雪ノ下を抱き締め、髪にキスをする。俺が雪ノ下をどう思っているのか伝えるように、長い黒髪を撫でながら額に、鼻に、まぶたに、耳に唇を落としていく。首、鎖骨、肩まで行ったところで、戻って唇を重ねた。
「下着、脱がせていいか」
「ええ。やり方わかる?」
「たぶんな」
初めて雪ノ下とセックスしようとしたときに事前に予習しておいたのが、ここに来て功を奏した。
抱き合った状態で髪と首筋の間に手を入れ、背中の中心線をゆっくりと滑らせる。耳元で雪ノ下の噛み殺したような声が聞こえた。
ブラのホックを探し当て、優しく外す。雪ノ下の肩からストラップを外してブラを取り去ると、形のいい乳房と桜色の乳首が露わになった。
前回は結局下着を脱いでもらう前に暴発してしまったから、俺が雪ノ下の裸の胸を見るのはこれが初めてだ。透き通るような白い肌が丸みを帯びた丘を形作り、その頂上で小さく可憐な乳首が勃起している。好きな女が裸の胸を俺に見せてくれていると思うと、幸福感が湧き上がってきた。
脇腹から柔らかな乳房に優しく触れ、指の腹で乳首を撫でる。雪ノ下が息を殺し、彼女の身体が震えた。
「雪ノ下の胸、綺麗だな」
「毎日気を遣ってるのよ。あなたのために」
「ありがとな。ずっと触ってたくなるわ」
「……比企谷くんはやっぱり、大きいほうが好き?」
いつだったか、バストアップブラを見てため息をついていたように、やはり胸の大きさにコンプレックスがあるらしい。さっきのお返しというわけではないが、俺のおっぱいに対するスタンスをきちんと明らかにしておこう。
「お前は……例えば俺の目が腐ってないほうが好きか?」
「質問に質問で返すなんてずるいわ。……でもそうね、出会った頃ならともかく、今はあなたのその目が好きよ」
雪ノ下に真顔でそんなことを言われ、心臓が高鳴る。俺も真顔で雪ノ下を見つめ、言葉を返す。
「っ……それと一緒だ。俺も今のお前の胸が、お前の胸だから好きだ。だから気にすんな。大きさなんて大した問題じゃない。誰の胸かのほうがずっと大事だ」
「そ、そう……あ、ありがとう」
彼女の乳房にはいつまでも触れていたくなる魔力があった。もっと楽しもうと、俺は顔を近づけて雪ノ下の乳首に優しく舌を這わせた。
「ひっ……」
雪ノ下が1オクターブ高い声を上げた。見ると雪ノ下は眉根を寄せ、手の甲を口に当てて声を抑えていた。
「っ……んぁっ……」
脇腹やへそへの愛撫を織り交ぜながら、唾液をまぶすように乳首に舌を這わせ、わきの下にキスをし、首筋に吸い付く。雪ノ下が押し殺しきれない高い声を上げるたびに、一度は鎮まった俺のものに芯が通っていくのがわかった。
そうするうちに、雪ノ下の身体から力が抜けて倒れそうになった。慌てて首の後ろを支え、ベッドに仰向けに横たえる。そしてまた、雪ノ下の身体を貪るように愛撫する。彼女の白い肌が徐々に色付いていくのを見るにつけ、そうしているのは俺なのだと思うとたまらない気持ちになった。
「雪ノ下」
「はぇ……?」
そろそろいいかと思い声をかけると、手の甲を口に当てた雪ノ下は早くも
「下も脱がすぞ」
雪ノ下はなにもわかっていない少女のようにコクリとうなずいた。
脇腹から白いレースの下着までゆっくりと指を這わせる。行き掛けの駄賃とばかりにへそに舌を差し入れると、不意打ちだったためか雪ノ下は声を上げて腰を跳ねさせた。
レースの下着をつけた雪ノ下のその部分を見ると、すぐに脱がせてしまうのが惜しいように感じられた。雪ノ下の秘所を覆う白い布には、彼女の分泌液でじっとりと濡れている部分ができていた。
その濡れた部分に、優しくゆっくりと指先で触れる。
「ひぅっ……」
雪ノ下は面白いように感じてくれた。既に身体の準備ができているのか、ずいぶんと敏感になっているらしい。下着の上からでもわかるように勃起した陰核を触れるか触れないかというくらいの強さで弄ぶと、雪ノ下は狂乱したかのようにくぐもったうめき声を上げ、腰を跳ね回した。
「ひき、比企谷くん……もう、じらさないで……」
哀願する雪ノ下の顔を見る。ポロポロと涙をこぼし、汗と涙で髪の毛が幾筋も頬に張りついて、空恐ろしいまでの色気を発していた。今すぐにでもめちゃくちゃにしてやりたい。
しかし、俺が今本当にやりたいのは俺の欲望を満たすことではなく、雪ノ下を快楽に導くことだ。
「雪ノ下、どうしてほしい? 言ってくれ。お前の口から聞きたい」
「脱がせて、直接……その、な、舐めてほしい」
「どこを舐めてほしいんだ?」
「そんなこと……ひぁん!」
もう一度陰核を弄ぶ。
「どこを舐めてほしいのか言ってくれ。ほら」
「あ、あなた、本当にひどい人ね。……わ、私の、あそこを……直接、舐めて」
「よく言えました」
涙をあふれさせながら懇願する雪ノ下に嗜虐心を刺激され、ついやりすぎてしまいそうになる。しかし過激なことをやるのは今じゃない。今は雪ノ下をたっぷりと愛してやりたい。
愛液でその奥が透けるくらいに濡れた下着に手をかけ、速やかに脚から抜き取る。雪ノ下はすぐに恥ずかしそうに足を閉じるが、俺が手で優しく足を開かせようとすると雪ノ下は観念したように両手で顔を覆い、自分から足を開いた。
「私、恥ずかしすぎて死んでしまいそうよ……」
女性器をこんなに間近に見るのは初めてだったからか、いや
下着を通じて広がったのだろう、膣口から小陰唇、陰核、陰毛に至るまで、雪ノ下の女性器は全体が愛液で濡れていた。
「これが雪ノ下の……」
「まじまじと見ないで……お願いだから……」
「なんつったらいいのかわからんが、すごいな」
「……どういう意味?」
「自分でもわからん。わからんけど……いつまでも見ていたい」
「……馬鹿」
指先で直に勃起した陰核に触れる。雪ノ下は先ほどのように腰を跳ねさせ、くぐもった声を上げた。膣口がヒクヒクと動き、新たに愛液があふれてきた。
その愛液をすくい取るように、舌で優しく膣口に触れる。愛液はにおいから察せられたとおり酸味があった。
雪ノ下の腰が震え、程よく肉のついた太ももに頭を挟まれた。汗でしっとり湿った内ももの感触が心地いい。
見ると雪ノ下の内ももは桜色に色づき、薄っすらと汗が浮かんでいた。高校時代はいつも黒のニーソックスとスカートに隠れていた部分が俺の目の前に差し出されていると思うとたまらず、内ももの鼠径部に近い部分に吸い付く。ぶるり、と雪ノ下の腰がわなないた。
「ひ、比企谷くん……これ以上じらされたらぁ……私……」
あまりにも魅力的な雪ノ下のおねだりに応えるべく、再び彼女の女性器に顔を近づける。興奮した俺の鼻息が当たるだけでも雪ノ下は反応してみせた。
舌の上面を広く使って雪ノ下の秘所を舐め上げてやる。もっと舐めろと言わんばかりに、雪ノ下の手が俺の後頭部に添えられた。
「ひぅっ……んんっ……はぁっ……」
陰核に舌の表面が触れるたびに雪ノ下の声が高くなる。やはり一番性感があるのは陰核のようだ。雪ノ下の愛液を舐め取っては飲み下し、一方で陰核に唾液をまぶして優しく舐め回すのを繰り返す。
「あぁっ……ふうっ……ぁあ……」
俺の興奮を煽る彼女の色気を孕んだ声は、俺が彼女の秘所をねぶる水音とともに、薄いカーテンで仕切られただけのこの空間にはっきりと響くようになっていた。
雪ノ下は絶頂が近いのか白い腹が脈打つように動き、さらなる快楽を求めるように腰を浮かせると同時に、俺の後頭部をますます強い力で押さえつけるようになってきた。
太ももの外側から小ぶりな尻に指を這わせ、尻たぶを揉みしだく。乳房もよかったが、汗でしっとりとしたすべらかな尻も悪くない。
「ひっ、比企谷くん……わ、たしっ……もう……っ」
雪ノ下の切羽詰まった声を受けながらも、淡々と口と舌での奉仕を続けていく。予習した本によると、女性は最終局面では単調な刺激が続くほうが達しやすいとあった。
「んうぅっ! ……~っ……~っ……」
やがて雪ノ下の口から押し殺した悲鳴のような声が発せられ、腰がぶるり、ぶるり、と不随意運動のように震えた。膣口がうねうねと動き、愛液があふれ出す。俺の頭は力いっぱい女性器に押し当てようとする雪ノ下の手と汗ばんだ太ももでさらに締め上げられ、窒息するかと思うほどだった。
予習してきた内容によれば、多くの女性はオーガズムに達した後もわずかな間隔を開けるのみですぐに、あるいは続けて絶頂を迎えることができるという。雪ノ下もどうやらそういうタイプのようで、絶頂後も俺が口と舌での奉仕を続けてやると、いつまでも身体を震わせ続けた。
「ひっ……ひき……やくん……もう……いきが……っ……」
その弱々しい声で我に返る。慌てて口を離し、力の抜けた雪ノ下の手と太ももをほどいて雪ノ下から身体を離した。
「すまん雪ノ下、やりすぎた。大丈夫か」
雪ノ下はぜえぜえと肩で息をしながら何度も小さくうなずいた。胸に手を当て、息を整えていく。
起き上がらせた雪ノ下に、枕元にあったスポーツドリンクを差し出した。雪ノ下がごくごくとスポーツドリンクを飲み下すと、さっきも目を奪われた彼女の綺麗な喉仏が嚥下に合わせて動く。
「……やりすぎよ比企谷くん。気持ちよすぎて死んでしまうかと思った」
「本当にすまん。雪ノ下が感じてくれるのがうれしくてついな」
雪ノ下からスポーツドリンクを受け取る。
「……でも、このままあなたに殺されてもいいかもって、ちょっとだけ思ったわ」
「っ……お前、さっきからえらく俺を煽るじゃねぇか。うれしいけど効きすぎなんだよ。いくら俺でも理性の限界があるんだぞ」
「別に煽っているつもりはないのだけれど……」
そう言って小首をかしげる姿がまたかわいらしい。
なんだか気恥ずかしくなって、俺はスポーツドリンクを口にした。雪ノ下も今まで自分の陰部を舐められていた口でキスされるのも嫌だろうし、その意味でもちょうどいい。
そうしてスポーツドリンクを飲んでいると、雪ノ下のポーッとした視線に気づいた。
「……どした?」
「いえ……あなたはやっぱり男の人なんだと、改めてそう思っただけ」
ぽしょぽしょと小声で雪ノ下はそんなことを言った。
謎は俺がもう一度スポーツドリンクを飲み始めたときに解けた。雪ノ下はスポーツドリンクを嚥下するときに動く俺の喉仏に見
枕元のデジタル時計は既に23時前を指していた。俺たちがベッドに入ったのはおそらく20時過ぎだから、だいたい3時間ほどたった計算になる。
この後どうするか。俺としてはもちろんこのまま雪ノ下とセックスしたいが、雪ノ下は今のクンニでだいぶ体力を消耗してしまったように見える。無理はさせたくない。
しかし、白い肌を桃色に色付かせた雪ノ下の身体を見ていると、やはりどうしても彼女を抱きたくなる。紅潮した滑らかな肌につややかな黒髪が張り付き、あるいは玉になった汗が流れていて、まさに凄艶といった様子だ。雪ノ下の色香に惑うように、俺は彼女の脇腹に手を伸ばした。
「雪ノ下……」
「……私と、セックスしたい?」
「したい」
雪ノ下はうれしそうに笑みを浮かべ、俺の首に手を回して頬を寄せる。俺は雪ノ下の後頭部に手を置いて彼女をやんわりと押し倒し、彼女の脚と脚の間に身体を入れた。
俺が枕元のコンドームに手を伸ばそうとしたところで、雪ノ下がその手に指を絡める。
「ねぇ比企谷くん。さっきの勝負の勝者のお願い、聞いてくれるかしら?」
「……おう、いいぞ」
「前に一度言ったことだけれど……あなたの人生を、私にちょうだい。ずっと、私の隣にいて。私と、添い遂げて」
まっすぐな雪ノ下の目が俺に問いかける。
前回は気恥ずかしくて「重い」とかなんとか言ってごまかしてしまったが、今回はそうはいかない。言葉をごまかすどころか、一瞬でも目を反らすことすら重大な背信行為に当たるような気さえした。
俺もまっすぐに雪ノ下を見据え、ずいぶん前から決まっていた言葉を返した。
「ああ。喜んで」
雪ノ下は破顔して俺の顔を引き寄せ、優しく口づけをした。
「雪ノ下。さっき言ったように、俺はお前に執着してる。お前に心底惚れてるんだ。お前に捨てられたくない。お前と離れたくない。一緒にいたい。もう『いらなくなったら捨ててくれ』なんてかっこつけてられないくらい、お前に惹かれてる」
「ええ」
「ずっとお前の隣にいさせてくれ。お前と、添い遂げさせてくれ。……お前の人生を、俺にくれ。雪ノ下」
雪ノ下もまっすぐに俺を見据えたまま、言ってほしかった言葉をくれた。
「ええ。喜んで」
なんの根拠もないのに、俺は素直にその言葉が雪ノ下の本心であると確信できた。
いや、根拠はある。出会ってから今まで雪ノ下と交わした言葉が、雪ノ下と触れ合ったぬくもりが、雪ノ下と過ごしてきた時間すべてが、その確信の根拠だった。
彼女の唇に自分の唇を重ねる。雪ノ下はもう二度と離さないというように俺の首を深くかき抱き、俺の腰に脚を回した。
雪ノ下と舌を絡ませ、雪ノ下の唾液を絡めとって飲み下す。今回の雪ノ下はスポーツドリンクの味だった。今度は雪ノ下の舌に口内をくまなく撫でまわされ、舌の裏に溜まった唾液を吸い取られる。
ディープキスをしながら濡れそぼった雪ノ下の女性器に勃ったペニスをこすりつけると、雪ノ下はハッと気が付いたように目を見開いた。
「比企谷くん。千葉に帰ったら、私と結婚してくれる?」
「……は?」
突然の提案に思考が止まる。
「え、千葉に帰ったらってことは明日?」
「明日じゃなくてもいいけれど……そうね、差し当たって三が日の間にお互いの家に挨拶に行くということでどうかしら?」
「……さっきあんなこと言った手前、断るわけねぇだろ。でも、なんでそんな急に」
「……避妊具なしであなたとつながりたいと思ったから」
照れるようにそんなことを言う雪ノ下に、俺はしばらく目を奪われた。