エドとのデュエルを終えた後、俺は知らなかったが十代先輩とエドとデュエルを行ったらしい。
その時のデュエルの結果はどうやら十代先輩が勝ったらしい。
それの影響なのか、最近十代先輩は元気がなく、デュエルにもいつもの様子が見られない。
「その、カードが見えなくなったのは本当なんですか?」
「あぁ、あのデュエルからずっとな」
そう言いながら、先輩は自身のデッキを見ながら、これまで見せたことのない落ち込んだ姿を見せていた。
「正直、今の俺に何ができるのか分からない」
「その話をなんで俺に?」
「なんでだろうな」
そう、言いながら暗い表情は変わらないままだった。
「悪い、しばらく一人にさせてくれ」
「えっえぇ」
そう言いながら、十代先輩はそのままどこかへと歩き去って行った。
『マスター、今、あの人の後ろにいたのは』
「あぁ」
マシュからの言葉を聞き、見えたのは十代先輩を心配そうについて行くハネクリボーの姿だった。
先輩自身、まだデュエルはできないだろうが、それでも俺達のように、デュエルモンスターズのモンスター達は十代先輩が再びデュエルしてくれるのを待っている。
「その間は俺達ができる事をするだけ」
そう言いながら、俺も決意を新たにして、レッド寮へと帰ると
「なにこの状況」
そこにはレッド寮の前に万城目先輩達がおり、それに対面するようにハワイ服にウクレレを持った男となぜかウェットスーツを身に纏っているクロノス臨時校長がいた。
「丁度良かったわ。
兄さん、私を取り戻したいと言うならば、この子に勝ってからにしてくれるかしら」
「俺が代わりにデュエルを?」
どういう状況か未だに分からない状況に俺は首を傾げる。
「えぇ、頼めるかしら」
「状況はまるで分からないし、未だに追いつけませんが。
とりあえずデュエルならば断る訳にはいかないな」
「ほぅ、そこの君はなかなか十代君と同じような感じがするね」
そう言いながら、笑いを浮かべているが
「それで、えっとあなたは?」
「あぁ、紹介が遅れたね。
僕は天城院吹雪、明日香の兄さ」
「・・・はぁ」
その反応を見て、俺は思わず明日香先輩と吹雪先輩を見比べた。
「何かしら」
「いえ、そのあんまり似てないなと」
「そこは気にしなくても良いわ。
とにかく、絶対に勝ちなさい」
「はっはい」
そう言いながら迫ってくる明日香先輩の迫力に負けて、俺は思わず返事をしてしまう。
そうして、俺はそのまま連れられて、吹雪先輩と対峙する。
「それでは、よろしく頼むよ」
「えぇ、こちらこそ先輩!」
俺はそう言いデュエルディスクを展開する。
「「デュエル」」
「俺のターン。
まずは永遠結晶エグザミアを発動する」
その言葉と共に俺の後ろから出てきたのは巨大な結晶が現れる。
「エグザミア、これは見たことのない魔法だね」
突然現れたエグザミアに対して吹雪さんは驚きを隠せない様子だったが、それでも余裕は崩れない様子だった
「まぁ楽しみにしていてください。
俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド」
そう言いながら、俺は
「ならば、僕のターン。
僕は漆黒の豹戦士パンサーウォリアーを召喚する。
そして、手札から永続魔法スポットライトを発動し、パンサーウォーリアーの攻撃力を300上げる」
その言葉と共に現れたのはパンサーウォーリアーだった。
このデュエルアデミアでは結構見る事のあるモンスターであり、攻撃時に自分のモンスターを一体リリースしなければ攻撃できない特殊なモンスター。
だけど、反対に墓地に送られる事が意味のあるモンスターならば様々なコンボができるというモンスターでもある。
高い攻撃力で油断はできないが
「この時、エグザミアの効果。
魔法が発動される度にエグザミアに残滓カウンターを乗せる」
その言葉と共にエグザミアの結晶の中には一つの光が宿る。
「カウンター、ふむ、油断はできないようだが、ここは攻めるさ。
僕は迷える子羊を発動し、僕の場に2体の子羊トークンを召喚する」
その言葉と共にフィールドに現れたのは子羊トークンだった。
これで攻撃の準備はできた訳だが
「この時、エグザミアに残滓カウンターを置く」
「それじゃあ、パンサーウォーリアーの効果。
このモンスターは場のモンスターを一体生け贄にしなければ攻撃できない。
僕は子羊トークンを生け贄に、パンサーウォーリアーで直接攻撃!」
「速攻魔法、月の書。
その効果でパンサーウォーリアーを裏側守備表示にします。
そして、エグザミアに残滓カウンターを設置する」
既にこちらの方でも準備はできている。
月の書が発動されると共にパンサーウォーリアーはそのまま裏返る。
「へぇ、こちらを誘ってステージ裏にするなんて、酷いじゃないか」
「悪いですが、まだ主役が出ていないのに、そんな事はできませんからね」
「主役かい、それは少し楽しみだね。
僕はカードを一枚伏せて、ターンエンド」
「それじゃ、俺のターン、ドロー。
とりあえず、まずはサイクロン。
それでフィールドにセットされているカードを破壊する」
「おっと、その前に速攻魔法スケープ・ゴート。
その効果で僕のフィールドに羊トークンを3体特殊召喚する」
その言葉と共に吹雪先輩の場には子羊トークンによって埋め尽くされる。
これでは吹雪先輩のライフに届くのは難しい。
「けれど、2枚の魔法カードが発動した事によって、残滓カウンターが2つ置かれる。
よって、残滓カウンターは5つ。
そして、俺は残滓カウンターを二つ取り除く事によって、デッキから特定のモンスターを一体特殊召喚する事ができる。
俺はその効果を二回使い、星光の殲滅者シュテル・ザ・デストラクターと雷刃の襲撃者
レヴィ・ザ・スラッシャーを特殊召喚する」
その言葉に合わせて後ろの結晶から現れたのは短髪の無表情の女の子と青い髪をツインテールにした女の子の二人だった。
これこそ、このデッキの最大の特徴。
魔法を発動させ、エグザミアにカウンターを溜めて、次々と彼女達を召喚していく。
「おぉ、これはびっくり!
まさかあの魔法からこんな女の子が出てくるとは」
「まぁそういう事です。
まずはシュテルで子羊トークンに攻撃!」
その言葉と共にシュテルは手に持った杖から出した魔力弾で子羊トークンを貫く。
貫かれた事によって、身体が焼かれ、叫びながら子羊トークンはそのまま消滅。
「まだまだ、レヴィでパンサーウォーリアーに攻撃する」
その言葉と共に手に持った鎌でパンサーウォーリアーをそのまま真っ二つに切り裂く。
「なるほど、確かに厄介だ。
だけどね、僕としても明日香の芸能界デビューの為に、ここで諦める訳には行かない!
僕は罠カード、奇跡の瞬間を発動。
その効果により、デッキから褐色のウォリアーを特殊召喚する」
「褐色のウォーリアーの効果により、デッキから不屈闘士レイレイを特殊召喚する」
「俺はこれでターンエンド」
「僕のターン、ドロー!
それでは、君にも見せよう魅力的なステージを!
僕は究極のステージ衣装を発動する!
その効果を褐色のウォーリアーに装備し、攻撃力を3000アップさせる!」
「いきなりとんでもないカードが出たな」
「そして、バトル!
レイレイでシュテルに攻撃!」
「シュテルのモンスター効果!
1ターンに1度、墓地の魔法カードを除外する事によって、攻撃力を500上げる」
「なっ」
その効果を発動すると同時にこちらに向かって攻撃を仕掛けてきたレイレイはシュテルから放たれた炎によって、焼き払われる。
「さて、あとは厄介な褐色のウォーリアーだけ!」
そう言い、俺は構えるが、なぜか一切攻撃して来ない。
「・・・あれ?」
「いやぁ、この究極のステージ衣装、攻撃力は上げるけど、攻撃する時、その効果を無効にするんだよね」
「・・・」
「という事で僕はこれでターンエンド」
「はぁ俺のターン、俺は手札から手札抹殺を発動。
その効果で互いの手札を全て捨てて、その分カードをドローする」
「ここで手札交換?」
「いや、さっきのシュテルの効果を見る限り、むしろ墓地にカードを送る事が重要だ。そして」
「これでカウンターが十分に揃った」
「俺はエグザミアの効果により、デッキから闇統べる王ロード・ディアーチェを召喚する。
ディアーチェの効果により、手札を一枚除外する事で相手の魔法・罠を無効にする。
俺は究極のステージ衣装を無効にする」
「あぁ!!」
そう言っていると、褐色のウォーリアーが身に纏っていたステージ衣装はディアーチェによって黒く染められ、破壊された。
「さらに魔法カード、太陽の書。
その効果で子羊トークンを攻撃表示にする」
「あぁ、これって」
「いやぁあはははは」
「シュテルの効果で墓地の太陽の書を除外し、攻撃力を500上げる。
シュテルで子羊トークンに攻撃」
それと共に放たれた炎によって、子羊トークンは灰へと変わった。
それを見て、褐色のウォーリアーは結構怯えた表情をしていたが
「ディアーチェで褐色のウォーリアーに攻撃」
それと同時に放たれた黒いナイフによって、褐色のウォーリアーは貫かれ、デュエルは終わりを告げた。
「ふぅ、ありがとうございます」
そう言いながらも
「それで聞きたいんですけど、結局、このデュエルって何が目的だったんですか」
「それはね、明日香のアイドルコースへ戻る為のデュエルさ」
その言葉に俺は思わず苦笑いをする。
「私は戻るつもりはありません」
「そっそうですね」
俺は思わず苦笑してしまう。
だが、そんな明日香先輩とは別に
『僕、活躍なかった!!
なんでぇ!!』
そう言いながら、デュエルが終わり、精霊状態になっているレヴィをこの後相手しないといけないと思うと、少し気が重い。