十香ユニゾン。切羽詰まった状況で、絶対に誤解されたくないので言葉を重ねていく士道くん。しかも素直で生まれてこの方恋愛対象となるのは士道くんのみの十香が相手。
自分でもここまで噛み砕いた誤解のしようがない甘いの初めて書いた気がします。なんでこれ間に挟んでるのかって、挟まないと私が耐えられなかったからです!!基本属性こっちです!!
「――――そうだ。上手いぞ、十香」
「う、うむ……」
僅かに緊張を孕みながら、十香が
拙いが、筋はいい――――何様のつもりなのだと苦笑し、士道は声を発した。
「焦らなくていい。初めはレシピ通りやるのが大切だからな。……けど、本当によく出来てるぜ」
「うむ! いつもシドーがしているところを見ていたからな」
「そ、そっか……」
言われてみれば、時たま十香が士道の調理風景をじっと見ていたような思い出があった。あれは単純に料理ができる工程、あるいは完成が待ち遠しいとかそういう類だと思っていたのだが、士道自身を見ていたと言われると今は別の意味に感じ、頬に熱が溜まってしまう。
何をしているのか。言うまでもなく料理の
当然、士道は了承。十香が色々なことに興味を持つことは嬉しく、それを士道が教えてやれることなら尚更喜ばしい――――以前より、強くそう思う。
「でも、どうした急に? 料理なら俺がいつでも……」
「むう、シドーばかりに任せていては、私がダメになってしまうからな!」
「だ、ダメにって……そんなことないと思うぞ」
世の中には役割分担というものがあり、士道は十香に料理を食べてもらうことが好き。こういう状況ではあるし、任せてくれても一向に構わないと思っていた。
が、十香はフッと微笑を見せ、返した。
「いや、少し……違う。二人きりで、シドーの負担になりたくない、それは本当だ。だが、シドーが嬉しいと思うことは、私も嬉しい――――私が料理をできるようになったら、同じことができるだろう?」
士道は十香に料理を食べてもらい、笑顔になってもらうことが好きだ。何気ない会話をして、作ったものを美味しいと言ってもらえることが好きだ。
十香は士道が嬉しいと思うことが好き――――聞いていて恥ずかしくなるほど真っ直ぐな理屈だが、料理を覚えたい理由が士道ということはしっかりと伝わってくる。
「…………」
「シドー?」
愛おしい。士道のために、士道に喜んでもらいたい。以前から感じて、もらって、受け取っていたもの。それが、前以上に嬉しく、愛おしく感じてしまう。
至近距離で十香を見つめる士道に、彼女の夜色の髪が傾き、水晶が揺れる。一度止められた手に、士道の手を重ねる。
「っ……」
「十香」
華奢で、柔らかくて、かの大剣〈
突如として重ねられた温もりに、十香の顔に朱色が灯る。それがまた愛おしくて名前を呼んで、色が重なる。
「……悪い。十香が、可愛いこと言うから」
「な……し、シドーが言えることか。大体、近いのだ。緊張、してしまうのだ……」
十香の要領を得ない物言いにキョトンとしてから、察して苦笑い。確かに、料理を教えるとはいえ
「嫌なら、止める。いいなら、このままがいい……」
「嫌では、ない。むしろ……好きで、嬉しい」
「……っ!」
今度は士道が息を呑む番だった。恥ずかしげに、だが確かな声音。
止まらない。士道の中の〝何か〟が膨れ上がる。目の前の、好意を抱く少女。あまりにも、暴力的なまでに美しい
止められない。それがわかっていながら、士道は最後まで抗った。止められないのなら、せめて自分の目指す形で。
「十香……十、香」
「……シドー」
重ねた手を取り、十香を抱き寄せる。彼女は恥ずかしさこそ見えるが、拒まない。それがまた――――ああ、回る。士道の心が、十香への好意のみで回り続ける。
暴力的な面が眼窩に映る。その薄紅の唇が、少女らしい手入れを学ぶ以前から水と張りを絶やさないその唇が、士道のモノと一つになる。
「ん……」
「………………」
柔らかくて、しっとりとして、甘い。食べ慣れたはずなのに、興奮が収まり止まない夜刀神十香の味が口内と鼻腔を蹂躙する。
だけど、意識はハッキリとしている。初めてのキスのように、朦朧とはしない。十香という少女を逃がすまいと、頭の中で本能が暴れ狂う――――十香の手が、士道の身体を撫でたのはその時だ。
「っ!」
「……シドー♡」
キスをしたまま、喋る。接着した唇が蠢くという得も言えぬ感覚と、優しく
十香が触れているのは単純な身体の一部分。しかし、以前までの彼女であれば触れることも、ましてや触れさせることは士道がしなかった。
だが、十香は自らの意志で士道の
「ん、ふ……っ」
「シドー、我慢を、するな♡」
――――無垢な妖艶、とでも言うのか。
美しく爛漫な十香が、士道に染められている。少女だった十香が、少女のままに
唇を深く重ね合わせ、小慣れた手つきで士道のモノを取り出す。それは十香の魅力に当てられ、痛いくらいに硬くなり、十香の手が触れてその冷たさに反応し痙攣する。否、士道のそれ、逸物が熱すぎるだけなのだろう。
我慢など、できはしない。そして十香も、十二分に士道に当てられている――――十香の細いウェスト部分を締めるスカートに指を差し込み、
「ひゃ……っ♡」
「十香、こそ……我慢なんて、するな」
十香が士道の逸物の竿を手のひらで包み、上下させるのと合わせ、士道もまた十香の下着に手を這わせる。それどころか、クロッチ部分をズラして十香の大事な場所を直に指で弄くり回す。
「あっ♡ あっ♡♡ ふぁっ♡」
「っ! ん、ぁ……」
声音が重なる。共に、唇を重ねた身だ。そうなるのも当然と言えば当然。
士道が十香の秘部を表面を擦り、開き、膣内に指を差し込めば、十香は士道の逸物を撫で、扱き、睾丸を優しく揉み上げ、亀頭をくにくにと遊ばせる。
日常の風景。初めは躊躇いや葛藤があったこれらも、互いに与え合う快楽を知ってからは、気がつけばこうしていた。士道は十香、十香は士道。互いが最も快楽を得られる場所を刺激し合い、
十香は自慰行為を知らず、士道は自慰行為に戻れない。互いに、知ってしまったものが多すぎた――――いけないことだと咎める人がいない中で、少年と少女は快楽の沼に知らず知らず引き込まれる。
そんなことをしていれば、理性が封じる枷が外れていくことは避けられない。士道は、感触のみでは我慢ならずに十香のスカートのホックを外した。
「っ、こ、こひゃ♡ シドー♡」
「と、十香だって、俺のズボン下ろしてるだろ……」
大体、こんな
愛液で濡れた白い下着。それも股下に脱がせてやれば、中途半端に着衣を保つ十香が出来上がる。上半身はしっかり着込みながら、下半身は士道に剥ぎ取られ恥毛と陰裂を晒す。
「……っ!!」
「ん……♡ シドーのおちんちんが、もっと大きく……♡♡」
ならないわけがない。十香の驚きに返す言葉もなく、反り返って我慢汁を垂れ流す劣情の証が代わりの返事とばかりにビクンビクンと跳ねる。
十香が顔を赤らめ、士道のモノを手淫し、士道に衣服を好き勝手にされて淫靡に飾られる。興奮の頂点を軽々と超えていく十香の魅力に打ちのめされてしまう。
白磁の肌に目立つピンク色の陰部に飾り付けられた夜色の陰毛。比較対象をじっくりと見た記憶のない士道にとって未知のそれは、指に絡めた愛液を塗れば一本一本が卑猥に絡み合う興奮対象。ある意味、もっと興奮を促される十香の貌が目の前になければ、一秒足りとも視線を外すことなく眺めていたであろう。
「し、どー……また、くる……っ♡ 私の中から、来ている、のだっ♡♡」
「俺、も……っ!」
やがて、互いの限界は訪れる。十香の陰毛をまさぐり、陰裂を掻き分けて蠢く膣壁に指を出し入れする。その間に、十香は我慢汁がたっぷりと振り込まれた手で逸物を扱き上げる。
耐えられるものか。技術は拙く、未熟。それを補って余りある互いへの情熱、好意。距離があまりにも近く、性器と性器が触れ合い、ぐちゅりと粘液同士が交わる音がする。
『〜〜〜〜〜っ!♡』
――――プシャッ、ドピュッ!
まるでキスのように合わさった秘部と逸物。本当のキスで重なった貌が絶頂に歪み、それぞれの下半身に愛液と精液をぶつけ合う。
持つ知識が多くない士道でもわかるほど、異常な量。互いの体液を掛け合って、真っ白になった頭に互いへの想いだけを浮かばせる。いつの間にか抱き合っていた全身が痙攣し、圧倒的な果ての感覚に支え合うことしかできない。
「ちゅぱっ♡ ふ、ぅ……♡」
「はぁ……は……っ」
唇を離した息が荒い。唇を繋ぎ合う糸が濃い。
何もかもが、おかしい。欲求を解き放ったはずの肉棒が、萎えるどころか硬さを増しているようにすら思えて戦慄した。
快楽を与え合う関係なって、そう長くはない。だというのに、士道の理性は一枚、また一枚と剥ぎ取られているように思えた。さっきのスカートや下着だって、十香の抵抗が薄かったとはいえ強引なものだった。
怖い。自分の中から、抑えられない〝何か〟が溢れ出しそうになる。今だって、密着した十香の秘部に肉棒を添え、イキり勃つそれを擦り付けることを止められなかった。
「十、香……っ!」
「あ、あっ♡ ああぁぁっ!♡♡」
歯を食いしばる。耐えられない。離れようとする。離れられない。
ぴちゃ、ぐちゅっと秘部と肉棒の粘液が擦れあって、鋭い快楽が脳髄を刺激し、
抱き合っている十香の手が抱きつくように士道の背を掴むものだから、尚更制御が効かない。十香を押さえつけ、
「はっ、はっ……だめ、だ……っ!!」
「し、どー……?♡」
ダメだ。それは、ダメだ。超えてはいけない一線だ。だが、腰は動いてしまう。入口を開けろと十香の膣口を士道の亀頭が嬲り、広げられた口に先端が入り込んでしまう。
それでも、踏み止まる。そこで止まる。極薄の表面が一歩だけ、その一歩だけは進ませまいと本能を押し返した。
「これは、だめだ。だめなんだ……」
「……シドー? 苦しいのか? 苦しいなら……」
「ダメだっ! 苦しいけど、十香が大事だから、大切だから、こんなやり方、嫌だ……っ!!」
肉欲は肉欲。どれだけ飾っても、言葉を取り繕っても変わらない。それでも譲れないものがある。
大事だから、大好きだから。なあなあで、十香の優しさに漬け込んで奪い取るのだけは許せない。それをしてしまったら、士道は十香を道具のように扱っているのと同じになる。潔癖かもしれない。だけど、自身の中で渦巻く恐ろしく異常な情欲にだけ身を任せるのは、どうしても嫌だった。
入口まで侵入した亀頭を抜き、間髪入れずに十香を抱き締める。こうすれば、身体が勝手に動いて奪ってしまうこともない。十香への抗えない魅力を、十香で無理やり押さえつけた。
「大事な……ことなんだ。さっきまでのとは、違う。このままじゃ、できない」
「……ならば、どうすれば
「――――――――」
ああ、ああ。
力強く十香を抱く士道に対して、優しく士道を受け入れるように抱く十香。彼女だって、士道と同じような情動を抱えているはずなのに。その抗い難い欲求に、苦しんでいるはずなのに。
――――好きだから、止まれない。十香という少女に対しての好意が、情欲と同じくらいの好意があるからこそ士道は踏みとどまった。けれど、それがあるからもう踏みとどまれない。矛盾しているようで、正しい。大切にしたいから、欲しい。
「……何をするか、ちゃんと話したい。夜まで、待ってくれるか?」
「わかった……私は、シドーが苦しまずに済むなら、なんだってするぞ」
「俺だって、同じだ」
頭を落ち着かせる時間と、そういうことはそういう時間に、という少ない知識の固定概念。
十香の深い想いが伝わってくる。士道も、それと同じ気持ちがある――――止まれないのなら、せめて。そんな思いで、士道は己の中の決意を固めた。
『……ああ、シン。精霊との
『………………………………………………あえて聞きますけど、なんで俺に言うんです?』
『……あえて聞くまでもないことだから、かな? 君の場合は、
――――そう言えば、令音とそんな会話をしたことがあったと風呂上がりに士道は思い起こしていた。
結果として、その一線を超える子は
「……本当に、役に立つ日が来るなんてな」
何を考えているかイマイチわからない令音だが、その先見の明は尊敬に値する。まあ、流石の令音もこんな状況で士道が感謝するとは思いもしていなかっただろうけれど。
精霊に
まだそうなると決まったわけではない。しかし、士道の異常なまでの欲求と十香の想いが重なれば、可能性の方が遥かに高い。その上で、道具を調達できない環境下において、それが必要ないという情報は砂漠で飲む一滴の水のような感情をもたらすのだ。
令音の教えがなければ、士道は今でも頑なに耐え抜く方法を探していたに違いない――――十香にされるだけでも止まらないものが、その先の行為で制御できるものか。
「シドー」
「……ああ」
と、風呂上がりの十香が可愛い寝巻きを纏い、ベッドに腰を据えて地面に足をつける士道の隣に来て、座る。
湯船から上がっていたのはわかっていた。緊張の瞬間が近づいて、反応する余裕がなかった。どうせ反応したところで、褒めちぎって襲いかかり兼ねないのだ。
「……っ!」
そう。こうして隣にいるだけで、心に湧き上がる情動が愛おしく憎らしい。
清められ、より純度を増した美しさに混ざる匂い。十香自身の香りが混ぜられたそれは、湿った髪から視覚と共に伝わってくる。たまに髪を乾かしてやっているのだから、それがどれほど鼻腔をくすぐるいい匂いかは理解し切っている。
いいや、こうして興奮しているうちは、理解し切っているとは言えないか、と士道の唇に笑みが描かれた。
それのおかげ、なのだろうか。続いていた沈黙を、士道が自ら破ることができたのは。
「俺が、十香に求めるのは……その、もっと深いことっていうか……今の関係じゃ、不誠実かもしれないって言うか……」
「むう。シドーと好きあっているだけではダメなのか?」
「や、そういうわけじゃなくて、時と場合、人によるっていうか――――ああ、まどろっこしいのは俺らしくないな」
人は人、士道は士道。なんというか、ここに来て急にスイッチが入った。そうでもしなければ、情欲に流されたようで嫌だった、というのもあるが。
いや――――流されては、いるのだろう。特殊な状況、抑えきれないおかしな情欲。関係がないとはいえない。
だけど、十香だから言える。十香が相手だから、士道は心から感じたものを言える。
「十香――――好きだ。
――――そう、真っ直ぐに言い切ることができる。
小っ恥ずかしくて、十香より先に士道が赤面をしてしまって。それでも言ってしまえた。芽生えた気持ちを、心の底で思っていたことを――――五河士道は、夜刀神十香を愛して、ずっと一緒にいたいということを。それだけは、押し流される理性と押し流す本能が共通するモノだった。
「……なっ!?」
ぼふっ、と、十香の暴力的な面がさらに魅力を増して真っ赤になる。多分、士道も同じくらいに真っ赤な顔をしているに違いない。同じだけの熱量を発した側もしているというのは、少々おかしな話ではあった。
「あい、あ……あいして、いる、とは……そ、その……」
「愛してる。十香みたいに砕いて言うなら……十香と一緒にいたい。デートしたい。色んな場所を見てみたい。それから……あれ? 今までと変わんないな、これ」
「む? ……うむ、そう、だな?」
変わらない――――ああ、変わらなかった。ただそれが、途方もなく強くなっていたことを
二人で首を傾げて、笑った。
「あ、あはははは……そっか、そうだよな。俺、十香のことがずっと好きだったんだ。どうしようもないくらい、大好きだ」
「ふふ……ああ、私もシドーが好き――――その愛しているというのは、皆への『好き』とは違うシドーへの『好き』なのだな」
それだけがハッキリと、心にある、気持ちにある、考えがある。
夜刀神十香が好きだ、愛している。こんな形になってしまったけれど、士道は十香への想いを言葉にしていく。
「……正直、怖い。自分の中にわけのわからないものがあって、それに流されちまうのが、凄く怖い。十香が受け入れてくれるってわかっても……だから、俺の本当の気持ちを、俺がどうなったとしても信じて欲しい」
「シドー……ああ、当然だ! シドーはおなごの服を脱がせることはあっても、嘘を吐くことはないからな!」
「…………それ言われると、今は全部事実になるなぁ」
以前までなら封印の案件であながち間違ってない、だったのだが、今はこれから先の案件で全く間違っていないに変わるに違いない――――だからこそ、偽りのない言葉を、上目遣いで見つめる十香へ向けて発する。
「好きだ、十香。何度だって言う。俺は、十香が大好きだ。この気持ちは流されたものなんかじゃない。誰に促されたわけでもない――――俺と付き合って、恋人になってください」
――――気持ちが浮き上がって、言葉が自然と吐き出された。心臓が破れそうなほど痛い。喉がカラカラと水を欲している。士道は初めて、自分自身の意志で、少女に
こんな状況で説得力がない。性欲に突き動かされた不誠実な男。それでもいい。けれど、十香と曖昧な関係のまま進みたくない。士道のためだから、その理由に漬け込みたくない。
好きだから。助けたいから。そう言ってくれた彼女に、士道は心からの想いを返す――――十香は、呆然とした顔で口を開いた。
「……『コイビト』とは、何をするものなのだ?」
「え……そりゃあ……俺たちが、もっと一緒にいられて、ここにきて俺たちがしていることが、恋人同士なら余計な理由がいらなくなって、お互いを好きあって与えられるって言うか……ああ、もちろんそのためだけじゃなくて、俺が十香と恋人になりたいのは、その……うん、やっぱり好きだから、だな」
好きだから、誤解されたくない。好きだから、大事にしたい。好きだから、曖昧なままで身体を交わらせることをしたくない。
この『好き』という感情が結果的に情欲に結実したとしても、士道は逃げたくなかった。こんな状況で、わけのわからない欲求に、変化に振り回されたとしても――――十香と想いを繋ぎ合わせた関係でいたいのだ。
「わ、私で、良いのか? 『コイビト』とは、シドーにとって大事な関係なのだろう?」
「大事だから、十香がいい。『好き』な人となるのが恋人なんだ。形でしかないけど、大事なもの……かなり恥ずかしいけど言ってるけど、こうなったからこそ大切なことだと思う――――俺は、俺の気持ちで十香と恋人になりたい」
わけのわからない〝何か〟ではなく、自分の中にあった確かな想いで繋がりたい。
恥ずかしいし、琴里が見ていたらとんだチェリーボーイだの童貞くさいだの言われそうだが、真摯な十香に士道は士道なりの真摯さで返したかった。情欲だけ、助けたいという想い合いだけでなく――――全てをさらけ出し、好意の気持ちを繋ぐことで十香と恋人になりたかった。
恐らく、二人きりで相当舞い上がっている。色々と考えなければならないことがあるはずだが、小っ恥ずかしいことしか言い出せない。けれど、十香に誤解なく伝えるには、こんな恥ずかしい言葉とロマンチストな理想しか思いつかなかったのだ。
「私も――――シドーが、いい」
彷徨っていた水晶の瞳が、一点に収束した。
動悸は、十香にも同じくらいに起こっている。十香が自身の胸に当てた手が、大きく膨れては縮みを繰り返し、赤面は止むことなく感情の昂りを伝えていた。
「シドーと一緒にいたい。『コイビト』というものになっても、変わらずにシドーと……皆の元へ、帰りたい。シドーが好きで好きで堪らない。だから助けたいと思った。もし、その『コイビト』というものになれたのなら――――ああ。そうだ、私も同じだ」
どこまでも、同じ。
「好きだ。シドーと共に、先へ進みたい。私を――――シドーの恋人に、してくれるか?」
赤みを帯びた頬が、それが笑みになることが、あまりにも美しかった。
一生分の好きを言った気がするのに、まだ足りない。いくら恥ずかしかろうと、十香にだけ伝わればいい。そう思った告白が通じて、身を結んだその時――――士道は十香を抱き締めていた。
柔らかくて、穏やかで。自分より小柄で、男とは全く違う体付き。十香の匂いがいっぱいに広がって、全身に十香を感じられて――――愛おしいという想いしか存在し得ない。
「俺こそ、十香の恋人にしてほしい――――十香が、
「ああ。私も――――シドーが
何もわからない。どうなるかもわからない。だけど、十香ならどこへだって行ける。なんだってできる。
幸福から来る全能感。童心に返ったような子供の理屈。それでも、確かに思った。この気持ちがあるなら、士道は
唇が重なる――――身体が、重ねられた。
その身体は、文字通りの裸身。普段、彼女が着る可愛らしい衣服も、威風堂々たる紫紺の鎧、優美な光のドレスも存在しない。
夜色の髪が烟り、幻想的な双眸が羞恥で震え、無駄なものが一つとしてない絶美の肢体を晒す。
士道の前で。その意味で晒すのは、士道の前だけだと。途方もない充実感と独占欲が肺腑を満たし、一時であろうと目を離せなかった。
「し、シドー……そんなに見るな。恥ずかしい、ぞ」
「無茶言うなよ……俺は嘘は吐かないけど、女の子の服を脱がせることはするからな。今更何言っても遅いぞ」
「む……わ、私以外はダメだぞ! こ、こういうことはダメなのだ!」
「十香以外にしたら、捕まるだけじゃ済まないだろ……」
十香相手でもダメなのだろうが、そこは恋人特権というやつだ――――ああ、想像以上に舞い上がっている。
だが、同じくらいに緊張もしている。他愛ない会話で誤魔化してこそいるが、手の震えが止まらない。ベッドの上で裸を晒し合って、これからという時に止まってくれない。
肌色がこれでもかと見える一糸纏わぬ十香の姿は、劣情以前に神々しささえ感じ、それでいて等身大の少女の裸体があった。
絶美。その二文字以外を当てはめることが難しい。これからその絶美の少女を、愛する少女を――――抱く。
「十香」
「っ……」
言葉は、そう多くは必要なかった。精霊と対し、デートする時を上回る緊張感。世界の命運などより、今はその緊張が上回る。本来であれば精霊を救いたいという想いで上回るそれを、十香を抱きたいという想いで上書きする。
「シドー……んっ、あ♡」
十香を抱き寄せ、頬に手を当て、唇を重ねる。
愛おしい少女の唇は、緊張の糸をこれ以上なく解す。というより、緊張を忘れるほどの興奮を覚えさせた。
啄み、挟み、熱く。その度に吐息が零れ、瞳が潤み、身体に熱が灯る。
半ば衝動的に、十香の胸の膨らみに手を伸ばし、指を這わせた。
「ふ、……ぁ♡」
抵抗はない。恥ずかしさで物を投げたり、ましてや怒りを顕にすることもしない。唇の隙間から甘い吐息が零れたのが、とても印象的だった。
唇を重ねながら、ゆっくりと十香を押し倒して胸をまさぐる。触れるだけで指が沈み、力なくして形を変える十香の膨らみ。
こんなにもじっくりと触れることは初めてで、夢中になりそうになる手をどうにか押さえつけて優しく揉みしだいた。
「し、どー♡ ん、あぁ……♡ 私の胸は、好きか?♡」
「十香の全部が好き……って答えはずるいか? ――――全部、綺麗だ」
「ふぁっ♡」
今度は少し強めに。士道の指で形を変え、十香を喘がせる悩ましさと魅力を兼ね備えた美乳。
「ふ、ぁ……あっ♡ あぁぁぁ……♡」
犯罪的とも言える色香の声に、ぷくりと膨らんだ尖頭が十香の興奮を伝え、士道の興奮はピークに達する。
もう少し感じていたい。もっとゆっくり。そう思うのに、脳髄が焼き焦がれて理性が硝煙の如く消えていく。
「……っ!」
あの一瞬、耐え忍んだ疼きを思い出したかのように、士道のモノは激しく勃ち震え、十香を貫いて打ち突けと訴えている。
「シドー……しどぉ……♡」
悩ましく、美しく、艶めかしい。投げ出された肢体が揺れ、その十香の脚の間に誘い込まれる。甘え、誘うように士道を呼ぶ十香はあまりにも妖艶で、抗えない魅力があった。
昼間のように激しい行為をしたわけでもないのに、口を付け合う互いの秘部はトロトロに溶け、濡れていた。
知識が薄く、それが異常かどうかは断言できない。互いのことを好きすぎてそうなっているのかもしれない。熱に浮かされた頭で考えられるのは、そんな馬鹿みたいな理屈で――――ああ、本当に、夢を見ているようだった。
「……初めてだと、キツいと思う……無理そうなら、言ってくれ」
それで止まるとは思えないが、十香のためならやってみせる。今にも突き出してしまいそうな腰を宥めながら、事前にどうするかを教えていた十香へ言葉をかけた。
「う、む……シドーのモノが、私の中に入る――――シドーの言うことなら、私は信じられる♡」
「――――ッ!!」
深い親愛の情に、繋がりあった愛情。美しく艶やかな十香の貌に、最後の理性が焼き尽くされる。
硬く、熱い肉の塊。士道のモノを、十香の膣内へと押し込んだ。
「あ――――あ、ぐ、あぁぁぁぁっ!♡♡」
悲鳴とも嬌声とも取れぬ混ざり合った声色。歯を食いしばりながら、瞳が見開かれ震えている。
恐ろしいまでの締め付け。指を受け入れるのとは程度が違う。圧倒的な質量のそれを十香の膣内は感じ、締め上げる。
驚異的な快感にせり上がる解き放ってしまいそうになりながら、ここに来ての経験から辛うじて堪えることが叶っていた。その凄まじい締め付けの中に感じた
「十香、大丈夫……か……」
「あ、ぐ……へ、平気、だぞ♡ シドーと、繋がって……ああ、またシドーに、幸せなことを教えてもらえたな♡」
「っ……俺、だって、教えてもらってる……っ!!」
知らないことが多すぎる――――全部、俺が教えてやる。
あの日、士道は十香にそう返した。けれど、士道もまた十香に色んなことを教えてもらった。
手を重ねる。両手が繋がり、痛いくらいに握り合う。奥底まで沈んだ肉棒をできる限り緩やかに押し引きさせる。
それでも初めての十香には辛いだろう。未知なるモノを膣内で受け入れ、動かされる。目に涙が浮かび、苦しさを覚え――――やがて、官能的な色のみに変わる。
「はっ♡ ああぁっ♡ シドーが、私の膣内にいるのだ♡ 身体の中から、シドーを感じて……一つになったようで、気持ちいい……んあぁぁぁっ!♡♡」
「く、ぁ……十香――――十香ッ!」
十香はただ、思ったことを口にしただけだ。けれどその想いが、初めて聴く艶やかな声が、幸福感と快楽に満ちたその貌が、何もかもが士道の欲求を刺激した。
後がなかった理性が今度こそ砕け散り、腰突きが一層激しさを増す。技術のないやり方で、十香を想う愛おしさだけが支える交合いの形。
「十香、好きだっ! 十香のことが、大好きだ……っ!」
「あっ♡ あぁっ♡♡ 私も、シドーが好き……愛して、るのだ♡♡ 好き、好き、好き……シドー!♡」
多分、それだけで良かった。初めてなら、それだけで。
互いの好意を叫び合い、身体が震える。十香の奥底まで行き着いた士道のモノが痙攣し、十香の裸身がさらに震えを増す。
いつの間にか抱き合っていた。キスをしていた。絶対に離さない、離れない。ずっと一緒にいる。愛している。
それだけが思考を染めて、浮き上がる。熱が迸り――――達する。
「十、香ぁ!」
「シドー♡ シドー♡ シドオオオオオ――――ッ!♡ あああああぁぁぁぁっ!♡♡♡♡」
果てる。身体が震える。仰け反った十香の膣内、その奥の入口に亀頭が押し付けられ、絶えず震えている。凝縮された液体が流し込まれ、十香の子宮を独占する。
「あ……あ……あたたかい、のだ♡ シドーを、感じて……シドーしか、感じられない……♡♡」
腹の下。ずっと守られてきた大切な場所に、士道のモノを注がれる。十香は待ち望んでいたかのように微笑み――――士道を抱き寄せ、キスをした。
「っ!」
「シドー……我が儘を、聞いては貰えぬだろうか?」
「……今言われたら、何だって聞いちまうだろうな」
何せ、幸福に染まった絶頂感の余韻に浸り、数秒後には再び動き出しかねない肉棒は、十香の膣内に包まれたままなのだ。その愛おしい女の艶顔と甘えた声に、男として応えたくならないわけがない。
「……少しの間でいい。この関係を、秘密にしてほしい。ここから出ることができたとして――――ほんの少し、シドーとの時間を独り占めしてしまいたい」
「十香……」
「卑怯なことをしている。これを私だけが得るなど、ずるい。だが今だけは、おまえを感じていたいのだ。私のものにしたいのだ――――シドー♡」
――――あまりにも可愛らしい独占欲に、笑みが零れた。
確かに、我が儘だ。皆を想う十香だからこそ、それは我が儘になる。
けれど、士道も
「お易い御用だ――――俺の
やたらキザったらしい言葉が吐き出され、内心で苦笑してしまう。まあ、後悔は後の自分に託しておこう。
フッと微笑む士道に、十香が赤面を見せ――――少しは見惚れてくれただろうか。そんな想いと共に、時間は続く。
満足するまで、意識が果てるまで。士道と十香は愛を確かめ合うように身体を重ね続けた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ん……」
身体が重い。起きがけ、まず感じたのはそれだ。
物理的に重いとか、そういう意味ではなく、中から重苦しいものを感じる。限界まで酷使した肢体が、これでもかと悲鳴を上げている。
「十香……」
そして手を伸ばす。その怠さですら邪魔を出来ない手の動きが、隣で眠ることが普通になっていた少女を探して彷徨い――――空を切る。
「……?」
先に起きているのだろうか。寝坊助な士道より、十香の方が目覚めが早いことはよくある話だ。けれど、いないというのは珍しく、寝ぼけ眼を擦りながら起き上がり、
「……っ!?」
覚醒した。そして、目の前に広がる光景が脳を混乱させる。
寝入ったはずのベッドより小さいが十分で、寝慣れたベッド。机、本を並べる棚。その
「へ、あ……? ゆ、め……?」
思わず、考えた。これまでの記憶が、全て夢だった。あれは士道の願望が生み出した盛大な妄想で、今長い夢から目を覚ました。
考えたから、濃密な記憶がそれを否定した。何もかも覚えていて――――あと、腰が凄く痛い。動くのが結構しんどいくらいには、痛い。
「と、十香……スマホは……」
腰の痛みに気を取られながらも、枕元にあったスマホに手を伸ばす。そこに表示された時刻は朝早く、一般的な連絡には早すぎる。しかし、確かめねばならないことが最優先である士道は、迷うことなく十香の連絡先を指でタップし――――ようとして、階段を駆け上がってくる足音に気がついた。
「琴里――――じゃない!?」
荒々しい。そして早い。士道が寝ていても間違いなく起き上がるほどの振動が数度。階段を駆け上がっていると言うより、飛び越えているというのが正しいかもしれない。その短期間で判別ができるほど、妹のものとは似ても似つかない足音は部屋の前で止まり、扉が開け放たれた。
「シドー!」
「――――十、香」
一拍遅れ、少女の名を呆然と声にする。
寝間着のまま、その着衣は乱れて危うい肌色を増加させている。それほど焦って飛び出し、士道の部屋に駆けつけた理由は――――――
「シドー、シドー! も、戻って来たのだ! シドーがいなくて、心配して……そ、それから……」
「お、落ち着け十香。あ、ちょ――――ふぐっ」
声にならない声が出たのは、飛びかかって――あえてそう表現するほどの勢いで――士道を抱き締めた十香が原因で。喜びと混乱がこれでもかと伝わって、とりあえず十香を抱き返して、自分自身の混乱も自覚した。
ああ、ただ、言えることが一つだけあった。
「――――帰って、来た」
士道と十香は、馴染み深い日常に戻ってきたのだ、と。
無論、記憶はそのまま――――身体を重ねてしまった状態で。
そういうところがチェリーボーイなのよねぇ(By愛すべき妹)
関係はちゃんとハッキリさせてから結ぼうね、拗れるよ!(狂三スレイヴを見ながら)まあ十香ちゃんが相手だった、というのもありますね。言葉で誤魔化そうと思えば十香ちゃん信じてしまうので、士道くんとしては絶対罪悪感ヤバいでしょうし……。
恋人にクラスアップを単独シリーズ3話目でこなすメインヒロイン。令音さんが悪くいえばごっこ遊び、くるみんが奴隷契約なの考えると十香ちゃんが凄いのか他二人がアホほど拗れてるのか。いやだって始原の精霊と絶対素直にYESとは言わないひねくれ者の意地っ張りお嬢様(内心デレデレ)ですよ?仕方ないといえば仕方ないと思う。
これが他の子だったら……肉食系組はここぞとばかりに受け入れます(一部逆に雰囲気を感じて襲いそう)し、他の子も士道くんなら普通に受け入れるでしょうね。
そんなこんなで現実時空に帰還した二人。一応その辺も考えている、というのはこのことです。とはいえずっとこっちにいるかと言えば……隠そうとすると令音さん絶対苦労するだろうしなぁというのがありますね。まあ精霊マンションin十香ちゃんのお部屋というのもなかなかイチャラブ実があって乙なものかもゲフンゲフン。
感想、評価、リクエストなどなど感謝です。お下品シリーズも執筆が完了し、総計100話記念のギャグ調強めの回の後はのんびりスレイヴ書いたりリク消化したりですかねぇ。あのシリーズだけで平均文字数ヤバいくらい伸びたし、よく更新ペース落としてないと自分でも思います。ストックと評価と感想がなかったら即死だった。ちなみに今もないと死ぬ。
ではではまた次回〜
お待ちかね?狂三バッドエンド空想続編、精霊編〝は〟完結のお話。まだ一話残してますが、ここで全員堕ちてもらいます。私の燃料が尽きかけててさえ5万字を超えたリクエスト大作です。これを普通に読めたらもう本当に私が書くもので怖いものないと思うな!お楽しみに!