天倉静からの依頼を引き受け、嫁達には「新しい女が手に入りそうだから、ちょっと廃村で暴れて来る」と軽く説明すると俺の行動を察してくれたらしく、妖しい笑みを浮かべながら俺を見送ってくれた。暫く女を抱けないのが残念だが、その性欲は皆神村で晴らして貰おう。
さて、車に乗ってから数時間。ナビを頼りに長距離を走らされたが、何とか到着。ただ、こっから先は本当に何処が皆神村への入口なのかは良く分からない。
「ムービー見た限りだと、何処かの川が流れてたよな……で、次に姉がどっかに行って、その後を妹が追うんだが……確か足元に道祖神っぽい石像があったんだったか」
恐らくあの境界線を踏み入れた瞬間に皆神村へと迷い込む事になるんだろうが、まずは見つけないと話にならんぞ……こうなるなら草刈り用の鎌でも持って行けば良かったか……いや、それもそれで怪しまれるか。
「はぁ……愚痴っても仕方無いか。とりあえず探そう」
森の奥へと進み、草木を掻き分ける。暫く歩いて耳を凝らして聞くと、川の流れる音が静かに聞こえた。もしやと思ってその音の方向を見ると、そこには少し開けた場所に橋代わりとなっている倒れた木が。
「ビンゴ……!」
そこから周辺を確認すると、人か獣が通った様な道を発見。そこを辿りながら先へと走りながら進んで行く。すると―――
―――カッ!ガサガサガサ……
「お?暗くなった。よしよし!」
境界線を踏み越えたのか、先に進んだ瞬間にさっきまで明るかった筈の森が一瞬にして真っ暗に。不気味と肌寒い風が吹いていかにもって雰囲気がこの場を包み込んだ。幸い、空には満月によって照らされているので、まだ懐中電灯拾う必要は無さそうだ。念の為、俺用としてLED式の懐中電灯も持って来た。こんな場所に迷い込んでは喜ぶ俺も相当ヤベー奴だけど……。
とりあえず、この森の中を突破するのが先だ。薄暗い森の中を歩いて進むと、儀式の唄が聞こえて来る。後は松明らしきものがポツポツと。もうちょっとしたら近場に出るだろうと思っていたら―――
「私、聞いた事がある……」
「ん……?」
「昔、この辺りにお祭りの日に消えた村があって……森で迷った人は、その村に誘われる……って……ここ……もしかして……」
「早速目的のターゲット発見っと」
聞き慣れた声が俺の耳元へと届く。歪んだ鳥居を潜ると、目の先に目的の人物である天倉澪と天倉繭が皆神村の方をじっと見つめていた。ちなみに俺が鳥居を潜った後を振り返ると、当然道はそこで途切れて草しか生えていない。とりあえず二人に声を掛けてみよう。
「おーい」
「誰っ!? って、人……!」
「良かった……私達だけじゃなかったみたい……」
俺の姿を見てホッとしたのか一安心した天倉姉妹。まあ、こんな所に迷い込んだら確実に死亡フラグ立ったのと同じだし、進むにつれてSAN値チェック免れない所も追々出て来るからなぁ。
「あの、貴方は……」
「俺は種津健司。さほど有名ではないが、探偵業をやっている」
「あ、私知ってるかも……何でもただの探偵としての仕事だけじゃなくて、裏側の仕事も引き受けるとか」
そう補足する様に説明した澪ちゃんだったが……誰だ、そんな噂を流した奴は。俺は至ってちゃんとした普通の仕事をしているだけだというのに凄い偏見を持たれてる。これには遺憾の意(ブーメラン)
とまあ、ボケるのはそれまでにしておいて。俺は二人がどうしてここに居るのかを聞き、逆に自分はどうしてここに来たのかを彼女達に説明した。
「そうですか……お母さんが……」
「嘗ての行方不明となってしまった件も含めて無事に連れて戻して来て下さいと静さん直々に言われてしまってな。もう二度と同じ事を繰り返して欲しくなかったんだろう。でも、ダムで故郷が沈むからという理由で再びこの地に戻って来てしまった」
「ご、ごめんなさい……」
「いや、別に謝る必要なんてない。寧ろ、それは人間として当たり前の行動だ。住んでいた故郷を惜しんでしまうのは誰だってあるものだ。ただ……」
「ただ?」
「……今回ばかりは沈むまで待ってた方が正解だったのかもしれないな。よりにもよってこんな所へ迷い込んでしまうとは……ここに来てから空気というか、そういう雰囲気が既に出ている。しかも、さっきまで太陽出てたのが夜になったし、この村に入って来たばかりだというのに道は無くなる。何か出てもおかしくないし、何よりも完全にこの村に閉じ込められたな……」
「そんな……!」
開発陣という神の力によってな(メメタァ
というか、冗談抜きで本気で脱出させまいとしているから余計性質が悪い。最終的に脱出するには村に起きた出来事を追って行く必要があるのだが……そこで儀式を成功するか失敗するかエンディングも含めて色々と分岐していくのだ。
「先へ進もう。もしかしたら脱出する為のヒントが残されているかもしれない。それに、ここで立ち止まって待機してもどの道危ない。ここから先は常に危険と隣り合わせだから気を付けて進もう」
「進むって、そんなあっさりと決めて良いものなの……?」
「過去にこういう経験というか依頼を引き受けた事があるから既に見慣れてるんだ。今回も「あれ?何かデジャヴ……?」って感じた程だし」
「やっぱり探偵ってそういう経験もあるんだ……」
半分嘘です。寧ろ霧島さんに喫茶くろさわメンツや俺が特殊なだけなんやで……そりゃ生前に氷室邸を見てから転生後にまさか直々に行くとは思わんでしょ?というか、怪しい場所だろうと雰囲気ありそうな場合なら確実に「何かある」と睨まない方がおかしいんだっての。
「ほら、話はここまでだ。さっさと行こう」
「わ、分かりました」
あんまり悠長に喋っていられないので、村の方面へと続く坂に向かって奥に進む。ちなみに一番前は俺。流石に現状だと幽霊に強いのは俺しか居ないので必然的にエスコートする必要があるのだが、繭はともかく澪は射影機手にするとリミッター解除でもしたのかバンバンと幽霊相手に遠慮も容赦もしない勢いで除霊するから逆にレディーファーストでええやんと思うのは気のせいだろうか。
すると、坂の途中で女性物のハンドバッグを見つけた。恐らく須堂美也子の物だな。1年前の新聞の切り抜きと写真を見つけ、二人が写った写真もゲット。実質要らないが。
「誰のだろう……他にも……誰か……」
繭ちゃん、冷静に考えてみなさいな。1年前の切り抜きに1週間以上経っても連絡も生存安否の報告も無し。おまけにこのデケェ森に気持ち悪い村で1年以上も生存出来る確率って高いか?どう考えても無理なのよ。
ほら、今こうして逢坂家屋敷の出入口に美也子の姿見えたけど、開けてる様子もなくスーッ……と消えたからな?あれを生存者と言える理由が何処にあるよ。
「誰か居るのかな……」
「……うん」
―――マタワタシヲオイテイクノ?
「……澪?」
「……う、うん……」
……ガッツリと聞こえちゃったよ紗重の声……動画サイトで何だかふざけていそうな奴等とは別に真剣にそれを観察してはどうなっているのかという専門家の気持ちが良く分かるわ。あ、浮遊霊出ても大体はスルーなんで。
「重苦しい空気……嫌な臭い……あー、これはピンポイントで居るな……」
そう言うと、ゴクッと飲んで緊張する天倉姉妹。もう流石に出るって運命受け入れた方が早いって。ゆっくりと扉を開けると、目の前には囲炉裏の間が。
「誰も……居ないのかな……奥へ行って見る?」
澪ちゃんがそう言った途端、異様に何かに対して震える繭。繭は霊感が強いらしく、この後流れるモノクロ映像の様に電波を受信する事が出来るんだとか。
「お姉ちゃん……?お姉ちゃん!どうしたの?」
「おい、大丈夫か?」
声を掛けると澪が繭の腕を掴む。すると、彼女に受信された毒電波が澪の方へと伝わり、あのすっごい映像が始まる。俺?もう既に見ているし覚えてるから別に見る必要ないや。
「今の……?」
「分からない……分からない……」
そう言いながら結局は屋敷の奥へと進むという事になるんだが……どうして揃いも揃って奥へ探索しようとする精神が湧いて来るのか。コレガワカラナイ。
んじゃまあ、繭にあんまり離れないでとか誰かに見られている気がするだのという発言はスルーしつつ、一番奥で懐中電灯を入手。手帳も入手して、次は例の射影機入手まで。
にしても、彼女達も可哀想だな。いや、この場合は射影機に関わった奴等全員だろうか。あれを手にした時から霊に狙われ続けるって意味でもあるから。まあ全部麻生が悪いって事で。ついでに持ち込んだ真壁もな!
―――ゴトッ……ギィッ……ゴトッ……ギィッ……
「おっと……」
「「……ッ!」」
そうこうしている内に美也子の気配が近付いて来る。澪に任せるべきか、それとも先に俺がやって信頼を上げる様にしておくべきかちょっとだけ悩んだ。先頭に立っていたし女性二人守れないでどーすんだって理由もあり、じゃあやるしかないかと決意した瞬間に澪が前に立つ。
「種津さんは繭を守ってて下さい。もしかしたらこれで……」
ニュータイプか或いは主人公補正だというのか、ありがたいけど結局出番無しで終わるという情けない展開に。お試しという事で射影機で追い払って脱出しようにも外には出れず、更に奥に進んではこちらへ誘おうとする目付き。行っても何か封印されてるわ茗荷の鍵を探さないといけないわで超面倒だった。
で、鍵を開けて落ちていたメモを拾い上げながら読む俺達。もうそろそろ美也子との再戦が始まろうとしているのだが……。
「この人も、ここに迷い込んだんだ。恋人を追って、この家に入って……それから、何処へ行ったんだろう?やっぱり、ここは……」
「どうして……」
「澪!」
端から見れば独り言を言ってる様にしか見えない繭。その間にも美也子が澪の後ろにひっそりと立ち尽くす。
「お姉―――」
「どうして……」
今になって美也子の存在に気付いた澪。驚きながらも美也子から距離を離して射影機を構える。現場猫並に訴えて来る美也子はこちらに襲い掛かるが、澪が渾身のフェイタルフレームで美也子をササッと撃破。その後は多分ムービーが入るのだが、澪があのモノクロ映像を見ている間に繭がフラフラとした足取りで何処かへ行こうとしていた。
「繭ちゃん?おい、何処に行くんだ!?」
念の為に声を掛けたが、俺の声は完全に届いていない様子だった。引っ張ろうにも尋常じゃない力で逆に俺が引っ張られる羽目になり、このまま気絶した澪を置いて行く訳には行かない。逆に考えれば傍迷惑な姉ではあるが、何でか物語が進んでも普通に無傷で済むのが殆どなので彼女を追い掛けるのは止める事にした。
「ったく……どうしろって言うんだ……」
愚痴りながらもチラッと澪を見る。それと同時に周りを見渡しながらも人や幽霊の気配が無いか確認する。先程の美也子は追い払ったし、繭は完全に聞く耳届かずスルー。ここに居るのは俺と澪の二人きり。
「……丁度良いタイミングだな。まずはこの女から頂くとするか」
都合良く彼女は気絶中。それは即ち無防備の状態であるのと一緒。俺は気絶した澪に向けて強めの催眠を掛けておく。
「お前は俺とのセックスが終わるまでずっと眠ったままだ。セックスが終わっても何の違和感も嫌悪感も抱かず、中出しされようが何されようがそれが当たり前なんだと認識している。そして、何よりもお前は俺の彼女でありながら俺の行動に疑問は持たず、どんなに女を連れようがセックスは楽しめば良い。それが俺とお前との日常である事の約束として認識する事」
念には念を、という位に何重にも澪に催眠を掛けた。いよいよ眞紅の蝶における最初の女を抱ける天倉澪の身体をたっぷりと堪能する事にしよう。
休み……もっと欲しかった……(過去形)