どこまでも醜い私は、ある日黒髪の少年を手に入れた 作:布施鉱平
「あっ♡ いいっ♡ すごい♡ すごいの♡」
「…………」
「…………」
リディアとミゼルの二人は、扉の隙間から寝室の中を覗き込んでいた。
ルナのことが心配だった、というのももちろんあるが、その理由の大部分は好奇心からだ。
あの常に表情を崩さないルナがどんなセックスをするのか、気になって仕方がなかったのだ。
「……すごいな」
「……すごいわね」
その感想は『驚愕』の一言である。
二人の予想は『快感を
だが現実は、
「もっとぉ♡ ねぇ♡ もっとしてぇ♡」
これである。
おそらくは扉を閉じてもこの嬌声は聞こえてきただろう。
それくらい、ルナは乱れていた。
細い足を少年の体に絡みつけ、子供のような体を下から少年に押し付けるように動いている。
普段のルナからは全く想像できない、情熱的で激しいセックスだ。
「まさか、あのルナがこんなに乱れるとはな」
「……私も、はやくあの子とセックスしたい……」
風呂場では少年にフェラをしたものの、ルナを引き止めるために先を譲ったため、ミゼルは未だに処女のままなのだ。
「彼は絶倫だと言っただろう? ミゼルは夜まで待つんだ」
「うん、そうする……」
頷きながらもミゼルは自分の股間に手をやっていた。
目はずっと少年とルナのセックスに釘付けである。
「……ほどほどにしておけよ?」
リディアは足音を立てないように立ち上がると、自分の部屋に戻っていった。
もちろん、オナニーするためにである。
少年とルナのセックスにも興奮したが、リディアは昨日少年としたセックスを思い返しながらオナニーしたかった。
「あひぃいいっ!♡」
遠ざかるリディアの耳に、ルナの絶頂する声が聞こえてきた。
あの少年が一度のセックスで終わるはずがない。
二回戦目はすぐにも開始されるだろう。
リディアが振り向いて後ろを見ると、扉の隙間を覗き込みながら激しく指を動かすミゼルの姿が見えた。
◇
それから約一時間後。
部屋でのオナニーを終えたリディアは、少年とルナがセックスをしていた部屋の前に戻ってきた。
「……ん? ミゼル?」
ミゼルの姿が見当たらない。
リビングに戻ったのかと確認してみるが、そちらにもミゼルはいなかった。
「まさか、な」
呟き、また先ほどの部屋の前に戻ってきたリディアは、部屋の扉が閉められているのを確認すると、ゆっくりとドアノブを回して開いていく。
すると────
「あんっ♡ あんっ♡ あんっ♡ あんっ♡」
部屋の中から、悦びに満ちた嬌声が響いてきた。
その声は、ルナのものではない。
「もっとっ♡ もっとぉ♡」
扉の隙間から覗いたリディアの目に飛び込んできたのは、仰向けになった少年の上で激しく腰を動かすミゼルの姿だった。
長い黒髪を振り乱し、ミゼルが跳ねる。
その隣には、両足を大きく開いたまま微動だにしないルナが横たわっていた。
だが、股間から流れ出す大量の精液やルナの満足そうな表情を見れば、ミゼルが強引に割って入ったのではないということは直ぐに分かった。
「夜まで、我慢できなかったか……」
無理もないと思う。
あんな光景を見せつけられて、処女が我慢できるはずもない。
リディアももし少年とセックスする前だったなら、我を忘れて部屋に飛び込んでいただろう。
「いいのぉ♡ すごいのぉ♡ こんなの、こんなの知らないぃ♡」
二人続けてこんなに激しいセックスをするなんて、少年は大丈夫なのだろうか。
リディアの心に不安が過るが、その心配は杞憂だと直ぐに思い直した。
なにせ、リディアと少年は昨日数時間もセックスし続けたのだ。
たった一時間のセックスでへばるような少年でないことは、リディア自身の体で体験している。
その証拠に、激しく腰をグラインドするミゼルの下から、少年は腰を突き上げていた。
大きな動きではないが、ミゼルに合わせて一生懸命腰を上げ下げしている。
ごくり、とリディアは唾を飲み込んだ。
ミゼルも、ルナも、そしてリディアも、美しさからは程遠い外見を持っている。
だというのに、少年とセックスするミゼルを見ても、不快な思いなどまるで感じない。
悦びの声をあげながら腰を振るミゼルの姿はむしろ官能的で、
少年とセックスをしている時の自分も、あんなふうに見えるのだろうか。
セックスしている最中の自分なんて見れるはずがないのに、リディアはそんな事を考えてしまった。
「あっ!♡ イクッ!♡ またイクゥッ!♡」
ミゼルに限界が訪れたようだった。
リディアは、ルナの時には見逃したその瞬間を見届けようと目を凝らす。
こちらに背を向けているため、少年とミゼルの結合部がはっきりと見えた。
グジュグジュと、少年の大きなチンポが抜き差しされる度に掻き出される、白濁した液体がいやらしい。
「あぁぁああああっ!!♡♡」
ミゼルのアナルがキュッと締まった瞬間、少年とミゼルは同時に達した。
結合部から、ミゼルの中に入りきらなかった精液がトロトロと溢れてくる。
いったい、あの小さな体のどこに、あれだけの体力と精液が詰まっているのだろう。
少年の出自も謎だが、その体もまた謎に包まれていた。
「…………あっ♡ えっ、うそ、まだ硬いの?♡ そんな……すごい……♡」
そしてすぐさま第二回戦……いや、三回戦目か四回戦目かは分からないが、結合状態を解かないままにセックスが再開された。
十代から三十代の女など、性欲の塊だ。
体力の限界まで、いくらだってセックスできる。
もちろん、してくれる相手がいれば、の話ではあるが。
「すごいっ♡ すごいよぉっ♡ あぁんっ♡ あんっ♡ あんっ♡ …………」
パタン、とリディアは扉を閉めた。
そして、また自分の部屋に戻っていく。
当然オナニーをするためだ。
せっかく一時間もかけて静めてきたというのに、ミゼルと少年のセックスを見たせいでまたムラムラしてしまった。
「はぁ……ミゼル、夜は私に譲ってもらうからな」
結局、少年は今日一日中セックスをすることになりそうだった。
◇
────その日の夜。
「あぁっ!♡ いいっ!♡ これすごいっ!♡」
リディアは、自室で少年とセックスをしていた。
体位は騎乗位。
昼間見た、ミゼルと少年のセックスに影響されたのは言うまでもない。
そして、影響されたのはそれだけではなかった。
「こんなっ♡ これがっ♡ セックスしてる私っ♡」
激しく繋がる二人の前には、大きな鏡が置かれていた。
以前は鏡など見るのも苦痛だったので倉庫に放り込んでおいたのだが、思いついて取り出してきたのだ。
鏡には、淫らに腰を振る自分の姿が写っていた。
大きな胸や尻、引き締まった腹部、割れていない顎、厚みの薄い唇、切れ長の目、クセがなく艶のある赤毛。
いつもの自分だ。
姿かたちに変化などない。
だというのに、不思議なことに以前感じたような嫌悪感はまるで湧いてこなかった。
腰を動かすたびに揺れる胸も、少年のものをパックリと咥えこんだ場所に生えている赤毛も、快楽に蕩ける表情も。
どれも以前と同じに見えて、まるで違う。
それがなぜなのかと考えたとき、リディアは鏡ではなく、自分の下で気持ちよさそうに目を細める少年を見て気がついた。
少年が、自分を求めてくれているからだ。
天使のように可愛らしい少年が、リディアの胸を、尻を、顔を受け入れてくれる。
そして滾りに滾った性欲すらも受け止めてくれる。
それが、リディアに『自信』を持たせてくれたのだ。
リディアだけじゃない、少年はミゼルにも、ルナにも、自分自身を好きになるきっかけを与えてくれたのだ。
思えば、リディアは自分が嫌いだった。
強さ以外に何も誇れるものがなく、その強さにしがみつくような生き方しかできなかった。
何をしていても心から楽しむことができず、目的もなく砂漠を歩くような日々を送っていた。
それがどうだ。
この二日間で、リディアは劇的に変わった。
生まれ変わったと言ってもいいくらいに変化した。
外見ではなく、内面がだ。
人生を楽しいと思えるようになった。
自然に笑えるようになった。
偽りや誤魔化しでなく、心から湧き上がる愛を知った。
その全ては、この少年が与えてくれたものだった。
「あぁっ!♡ 好きだっ!♡ 愛してるっ!♡ 私は、君を愛してるっ!!♡♡」
湧き上がる愛は口から溢れ、言葉となって少年に降り注いだ。
目を細めていた少年が、その瞼を薄く開く。
そして、
「○#&◇%△」
微笑みながら、囁きを返してくれた。
意味など分からない。
だが、意味など関係ない。
リディアには、それが少年からの愛の言葉だと確かに分かったのだから。
「うぁああああああああっ!!!♡♡♡」
リディアは強く膣を引き締め、涙を流しながら絶頂した。
セックスの快楽以上に、少年から向けられた愛しさのこもった言葉が、リディアを深い絶頂へと導いたのだ。
快楽の余韻に震えるリディアは、泣きながら笑みを浮かべ、少年にキスをした。
少年も、リディアの唇をついばむようにキスを返してくれる。
「……私は決めたよ。もし君に帰る場所があって、そこに帰りたいというのなら、私も着いていく。何があっても、君とは絶対に離れない。一生君のことを守ると誓う」
唇を離し、少年と見つめ合ったリディアは自分の決意を告げた。
「□△%#&×」
少年が微笑みながら言葉を返してくる。
「生意気を言うな、君は男だぞ?」
それが自分と同じ決意を告げた言葉だと、リディアは確信していた。
「守るのは、私だ。守らせてくれ、愛する君のすべてを」
だから、もう一度愛と決意を囁き、唇を合わせる。
少年のために戦うなら、どんな存在が相手でも負ける気がしなかった。
今の自分なら、たとえ国を相手にしても勝つ自信すらあった。
そして、そんなバカなことを本気で思うことができる自分を、リディアはまた一つ、好きになれた気がしたのだった。