総計100話記念『精霊アダルトゲーム』。記念すべき100話なので評価入れるなら今ですよ、今!!
「いよー! 少年、おっひさー!」
リビングの扉が開くが早々、活気に溢れた声とショートな彼女が姿を表した。
令音との対局は半分詰みの状況で、駒を手で掴み抵抗を続けていた士道は、一応それを動かしてから今朝早い訪ね主に目を向けた。
「おはよう、二亜、マリア」
「おはようございます、士道」
「……え、あたしの久しぶりコールはスルーなの少年?」
小柄ながらしっかり目の少女と、動きやすそうな服装のためかどこかシルエットが少年のようにも見える長身の少女。
前者がマリアで後者が二亜。言うまでもないが、相変わらずベッタリな二人の来客に士道は声を返していく。
「だって、久しぶりじゃないだろ。昨日だって夕飯食べに来てたし。マリアによそって貰った食べすぎない程度の鍋」
「あたしが望んだみたいに言わないでくれないかにゃー? あたしとしてはあそこからだったのに……ちなみに久しぶりって言うのは、何かかれこれ二週間くらい落差激しいイフストーリーやってた気がしてさー」
「いいじゃないか。健康的で」
前者は答え、後者は追求してはいけないことのような気がして士道は口を噤んだ。少なくとも、士道が美九に施したあの調教はイフで済ませることはできないと自覚はある。
「……それで、二人は士道に何か用かね?」
「あー、少年にっていうより、れーにゃんにも? 悪いねー、二人の蜜月邪魔しちゃって」
「本当に。空気が読めない漫画家ですね」
「ロボ子も同意したよねぇ!?」
「……蜜月」
軽いノリでコントをする二亜とマリアに、蜜月という単語に反応して左手をほぅ、と感慨深いというか愛おしげに眺める令音。こちらの前者はいつも通り、後者は……触れるにはまだ新鮮で気恥しさがあるため、士道が咳払いで話を進めた。
「で、俺と令音さんに用事って?」
「それはねー――――みんなで王様ゲームやろうぜ!」
「……はい?」
「はい、全員集合ー!」
「……展開、早くないか?」
精霊マンションの一室。様々な機能が備えられ、地下には秘密の空間まであるわけだが、そうでなくとも精霊全員がレクリエーションを可能とする広さの部屋は用意されている。
全員集合という二亜の号令に違わず――一部の特殊な事情を除いて――精霊たちがそこに集結していた。提案から集合の手早さに士道が声を発すると、二亜が指を揺らしてチッチッチッと得意気な笑みを見せる。
「それはメタってもんだぜ少年。ま、あたしの天才的な人脈にかかれば――――――」
「私が連絡しておきました。抜かりはありません」
「だろうな」
「だろうなって何!? なんで深々と納得してるわけ!?」
うんうんと頷いて、至極真っ当な反応をしたと思ったのだが、二亜は大層不満な様子だった。
しかし、よく急に集まれたものだなと、士道は改めて人数の多さに驚きを見せた。
「ちょうどお仕事がお休みで、今日は琴里さんとあまーい時を過ごそうと思ってましたけどー、こういうのも全然ありですぅ!」
「意図せず貞操の危機を脱した気がするわね……」
「指摘。むしろ、このゲームの危険度は以前より増しているかと」
「くく、それでこそ王の遊戯というもの。血が滾るわ」
「嫌な予感しかしないわ……王様になりませんように」
「七罪、それは普通逆ではないかの?」
『いやー、懐かしいねぇー! 四糸乃にあーんなことやこーんなことをむぐむぐ』
「こ、今度は大丈夫、ですよね……?」
「折紙、以前のような悪いことははめっ、だぞ」
「……元からするつもりはない」
言いながら、サッと何かを鞄にしまい込んだ鳶一折紙嬢であった。何だかんだと、十香にダメなものはダメだと言われて引き下がる関係になってしまったのは、こうしてみると不思議なものである。……言われなければ平然と不正をするつもりなのが欲のために手を尽くす折紙らしさがあるが。
以前、王様ゲームを行ったことがあったのだが、あれから様々な子が増え、今ではこれだけの人数になったというのだから、時の流れは早いものである。
「うふふ、楽しみですわ。わたくし、こういった経験はあまりないものですから」
「…………」
その中に、時崎狂三がいるというのも驚きだが。
もっとも士道がこうして見る狂三は、隠された異形の双眸を加味してもどこか無邪気さが垣間見える――――彼女は狂三の分身。色々事情があり、たまにこうして顔を出す関係にある『狂三』の一人なのだ。
結果的に、士道側に下った『狂三』とも解釈できてしまうのだが、未だにいいのかなぁ、と頬をかいて困ってしまう瞬間はあった。
「狂三のやつ、怒らないかなぁ」
「……ああ、そのことで狂三から手紙が届いているよ」
「え、軽っ。少年、いつの間にくるみんを籠絡したのよ」
「人聞きが悪いこと言うなよ。出来てないから手紙なんだろ。いや、軽いのはその通りだけど……」
「えーっと、『前略、五河士道様。わたくしの不肖の分身がお世話になっておりますわ。つきましては、その分身に衣服は必要ありません。恥を晒す前に逆さ宙吊りにして拷問にでもかけ、余計な口を縫い合わせ――――――』」
「きひっ!? さ、さあさあ! 始めようではありませんの!」
「……怒ってるな」
「怒ってるわね」
そりゃあ、自分そっくりの人間が好きに振舞っているのをよい顔はしないと思っていたが、琴里と共に再度確認してしまうくらいには、文面から直線の怒りを感じる。捻くれとは言い過ぎだが、未だ多くの隠し事を秘め、士道の前に姿を現すことが少ない狂三にしては、紛れもなく〝怒っている〟の一言だと思えた。
ある種、プチ家出の娘を預かっているような奇妙な気分になりながら、その家出娘の号令でゲームは開始された。
『王様だーれだ!』
王様を除いた人数の数字が書かれた割り箸。上手く数字が隠せる筒に入れられたそれを、皆が引いて確かめる。
ルールは変更なし。王様を決め、数字を指定し命令できる。
――――なんでまた王様ゲームなのかと言えば、「今の少年好みっしょ?」と言われ、睥睨の沈黙という何よりの返答をしまった士道が答えだと言えるだろう。
「あら、わたくしですわねぇ」
『っ!!』
そして、手元の割り箸を覗き込んだ者の中で、名乗りを上げた狂三に皆が警戒の目を向けた。
「きひ、きひひひっ! さあ、何を命令して差し上げましょうかしらァ……」
「脅威。これは最初からクライマックスというやつです」
「ぐぬぬ、王たる我をどう辱めるつもりだ!」
「……初めから、もうそんな感じなのか」
妖しい笑みを瞳に携える狂三に、慄く精霊たち。一応、健全な王様ゲームでも士道は構わないと思っているのだが、どう取り繕ったところで絶対にそうならないことが目に見える光景だと言えた。
「では、三番、七番、九番、十番の方が――――――」
『…………』
精霊たちが息を詰まらせ、狂三の一息を固唾を呑んで見守る。果たしてどれほど過激な命令が下されるのか、もうスイッチが入ってしまうのか――――――
「二番の方の頬にキスをする、ですわ」
『……?』
「あ、あら? こういうゲームではありませんの……?」
そんな警戒を他所に、想像の斜め上を行く命令に精霊たちが首を傾げ、その反応に狂三が困ったように小首を傾げ返す。
それだけで『時崎狂三』に皆がどういうイメージを抱いているかを理解することが出来て、士道は苦笑しながらフォローを入れた。
「いや、あってるよ。王様の命令だろ?」
「ええ、ええ。わたくし、一度こういった遊びをするのが夢でしたの。せっかくの機会ですから、此度は少し羽目を外してみましたわ」
「これで……?」
「ピュア狂三……凄いものを見てる気がするわね」
敢えて特定の言及は避けるが、毒されすぎである。
気恥しげに頬を染める狂三の(ピュア)オーラに、精霊たちが別の意味で慄く様子を見せた。士道は士道で、想像以上の純心にコソッと令音に耳打ちをする。
「令音さん、精霊になる前の狂三って……」
「……少しは警戒心を学ぶべきだ、と私が言う資格はないがね」
学んだ結果が、
「……あ、二番あたしだ」
「他は、琴里、四糸乃、七罪、六喰か。……なるほど」
「え、ちょっと少年。それどういう意味の〝なるほど〟なの? メンバー選出はあたしの意志じゃないんだけど!」
何とは言わない。何とは言わないが、対象年齢に意図を感じざるを得ない。
「はいはい。ちょっと驚いたけど、早く済ませちゃいましょ……んっ」
「二亜さん、その……お、お願いします?」
「むん、往くのじゃ」
「……あ、後で病気になっても知らないからね」
「おぉう、凄い個性的なロリ面子……んー、悪くないかもぉ……」
琴里のように経験から軽くであったり、四糸乃のように少々の羞恥があったり、六喰はどこか勇ましく、七罪は相も変わらず自信がないを通り越したネガティブさで。
四人、各々の反応を示しながら二亜の頬にキスを落とす。まあ、所詮はお遊びの類で、いつもより軽いものではあったが、それでも関係性が進んだ今であるからこそ二亜は大仰に蕩けた表情をしていた。
「満足したか、狂三」
「ええ、青春というものを味わえた気がしますわ」
「まあ……そう、か?」
女の子が女の子の頬にキスをする、というのは青春に入れていいものなのだろうか。爛れた関係が多い士道としては、なかなか判断が難しいもので首を傾げてしまった。
「……ほぉ。二亜は身体が小さければ誰でもいいようですね。これは私も知らないデータでした、参考になります」
「え、そういうわけじゃ……マ、マリア? 何か怒ってない?」
……何やら目の色を変えてニコリと笑顔なのに笑顔に見えないマリアと、蕩けた顔を恐怖に変えた二亜はともかく、開幕は無事平穏に終えたゲームは恙無く進行する。
「王様だーれだ」
「私です」
「ひぃっ!」
王はマリア。何故か二亜の悲鳴のおまけ付きだが、手にした割り箸を楽しげに遊ばせたマリアは彼女を見て……迷いなく、良い笑顔で、命令を下した。
「
「断定されてる! しかも合ってる!? 不正! これは不正です! しんぱーん、ジャッジー! うぎゃあああ、助けてぇぇぇぇぇぇっ!!」
残念ながら不正の証拠は見当たらず、二亜はマリアに引き摺られて一度退出。その間に、皆が一斉に士道に視線をぶつけてきた。
「な、なんだよ?」
「いや……」
「だーりんが何かしたんですかぁ?」
「ていうか絶対したでしょ」
「俺への信頼感はどこへ行ったんだ。せめてマリアに言ってくれよ」
もう少し具体的に噛み砕けば、
とはいえ、幾ら疑おうと観察眼に優れた七罪さえ見つけられないのなら、不正をしたという証拠はどこにもない。士道が困り顔で言葉を濁す間に、マリアが扉を開け、二亜を連れて帰ってきた。
「お待たせしました」
「……コロ、シテ。いっそ……コロシテ……」
明るく常にお調子者な二亜が、ブツブツと呪詛を吐いて歩かされている――――とてもキュートな衣服。率直に可愛らしいと言えるコーデで。
それはもう、コテコテと言っていいくらいの甘い可愛さがあるコーディネートであり、どう考えても二亜が好むようなものではない。子供っぽさが抜け、容姿の強さを押し出せる可愛さに特化した服装に、精霊たちが声を上げて褒め讃える。
「おお……とても似合っているぞ! 可愛いな!」
「二亜さん、とっても可愛いです……」
「ええ。似合ってるわよ、二亜。可愛いわねぇ」
「ぐおおおお……妹ちゃんは絶対からかってるサディストだぁ……ひ、久しぶりにあたしに服選ばせたと思ったら、初めからこのつもりだったのかぁ……っ!!」
「さて、なんのことでしょう? ゲームを続けますよ、可愛い二亜ちゃん♡」
「うぎゃああああ鳥肌があぁぁぁぁぁっ!!」
二人のさり気ない家庭事情が見えたところで、ゲーム再開。もちろん、二亜の着替えはそのままだ。雑に座ろうとしたところ、マリアに微笑まれ頬をひくつかせて女の子座りをする二亜が見れたりなどしたが、問題なく数字の割り当てを配ることができた。
「私」
王様だーれだ、の合言葉に答えたのは、鳶一折紙嬢であった。
「あー、百戦錬磨の〈無茶ぶりトビー〉さん? わかってるとは思うけど、加減はしてくれよな?」
「了解している――――三番は、着けている上下の下着を五番に渡す」
「わかってないし!!」
「うん、知ってた」
耶倶矢のツッコミも虚しく、士道の仏の顔すら意味をなさず、折紙は平然と恐ろしい暴君命令を下した。
懐かしさのある脱衣命令だが、ここまでそれなりに平和な命令が続いていたからこそ、一気に方向を塗り替えるやり口だと言えた。何より不味かったのは、
「……私が三番だね」
「ご、五番……」
脱ぐ側が令音で、受け取る側が士道だったこと。これは意図しない完全な偶然であり、折紙は方向を変えながら最良の結果を得られたということになる。が、士道としてはある意味で最高最悪の矛盾を抱えたものであった。
「ちょ、ちょっと待った。俺はゲーム除外でいいから――――――」
「……ん」
もう遅い。というか、隣にいるのだから見てしまうのも当然だろう。
まず首元に手をやり、ブラを抜く。あまりの早業と、士道が手で揉んでバストアップ中の胸がぽよんと揺れる様に居並んだ全員が息を呑む間に、令音はもう一枚の下着に手をかけた。
「……んっ♡」
――――声色と頬の色の調子が変わる。
羞恥心の基準が常人と大きく異なる令音が見せる淫靡な仕草。それは士道に染められた証拠であり、鼓動を痛いほど高鳴らせてしまうのは必然であった。
座った状態で大胆に、それでいて靱やかに太股から足先にかけて下着を抜き取っていく。白く眩しい美脚を通る、奇しくも以前と同じ黒の下着。しかし、士道のために扇情的なデザインであることは言うまでもない。
「……これでいいかな♡」
「あ――――あーあ、もう……」
手渡された二着の下着。黒で、直前まで令音の肌を押さえつけていたブラとショーツ。
手にしたそれを見て、空いた片手で頭を抱え、フッと微笑む令音を見遣る。どうやら、彼女の方が乗り気になっているらしい。珍しいことだと言えるかもしれないが、普段士道の手が早すぎるだけなのかもしれない――――純粋な考察の思考は、そこまで。
「主様、もしや……」
「凄く嫌な予感するんだけど……か、帰っていい?」
「ダメですよー、七罪さん。たぶん、帰してくれませんからぁー」
精霊たちが士道の変質を察知し、苦笑、期待、不安などを各々表情や言葉に浮べる。その察しは非常に正しい。
琴里が丸々とした目を苦笑い気味に細め、声を発した。
「士道、一応聞くけど――――スイッチ、入った?」
その答えは、まあ言うまでもないことだが、言わずにはいられないのが今の士道だろう。
「これで入らなかったら、俺じゃないだろ。さあみんな、ゲームを続けようぜ――――
無論その公平を信じる者はおらず――――一気に欲望に傾いた、素晴らしい王様ゲームが幕を開けた。
「五番と一番は履いている下着を交換する」
「またあたしなの!?」
「一番は……私、です」
王様、折紙。命令は下着交換というなかなか踏み入ったもので、声を上げたのは二亜と四糸乃だった。
「あ、ああ。まあよしのちゃんなら……ちなみに、ここで?」
「そりゃそうだろ」
「なんで少年が答えるの!!」
「に、二亜さん……」
「い、いや大丈夫。……よしのちゃんの方が平気そうなんだけど、あたしこんな性格だったかなぁ」
「人並み以上の羞恥は感じるように調教していますので」
「マリアのせいかよ!!」
今日もツッコミのキレは絶好調らしい。年下の四糸乃に気を遣われながら、二亜がスカートの中に手を入れてゆっくりと下ろしていく。
四糸乃も同じく、布を肌に滑らせて……幼さと清楚が歩いているような四糸乃にやらせると、絵面が背徳の極みに感じる。それと、『四糸乃に何してくれとんじゃゴラァ』という七罪の熱い視線が突き刺さっていた。命令者は士道ではなく折紙なのだが、主犯の業というものだろう。
「二亜さん……」
「ん……んんっ!?」
「……際どい、のう」
「際どいわね」
「あ、あの……あんまり、見ないでください……」
『ふふーん、四糸乃も日々成長してるのさー! 二亜ちゃんは……結構子供っぽいね?』
「さっき下着も変えられたんだよ! あー、余計なこと言ったあぁぁぁぁぁっ!!」
二亜の自爆はともかく、なかなか
『王様だーれだっ!』
「私」
「この展開前にも見たんだけど!?」
「気のせいだろ」
「指摘。士道の目が泳いでいます」
王様、鳶一折紙嬢。有能な彼女は、士道に疑いの目がいかないよう素早く指摘を黙らせ、尚且つ士道を楽しませる命令を下した。
「六番、七番はお互いを擽り合う。最低、10分はそうすること」
「ほぉう? 随分と甘い命令よな、夕弦」
「肯定。八舞は一心同体。互いの手で擽ったところで、どうにかなるわけがありません」
盛大にフラグが立ち、どこかで見たような気がする展開から、八舞姉妹の擽り合いがスタート。以下、耶倶矢と夕弦が退席してしまうまでの流れである。
「く、ふふふっ……ちょ、ちょっと夕弦、腋はずるいし……っ!」
「反、論。耶倶矢も夕弦の足裏を……く、ひひひっ!」
「が、我慢してないで、もっと笑いなさいよ! あひゃっ♡ あはははははっ!♡♡」
「嘲笑。耶倶矢はその程度でくふふふふふっ♡」
「へ、変に誤魔化そうとすんなし!♡ あひっ、そこは本当にダメっ♡ や、あひひひひっ♡ いひっ――――――あ♡」
「……確認。耶倶矢?」
「……………………ちょっと、出ちゃったかも♡」
「退席。士道、部屋を借ります♡」
「ん、隣空いてるから」
「は? ちょ、夕弦、なんで私を抱き上げて……いやっ、は、離しなさいよぉぉぉぉぉっ!!」
何が出てしまったのかは、耶倶矢の栄誉のために伏せておくことにしよう。腋を擽られ、下半身から僅かばかりの水音がしたとか、士道の耳が捉えたりなどしていない。たぶん。
とにかく、八舞姉妹は仲睦まじく一時退室。ゲーム再開である。
『王様だーれだっ!』
「私ですね」
「……おかしい。人選が変わったのに解せない」
王様、マリア。連続の折紙から選手を交代こそしたが、七罪を含めて訝しげな視線は止むことない。しかし、幾ら数字が書かれた割り箸を見たところでそこに仕掛けなどありはしないし、そうこうしている間にマリアの命令が無常に飛んだ。
「二番、四番とシックスナインで秘部を舐め合ってください♡」
「……はぁっ!?」
「む、私だな」
もはや隠す気がない直球のエロ命令である。被害者は七罪と十香。七罪は顔を真っ赤にし、十香も同じようなものだが、さすがに士道と折紙――主犯は主に後者――仕込みの従順さは話が早く、手早く七罪に近づいてあっという間に組み伏せ(?)た。
「ちょっ、士道じゃないけど展開早いってば!」
「むう……だが、命令を拒否すれば『反逆罪』ゲームから外されてしまうのだ。すまない、七罪」
「何それ初耳なんだけど!? 待って! 私のアソコとか舐めたら腐るわよ! 臭い酷いわよ! 十香と比べて見るに耐えなきゃんああああああっ!♡♡」
「ん……七罪のアソコは、美味しいのだ♡」
「なんでアソコ舐められた感想まで――――あひっ♡♡」
……シックスナインというよりは、十香による七罪へのクンニである。とはいえ、喘ぐ七罪と下半身に何も履いていない十香の美尻を堪能できて、士道としては大変に満足いく結果だった。さすがはマリアである。
ちなみに、反逆罪は今回適応していないので、命令拒否権はあったりするのだが、説明していないので士道と令音以外は気づいていなかったりする。
「きゃー! 私の番ですねー!」
「……げっ」
「琴里、女の子がその反応はどうかと思うぞ」
王様、美九。元々から少女の絡みに欲望の化身の如き反応を示す美九であるが、琴里が実に低い呻き声を上げたので形だけ注意はしておいた。
「ふふー、ではでは、コホン――――一番さんと二番さんはー、乳首で擦りあってください♡」
「うわぁ……引くわぁ……」
「身も蓋もない命令ですね。品が感じられません」
「いや……マリアが、言う?」
脱ぎ捨てられた下を履けず赤面する七罪すらそれを忘れドン引きし、自らを棚に上げたマリアに二亜が引き気味にツッコミを入れる。しかし、パラダイス状態でアイドルとしてあってはならない顔(いつもの)を披露する美九には届かない。
「一番はむくじゃの」
「……二番は、私ね」
『あ』
その『あ』は色々な感情が渦巻いていた。赤毛の少女に対しての同情とか、凄まじい地雷とか、やめた方がいいんじゃないかなー、とかだ。士道は期待半分、理性半分といったところか。
しかし、やはり悲しいかな。満面の笑みを浮かべた美九に命令撤回の文字はなく、大した羞恥がなく胸位を晒す六喰と死んだ顔で服を脱ぐ黒リボンの司令官――――琴里との乳首合わせは始まった。
「……ぐすっ。ひっく……ひ、貧乳で、悪いかぁ……」
「い、妹御? 平気かの? むくの胸を吸うか?」
「ステイ六喰。それはトドメ」
乳首どころか、胸を合わせた瞬間に琴里が泣き出し、ギブアップ。士道としてはまたもや眼福だったのだが、さすがに妹を泣かせてまでは続けられない。そして、令音の母乳を吸うことが日常になってしまった六喰の気を利かせた慰めはトドメとなり、命令主の美九へ傷心の琴里は預けられた。
「……どうせみんな大きなおっぱいがいいんでしょ。けっ」
「そんなことないですよー。今の琴里さん、とーっても可愛いですからー♡」
何やら傷を負いすぎて黒でも白でもなさそうな人格が現れている琴里に、皆を見ているだけで満足なのか琴里を抱き締め介抱する美九。
続々と脱落者が続出する悪魔と淫靡の融合ゲームは、さらに勢いを増していった。
「……わ、私のオナニーは、アソコに……」
「実況は具体的に」
「は、はい……お、おまんこに、指を挿入れて♡ く、クリトリスをいじいじして、気持ちよくなって……それ、から――――ふにゅう……」
「四糸乃ぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
王様、折紙。四糸乃による淫語オナニー実録、実況。受け止めるなら得意分野だが、発するには羞恥が多量すぎたのか、頭から湯気を出し倒れ、七罪に受け止められて退席。
「十番、固定バイブに向けてスクワット」
「士道、早く折紙を止めなさい! 選んでるのあなたでしょ!」
「そう言われてもなぁ……えっと、十番は」
「……私だね」
「…………バイブじゃなくて、俺のモノでいいか?」
「許可する」
「折紙ぃ!!」
琴里の怒りも虚しく、士道のエコヒイキは押し通される。というより、困惑と興奮がぐちゃぐちゃになって士道のモノも吐き出さねば不味い状態なのだ。
さっさとズボンと下着を脱いで寝転がり、令音を招く。衣服だけはしっかりしているが、ノーブラノーパンの令音が士道の反り勃った肉棒の上にスカートの下の秘部を当てがい、腰を落としたスクワットの姿勢を取った。
「……挿入れるよ」
「どうぞ。あ、手はスカートを上げる感じでお願いします」
「……了解した。
当てこすりか本心か、淫靡な姿勢で微笑を浮かべた令音がぴらりとスカートをつまみ上げ――――トロトロに濡れた陰毛と陰部をさらけ出して、肉棒を自らに打ち付ける。
「……あぁぁぁっ♡♡ あっ♡ あひっ♡ あ、あぁっ♡♡」
腰を振り、雌そのものな嬌声で肉棒を抜き差しする。上下に揺れる度、令音の二つの玉もノーブラでたゆんたゆんと揺れ動き、ペニススクワットという淫靡な遊びはより楽しさを増した。
「折紙ー、これいつまでやってていいんだー?」
「二人が満足するまで」
「この暴君! 変態がぁ!」
「……ん、あぁ♡ 士道♡ しどう♡♡」
琴里の叫びも、本当に虚しいかな。盛った恋人たちの遊びと折紙の満足気な平静さには届くことはなかった。
それなりの回数を巡ったところで、阿鼻叫喚ならぬ快楽叫喚な光景が出来上がっていたのは言うまでもない。
「……これ、どう収拾をつけるおつもりですの?」
「あ、悪い……何も、考えてない」
「……んっ♡ あぁ……ちゅ、るっ♡♡」
令音を抱き締め、狂三に言葉を変えしながらキスを交わす。もはやスクワットの命令など忘れ、士道が手ずから令音と繋がり、令音を抱く。まあ、目に見えていたことだろう。
ちなみに、指摘をする狂三の格好は半裸というか、ほぼ全裸である。冷静ではいるものの、あまりの格好に頬は赤く染まっている。とはいえ、周りに倒れた少女たちも似たような格好であったり、身体を痙攣させていたりはするのでマシな分類に該当はしていた。
「盛ってるところ悪いんだけどさ……あたし、いつまでこうしてればいいわけ?」
「マリアが許可するまで、ずっと」
「マリア、ヘルプー」
「不許可です」
「わー、オリリンと仲良いんだー。嫉妬しちゃうなー」
無表情の折紙に、ニコリと笑ったマリアに、死んだ目で命令を実行し続ける二亜。
その格好は他の子よりマシでありながら、悲惨であった。可愛いお洋服を着せられ、そのスカートをたくし上げ、四糸乃と交換した際どいパンツを晒すという羞恥プレイ――――のみならず、首や足など至るところにキスマークが施され、皆に愛される本条二亜ちゃんがその姿を見せつけていた。
無論、本人としては少女たちにキスマーク付けられることはともかく、可愛い洋服でスカートたくし上げなど完全な拷問であろうが。
「ねぇ、ていうかなんであたしだけ服着たまんまなの? 直のプレイもないし、生殺し? あたしまた悪いことした?」
「いや……」
「はぁ……」
「……うむ」
「え、何その反応」
――――何かしようものなら、マリアが豹変しそうだしなぁ、という士道、狂三、令音の共通認識である。
実際、二亜を自慢するようにニコニコと笑みを浮かべてこそいるものの、マリアは二亜への歪んだ独占欲で命令をコントロールしていた。誰かが二亜を弄ぶことがないように、愛される二亜を見せながら決して深くは触れさせない。折紙もその辺は理解し、二亜へはこのような触れない羞恥責めに留めていた。
「……士道さん、早く収めてくださいまし。あなたの責任ですわよ」
「あー……ごめん。さすがに頭も冷えてきた」
「…………」
「タイム。令音さんタイム。無言で膣内を締め付けないで。冷めてるって言っても冷静になれただけですから」
別に興奮してないとは言ってないし、起伏の薄さを活用して膣内の締め付けで拗ねるのはやめて欲しい。
何とか令音を宥め、かれこれ一時間以上は挿入れたままだった肉棒を引き抜く。人に見せられた状態ではないが、今はこの場を収めることが先決だと二人でゲームに復帰、再開した。
『王様……だーれ、だ』
というか、力尽きて解散する方が早いと思うのだが、と一部を除いて(堪りませんわぁの美九、二亜の隣で笑むマリア、無傷の折紙)半裸で息を絶え絶えにした少女たちを見て思う。
しかし、彼女たちとしても暴君折紙には一矢報いたい様子。もう元凶が士道なのを忘れているんじゃないか? と思いながら士道は
「お……俺だな」
「……始原の精霊の天使を、これほど雑な使い方をなさるのは士道さんくらいでしょう」
「わ、悪かったって……初めは用意してただけなんだよ」
結果的に、ここまで悪用してしまったのは本当に悪いと思っている。小声で皮肉を言う狂三に苦笑いで返しながら、士道は頭の中で命令を思い描く。
皆が満足するくらい、折紙に仕返しできるもの。折紙は下品な命令でも平気でこなしてしまう。たとえばこの場でふたなりを顕にし、ガニ股で腰振りエアオナニーをしろと言ったところで、平気な顔で実行してしまうに違いない……ちょっと見てみたい気もするが、理性を蘇らせた士道は状況を弁えている。
となれば――――以前の
「そうだなぁ――――二番は、六番に前みたいな悪口を言う、かな」
『……ッ!?』
眉根を揺らし、驚くところまで同じ――――要するに、折紙が十香の悪口を言えばクリア、ということになる。
以前の折紙であれば、容易に成し遂げることが出来た。冗談、からかい半分で言い争いをするなど折紙と十香にとって日常茶飯事だ――――しかし、
「……わかった」
折紙は一瞬思案をするも、王様の命令には素直に従い、半裸の十香の隣に座り……その胸を揉んだ。
「んひゃっ♡ こ、これ、折紙っ♡」
「ごめんなさい。つい」
「つい手が出てしまう関係ですの?」
「……ごめん」
主犯、士道。身内への狼藉を狂三に公開しているようで、酔いが冷め始めた士道にはやらかしてしまった案件を直に見せつけられて誰に向けたわけでもない謝罪をするしかなかった。出しっぱなしの肉の塊は勃起し、興奮しているのが悲しい雄の性だと言えた。
悪戯好きの鳶一さんはともかく、向かい合った二人が、何故か正座で神妙に顔を突き合わせる。
「十香」
「うむ」
「……十香」
「う、うむ?」
「…………十香♡」
「折紙、誤魔化して十香を襲うなよ」
「………………」
折紙にしては、かなり分かりやすく往生際が悪い手段だった。飛び出しかけた手がすっと力なく下げられ、いよいよ後を無くした折紙が、不安げな十香に向けて、重苦しく口を開いた。
「十香……この、どろぼうねぶしゃべらぼら」
「折紙っ!?」
「吐血……」
「はしてないけど……ぶっ倒れたな」
余程のストレスだったのだろう。十香への罵倒を口にした瞬間、喀血したかのような声を上げて彼女へ向かって折紙が倒れた。否、ぶっ倒れた。
「……いや、ごめん」
「誰に謝っていますの?」
「………………誰だろうなぁ」
自分がしでかしてきた、色々なことに、だろうか。
半裸でガッツポーズをする精霊たちだったり、場の雰囲気もあるとはいえ十香へ罵倒を吐くことすら出来ない深い愛を持った折紙だったり、さり気なく二亜を持ち帰ろうとしているマリアだったり、呆れ気味ながら満更でもなさそうな狂三であったり――――士道と手を重ねる、令音であったり。
「俗っぽいなぁ、ほんと」
「……いいじゃあないか。綺麗すぎるより、人間らしいよ」
「色々、限度があるとは思いますけどね」
令音のフォローに苦笑を返し、己が生み出した楽園を文字通り楽しむ。
綺麗なばかりではない欲望の楽園。こうして遊ぶことですら、肉欲を要求される歪さ。それでも――――元の繋がりがあるからこそ、士道たちは幸せなのだと思う。
「……あ、そうだ。前にやったオリジナルすごろくもあるんだけど――――――」
「なんで地獄が終わったのに自分から地獄の釜を開けようとしようとするんだよ!!」
「だってマリアはまだ痛い目見てないじゃん!!」
「おや、そんなに虐めて欲しいのですか、二亜♡」
「……オチが見えましたわねぇ」
――――多分、そうなの、かなぁ?
エロシーン省エネバージョン(なお令音さんだけは書くものとする)二亜にアンコールパロディ台詞言わせたかっただけだろ!!!!!!
ピュアみんちゃんを含めて(天香はさすがに事情が事情)オールスターギャグ回。正直バッドエンドでやったやつのお綺麗版とか二亜が清楚系とかで苦しむ様を見たかっただけな気がする。四糸乃のエロ下着たくし上げキスマーク多数どうです二亜は可愛いでしょう?(二亜を直に巻き込んだらどうなるか分かってんだろうなオォン?)ムーヴマリア。3割増しのギャグ回とはいえ後方彼氏面が凄い。そしてオチ担当としてキングゲームの逆パターンで倒れる折紙もヤバい。いやさすがにいつものノリなら耐えると思いますよ、はい。
マジでとことん軽めのエロですが、すごろく回に続いたらガッツリエロになるんじゃないかな。続いたらね(しばらく精霊オールスターは書ける気がしない顔)
まあ散々お綺麗に書いたけど、精霊たちも俗っぽいところがある可愛い普通の女の子なんです、というために用意された回でもありました。手紙ゲストのくるみんも絶好調のキレっぷり。狂三BADのお詫びで綺麗めツッコミ役の分身くるみんだったりしましたとさ。
これからの予定ですが、流石に精霊たちは過密なほどに書いたのでしばらくモチベがお休みしてそうです。なので気分が変わったりしなければしばらくは狂三スレイヴの更新になるのかな。オーバードーズの進み具合考えたら連続で進めてもお釣りかえって来ちゃうしね……
感想、評価、リクエストなどなどお待ちしておりますー。100話記念に評価おいていってもらってもいいんですよ!!話数を盾に媚びる作者のクズ。
ではではまた次回〜
狂三スレイヴリクエスト回。まあ貰ったの2ヶ月前なので読んでもらえない可能性とか普通にありそうですけれど。このシリーズこんな暗かったっけなぁと思いました。この前の十香ユニゾンと違う意味で落差が凄そう。いよいよ積み重ねたネガティブ士道くんと自己犠牲くるみんも……次回を超えて、ある分岐点に差し掛かる狂三スレイヴ、お楽しみに!
あ、とりあえず更新感覚一日開けます。100話超えたしまあいいでしょ……。