その日、この世界で初めてペンデュラム召喚が誕生した。
かつて、俺がラーの翼神竜の力によって手に入れたペンデュラム。
それが、まさか俺が居候先の遊勝塾の生徒であり、俺にとって弟子のような存在である遊矢がその力を初めて手に入れた。
「だけど、なんだろうな、この感覚は」
一瞬、ペンデュラム召喚を行った時に感じた闇。
あれは何だったのか疑問があった。
「とにかく、今は遊矢の勝利を祝う」
これから行われるだろう戦争では、遊矢の力が必要になる。
正直言って、俺にとっては元の世界に戻る為にも必要な戦いなので、特に気にしていないが、遊矢を初めとして、この世界の奴らを巻き込むのは少し嫌な気分になる。
「それで、そんな遊矢に何の用だ、ストロング・石島?」
「今はただの石島だ。
君が榊塾の講師である切札勝気か」
そこにはステージで派手な格好をしているストロング・石島ではなく、スーツを身に纏っていた。
一瞬だけ、誰だか分からなかったが、この時間に遊勝塾に来る人物は、遊矢を目的にした奴か、あのペンデュラム召喚と最初に戦ったストロング・石島ぐらい。
だからこそ、直感で聞いたが、どうやら間違っていないようだ。
「それで、何の用だ?
まさか、遊矢に復讐か?」
「いいや、あれはデュエルディスクが不正ではない事を証明している。それにケチをつけるつもりはない」
その言葉を聞いただけでも、どうやら目の前にいるストロング・石島はわりと良い人かもしれない。
「それで、何の用なんだ?」
「いいや、ただ、あの時油断して、出し切れなかった力。
傲慢かもしれないが、それを出し切ったデュエルをしたい」
「なるほど」
その言葉を聞くと、確かに少し分かる気がする。
自分が知らなかったルールがいきなり追加されて、敗北した。
それが悔しかった。
だから、今のストロング・石島は遊矢ともう1度デュエルを行う為にここに来た。
「悪いけど、遊矢はさすがに今日の緊張もあって、休んでいる。
ここは俺が代わりに相手になるよ」
「いや、俺は「それに」んっ?」
「今の俺は絶対に遊矢よりも強い」
その一言をストロング・石島に伝えた。
「・・・良いだろ」
その言葉に応えるように、ストロング・石島もまたデュエルディスクを構える。
「ここであなたを倒して、そして今度こそ、榊遊矢に再挑戦する」
「それでこそ」
同時に俺達はデュエルディスクを構え
「「デュエル」」
「榊遊矢の時には見せなかったが、ここから俺の本当のデュエルを見せよう。
俺はバーバリアン・ストレジストを召喚する。
バーバリアン・ストレジストの効果により、1ターンに1度、手札からレベル5以上の『バーバリアン』モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚できる。
俺はバーバリアン・キングを特殊召喚」
その言葉と共に瞬く間に、切札とも言える存在、バーバリアン・キングが現れる。
しかも、その手札は未だ3枚残っている。
「俺はさらにバーバリアンの角笛を発動する。
手札からバーバリアン・ライダー、バーバリアン・シールダー!
さらに、バーバリアン・ライダーの効果により、デッキからレベル5以上のバーバリアンを特殊召喚する。!
俺はデッキからバーバリアン・ハーミットを特殊召喚する」
そうして、ストロング・石島の場には瞬く間にバーバリアン達によって埋め尽くされていた。
最初のターンでここまで展開させるのは、確かに凄いな。
「だけど、それだけか」
「なんだと?」
「お前の手札はもう0枚だ」
「だからどうした。
この鉄壁の布陣をどうやって乗り越える!」
そう言いながら、ストロング・石島はこちらを睨むが
「簡単に乗り越えてやるよ。
俺のターン。
まずは自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードを召喚する。
俺は虚圏の崩姫を特殊召喚する」
「そのモンスター一体で何を」
「まだ終わっていないぜ。
俺は完現術─盾舜六花を発動する。
デッキから自分フィールドに光属性・天使族チューナーが存在する場合、発動できる。デッキからレベル3以下のチューナー以外のモンスターを3体まで効果を無効にして特殊召喚する。
デッキから椿鬼─孤天斬盾、舜桜・あやめ─双天帰盾、火無菊・梅厳・リリィ─三天結盾を特殊召喚する」
「奴の場に瞬く間に4体のモンスターっ。
しかも、カードをたった2枚でっ。
だが、どうやって「まだ、効果は終わっていないぞ」効果だと?」
「完現術─盾舜六花は特殊召喚したモンスターを使って、シンクロ召喚を行う」
「シンクロだとっ!」
その言葉に驚きを隠せないようだった。
「なんだ、そこまで驚く事じゃないだろ」
「お前は、融合使いじゃないのかっ!」
「そんな事、言った覚えはないぞ」
その言葉のまま、俺は構える。
同時に特殊召喚した虚圏の崩姫を中心に光の輪で、その姿が変わっていく。
「シンクロ召喚、卍解 白霞罸」
同時にその姿は、雪女のような白服銀髪の美女へと変わる。
「っ」
「白霞罸は召喚に成功した時、相手フィールドのカードは効果を発動できず、モンスターの攻守は0になる」
その一言と共にストロング・石島の場にいた全てのバーバリアン達は纏めて氷像へと変わった。
「なにが起きているんだっ!
お前は融合以外にシンクロも使うのか」
「少し違うな」
「何?」
その一言に疑問に思ったようだが
「俺は斬魄刀 斬月を召喚する。
その効果で手札から斬魄刀 蛇尾丸を特殊召喚する」
「2体のモンスターっ、まさか!」
2体のモンスターが並んだ事が何を意味するのか分かった瞬間、ストロング・石島は目を見開く。
「レベル4のモンスター2体で、オーバーレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!卍解 天鎖斬月!!」
その言葉と共に現れたエクシーズモンスターは、モンスターというよりも剣であり、俺の手元には漆黒の日本刀が収まった。
「エクシーズっ、それにプレイヤーの手に」
「俺の手にあるのはまぁ、形だけ。
そして、天鎖斬月にも能力がある」
そう言いながら、天鎖斬月をそのまま上に掲げる。
「天鎖斬月は『斬魄刀 斬月』を素材にしているこのカードが攻撃する時、攻撃力を倍にすることができる」
「倍だとっ」
その一言と共に天鎖斬月から溢れ出る闇と共にゆっくりと構える。
「行くぞ、バトル。
天鎖斬月でバーバリアン・キングに攻撃」
同時に天鎖斬月を振り下ろす。
「月牙天衝」
漆黒の三日月状の斬撃となり、バーバリアン・キングを真っ二つに切り裂く。
「まさか、たった一撃で倒されるとはな」
そのデュエルが負けた瞬間のストロング・石島の表情はどこか穏やかだった。
「負けたか」
「その割にはすっきりした表情ですね」
そう言いながら、ストロング・石島に手を伸ばす。
それに対して、ストロング・石島もまた手を掴み、立ち上がる。
「榊遊矢、そして切札勝気。
お前達二人と負けて、デュエリストとして、動き出せるような気がする」
そう言い、ストロング・石島は
「今度は俺がさらに力を高めて、再びデュエルを行おう。
その時こそ、俺が勝つ」
「いいや、その時も俺が勝つよ」
それと共に、互いの笑みはデュエルに対して狂気的な執着を持っており、ライバル。
そう思える程、俺は今は目の前にいるストロング・石島との次の再戦を楽しみにしている。