比企谷くんのいる浴室の扉を閉め、洗面所を出て大きく息をついた。
比企谷くんの局部を見るのはこれで2度目だ。見慣れているわけでは当然ない。頬を叩いて気を取り直す。
これは好機だ。
比企谷くんとの関係を進める絶好の機会と言っていい。つまり彼とセックスするということだ。
今回は失敗したとしても彼にも私にも逃げ場はない。今回でダメなら私たちの関係は一生このままだろうが、そんなのは御免だ。
今までの9か月を空費してきたのは、初めてセックスしようとしたときのあの一件が原因なのは間違いない。あのとき何も言わなかった私の責任だ。比企谷くんは自分が暴発してしまったことに明らかにショックを受けていた。私も驚いていたとはいえ、様子のおかしい比企谷くんに何も言わずにみすみす帰してしまうべきではなかった。
あの一件の後すぐに、比企谷くんの様子がおかしいことについて、小町さんと彼女から話を聞いた由比ヶ浜さんに問い詰められた。内容が内容だし、彼の名誉に関わることでもあるので答えるべきか逡巡したが、結局は二人を信じて事情を打ち明けることにした。
「ゆきのんもヒッキーも、そのことについてちゃんと話さないとダメなんじゃないかな。あの、あ、あたしはそういう経験ないからよくわかんないけど」
「でも兄は相当重症って感じなんですよね。夜中に突然叫び声を上げたりしてますし……。小町は少し時間を置いたほうがいいような気がします」
「それでも、ヒッキーと会うのは続けたほうがいいと思う。このまま会わなくなっちゃったらヒッキー、自分のせいでゆきのんにフラれたって思っちゃう」
「それは小町もそう思います。雪乃さん、そのことは一旦棚上げにして、とりあえず兄とデートしてください。セッティングは小町が」
そうしてあの一件の翌週に比企谷くんと会ったとき、彼は見るからに憔悴していた。「目が死んでいる」というような軽口すらはばかられる有様で、私は自分の不作為を深く悔いた。
しかし毎週のように会っていくうちに、徐々に比企谷くんは立ち直っていったように見えた。
夏には由比ヶ浜さんや一色さんと一緒に海にも行ったし、そこで久しぶりのキスもできた。だが、キスの後の比企谷くんの目は、あの一件の前まで見せていたような理性と獣性が綱引きをしているようなギラギラしたものではなく、恐れと不安を湛えていた。そこでようやく、私は彼の心の傷がいまだに生々しいままであることに気づいたのだ。
その後はつかず離れず、あのときのことを想起させるような話題や行動は極力避けつつ、それでも「私は常に比企谷くんの隣にいる」というメッセージを発し続けてきたつもりだ。しかし、そこからさらに一歩踏み出す踏ん切りがつかなかった。
だからこそ、今回のこの偶然を利用するべきだ。9か月前のあの日からの私たちの関係を、今日で仕切り直す。
比企谷くんのトラウマはいまだに残っているには違いないが、ずいぶん前から表面を取り繕えるくらいには立ち直れている。そして、うぬぼれでなければだが、彼もまた私との関係をさらに深いものにしたいと思ってくれているはずだ。さっき部屋の冷蔵庫をのぞいていたときもお尻に視線を感じたし、勝算はある。
「雪ノ下ー、風呂上がったぞー」
「え、ええ」
比企谷くんと入れ替わりに洗面所に入り、服を脱ぐ。
新しい着替えは持っていない。入浴した後に比企谷くんを誘惑することを考えれば、やはりバスローブか。下着は今脱いだのを着けるしかない。
シャンプーやらボディソープやらは普段使っているものではないが、使ったことはあるものだし問題はないだろう。爪切りも安全カミソリも、その他さまざまなアメニティがあり、身体の手入れに死角はなさそうだ。
浴室でシャワーを浴びながら、比企谷くんをどうやって口説くか考える。
由比ヶ浜さんが以前言ったように、最終的には比企谷くんとあの一件について話さなくてはならない。話し合って彼の誤解を解くのだ。
でもどうやって? どうすれば比企谷くんの誤解は解けるのだろう。
いつのことだったか、比企谷くんは「誤解は解けない、もう解は出てるから」と言ったことがある。あのとき私はなんと返したのだったか……。
そう、「もう一度問い直せ」だ。
あの男にもう一度、いや一度と言わず何度でも問い直してやればいい。トラウマだからなんだというのだ。膿んだ傷は膿を出さなければ治りはしない。真正面から比企谷くんの膿んだ傷を切りつけてやればいい。そうして出てくる彼の恐れも不安も恨み節も、なにもかもすべて私が受け止めてやればいい。覚悟さえ決まってしまえば簡単なことだ。
「雪ノ下、洗面所で歯磨いていいか」
すりガラスの扉越しに比企谷くんが声をかけてきた。またドキリと心臓が高鳴る。
「え、ええ。どうぞごゆっくり」
「悪いな」
やはり勝算はある。それどころか、さらに高まったと言っていい。
比企谷くんは私がこれから何をしようとしているかわかっていて、それに向けて準備をしてくれている。私の思い込みだろうか? いや、そうではないはずだ。そうではないと思いたい。
身支度を済ませ、湯船に浸かる。今日のスキーの疲れが湯に溶けていくようだが、私にとっての最大の山場はこれからだ。
今日で比企谷くんとの宙ぶらりんな関係は終わりだ。
――首を洗って待っているがいいわ、比企谷くん。
雪ノ下がシャワー使ってる音、めっちゃ捗るな。なにがとは言わないが。
しかし俺の
困った。
気を紛らわせようとテレビのチャンネルを変えたり、ベッド横のハンガーラックにかかっている総武高校っぽいブレザーを羽織ったり、部屋の一角の黒板の前にある教室用の机に座ったりしてみた。総武高校の教室で、あるいは奉仕部の部室で、雪ノ下があられもない姿になるのを想像してみたが、やはり反応はない。ただのしかばねのようだ。
この文脈だと「奉仕部」ってエロいな。エロい部活にしか聞こえない。いやこの文脈じゃなくても最初に聞いたとき「なにそれいやらしい……」ってちょっと思ってたけど。思ってたか?
ブレザーを脱ごうとベッド横に戻ったそのとき、俺の目にあるものが映った。
「黒マムシ粉末、人参・肝入り……」
ベッドの枕元に、コンドームと一緒に試供品が2袋置かれていた。
こういうの、効くんだろうか……。いや、それ以前に俺はこれを飲むべきか? 仮にちゃんと勃ったとして、それがこういうもののおかげであると知ったら、雪ノ下はどう思うのか。しかしちゃんと勃つかどうかなんてわからないし、飲んでおくほうが……。そうするとやはりこれが効くのかどうかという話に……。
待て待て。雪ノ下に襲われる前提で話を進めるのはまずい。いやそういう可能性は非常に高いと言っていいが、万が一ということがある。やはりここは前向きに検討する方向で調整するということで手打ちにしておくべきではないだろうか?
ふと気づいたが、そもそもそういうことになった場合のエチケット的なやつはちゃんとできているか? そういえば飯食った後に歯を磨いてない。
あとはなんだ。爪は雪ノ下と付き合うようになってから深爪気味に切るようになったので問題はない。
ヒゲ……朝剃ってきたが、この時間になると少し伸びていて触るとザラザラしている。剃ったほうがいいな。
とりあえずそんなところか。雪ノ下に断って洗面所を使わせてもらおう。
「雪ノ下、洗面所で歯磨いていいか」
浴室の扉のすりガラス越しに雪ノ下に声をかけた。すりガラスの向こうの白い影が裸の雪ノ下だと思うと心臓が高鳴る。
「え、ええ。どうぞごゆっくり」
雪ノ下の声は少し上ずっていた。
「悪いな」
アメニティのビニール袋に入った歯ブラシと歯磨き粉で歯を磨く。安全カミソリも用意されているからヒゲ剃りも問題ない。
身支度をしながら今後の展開を考える。
一番可能性が高いのは、というかもうそれしか考えられないが、風呂から出た雪ノ下にベッドに誘われる展開だ。俺としてもそうなるのは望むところだが、問題はやはりちゃんと勃つかどうか。そして暴発事件からお互い感じている壁を突破できるかどうかだ。
雪ノ下から一歩踏み込んできてくれているのは明らかだし、うまくいかせなければならない。絶対に失敗できない勝負のときだ。今回もダメなら雪ノ下との関係は今度こそ終わりだろうし、雪ノ下にもトラウマを残してしまうかもしれない。うまくやらなければ。
暴発事件のことも話さなければならないだろう。改めて謝りたい。あんなことになってしまったことに対して。あのとき逃げ出したことに対して。そして、あの後ずっと気を使わせ続けたことに対して。謝らせてほしい。
しかしそれは後でいい。まずは雪ノ下とのセックスをうまくやることだ。
男性が勃起するのは自律神経のうちの副交感神経の働きによるもので、つまりリラックスしているときに起こりやすいと聞いたことがある。そうすると今みたいにガチガチに緊張しているのはよくない。リラックスリラックス……。
いや、この状況でリラックスするのはちょっと無理だ。俺はそこまで大物じゃない。
それでもどうにかリラックスしようと、身支度を終えてお茶を飲んだり小町に白馬で一泊する連絡をしたり歌合戦を見たりしているうちに、雪ノ下が出てきてしまった。
バスローブ姿で。
雪ノ下としばらく見つめ合う。
ちょっと頬が上気してるし、髪がなんだかしっとりしてるし、バスローブで腰のラインが見えてるし、めっちゃ色っぽい。
「あなた、その格好はなに?」
そういえば総武高校の制服っぽいブレザーをまだ羽織ったままだった。
「い、いや、コスプレ用の制服ってどんなもんなのかと思って着てみたんだが……脱ぐの忘れてたわ」
慌てて脱ごうとする俺に雪ノ下が歩み寄り、後ろに回ってブレザーを脱がせてくれた。
めちゃくちゃいい匂いがする。
「あ、ありがとな」
「いいえ。……比企谷くん、テレビを消して。飲み物を持ってベッドに来なさい」
「……あ?」
予想どおりの展開だが、あまりにも唐突で頭が追い付かない。
そうこうしているうちに雪ノ下はベッドに乗り、部屋の照明を消して枕元の照明だけを点灯させた。エアコンの設定温度も上げたらしく、送風音が少し大きくなった。
「比企谷くん、早く」
「あ、ああ……」
二人分の飲み物を枕元の棚に置き、これからやるであろうことを考えて掛け布団は足元に追いやり、ベッドに寝転がる。雪ノ下は最後にベッドの周囲を囲むように閉まるカーテンを引いて、俺の隣に横たわった。
二人とも向かい合うように身体を横に向ける。
どう考えてもこれからセックスするムードだ。枕元の明かりに照らされた雪ノ下の目は決意に満ちていて、まっすぐ俺の目を見据えている。
「比企谷くん、話したいことがあるの。私たちが初めてこういうことをしようとしたときのこと」
雪ノ下から切り出されて少し面食らったが、どこかで必ず触れなければならないことだ。ここで腹を割って話してしまうほうがいい。
「ああ。聞かせてくれ」
雪ノ下は安心したように一息つき、話を続けた。
「まずは謝らせて。あのとき、あなたは明らかにショックを受けていたのに、何も言えなくて本当にごめんなさい」
「いや、悪いのは俺だ。あそこで俺が暴発しなけりゃあんなことにはならなかったわけだし」
「それは違うわ。あのときああなったのって、つまり、その……ものすごく私に興奮してくれていたということでしょう?」
「……まぁ、確かにそうだが」
「それならあなたが悪いことにはならないじゃない。あのとき私はあなたに興奮してほしかったし、あなたは私の望んだとおり私に興奮してくれた」
「でもお前にかけちまったし……」
「確かにびっくりしたわ。でも逆の立場で考えてみて。私がちょっとしたことで、その、挿入前に絶頂を迎えてしまったとしたら、あなたは嫌な気持ちになるかしら? それで私の体液が顔や髪にかかったとしたら?」
雪ノ下の言いたいことはわかる。そんなふうになったとしてもまったく嫌じゃない。驚きはするだろうが、雪ノ下が気持ちよくなってくれたことを喜ぶに違いない。
俺は首を横に振った。
「私も同じよ。比企谷くんが思わず射精してしまうくらい私に興奮してくれたら、私はうれしい。あのときもそう。驚きはしたけれど、なんだかとてもうれしくなって、あなたが愛おしくなって、涙が出たくらい」
あのときの雪ノ下の表情を思い出す。あのときの雪ノ下は本当にそう思っていただろうか? 俺にはそうは思えなかった。記憶の中の雪ノ下の表情は嫌悪と失望を露わにしていたように見えたし、今思い出してもそんな気がしてしまう。
「……本当に? 雪ノ下、お前は本当にあのとき俺に、情けない男だと、リードすることもできないのかと、失望しなかったのか? なんてことをするんだと、少しも嫌悪しなかったのか?」
雪ノ下の言葉を俺は信じられないでいた。それがさらに自己嫌悪をかき立てる。
「どうして、そう思うの?」
「……わからん。もちろん、お前が言ってくれたことはうれしい。俺との関係を大事に思ってくれてるのもわかる。それでも、お前が俺のために無理して言ってるんじゃないかって疑っちまう。こういうことがお前の負担になることなんじゃないかって思っちまう。だったらいっそ、今のままで……」
やばい。自分で言ってて泣きそうだ。
「私は嫌よ」
雪ノ下は俺の手を握り、俺をにらみつけた。雪ノ下の目には怒りが見える。
「……は?」
「いつまでもあなたとこんな関係だなんて願い下げだと言ったの。決めたわ。今夜のうちに、絶対あなたとセックスする」
「……は?」
「私、あなたが好きだもの。この先ずっとキスどまりだなんてあり得ないわ」
「お、おう」
「あなた、私に性欲がないとでも思っているの? 高3の頃、あなたとキスして帰った後に私が自室で何をしていたか教えてあげましょうか?」
「知りたいのはやまやまだが……え、なに? 急にどうした?」
「あなたが昔みたいにまた自分だけ悪者になろうとしているから、こうして恥を忍んで『好きだ』とか『あなたとセックスしたい』とか真正面から言って逃げ道をふさいでいるのよ。比企谷くん、いいかげん私に愛されて求められていることを認めなさい」
雪ノ下はそこまで機関銃のようにまくしたてると今度はため息をつき、こめかみに手を当てて首を横に振った。
「……いいえ、こうやってあなたに言うのは筋が違うわね。あなたが私に愛されていると当然自覚されるように調教すればいいんだわ。覚悟なさい、比企谷くん。二度と自分を悪者にしようと考えられなくなるくらい幸せにしてあげる」
雪ノ下さんなんか怖いこと言ってるんですけど。調教されちゃうの俺。そして幸せにされちゃうの俺。なにこれ、新手のプロポーズ? ヤンデレさんなの?
……内心でそんなふうに茶化さなければ受け止めきれないほど雪ノ下の言葉は直線的で、俺が「誤解」する余地を寸分も残してはくれなかった。
人間には受け止められる幸福の限界量があり、それを超えた幸福を手に入れてしまうと受け止めきれずに遠ざけようとしてしまう性質があるという。俺にとっては雪ノ下との深い関係がその「限界量を超えた幸福」で、だからこそ無意識のうちに遠ざけようとしていたのかもしれない。そして雪ノ下は俺にそれを自覚させ、俺の受け止められる幸福の限界量を引き上げようとしてくれているのではないか。
雪ノ下は表情を綻ばせ、俺の首をかき抱くようにして頬を寄せた。一気に雪ノ下の香りに包まれる。
「あのときあなたが何を考えていたのか、なんとなくわかったわ。さっき自分で言っていたことを自分で恥じていたのね。暴発してしまって、私をリードできなくて、情けない男だとあなたは自分に失望した。なんてことをしてしまったんだと自己嫌悪した。違う?」
「そう、かもな。たぶん、お前の言うとおりだ」
「比企谷くん。もう一度言うわ。私はあのとき、あなたに興奮してもらえてうれしかったし、あなたが射精してしまったのも、驚きはしたけれど、うれしくて愛おしいと思った。そしてこれはあなたになにか遠慮や気遣いをして言っているわけではない、ただの事実。だから」
――そんなに自分を責めないで。
そうささやかれると、俺の目からは勝手に涙があふれ始めた。やがてみっともなくしゃくりあげるようになった俺を、雪ノ下は自分の胸に抱き留めて頭を撫で続けてくれた。そうして無様に泣いていると、涙とともに今までのわだかまりが流れ出ていくようだった。
「ごめんなさい、比企谷くん。あのとき、気持ちがすれ違ったのに気づいてあげられなかった。私はあなたを引き留めて気持ちを伝えるべきだったのに。本当に、ごめんなさい」
雪ノ下の細い身体に手を回し、抱き寄せる。
「お前のせいじゃない。勝手に勘違いして情けなく逃げ出した俺のせいだ。あのとき、ちゃんとお前と話さなきゃならなかったんだ。だから、すまなかった。お前との間に壁を作っちまったことも、悪かった。それに、あの後ずっと気を遣わせてたよな」
「それでは、私たちはお互いに悪いところがあったということね」
抱き留められていた雪ノ下の胸から顔を上げ、彼女の顔を見る。俺の顔はおそらくひどいものだろうが、雪ノ下は微笑を浮かべて俺を見つめていた。
「お前、いい女すぎるだろ……」
「そうでしょう? 大事にしなさい」
そう言って雪ノ下は自信に満ちた笑みを浮かべた。
その顔を見て、俺の中で覚悟が決まった。どのみちガキみたいにしくしく泣くところまで見られたんだ。恥も外聞もない。もうどうにでもなれだ。
「陸橋の上でお前に告白したとき、『いらなかったら捨ててくれ』って言ったの覚えてるか」
「ええ。『面倒だったら忘れてくれ、勝手にやるから返事もいい』」
「悪いがあれは撤回する」
「……急にどうしたの?」
「お前に捨てられたくない。忘れてほしくない。気持ち悪いだろうが、俺はお前に執着してる。どんな犠牲を払ってでも、お前と一緒にいたいと思ってる」
俺の言葉を聞いて、雪ノ下は嬉しそうに目を細めた。今度こそ、俺の勘違いということはなさそうだ。
「いやに素直ね。比企谷くんが屁理屈をこねずに素直に気持ちを話すなんて、明日は槍でも降るのかしら」
「そうなったらもう一泊すりゃいい」
「そうね。それも悪くないかも」
「俺としては槍が降らなくてももう一泊したいくらいだけどな」
「そんなに私と二人でいたい?」
「ああ」
「私もそうしたいところだけれど……着替えもないし、お正月だもの。やっぱり明日帰りましょう」
「……そうか」
「でも今日は……今夜は、二人きりよ」
雪ノ下が俺の手を取り、指を絡ませた。先ほどとは異なり、今度は妖しげな光を宿した目を向けて俺の視線を釘付けにし、唇を重ねる。