蟲姦
洗脳
苗床
こちら側限定
13番しあわせのあったばしょ及び14番リマスター版に関連
『あぁっ♡ 私、おかしくなってますっ♡ おかしいって分かってるのに……っ、団長さんより、この害虫の……害虫様の方が欲しくなって……♡ ん、むぅ…っ♡』
巨大で醜悪な虫に唇を奪われた花騎士の瞳が蕩け、自ら舌を絡ませていく。
表皮から漏れ出した油脂で照り光る虫の贅肉が、これは自分のものだと主張するかの如く美女を包み込む。
在ってはならない、忌まわしき虫の陽物が愛しい人の女陰に深々と突き立てられた事実が、時間と距離を隔てた所で起きてしまった証拠が目に焼きつけられていく。
射精を受け、膨らんでいく彼女の腹。甘い喘ぎを漏らす彼女の口とは対称に自然と我が口から溢れ出す絶叫。斬り刻まれた心が上げる断末魔。現実への拒絶、もうやめてくれという無駄な懇願。だがどうにもならない。
とうの昔に起きた事実を映す幻影に崩れ落ちる我が身、今にも途絶えそうな意識に絶望が叩きつけられる。
『こうしてっ、私の身体を、害虫様に捧げるのがっ、あぅっ♡ 嬉しくてっ、気持ち良くてっ、しょうがないんですっ♡』
その言葉が嘘ではないと解ってしまう。
自分だけが、俺だけが向けられる特権を持っていた筈の、恋する乙女の顔で、俺の妻となる筈だったオオオニバスが、憎むべき敵と、抱き合っていた。
半年以上経った今でも夢に見る、現実に侵攻した悪夢の世界だった。
可哀想に。
表情でそう雄弁に語る副団長からの報告を受ける。上層部から命じられた任務の遂行状況。誰某の部隊が討伐を終えて無事帰ってきた。何処其処での作業の進捗は如何ほどか。オシロイバナ、ナイトフロックス、ツキミソウの部隊が中々帰ってこない……等。
それと自分の私情で我が騎士団に押し付けている、無理難題の経過報告……今日もオオオニバスは見つからなかった、と。
机の上にある汚れた蛙のぬいぐるみを眺めながら、陰鬱な溜息を漏らす。自分が嘗てオオオニバスに贈り、彼女が攫われた所に遺されていたものだ。
報告を終え、それでも何か言いたげに昏い表情を浮かべる彼女を下がらせる。言い淀んでいる言葉……オオオニバス捜索中止の進言を封じる為に。
解っている。もうオオオニバスは戻ってこない。自分と同じ境遇の騎士団長同士が集まった時に知り合った我が友人……『寝取り害虫博士』等と仇名される、特定の害虫集団にだけ本職の学者並かそれ以上の知識を持つ変態騎士団長の言う通り、既に制限時間は過ぎてしまった。
脳に寄生する害虫に操られ、あの汚らしい豚芋虫を愛させられてしまったオオオニバスを元に戻す為には、早急な治療が必要だった。
だがもう彼女が奪われてから約一年。もうどうしようもない。寄生虫を薬や魔法で除去しても、作り変えられた脳は人為的な治療が出来ないのだから。
つい先日、婚約者であったネリネという花騎士を奴らから奪い返したベルガモットバレーの騎士団長がいる。だが寄生虫を薬で除去してからも、ネリネは涙を流し続けている以外はまるで人形のように無反応になっているらしい。
完全な無反応ではなく、反応を示す時もあったという。ただそれは忌まわしい事に、彼女が身を挺して逃した子供達を見た時だった。
害虫と花騎士の間に産まれた蠍だか人間だか判らない化物共は、まるで親子の情があるとでもいうかのように、母親を密かに追跡してきていたそうだ。今もしつこく駐屯地近辺の何処かに潜伏している子害虫共は、一度だけネリネを保護している部屋にまで侵入した事があったというが、その時だけネリネは生気を取り戻し、我が子と共に団長や花騎士らに敵意と容赦無い攻撃を叩きつけた。そして子虫共が母親奪還に失敗し敗走してからは、再び人形のように動かなくなった。
現在は例え子供らが母親を取り戻しに来ても大丈夫なよう、首と手足を枷と鎖で繋ぎ、少々特殊な犯罪者用の拘束衣で身動きを封じられている。ベルガモットバレー奥地で伝承される鬼のような人ならざるものへと変異してしまった輩や、様々な理由で人類への反逆を企てるようになってしまった花騎士の犯罪者等を戒める為の、拷問器具じみた拘束具で。執務室に新たに設えられた、小さな牢屋の中に。
被害者の体験談……害虫への憎悪、嫁となる筈だった相手への執着、それらに正気を砕かれ狂ってしまった彼の話を聞いて尚、オオオニバスをまともな姿で取り返せると思う程、自分は愚かではない。
無事な奪還が無理だと分かりきっているから以外にも、花騎士達が捜索を嫌がる理由はある。自分がオオオニバス捜索に関して出した条件には、『彼女の生死は問わない』というものがある。
要するに、我が騎士団員達は、仲間であったオオオニバスを見つけ次第、殺害して、身体だけ俺の下へ連れてこなければならないのだ。
異常なのは自分でも分かる。花騎士達を苦しめているだけなのも解っている。ただ、それでも、身柄だけは。心は取り戻せなくとも、彼女の身体だけは、取り戻したかった。
心はいらない、例え命を奪ってでも身体だけ手に入れたい。まるで出逢ったばかりの頃のオオオニバスのような考え方だなと思い、これ程までに未練たらしい自分に苦笑すら湧かない。
もう無為な捜索など止めるべきだとも思ってはいる。先程のオシロイバナ達の部隊の件もそうだが、もっと気を裂き注視せねばならない事柄は幾らでもある。わかってはいるんだ。しかし、どうしてもその決心がつかないのだ。なにか、大きなきっかけでもないと。
惨めな気分と焦燥感を振り払うべく、残る雑務に掛かろうとした、その時だった。
団長さん逃げてーーー外で誰かがそう叫んだのが届くや否や、爆発らしき音が響き渡り、全身を振動が駆け抜けた。
強烈な衝撃が襲いかかり、意識が途切れた。
目を覚ましたのはどれほど経った頃だろう。全身の痛みを堪え、自分を覆い隠す形で崩落していた壁の残骸の下から這い出す。
壁が無くなり滅茶苦茶になった室内。運良く瓦礫に潰されていなかった愛しい人との絆の残滓である蛙のぬいぐるみの無事を確認し、何があったのかと考える。
オシロイバナが新型の爆弾に用いる爆薬の調整を間違え、訓練場の外壁を破壊してしまった時の事を思い出す程の破壊の痕跡。よく死ななかったものだ。
他に爆弾を使う花騎士は我が騎士団にはいない。最近加入した新人や准騎士達の中にもいなかった筈だ。そもそもオシロイバナはまだ任務から帰ってきていない。
まさか害虫の襲撃か。だが、花騎士が大勢集まる駐屯地を奴らがわざわざ襲うというのも妙な話だ。それとも害虫や異界の魔物、スライム等の謎めいた幻獣類を崇拝する狂信者のテロだろうか。
そんな事を考えていると、甲高い悲鳴が耳に飛び込む。部下達の絶叫。
「うぁぁぁ! が……害虫が廊下を練り歩いてるっ!」
反射的に残骸同然の扉を開けて飛び出すと、執務室同様、そこかしこが破壊されて滅茶苦茶になった城内と、負傷し倒れた花騎士達。そして彼女らにのしかかり、汚い油を滴らせる芋虫型害虫共がいた。
まさか本当に駐屯地が害虫の襲撃を受けていたとは。しかもあの害虫共、オオオニバスを連れ去った忌まわしき豚芋虫に似ている。彼女が攫われた所に広がっていたものと酷似した、焦げた臭いと饐えた油を想起させる臭気が混ざって鼻を突く。
自分が困惑する間にも、花騎士達は興奮した様子の害虫共に抑え込まれていく。
「ひいいいい! 嫌アアアア! やだっ、害虫になんて……ぐぐぅっ!?」
新人花騎士の一人が壁際に追い詰められ、粘液を溢す虫の顎部と自らの口を口付けするように継ぎ合わされ、汚汁を飲まされながらくぐもった悲鳴を漏らす。
「痛っ、痛いっ! おっぱい乱暴にしないでっ! 噛むのも吸うのも駄目ぇっ、おっぱい出ないからあぁっ!」
騎士学校を卒業したばかりの年齢にそぐわぬ豊満な乳房、かのゼラニウムやグロリオサ、イソギクにも勝るとも劣らない胸をした准騎士が押し倒され、破れた服からまろびでた乳に勢い良くむしゃぶりつかれて泣き叫ぶ。
「ぶふっ、げほっ、う゛おえっ! 臭いっ、気持ち悪いっ……こんな、害虫の精液なんて、飲めませ……ひぃっ!? わ、わかりました、あなたの精液、ちゃんと飲みます、おちんちん、ちゃんとしゃぶります、だ、だから、殺さないでぇ……」
肢以外の節足が体側面から生えているという、芋虫型としては珍しい種類の輩に斧状の爪を首筋に当てられ、脅され口淫を強要される新人。
戦いに敗れた花騎士が体験する、最悪の結末の一つ。それが苗床化。本来人間の子を孕み育てる為の子宮で、怨敵である害虫の子を育まされる生き地獄。それが騎士団の駐屯地内に顕現させられようとしていた。
だが、苗床化は通常、害虫共の巣に連れ去られてから行われる筈だ。こんな花騎士だらけの場所で無防備に交尾をするなど、本能に忠実である害虫共だからこそ考えにくい。それも、すぐさまの挿入をせず、こんな前戯や口淫までするなんて。花騎士を苗床にする種類の害虫共でも滅多にしない。
そこまで考えた所で、ふと先日仕入れた知識が脳から引き出される。あの芋虫共は、寝取り害虫の群から離れた第二世代かもしれないと。つまり……オオオニバスの、息子達かもしれないと。
苗床にされた花騎士の体質や加護にも依るのだが、寝取り害虫が花騎士に産ませた幼虫共は、父親やその仲間の虫達とは違った嗜好を持つ事があるらしい。花嫁花騎士に限らず、人間の女性全般を苗床にするという、害虫の中ではありふれたものに。
そして敵陣中央での不用心な交尾についてだが、これは母親である花騎士が関係する。寝取り害虫の花嫁にされた花騎士が第二世代共を先導し、自らが嘗て所属していた騎士団を襲わせる。この時に害虫の子供達は母親から、其処が見合い会場であるかのような説明を受け、それを信じて無防備な淫行に及ぶそうだ。尤も、これは全ての事例がそうであるとする確証は無いらしいが。
これらの事を踏まえ、想定が正しいとすると、今此処に、オオオニバスが来ている事になる。害虫共を招き入れた、裏切り者として。
間違いであってほしい。例え洗脳されていたとしても、オオオニバスが俺達に絶望を齎しに来るなんて。
俺の願望は、最悪な形で裏切られた。
「蛆虫ですっ! 私は悪臭を放つ糞にたかりこの世で最も汚く蔑まれる蛆虫でございます!!」
「は? 花騎士の分際で害虫様より上だとでも? 調子に乗らないでくれる?」
「ひぃ……も……申し訳ありましぇん……」
手足をあらぬ方向に向けた血塗れの花騎士が、臨月腹を抱えた女に胸倉を掴まれて失禁している。自分を蛆虫とまで卑下して怯えきった姿は、その妊婦が我が騎士団で副団長を務めていた頃に良く見かけていたものだ。
花騎士が放り出されると、すぐさま芋虫の一匹が駆け寄り捕らえてしまう。
「うぅ……みんなぁ……やっぱり私達じゃオオオニバス前副団長には勝てないんだ……一方的に私達は苗床にされるんだ……悔しいだろうが仕方ないんだ……」
「煩いなぁ、この屑肉……はぁ……そろそろ無駄な抵抗、やめてくれないかなぁ。貴女達、ご主人様と私の大切な赤ちゃん達に娶られるのに、何が不満なのよ」
騎士団長だけでは害虫に対処出来ない、救助の為にも無事な花騎士達に合流しなければならない。そう言い訳して新人達を尻目に逃げた自分が出くわしたのは、先の仮定が正しかった、いやより酷い状況だったという最悪の現実。
負傷しながらも副団長を中心に抵抗し、しかし一人また一人と不気味な芋虫と人間の混合物に捕獲される花騎士達。
「この子達みたいに、私の子供に愛されてくれるだけでいいのに」
そして彼女らと相対している醜い豚芋虫共の内、比較的巨大なもの共に抱き締めるように持ち上げられ、犯されているオシロイバナ、ツキミソウ、ナイトフロックスの姿がある。帰還が遅いと報告を受けていた部隊、その三人の腹は大きく膨らみ、妊娠線まで走っている。いや、それどころか、いつ産気付いてもおかしくない臨月腹だ。
任務に出てから孕まされたにしては、あまりにもその腹の膨らみ方が早過ぎる。害虫の幼体の成長速度から鑑みるに……受胎そのものは、今回の任務に向かわせる前に為されていた筈。とうの昔に、三人揃って奴等の魔の手にかかり堕とされていたのだろう。
騎士団長ならば、所属花騎士が害虫の虜にされているなんて、気付いていて当然なのに。俺は見落としてしまっていたのだ。言い訳のしようもない、あるまじき失態だ。
「お、オオオニバスさんのっ、仰る通り、ですっ♡ 皆、さんっ、抵抗、なんてっ、しないで下さいっ♡ 害虫様はっ、ああっ♡ 皆さんに、お嫁さんに、なってほしいっ、だけなんですっ♡ 赤ちゃん、産んでほしいだけ、なんですぅっ♡ 受け入れてっ♡ 害虫様の求愛っ、受け入れて、下しゃ、ああぁぁっ♡」
「旦那様、のっ、お嫁さんになるとっ♡ 毎日、気持ち良くて、幸せで、今もっ、オチンポ様でオマンコじゅぼじゅぼされてっ、おおおぉっ♡ オ、オマンコっ、オマンコイクっ♡ 妊娠オマンコを害虫様オチンポでぐちゃぐちゃにされて、またイクぅぅっ♡」
「見えますかっ♡ 見て下さいっ♡ 私のパンパンに膨らんだお腹っ♡ 中に害虫様の赤ちゃんがいるんですっ♡ 本当のお母さんになれたんですっ♡ 赤ちゃん、こんなに大きくなって、どくんどくんって心臓の音を届けながら元気に動いて、早くお母さんに会いたいって伝えてくれてっ♡ 心の底から、暖かくなるんですぅぅっ♡」
虫の陰茎に突き上げられ、三人の腹が激しく弾む。人間ならば流産してもおかしくない乱暴な扱いにも、害虫共の幼体は耐えてしまう。
蕩けるような艶声や悍しい戯言で降伏を訴える堕落花騎士の姿に、副団長らは青褪めて慄く。中にはその場に嘔吐している者もいる。
普段は気弱な態度のオシロイバナが、快楽に溺れながら堕落を教唆する。清楚なツキミソウの、精神崩壊すら思わせる嬌声。冗談で母親扱いされる事の多かったナイトフロックスが謳う、害虫の子供を宿した慶び。
「ほら、解ったら全員武器捨てなさい。これ以上余計な手間かけさせたら、達磨にするから。勝てないなんて、わかりきってるわよね?」
極めつけが、自らも蛙のように張った腹を抱えながらも害虫共と堕落花騎士らの先頭に立ち、斧を構えて気怠げに元仲間達を睥睨する前副団長……オオオニバスの姿。害虫に苗床とされたとは思えない力強い姿。この騎士団で最強だった頃のまま、敵として立ちはだかっている。
これだけのものを見せつけられて尚も平然と戦えるのは、それこそ任務自体が死ぬ事前提の各王家直属の汚れ仕事専門の部隊、仲間の裏切りなど珍しくもない傭兵達くらいだろう。事実、四人の有様と完敗寸前の状況で達磨にすると宣言された花騎士達の大半は、心が折れて今にも武器を放り出しそうになっている。
このままでは本当に全滅だ。急いでその場に駆け出ようとしたーーーのだが、どうしてか、足が動いてくれなかった。
その所為で、対応が遅れてしまった。
「あー!! もうだめだわ!! ぜつぼうてきよ!!!」
事もあろうに、部隊の中心となっていた副団長が恐怖に負け、頭を搔き毟り狂ったように叫びながら仲間を盾にして逃げ出してしまったのだ。オオオニバスは結婚を期に花騎士を引退する予定だった為、役目を引き継ぐべく現副団長をしごいていたのだが、こと戦闘に関しては最後までオオオニバスの足元にも及ばない有様だった。辛い、もう少し手心というものを、と日々泣き言を漏らしていたが、心的外傷となる程だったのか。
唖然とする花騎士達、その合間を縫って飛来する斧。無防備な背面からの投擲で、副団長の両足は断ち切られてしまった。
足を喪い噴き出す血。構わず地面を這い進んで逃げようとする彼女だが、害虫共は容赦無く捕らえてしまう。
幼子の様に泣き叫んで藻掻いていた副団長は、害虫の脂分塗れの体液を切断面に舐め付けられて無理矢理な止血をされながらも逃げようとしていたが、やがて大量出血の所為で気を失った。
唖然とするばかりであった花騎士達であったが、なんたる事か、一人、また一人と武器を投げ出し、顔を引き攣らせて降参の意を示していく。ただ苗床にされるのと手足を失くして苗床にされるのでは、前者の方がまだマシというのは解るが。
この期に及んで、俺は適切に指示すればまだ何人かは逃がせるかもしれないと思い、その場に飛び出そうと試みた……が、足が動かなかった。俺も恐怖に負けていたのだ。
そもそも俺は何故あんなにもオオオニバスを捜索していたのに、自分の騎士団だけで事を運ぼうとしていたのか。長として酷い言い草ではあるが、我が騎士団の花騎士らはオシロイバナやツキミソウ、ナイトフロックス等の一部を除けばさほど優秀とは言えない。士気の低さも相まって、彼女を取り返すどころか見つける事も不可能に近いのに。
簡単な事だ。奪われてしまったオオオニバスに再会するのが怖かったからだ。洗脳されているとはいえ、愛しい彼女が罵声を浴びせてくる……偶に他の人間に向けていた冷たい視線を此方に向けられる……それを考えるだけでも心臓が潰れそうだ。
見ている間にも花騎士達は囚われの身に堕ちてゆく。そして後僅か数名となった所で、オシロイバナ達が苦しげな呻きを漏らしつつ全身から脂汗を噴き出し始める。
腹がボコボコと蠢き、内側で胎動するもの共の躍動が傍目にも判ってしまう。これは、そんな。
「お、オオオニバス、さんっ、お腹、お腹がぁっ」
「産まれるのね。ふふ、もう私もお婆ちゃんか」
産まれてしまうのか。花騎士の本拠地である駐屯地で、花騎士と害虫の間の子が。
生殖器を抜かれ、その場に横たえられる三人。まるで人間らしい情でもあるように、父親となる芋虫共はオシロイバナらを見守る。
口から溢れ出しそうな悲鳴と吐瀉物を抑え込んでいる間も、堕ちた花騎士達は必死に力み、その腹に宿した忌むべき命を生み出そうと試み続け、そして。
「うっ、産まれてるっ♡ いっぱい産まれますっ♡ おっきくて元気で気持ち良いっ、私と害虫様の赤ちゃぁんっ♡」
オシロイバナの人間の赤子の為の産道を、激しく身をくねらせながら我が物顔で通り抜けてくる呪わしい芋虫共。父親そっくりの全身像に、分不相応な程美しい絹糸めいた毛髪。右半分が純白、左側が薄い桃花色。眼球も左右で色が異なり、左目がルビー、右目がサファイアのように煌めいている。
「出るっ、出るぅっ、オマンコ押し広げてっ……産道ゴリゴリって削りながらっ、おおっ、イクっ、イキます、卵産んでイクぅっ、んおおおおおおおおっ♡」
ツキミソウの産み出しているものは、人の頭より巨大な卵だ。大型害虫の卵でも、こんな巨大なものはまず見られない。しかも悍ましい事に、単なる球体ではなく、蝶害虫の斑紋を思わせる気味の悪い模様が全体に走り、瘤のような突起が点在している。
いや、本当に卵なのか? それらは緩やかながらも自由に転がったり跳ねたりしている。何故卵なのにそんな動きが出来るんだ。
「やっと産めるっ♡ お母さんになれるっ♡ ああっ、赤ちゃんっ、私の可愛い赤ちゃん、お母さんが、今、産んであげますからねっ♡」
一際悍しい、ナイトフロックスの産んでいる奇形の幼体。人と虫が滅茶苦茶に混ざり合っている。芋虫の胴体に人の四肢と虫の脚があるのもそうだが、何より一つの胴体に頭が幾つも生えているのが嘔気を催さずにいられない。顔面だけが虫になった人の頭、その逆となっている芋虫の頭。両目だけが複眼になっているものやまともな顔の形をしていないもの。胎児共が子宮内で融合したとでもいうのか。
害虫共が新たな血族の誕生に歓声を上げる。投降した花騎士らが待ち受ける運命の過酷さに絶叫する。
地獄だ。本物の地獄だ。もう俺には……いや、最初から俺にはどうする事も出来なかったんだ。
まだ投降していなかった花騎士達が運命を拒絶し自害しようとするのを手の空いている害虫が抑え込んでしまうが、その瞬間、囚われた花騎士と目が合ってしまった。
反射的に駆け出す身体……戦場に背を向け、外部へと。
「てめェ! クソ団長!」
怒りと憎しみの籠もった叫びに耳を覆い、そのまま出口まで駆け抜けていく。
すまない。無力な団長ですまない。助けられなくてすまない。
そんな無為な謝罪の言葉を吐きつつ、もう少しで出口に到達する所で、いきなり外壁ごと吹き飛ばされた。
何が起きたのか。下半身が異様に熱い。見ると、巨大な瓦礫に下半身が押し潰され、血の海が広がっている。
「団、長、様ぁっ♡ ご、ごめんなさい、ひいっ♡ でもっ、協力しない、とっ、もうっ、ご主人様が、オマンコしてくれないって、仰る、からぁっ♡」
突然の事態に唖然とするばかりの俺に、巨大な影がにじり寄る。謝罪の体を取った喘ぎは、その中央辺りから発されていた。
近寄るに連れて明らかになったのは、やはりオオオニバスの息子と、捕獲されたまま犯されて、淫猥な笑顔を浮かべているガザニアの姿だった。
見れば、その背後では同様に囚われの身となった彼女の仲間達、スイギョク、イカリソウ、シーマニアも害虫陰茎に貫かれ、恍惚の表情を浮かべている。
青い悪魔。春庭で最も有名な海賊団とは、オオオニバスがプラタノでジューンブライドイベントに参加した際にガザニアと顔見知りになり、そのまま縁が続いていた。
俺の部屋を爆破したのは、オシロイバナが作った爆弾とばかり思っていたが……状況から鑑みるに、外にいた青い悪魔の四人だったのか。
我が騎士団ばかりではなく、あの海賊団まで貶めてしまうだなんて。
芋虫に抱かれながら、堕ちた雌の顔で啼く彼女らには、最早高名な義賊、自由を愛する海賊の面影は見出だせない。
ガザニアは女性でありながらスイギョクに懸想していた筈だが、その感情すらも砕かれてしまったようであった。
「さ、最初に、オオオニバスさんに、襲われた時は、驚いたけどっ♡ い、今となってはっ、ああんっ♡ かっ、感謝っ、感謝しているわっ♡ だってっ、こんなにもっ、ご主人様の、素敵なオチンポ様が、気持ち良くてっ、ひぃっ、あひいいいいっ♡」
射精を受けた女海賊の腹が膨らんでいく。同時にスイギョク、イカリソウ、シーマニアを犯している虫共も精を吐き出し、女海賊団を雌奴隷に貶めてしまう。
絶望に冒されながら俺の意識は次第に遠退いていく。五感がぼやけ、目の前で喘ぐガザニアの声すら奇妙な雑音としか捉えられなくなっていく。もうおしまいか。
だが、こんな最悪の状況でも、堕ちたオオオニバスと直接対面せずに終われるだけマシかもな。
そんな事を考え、目を閉じようとした瞬間……ああ、なんでだ。なんで、来てしまったんだ、オオオニバス。なんで。
そして……オオオニバスは、俺を一瞥した後、全くの無感情で……花騎士として害虫共と戦っていた頃、雑魚害虫に向けていたような嫌悪すらも無い、俺に全く価値を見出さない態度で……凌辱されるスイギョクらの方へ向かっていった。
身体も心も魂も、冷たくなっていく。感覚が薄れ、最期に見た絶望だけが俺を支配する。
そうして何もかも全て奪われたのだと思い知らされた敗北の中、二度と醒めぬ眠りに墜ちていった。