美術教師の直感
美術室を任されておきながら職員室に入り浸りがちな宇随天元は、最近、不死川実弥と胡蝶カナエの様子がおかしいことに目ざとく気づいていた。
仕事に支障が出ているわけではない。二人とも、単体での動きは至って普通だ。
だが、二人揃えるとなんとも妙な甘黒い空気が漂う。
今までは、カナエがなんだかんだ理由を付けて接近し、それを不死川がかわすというループだった。
ところが最近はそれがぱったりとなくなった。
そして不死川のほうはと言えば、故意に接近する素振りこそないものの、偶発的に会話になった時の距離がやけに近い。覆いかぶさるというか、妙にまとわりつくような質の声を出すというか………。
派手に面白そうなことになってんじゃねぇの、と宇随は行動を開始した。
「不死川? いつも通りじゃないか?」
善は急げと、宇随が最初に捕まえたのは冨岡だった。
「そう言うなって。お前らいがみ合っているようで実は仲良しだろ。もうすぐ義兄弟にもなるわけだし」
「そうだな。家族が増える」
「その言い方ちょっと含むところあるからよそで使うなよ?」
冨岡よ。おめでたはもう少し控えておけ。胡蝶しのぶの名声がこの学園に残っているうちは。
なんて思いつつ、宇随は引き締まった冨岡の首に腕を回す。
「わかった。確かにお前からすればいつも通りなのかもしれねぇ。でもこっちは不死川と密に連絡とってるわけじゃねぇんだ。気づいてんだろ? 明らかに職員室でカナエとの様子がおかしいじゃねぇか」
「それは………言えない」
「なんで」
「不死川の性事情を軽々しく暴露するわけにはいかない。俺はカナエとは違う」
もうその時点でアウトに等しいんだよこの馬鹿め。
「それに俺は次の授業の準備で忙しいんだ。しのぶは許してくれたが、最近さらに栗花落の態度が硬化してしまってな。これ以上嫌われるのは避けたい」
「お前の評価なんてあらゆるところで派手に最低値を割り込んでんじゃねぇか」
「俺は嫌われていない」
「自慢の嫁さん三人に頼み込んで、お酌してもらえるように手配してやってもいいぞ」
「浮気はしない」
「鮭大根だってたらふく出してやる」
「………それなら仕方がないな」
びっくりするほど安い釣られ方するなぁコイツ。
そして宇随天元は冨岡から一切合切を聞いた。
曰く、お互いの恋人を交換しての飲み会を盗聴しているだの。
曰く、改善の兆しも心持ちの変化もなかったようだから、三か月ほど前にお灸をすえただの。
曰く、不死川が何をやったかは知らないが、それ以来あんな感じなのだと。
曰く、冨岡自身は不死川から貸し与えられたアダルトグッズでしのぶを責め落とし、それ以来カナヲからの評価が地に落ちただの。
そこそこ先だが、未来の義妹へどうやったら名誉挽回できるだろうかと尋ねてくる冨岡を軽くあしらい、宇随はひとしきり笑って、それじゃと冨岡を解放する。
するとその腕を、今度は冨岡が掴んだ。
「宇随、美術室にカセットコンロはあるか?」
「あ? あー、なんか準備室に転がっていたような気がするが」
「鍋は?」
「さすがになかったような気がするなぁ、家庭科室に行けば借りられると思うけど、それがどうしたよ。早めにホワイトデーの準備でもするのか?」
「いや、急ぎではないが煮たいものがあってな。鮭大根は頂くが、お酌はいらない。代わりに美術室を一時貸してくれ」
「俺の嫁さんの酌を断るなんて派手にもったいないことするじゃねぇの。で、なに? ついに自力で鮭大根に挑戦するのか?」
「鮭大根はしのぶのが一番うまい。そもそも俺がするのは料理ではない」
………だめだ、わからん。
どうせその場に居合わせるんだ、いずれわかるだろうと追及を切り上げた宇随天元。
そして数日後の放課後。
「冨岡お前マジか派手にぶっ飛んでて最高じゃねぇの! そういうの大好きだぜ、っはっはは、ぶぁっはっはっはははは!」
「見たかしのぶ俺は嫌われていない」
肺活量の化け物という別名に恥じないド派手な笑い声が、美術室から学校中にしばらく響き続けることになった。
冨岡にはもう一生分と言っても良いぐらい笑わせてもらったが、不死川はどうしようかね、と宇随天元は微苦笑する。
ここで色々つつくのも面白いかもしれないが、いつでもふわふわ天然魔性のカナエが借りてきた猫状態になっている現在も、地味な割には面白い。不死川も楽しんでいるようだし、まあしばらくは………。
「静観で良いか」
業務が終わり、行きつけのドンキで色々物色しながら、宇随はそう結論付けた。
結論付けたが、やっぱり少しの物足りなさはあって。
今夜は嫁さんたち巻き込んで派手に飲むかと、半分パーティーグッズ扱いされているスピリタスをどかどかとカゴに入れてレジに向かう。
そして向かったレジカウンターで。
なにやら背筋を縮こまらせて並んでいる一羽の蝶の髪飾りを見て、宇随は再び、腹の底から笑いがこみあげてくるのを感じていた。
―――ああ、お前らみたいなバカップル、マジで大好きだぜ。
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薬学才女の葛藤
恋人である義勇さんにはもう全部バレた。
つい先日のことだ。こってりと絞られたときの記憶が再び蘇り、しのぶは頭も体も煮えたぎりそうになるのを、歯を食いしばってこらえた。半期に二回、成績に強く影響する試験中にまで思い出すなんてなんたること、と埋まり切った答案の端をぎしぎしと乱雑に伸ばす。
―――だいたい、自覚する前にバレるなんてとんでもないことですよ。あの朴念仁の皮をかぶった人狼め。
なんて頭の中で思う。実際にはあれは三か月ほど前のことで、もう先日なんて距離ではないのだが、負けん気の強いしのぶのこと。やられたことはいつまでも覚えていた。
のだが。
「ふぅぅ、ふぅぅぅっ……」
試験も終わり、そそくさと帰ってきて、現在は自室。義勇さんは最近忙しいらしく、仕事が長引くとかでまだ帰ってこない。
今日も今日とてあの時のことを思い出し、あらぬところに手が伸びそうになるのを、しのぶは必死に抑えていた。
先日の、アレ。思い出すたびに、頭も体も煮えたぎる。だが最近、その状態に変化が訪れていた。
しのぶが先日と言っているあの仕打ちが、一般的にも先日と呼べるぐらいの直後には、頭の方がぐらぐらと怒りで熱くなっていたのに。
最近ではなぜか、体の方が強く反応してしまうようになっていたのだった。このまま悪化していけば勉学も手につかなくなってしまいそうなほどに。
さてここで。
胡蝶しのぶがあるいは胡蝶カナエのような心根を持っていれば、恥ずかしがりながらも恋人に懇願するという方法もあっただろう。
だが、胡蝶しのぶは胡蝶しのぶ。負けん気の強さで今まで欲しいものを手に入れ、立ち塞がる障害をなぎ倒してきた歴戦の才女。
恋人とはいえ、涼しい顔で自らを追い詰めてくる冨岡義勇に白旗を上げるなど言語道断であった。
そんなこんなで、家から少し離れた某なんでも屋に、胡蝶しのぶは赴いていた。
義勇さんからの責め、不死川先生との飲み会、そしてカナエ姉さんが言っていた情事のこと。
思い出してまた太ももが内側に向きそうになるのをなんとかこらえ、しのぶは一つの足掛かりを見出していた。
不死川先生が姉さんにやっていたなかで、まだ義勇さんにやられていないこと。
そして、しのぶはコスプレ衣装のコーナーで仁王立ちをキメる。
こちらから白旗をあげるなど許されない。
だがもし、もしもだ。たまたましのぶが着ていた服に義勇さんが理性を飛ばして襲い掛かってくるなら、それはもう仕方がない。負けではない。ノーゲームだ。いや、むしろ向こうが先にしびれを切らしたということだから実質こちらの完勝である。
「となると、どれがいいかですけど……」
水着、は家にあるからわざわざ買うでもない。そして冬には寒い。
警官は、どうなのだろう。少し堅すぎる気がする。
ナース服は刺さる人には刺さるのかもしれないが、私の性格に合うだろうか。姉さんになら、すごく合いそうだけれど。
バニーは……ちょ、っと保留。べつに怖気づいたわけじゃないですが!
ああだこうだと色々考え抜いて、最終的にしのぶが選んだのは、女性らしさを強調するように改造された制服だった。
―――目を覆いたくなるような魔改造ぶりですけど、一応制服ですし。これならそんなに異常じゃないはず。………はず!
セルフで言い訳みたいなことを言って首を振る。別にもう異常でもいい。買ってエコバックに入れてしまえば誰にも見つからない。
今夜は覚悟していてください! 義勇さん。
小さなこぶしを握って気合を入れる胡蝶しのぶ。
―――そして。
レジカウンターで美術教師の宇随天元に発見され、計画はしょっぱなから木っ端みじんに砕け散った。
「おい胡蝶妹。ド派手に笑っちまったのは謝るから機嫌直せよ。もう誰も信じないみたいな目でこっち見ても過去は変わらねぇぞ」
「こんなはずじゃなかったんです、こんなはずじゃ……っ!」
事故現場からほど近い喫茶店。
とりあえずご機嫌取りにと注文された小型のパフェにスプーンを突き刺し突き刺し、胡蝶しのぶはぎりぎりと奥歯を噛み締めていた。
「ていうか結局買わなかったのか?」
「知人に見られながらあんなの買えるわけないじゃないですか!」
「そうか? 俺は人間らしくて良いと思うけどな」
「人間ってなんだか知ってます?」
ざっくざっくとやけ食いに走るしのぶに、宇随はちょっと悪いと思ったのか、万札を一枚テーブルに滑らす。
「笑っちまった詫びだ」
「………パフェ代には多いですよ」
「余った金でどうしようがお前の勝手だ。財布に入れようがさっきの店に戻って服を買おうがな。そしてこの祭りの神がド派手に助言を与えてやる。いいか胡蝶妹。迷ったら巫女服だ。お前は巫女服を買え」
「別に宇随先生の好みに合わせるつもりはないんですけどね」
「ちげぇよ、それ使って冨岡になんかするんだろ? だったら俺の言う通りにしろ、そしたら今夜は派手派手だ」
それだけ言うと、アホの神は帰っていった。
自然にレシートを抜いていく立ち振る舞いはさすがに大量のチョコを毎年もらっているだけはあって、頼るべきなのか警戒するべきなのか、つかみどころのない宇随のアドバイスに胡蝶しのぶはうむむと唸った。
買ってしまった。そして着てしまった。
着方は説明書を見ながら、というか元がパーティーグッズなのでそんな複雑でもなく。
洗面所で鏡に映る自分を見て、胡蝶しのぶはくるりと回る。
まあなるほど、悪くはない。ような気がする。
かたっ苦しい感じもなく、似非制服みたいに着ていて恥ずかしくなるほどの露出度もない。ナース服よりは自分に似合うだろう。さすがは宇随先生なのかもしれない。
ふむと頷いていると、義勇さんが帰ってきた。
一度着てしまえば、あとは特段やることはない。
しのぶ立案の作戦の良い所は、たとえコスプレが義勇さんの琴線に触れなくても、趣味と押し切ってしまえばしのぶにダメージが及ばない所にあった。巫女服なんてそれこそ、正月バイトを考えているんですとでも言っておけば煙に巻ける。
「おかえりなさい義勇さん。お夕飯まだですよね?」
「ただいま。………しのぶ?」
お? 好感触?
ひらりと袖が舞うように意識して、しのぶは口元に手をやった。サービスでちょっと袴も持ち上げてやる。
「どうですか義勇さん? 試験明けですし気分転換です。似合いますか?」
義勇さんは荷物を玄関において中身をごそごそとやった後、取り出したものを後ろに隠して、もう片方の手でしのぶの頭に手をやる。
「よく似合っている」
「ふふ、ありがとうございます。実はお風呂もいただいてしまって、もうすることもなくて。今日はこのまま寝ようと思うのですが、いいですよね?」
「ああ」
そして義勇さんは、後ろで隠していたものを前に持ってきた。
薄い茶色でそれなりにずっしりとしているそれは。
「………なんですか、その縄?」
「毎回不死川を当てにするわけにもいかないからな」
ぐい、と頭に乗っていた手で肩を掴まれ寝室に連れ込まれ、胡蝶しのぶは目を白黒させる。
「え、ちょっと義勇さん、よく意味が分からないといいますか………っ!」
「しのぶ。お前が最近、欲求不満なのは知っている」
「欲求不満なんかじゃないですし!」
叫ぶが、義勇さんの瞳は凪いだまま。
「ではなぜ勉強中に息が荒くなる。なぜコスプレなんぞ唐突に始めた。そしてなぜ、今しがた袴を持ち上げたんだ。納得のいく説明が他にもあるなら教えてほしい所だ」
「………違うんです」
「なにも違わない。だが安心しろ」
するすると縄をほどいて、義勇は笑う。
「鱗滝門下の古参として、そして体育教師として、最低限の捕縛術は修めている。痛みは抑えるし血流も止めない」
「違うんです違うんです違うんです! だいたい買ったばかりの縄なんて毛羽立って使えるわけないじゃないですか!」
「ちゃんと煮た。宇随に教わりながら手入れもした」
う、ずい………ですって?
それにしても、と義勇さんは本当にうれしそうに笑う。
「ちょうど折よく、巫女服とはな。これほど縄に合う衣装もそうないだろう。やはり息が合うな、しのぶ」
「あ、あ、あああっ」
図られた………っ!
胡蝶しのぶは、ようやく気付く。
美術教師、宇随天元。
彼は決して頼るべき存在ではなく、最大限の警戒をするべき敵でしかなかったことを。
ベッドサイドまで追い詰められ、もう恥も外聞もなく胡蝶しのぶは義勇にすがる。
「待ってください違うんです! これは罠です聞いてください義勇さん、てきぱき縛ってないでホントにちょっと待って一回話を聞いてください!」
「いやだ」
最後の頼りの義勇さんは、さっきまで凪いでいたはずの目に溢れんばかりの欲を湛えていて。
完全に詰んでいる状況を再認識させるように、しのぶの四肢と心は、義勇によって絡め取られていった。
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過保護童貞の妄言
冨岡から受け取ったブツで甘露寺との初体験に臨むなど考えただけで吐き気がする。
甘露寺蜜璃と栗花落カナヲを送迎した帰り。
伊黒から血走った目で詰め寄られて、不死川実弥は深夜のドラッグストアに半ば拉致されていた。
「まあお前の意見には同意なんだけどよォ、何で俺が付き合わねえといけねえんだよ、テメェ一人で買えやァ」
「それでもし間違えたらどうする、傷つくのは俺じゃなくて甘露寺なのだぞわかってるのかこの馬鹿め」
「もう冨岡呼んで帰っちまおうかな」
「助言係より俺がやらかしたときの介錯の方がいいというのなら俺を見捨てて帰れば良いじゃないか逃さないがな」
そんなこんなで男2人、深夜のドラッグストアで、あれやこれやの棚の前に並び立つ。
が。
「おい、おい不死川」
「あァ?」
「0.02が標準の薄さなのか? 正気か馬鹿じゃないのか? 破れたらどうしてくれる責任取れるのか取れる訳ないだろうふざけるな」
「まともにやってりゃ破れねえよ心配すんな」
「最大でも0.03じゃないか本当に腐りきっているな何が極薄だこの馬鹿どもめが。最低でも3センチぐらいあるべきだろうが極厚のコーナーはどこだ教えろ」
「あるわけねぇだろこのポンコツが! そんなもんただのゴムの棒じゃねえかマジで落ち着けェお前!」
「大声で棒などと叫ぶなこの破廉恥めが。そして今少し甘露寺で想像しただろう死なす表に出ろ」
「もういいからさっさと0.03買え、そんで帰らせろマジで」
「というか冨岡に渡されたのは0.01だったんだがどういうことだ、あの屑め今度一回本気で死なす」
「その時は俺も呼べ」
バイトの店員が恐る恐るといった調子で様子をうかがっていることも、監視カメラが回っていることも気にせず、すったもんだはさらに続く。
「おい、おい不死川」
「あァ!?」
「この、ローションという奴は何箱買えばいい?」
「もう好きにしたらいいんじゃねえの」
「潤滑剤、兼、保護液なのだろう? ならあればあるほどいいじゃないか。ちょっと在庫を尋ねてみる」
「待てェ! 頼むから俺がいない日にしろぶっ殺すぞ!」
「だが棚に5個しかないぞ、万が一を考えたら全然足りないだろう」
「一個で足りるに決まってんだろうが! こ、このバカ、バァァカ! 元教え子になにさせる気だお前!」
「おいお前今やっぱり甘露寺で想像しただろうぶち殺してやる表に出ろ」
「上等じゃねえか返り討ちにしてやるよこの童貞野郎がァァァ!」
見かけによらず我慢強い不死川の忍耐もついに限界を迎え。
お互いに絶対に恋人には見せられない醜態を晒しつつ、やたら世紀末臭の漂うドラッグストアの夜は深まっていく。
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難題女衆の偶然
『一号店、二号店での大盛況を受けて、満を辞して来週より、この街に関東最大級のフィットネスジムがオープンします! 日々の運動が不足していると感じる奥様方やガッツリ鍛えたい学生さんなど、多様なニーズを満足させる設備と豊富な知識を持つインストラクター達が人気の秘訣!
ご興味を持たれた方は、来週末の体験コースに是非ご参加ください! 女性限定コースもあります』
というチラシが新聞に挟まっていたのが先週のこと。
「「「「…………」」」」
件のジムの女子更衣室で、旧姓胡蝶のしのぶとカナエ、甘露寺蜜璃と栗花落カナヲは何とも言えない顔でお互いを見つめていた。
もう全員、何のためにここに来ているのかは分かっていた。
「か、甘露寺さんも来てたんですね」
しのぶの発言に、甘露寺はもにょもにょと答える。
「ちょっと、ちょっとだけね! 体力不足を痛感してね……」
「伊黒先生は、何というか拗らせてるから……」
とはカナヲの言。しのぶもそれは同意だけど、まさか甘露寺さんが体力的に不安を覚えるほどだなんて。
「私はカナエ姉さんが来たのが意外。不死川先生、まともそうなのに」
「それは誤解です。あんな腐れ白髪」
「しのぶ、言い過ぎよ。でも、うーん、まあ……、あはは。長男だからかしらね……」
カナエの言葉に、カナヲは想い人が持つ太陽と月の二面性が脳裏によぎって、それきりなにも言えなくなる。
もう一度お互いを見渡して、お互いの恋人を思い出した。
不死川実弥(嗜虐癖)
冨岡 義勇(善意の暴走、極)
伊黒小芭内(善意の暴走、狂)
竈門炭治郎(サディスト)
「今度、女子会でもどうかしら………?」
カナエの一言に、全員こくこくと頷いて。
とりあえず急務の体力増進のために、いそいそと着替えを再開した。
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さらに広がる
そして久々に健全な汗をかいて戻ってきた胡蝶しのぶと栗花落カナヲの下に、それぞれ一通のメールが届いてきていた。
「あら、アオイから。珍しいですね」
「禰豆子からだ。なんだろ」
そして内容を見て。
胡蝶しのぶは青筋を立て、栗花落カナヲはどうしたらいいんだろうこれ、と途方に暮れることになった。