなに時間は経っていない。
そして横抱きのまま、今度はアイマスクをかけた。
「ふえ、たんじろ? 見えない、よ……」
「そうだな。見えたらびっくりだ」
そして適当に家中をうろつき、ありとあらゆるドアを開けては閉めて、最終的に床にどっかと胡坐をかき、自分の足の上にカナヲの体を乗せる。
そして耳元で言う。
「さて、色々と歩いたけど。ここは家のどこでしょう」
「………え?」
普段視覚に頼り切っているカナヲは自分のいる場所がわかっていない。
とりあえず暖かいから家だというのは合っていると思うけれど、音もしないし家の匂いだけだし、感覚だけでは到底当てられない。
そして耳元でささやく炭治郎の声が低くなった。
「もしかしたら玄関かもね。あるいはベランダ? 隣との壁が薄いリビングの端かもしれない」
焦らすように体中を撫でる。
「声を出すなら、よく考えてね」
そして激しく、予測不能になる責めに、カナヲは全身を震わせた。
「んんんっ! ん、ん、んぅ! んんんっ!」
「やればできるじゃないか。カナヲはすごいなあ。もっと頑張ってくれ」
「ぅあっ! んう、う、う、ぅぅうううんんんんっ!」
さっきから震えすぎてもうダメになっている体を容赦なく炭治郎に虐められ、目が見えないのでは逃れるすべもなく、カナヲは何度も何度も決定的な痙攣を起こす。
そのたびに炭治郎からは穏やかでいつもより低い声で応援され、それがさらにカナヲの芯を揺らし感度を上げていく。
完全な悪循環に陥ったカナヲの反応に気を良くした炭治郎は延々と手を動かし。
最終的に耳でも果てを迎えるようになるまで、カナヲへの責めを続けた。
そして目隠しを外されたカナヲは、朦朧とする意識で周りを見渡す。
「………し、んしつ?」
「寝室だよ。よかったね」
もう声が聞こえているんだかいないんだかわからないカナヲをベッドに横たえ、自分も服を脱ぐ炭治郎。
「さて、と」
その引き締まった体と、いつもされることを思い出して、それから残された体力も考えて、カナヲは必死で首を横に振った。
「も、むり。ゆるして、降参、こうさんさせてっ!」
それを聞いた炭治郎は、しかし無言で服を畳み。
振り返って笑って言うには。
「降参、じゃないだろう?」
「………え?」
「ほら、不死川先生が言ってたじゃないか。最初にギブアップって言った人が負けだって」
「ぎ、ぎぶあ、んむっ! むぅ、んむ、ぅぅぅううううあっ!」
そしてそれを言わせる前に覆いかぶさり、炭治郎は自らの唇でカナヲの声を喰らった。
「ごめんね。ちょっとよく聞こえなかったな。後でまた聞かせてくれ」
「んんんんん! ぅぅぅあああ、ああああああ! ああ、あああ、ああああああああっ!」
口付けを解いても、あ、とか、う、しか言えなくなったカナヲはもうされるがままで。
結局再び言葉を扱えるようになったのは、炭治郎に三度ほど抱かれた後だった。
ようやくカナヲのギブアップを受け付けた炭治郎は、どうだろうなあと言ってスマートフォンの電源を入れる。
無言の時間が痛いカナヲは、両手を合わせてベッドで丸くなっていた。
―――お願いお願いお願いお願い最下位だけはやめてこれ以上炭治郎に好き勝手やられたら本当に私もう戻ってこられなくなるお願い………っ!
そして。
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―――そして。
すっかり日が沈んでしまった、いつかの時間に。
不死川実弥、冨岡義勇、竈門炭治郎は、薄い笑みを浮かべて。
自分たちの恋人にこう言った。
「お前が最下位だ。腹括れよ、カナエ」
「残念なことだな。縄化粧だ、しのぶ」
「今度は昼からお仕置きだな、カナヲ」
最初から。
逃げ道なんて用意されておらず、許されるなんてなかったことも。
男三人によって仕組まれた出来レースであったことも。
ゆえに勝ち目なんてなかったことも知らず。
まんまとはめられ堕とされた胡蝶家三姉妹は、別々の場所で同じように目の前が真っ暗になるのを感じていた。
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それからさらに一週間後。
なかば祝勝会のような感覚で、義兄弟は居酒屋に集まっていた。
そしてホテルで別れた後の顛末を報告し合うと、不死川実弥と冨岡義勇は珍しくお互いの顔を見て頷き、
「竈門、お前が一番やべぇ」
「お前はすごいな、炭治郎」
言われた炭治郎は苦笑いを返す。
「あはは………、なんででしょうね」
「あははじゃねぇだろうがよ。つーかお前嘘付けたのかよ」
「なんかああいうときはできるみたいです。可哀想かなとは思うんですけど、途中からどうにも止まらなくなってしまって」
「まあ気持ちはわからなくはねぇけどよぉ……。借りたばっかの枷をそんなに使いこなせるかね、普通」
これ以上の追及を避けたい炭治郎はぐいっとビールを飲み干して不死川を向く。
「それで、そのあと不死川先生のところはどうしたんですか?」
「ああ、あのあとはな―――」