※この作品はR-18です。

デート・ア・ライブ 令音アビス   作:いかじゅん

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イチャつけ……イチャつけ……




◆感想欄からのアイディアでちょっとしたオマケを追加しました。





13話

「あ゛〜……いいお湯だぁ」

 

 曇りの視界に声が反響し、くたびれた……というには霊力の回復作用(・・・・)によって語弊が生じるのだが、精神的なそれとか直前の運動とかまあ、その辺の疲労が身体から溶け出すような快感を士道に感じさせる。

 温かなお湯。極楽極楽、という言葉が相応しい見事な湯加減に浸され、士道の心は得難い解放感に包まれる――――無論、ただの家の風呂でそうなるわけがない。

 少なくとも、士道の真ん前(・・・)に位置取り、士道の身体に挟まる形で湯に浸かった彼女がいなければ、これは成り立たないと言えた。

 

「……ん。気に入ってもらえたようで、何よりだ」

 

 フッと微笑み――最近は士道にも細かな変化がわかるようになってきた――を見せ、甘えるように彼女が士道の身体に寄りかかってくる。

 纏めあげられた髪から香る良い匂いが士道の鼻腔を更なる極楽へ導かれる。眼前には惜しげもなく湯船に浸かったその裸身、特に芸術的なサイズの胸がぷかぷかと浮かび、眼福という言葉を表しているとしか思えなかった。

 

「……おっぱいって、本当に浮くんですね。俺ちょっと拝んでおきます」

「……君の好きにするといい」

 

 許可をもらったので手を合わせて拝む。いや、本当にご利益がありそうだった。

 しかし、水着すら着けずに彼女と、〈ラタトスク〉解析官、村雨令音と湯船にご同伴とは、少し前までなら信じられなかったことだ。少し前、と言っても早二ヶ月は過ぎたところなのだけれど。

 幸せを感じずにはいられない。たとえこの状況が、士道の霊力暴走によって引き起こされた破滅と隣り合わせの状況(・・・・・・・・・・・)だったとしても。

 

「しっかし……広いなぁ」

 

 感心と驚きを込めて、士道は声を響かせる。いくら今の士道と令音の関係と言っても、家の風呂を使ってこんなことができるわけがない。関係がバレるリスクというより、士道が琴里に殺されるリスクの方が高い。同じようで少し違うが、どちらにしろ避けたい未来だ。

 なので、士道と令音が浸かっている湯船は家のものではない。広い(・・)ということからも、それは伺い知れる。

 広さは家庭用の比ではなく、広々とした空間はさながら一派な露天風呂。今日は比較的(・・・)穏やかな蜜事を終えた令音に案内されたここは、件の秘密部屋からさらに扉を挟んだ癒しの桃源郷というわけだ。

 

「……広大な空間を活用しない手はないからね。どう用意したのかは……秘密だ」

「はいはい。秘密の多い令音さんも素敵ですよ」

 

 令音の女体にべっとりとくっついて、その豊満な肢体をここで味わい尽くせるのなら、喜んで士道は問うべき言葉を飲み込もう。茶目っ気のある令音の顔に、士道は苦笑しながらそう返した。

 視界の端では桶に入れられたツギハギのクマさんが、心地よさそうに回りながら湯気を堪能していた……防水とか大丈夫なのだろうかと、少し心配なった士道だった。

 

「…………」

 

 それにしても、と士道は眼下に令音の女体を収めた。

 何の警戒もなく、襲ってくださいと言わんばかりに身体を預けた令音。惜しげもなく晒された艶姿の白い肌は、しゃぶりつきたくなるほど綺麗で――――ボーッといつもとは違う熱に浮かされた士道は、ならやってみるかと、令音の色白美肌の肩口にしゃぶりついた。

 

「……っ。こら、シン……くすぐったいじゃないか」

「ひーひゃひゃいでふか」

「……んっ。あ……」

 

 肌が弱いのか。それとも弱くなってしまったのか。やんわりと諌める令音の抵抗は弱く、ぱしゃんと軽い飛沫と士道の気分を高揚させる色っぽいを上げてされるがままに肌を吸われる。

 湯と混ざった独特の甘い味。令音の神秘的な味、なのだろうか。何だか士道まで令音のように目がぼんやりとして、今度は無意識のうちに湯船に浮かんだ二つの巨頭、令音のおっぱいを鷲掴みにする。

 

「……あっ、ん♡」

 

 ちゃぷ、ちゃぷ、ちゃぷ。湯船に浸かった今だからこそ鳴り響く音で令音の胸が揺れ、士道の指を深くくい込ませて自由自在に形を変える。

 しまいには、胸だけに飽き足らずその頂点にある桜色の実りをギュッと指でつまみ上げた。

 

「……んんんっ♡♡♡♡」

 

 ビクビクッ、と士道の身体に押し付けられた令音の女体が揺れ、今のは軽くイッかもしれないと他人事のように令音の胸をいじり続ける。

 

「……や、シン♡駄目だ……っ♡♡」

 

 柔らかい胸に反して固く勃起した乳首をこねくり回し、時に強くつまみ上げて刺激する。コリコリとした感触が欲情をそそり、指で幾度も弾いて令音の色香を感じる声を引き出していく。

 ――――これは、癖になるな。令音の肌に吸い付きながら、令音の胸を弄び続ける。いよいよ自制が効かなくなってきた、そのとき、

 

「――――シン」

 

 落ち着き払い、けどどこかイタズラをした子供を叱るような声を発して、令音が太ももを強く挟む(・・・・・・・・・・・)。まあつまりは、令音は士道の上に乗っかるように湯船浸かっていたのであって、必然的にそこには士道の立派に勃起した逸物があるわけで、唐突かつ非常に柔らかな刺激に、士道も吸い付いていた肌から口を離して快感に飛び上がった。

 

「おわ……!?」

「……いけないよ。明日から、君は精霊たちと旅行(・・)の予定があるだろう?」

 

 だから、今日はここまでだ、と。そういうことなら、もう少しマシな諌め方があると思ったが、理性を失った猿より性欲が強い士道が相手なら、これくらい過激な方が正気に戻れるのかもしれない。目には目を、快感には快感を。

 

「……わかりました。ごめんなさい、令音さん」

「……ん。よしよし」

 

 素直に謝ると、こちらに向き直った令音が胸元……では湯船に顔が使ってしまうので、その良い匂いしかしてこない首元に顔を埋めさせてもらい、頭を令音の手で撫でてもらう。

 

「…………」

 

 ――――やっぱり、こっち(・・・)だと令音さんには勝てないんだよなぁ。

 そんなことを思いながらも、正しい意味で心地の良い感覚に勝てない士道は、ただただ恋人の母性に頭を傾けるのであった。

 

 

 

 

 

 

「令音さん、髪を乾かすくらいは俺でもできるんですけど……」

「……ん。まあ、いいじゃあないか」

 

 脱衣場の鏡の前でバスローブを着て、士道の濡れた髪をドライヤーで丁寧に乾かす。恐らく、そのまま伸ばしていけば、例の女装姿のウィッグ要らずの質感の髪が令音の指に絡まる。もっとも、令音が伸ばしてほしいと頼んだとしても士道は絶対に首を縦には振らないだろうことは、女性として少しばかり残念だと思った。令音としては、ホッとする思いだが。

 

「令音さんは、旅行には着いて来てくれないんですか?」

「……そうだね。私は、〈フラクシナス〉で待機の予定だ」

 

 明日から予定されているものは、連休を利用した二泊三日の小旅行だ。士道と精霊たちが揃っていくため、令音たち〈フラクシナス〉のクルーは仕事と何かが起こった時のため艦内で待機している予定だ。これはいつもと変わらない行動だった。

 それを聞いた士道は、ドライヤーの熱風を受けながら残念そうに眉根を下げた。

 

「そうですか……令音さんとも、一緒に行きたかったですね」

「……嬉しい言葉だが、私のことは気にしないで、皆と楽しんでくるといい。私には私の、君には君のするべきことがある」

 

 精霊たちのために用意された旅行に、令音が着いていくのは好ましいことではない。問題があった初期段階ならいざ知らず、今は精霊たちも成熟した精神を持つ子たちなのだ。余計なお節介は必要ないだろうと判断された。

 しかし、令音の正論が気に入らなかったのか、士道はブスっとした顔で声を発する。

 

「んー……琴里に頼んで、令音さんの席を捩じ込んでもらおうかな」

「……シン」

 

 正直、最近の琴里なら「そうね、そうしましょう。司令官命令」と言い出しかねない。士道との秘密を守るためにも、令音は極力目立つ行動を避けるために仕事を入れたのだ。士道の有難い、そして惜しい(・・・)と思う気持ちもあるが、今回ばかりは角を立てないための処置と思ってもらうしかなかった。

 

「冗談ですよ。……けど、いつか一緒に旅行しましょうね」

「……不倫旅行かい?」

「そこは恋人旅行にしてくださいよ……」

 

 半目で機嫌を損なう可愛らしい恋人に笑みを零し、髪をそっと指に絡ませ掬う。

 愛おしい。それが、純粋な思い――――『私』のものか、それとも〝私〟だけのものか。一体、村雨令音とはどちらのもの(・・・・・・)なのか。

 時折感じる疑問の答えを出すこと、いや、考えるよりも早く、

 

「あ、そうだ――――いいこと考えた」

「………………」

 

 酷く嫌な予感がするその意地の悪い(・・・・・)笑みに、思わず髪を撫でる指が止まってしまう令音であった。

 ちなみに、士道の笑みに関しての直感が外れたことは、今のところはない。

 

 

 

 

「バスローブ脱いで待っててもらえます?」

「…………」

 

 すっかり傍若無人な要求が板に付いてきた士道に対し、すっかり押しへの弱さが板に付いてきた令音の図式。

 とはいえ、反論という選択肢はもちろんどこにもなく、適当に着ていたバスローブをはらりと部屋の床に落とす。

 

「よーし、出番だぞー〈贋造魔女(ハニエル)〉」

 

 箒に似た天使を士道が振るう光景も、いい加減見慣れてきてため息すら出てこない。そろそろ、天使の主とその乱用率はタメを張るかもしれない。無論、使う理由としては数倍悪い意味でなのだろうけれど。

 

「……んー、こんなもんかな。令音さん、お待たせしました」

「……ん。………………それは?」

 

 思わず、問うた。何かしら〈贋造魔女(ハニエル)〉の変化で物体を変換し、作り上げたのだろう士道の手の中にあるもの。

 物質としては皮に近い。だが、天使を介している以上構成される物質は、見た目から簡単に伺い知れるものではない。それは分解された状態になっていて、部位を接続していくと恐らくはショーツほどの大きさと予想できる。だから、どこに着けるのかと聞けばそこに(・・・)なのだろう。

 士道がニコリと答えたものが、まさに予感的中だった。

 

「え、貞操帯(・・・)ですよ」

「……そうか。シンは物知りだね」

「令音さんほどじゃないですよー。じゃあこれ、令音さんの大事なところに着けさせてもらいますね」

「………………好きにしたまえ」

 

 返答に窮したのは単純な困惑と呆れだったのか。結局は答えてしまったのは士道への愛情故か。

 なんにせよ、鼻歌交じりに令音の局部に貞操帯を装着していく士道を止められないことには変わりないのだけれど。

 令音の局部に回し、陰部と恥毛を覆い隠した皮と皮が繋がり、士道が錠前に鍵をカチリとかければ、ショーツの代わりに令音の性器を守る――――けれどとてもいやらしい貞操帯が完成を見た。

 

「よし、着けれた。どうです、苦しくないですか?」

「……ああ。ちょうどいいくらいだ」

 

 一体、彼はどれだけ令音の身体を把握しているのだろうか。その貞操帯は試しに上げても下げてもビクともしないが、令音の局部に圧迫感は与えない。尻穴の繋ぎ目と放尿用に金属の排泄口も用意されており、少なくとも日常の(・・・)保証はしっかりとされていた。

 令音としてもそこまで士道の常識を疑ったつもりはないのだが、意図が読めない行為に小首を傾げた。

 

「それはよかった。苦しかったら調節するので、遠慮なく言ってくださいね」

「……ん。シン、これはどういう理由なんだい?」

 

 再び問いかけた令音だが、実のところ予想はついていた。

 貞操帯の一般的な説は、凡そ二つ。一つは性器を守る神聖な意味合い。もう一つはといえば――――――

 

「や、折角だし、俺がいない間は令音さんにも我慢してもらおうかなー、って」

 

自慰行為(・・・・)を自制するために、他者の手によって着けられる場合。そして、士道の手に鍵がある以上、令音に着けられた貞操帯の意味は後者だろう。

 とは、いえ。

 

「……シン。どうしてこんな無駄なことをするんだい?」

 

 令音としては、この行為には甚だの疑問を持たざるを得ない。このようなことをせずとも、令音は士道がいない二泊程度我慢することは訳ない……そもそも、令音が自慰行為に及んだことはあの一回(・・・・)のみなのだ。

 しかし、裸体に貞操帯でも恥ずかしがらず素面の令音に気を悪くした様子は士道には見られず、それ以上に楽しげに笑う姿が印象的だった。

 

「そうですか? けど、令音さんの身体は俺が一番よく知ってるからなぁ。あ、我慢できたらご褒美あげますよ」

「……それは、楽しみだね」

「そうでしょうそうでしょう。あ、オナニーが禁止ってわけじゃないので、おっぱいとか乳首は使っていいですよ。でも、貞操帯を取るのは絶対に駄目(・・・・・)です」

「……了解した」

 

 令音を辱めるために、わざとそういう言葉遣いを選んでいるのだろう。仕方のない恋人に、令音はほぅと息を吐いた。

 ――――三日目には帰ってくる。その頃には、士道の気も晴れているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう冷静に分析し、士道たちが旅行へ旅立った一日目を終えた、その真夜中。

 

「……はっ♡……っ♡……、あぁ……っ♡♡」

 

 分析の甘さを、その身をもって味わうことになった。

 熱い、熱い――――――欲の波が裡を焦がして、熱い。

 

「……ふっ♡あっ♡……どう、して……っ♡」

 

 令音の行動は変わらなかった。いつも通りの業務をこなし、簡単に汗を流して床に就く。そうして、朝まで目を瞑る(・・・・・・・)。士道が関わらなければ、以前と何ら変わりないルーティン。

 

 士道が関わったのなら、変わってしまうことは必然だった。

 

「……し、どう♡士道、しどうっ♡♡」

 

 愛しい男の名を呼び、ベッドの中で服を脱いで胸を激しく揉む。乳首を摘んで情欲を満たす。

 満たされない。どれだけ荒々しく押し揉み、擦り付けたところで、士道が戯れで触れるあの一瞬の快感にすら劣る。

 

「……はぁー♡はぁー……♡」

 

 足りない。足りない足りない足りない。無意識のうちに衣服の下に手を突っ込み――――コツン。そんな硬い感触が指と肌を遮った。

 

「……っ♡」

 

 カッ、カッ。カリカリ。幾ら指を擦り付けたところで、肌に届く感触などなくただもどかしさだけが募る。

 今すぐに掻き回したい。指で膣の中をぐちゃぐちゃにしたい。なんでこんなに欲しいのか――――士道がそう望んだからに決まっている。

 彼が望むことを叶えることが、今の令音の肉体に求められることなのだから。

 いっそ、壊してしまおうか。令音なら指先一つでそれが叶う。容易いことだ。そうすればこの疼きを抑える快感を存分に――――――

 

『――――でも、貞操帯を取るのは絶対に駄目(・・・・・)です』

「――――――」

 

 それは、できない。令音にとって、彼の言うことは絶対だ。破ることはできない。破ってしまったら、きっと令音は己の指でのみ得られる快感で終わってしまうから。

 でも、それじゃあ、どうすればいい。士道が戻るまで、あと一日以上あるのに。こんな子供遊びのような自慰行為では満たされるものなどない。

 

「……っ!!」

 

 飛び起きる。令音らしくもない機敏な動作で汗を吸った衣服を脱ぎながらシャワールームへ。躊躇いなく全裸になり、貞操帯だけを着たチグハグな格好を鏡に収めながら、シャワーを手に取り勢いよく蛇口を捻ってシャワーの水を貞操帯に当てる(・・・・・・・)

 

「……っ〜〜♡♡」

 

 冷たい水が凄まじい勢いで貞操帯を叩き、排泄口から令音の秘所を水飛沫が激しく刺激する。

 一瞬だけ、満たされる。だが、それだけ(・・・・)

 

「……だ、め♡……もっ、と♡♡」

 

 また快感が引いていき、激しいはずの水流が全く物足りないものへと変わる。

 欲しいのは、こんなものではない。膣を削るような快感。彼の指、彼の肉棒。想像しただけでイッてしまいそうな愛しい男の逞しいモノなのだ。

 

「……あぁっ♡あぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡」

 

 満たされない欲求。餓鬼にも等しい飢え。

 それは、実感が薄れた(・・・・・・)とはいえ、長い時を彷徨う令音をして、拷問のような時間だった。

 

 

 

「………………」

 

 集中できない。コンソールを叩く指が、スローモーションのように遅い。無駄な動きが多すぎる。

 集中なんて、できるものか。疼いた身体は満たされることなく、甘い絶頂はむしろ快感への欲求を増すばかり。とめどない欲望が、士道の欲望が令音の身体を犯しているようだった。

 ほしい。あの子のモノがほしい。どこでもいいから、今すぐあのおちんちんで令音を突いて屈服させてほしい。ああ、こんなことなら以前に採った彼のザーメンを保管しておけばよかった。そうすれば、極上で狂ってしまえるあの悦楽の宴を、もう一度得ることで満たされたかもしれないのに。まだか。まだなのか。まだ令音はこの地獄にいなければならないのか。早く、早く、早く――――!!

 

「――――村雨解析官?」

「……っ」

 

 咄嗟に、正常な思考に戻ることができたのは、令音自身の精神力のおかげなのだろうか。

 気づいた時には、クルーの椎崎が心配そうな顔で令音の顔を覗き込んでいた。

 

「あの、必要な資料を送っておいたんですが……何だか、いつも以上に上の空だったので……」

「……ああ、すまない。最近は……少し、弛んでいるようだ」

「とんでもないですよ! 村雨解析官は働きすぎなんです! ちょっとは休んでください、ね?」

 

 ポン、と椎崎の手が令音の肩に置かれる。

 

「……っっ♡♡♡」

 

 それだけで、令音の背筋がゾクゾクと震え、ビクッと身体を痙攣させてしまった。

 

「え……」

「……すま、ない。お言葉に、甘えさせてもらうよ」

 

 表情には、出なかっただろうか。まだ、彼以外には(・・・・・)悟られることはないはずだった。

 驚いた椎崎に精一杯声をかけ、いつも以上に頼りない足取りで転送装置へと駆け込んだ。

 

 

 

「……今日の解析官、ちょっと色っぽくなかったですか?」

「ヒナちゃん、そういう趣味……?」

「ち、違いますよ!」

 

 

 

 

 

 時間の感覚が、ない。

 

「……は♡」

 

 壁に手をついた感触でさえ、薄い快感をもたらしている。

 

「……ふ、あぁ……っ♡♡」

 

 今自分がどんな顔をしているのか。快感と見合うだけの表情をしているのだろうか。きっと、そうではない。彼にだけわかるような蕩けた顔で、彼の帰りを待ち続けている。

 どこに向かっているかもあやふやだった。艦内の廊下を宛もなくさまよう。だらだらに流れる愛液がストッキングを伝って、艶めかしく令音の足を濡らしている気がした。

 これは、いくら何でも、おかしすぎる。その思考が快感を求める欲求の中に消えて、令音は亡者のように歩いた。涙ぐんだ視界で、その先に彼を――――彼、を?

 

「――――令音さん?」

 

 いた。

 

「帰ってきて部屋を訪ねてもいなかったから、誰かに聞いてみようと思ってたんですけど、なんでこんなところに……ってぇ!?」

 

 走る。走る走る走る。彼の手を取って走る。

 

「ちょ、令音さん!?」

 

 それは、令音に残された最後の理性だ。反復行動のみで部屋を探し当て、素早く彼を引きずり込んで邪魔をされないように扉にロックをして、その扉に彼を押し付けて――――士道の唇を貪った。

 

「れい、ね……さんっ!」

「……んちゅ♡ちゅる♡♡ちゅぱっ♡♡」

 

 甘いものではなく、令音が快楽を貪るためだけのキス。さっきまで流れていた量とは比較にならないほどの愛液がドバドバと生成され、貞操帯をふやけさせるのではないかという勢いで溢れ出す。

 

「……っ! んんっ!!」

「……んちゅ……る♡」

 

 息が続かないのか、少し苦しげな士道の顔を見て令音の僅かな正気が行動を変える。唇を離すとぷはっ、と士道が足りない息を大きく吸う。

 

「……はっ♡はぁ♡♡」

 

 でも、令音は足りていない。彼の乱れた服から肩口の肌が見えた――――迷いなくかぶりついた。

 

「……ふーっ♡ふーっ♡♡ふーっ♡」

 

 ぷしゃ、ぷしゃ! と激しく潮を吹く音がする。数日ぶりに彼の体液を摂取し、ようやく望んだ絶頂の入口に至った証拠だ。

 はしたなく片っ端から士道で快感を貪る令音に、彼は驚いたような苦笑と、少しの反省を含んだ声音を発した、気がした。

 

「あぁ……ちょっと、気持ち込めすぎたかなぁ。ごめんなさい令音さん。さすがに意地悪すぎましたね」

 

 士道が何を言っているのか理解できるだけの理性はない。だが、彼が令音のスカートの中に手を入れ、ストッキングを下ろした意味だけはわかる。

 

「でも、ちゃんと我慢できたみたいだし――――いっぱいご褒美、あげないとですね」

 

 鼓膜を震わせる甘美な声の快感。カチャリと開かれ、外された貞操帯から雌の臭いが解き放たれる。

 ああ、それは、

 

「俺のモノ――――令音さんの自由に、使ってくれていいですよ」

 

 待ちに待ったご褒美の、合図だ。

 

 

 剥き出しにした肉棒を、令音は迷いなく自身の秘部の奥底まで打ち付ける。衝撃で、身体が反り返る。構うものかと、腰を打ち付ける。

 

「……ぁ♡……こ、れ……♡ほし、かった……っ♡♡」

「はいはい……っ! よくここまで我慢できましたね……」

 

 打ち付ける。打ち付ける。打ち付ける。衣服を脱ぐことさえ手間だと、立ったまま士道の巨根を雌マンコで呑み込んで腰を振る。

 我慢なんてできない。もういらない。これが欲しかった。何よりも、欲しかった。

 

「……ああ♡ああっ♡♡……ん、ちゅ♡、ぷはぁ♡♡……士道は、気持ちいいかい……?♡」

「っ……ええ、そりゃあもう――――ねっ!!」

「……おっ、おおおおおおおおおっ♡♡」

 

 一際強く打ち付けられた肉棒が子宮の中まで貫き、どこまでも待ち望んだ歓喜の味を令音の内側から燃え上がらせる。

 キスをして、腰を振って、互いに快楽を貪る。原初の欲望。ただ本能のままに行われるオスとメスの交尾。たまらなく、心地がいい。

 

「……士道♡士道♡♡」

「はいはい。ここにいますよー」

「……んっ♡……士道のおちんちん♡♡奥まで、届いてる……っ♡♡私の子宮に届いて♡♡……すごく、きもちがいい……っ♡」

 

 ホシイ。それだけしか考えられない。〝私〟には士道だけがいればいい。破滅的な欲求が令音の中に生まれていた。

 

「……っ♡士道♡士道のザーメン♡♡いっぱい射精してくれっ♡♡♡……ほしいんだっ♡♡君のモノで、私の中を満たしてくれ……っ♡♡」

「それじゃ、遠慮なく――――ッ!!」

 

 ――――ドチュ、どぶっ。

 

 感極まるその白濁が、令音の膣を蹂躙する。

 

「……あぁ♡ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――ッ♡♡♡♡」

 

 待ちに待ったそれを、士道の身体を抱き締めながら密着して受け入れる。どくっ、どくっ、と令音の中で脈打つ肉棒が、一際強い絶頂への令音を導いてくれる。

 ドロドロの欲望。吹き出す潮と愛液。たった数日なのに、令音には長い時間お預けされたような気さえしていた。ぐちゅぐちゅと混ざり合う互いの液。腰を振って興奮を掻き立てる淫靡な音を奏でながら、令音は甘え切った声を発する。

 

「……し、どう♡♡……も、っと……♡♡」

「ええ。令音さんが望むだけ、俺のモノで令音さんの中を満たしてあげます。令音さんが望むだけ、令音さんの子宮に俺の精液を食べさせてあげますよ」

「……っっっ〜♡♡♡♡」

 

 その言葉が嬉しすぎて、またイッてしまう。膣を強く締め付けて、硬い肉棒を急かしてしまう。

 もう一つ。欲望の中に消える令音の精神が言葉を吐き出した。

 

「……もう、いじわるしないで……っ♡♡……ちゃんと、私のそばにいてくれ……っ♡♡」

 

 それが理性であったのか、それとも本能であったのか。

 

「意地悪しないのは保証できませんけど――――後者に関しては、俺のセリフなんだけどなぁ」

「……あぁっ♡♡」

 

 答えを出す前に、令音は士道に抱かれるまま夜明けまでケモノのような声を上げて、数日分の幸せな交わりを得たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「――――あら令音。今日は教員の仕事しかなかったはずでしょ?」

「……うむ。だからこの格好で失礼させてもらうよ」

「いや、〈フラクシナス〉に仕事しにきてる言い訳くらいしなさいよ」

「……すぐに戻るさ」

 

 そう適当な言い訳を重ねるが、司令からの視線は痛く令音に突き刺さった。本当、最近は妙に気にかけられていると令音は自身のクルー席へと足を運び……ぴくりと琴里が眉根を動かしたのを見た。

 

「令音……その肩の絆創膏、どうしたのよ?」

「……ん? ああ……少し、引っ掛けてしまってね」

 

 白衣とシャツで隠れているものと思っていたが、ふらふらと動いている間にズレてしまい、琴里が指を指して指摘する肩口の絆創膏が見えてしまっていた。士道の前では気にするようになったが、それ以外ではまだ癖が抜けていないな、と令音は誤魔化して白衣とシャツを整えた。

 

「――――いえ」

 

 が、令音と琴里との間に、その一言の電流が走った。

 管理AIマリアのマテリアルボディが、その視線を鋭くして令音を捉えている。

 

「……微かに見えた肌の具合から、恐らく吸引性の皮下――――――」

「……マリア。君が以前気に入っていたお店のシュークリームを都合よく買ってきているのだが」

いただき(買収され)ましょう」

 

 迷いのない翻しに、うむ、と神妙に頷く令音。

 

「……え、ちょっと待ちなさいマリア。今何かすごい重要な単語口にしなかった!?」

「記憶にありませんね。具体的には、私という〈フラクシナス〉の記録データから抹消されました」

「消したって言ってるわよねぇ!?」

 

 無論、それで琴里が黙ったままのはずがないのだが。

 

「く、『ラ・ピュセル』の限定ミルクシュークリーム十個!」

「……プロには及ばないが、私が気まぐれで作ってしまった和菓子があってね」

「おぉ……!」

 

 一度見た技は対策しておくのが基本中の基本である。まあ、和菓子は士道のために作った余りなのだけれど。

 

「ぐぬぬぬ……。――――もしもし士道!? 今すぐ和菓子を作ってちょうだい! 今すぐよ!! なんでって、令音の秘密が闇に葬られるのを防ぐためよ!! ――――は? 急にお腹の調子が……って士道!? ねぇ士道!! 待ってよおにーちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

「…………」

 

 気持ちはわかるが、ある意味で令音の虜な士道を頼る選択をした琴里を見て、令音は得も言えぬ感情で頬をかいた。

 

「……ふっ」

 

 ――――消そうと思えば、消すことはできた。

 肩口を撫でながら、令音は誰にも気付かれない微笑を零す。

 消すことはできた。だが、霊力を込めた(・・・・・・)からこそ残る士道の証(キスマーク)を消すことなど――――勿体なくて、できはしなかった。

 






ここすきを見て淫語令音さんが当たっていて気分が良くなっている侍。

即落ち二コマ貞操帯回。貞操帯に仕込み入れてもよかったけどなしで悶える令音さんも素敵ですよね。即落ち二コマはあまりにも即落ちでしたけど
え、共依存?だから言ったじゃないですか。この話を純愛と見るか歪な恋人ごっこと見るかは皆さん次第だって。まあ……そのうち、答えは出るかもしれませんね。

評価と感想への誠意は更新。毎日更新は全てを解決する……!そしてこの評価演説も欠かさず行う……!そんなわけで評価ありがとうございます!絶え間ぬ更新のためにも皆様の評価をお待ちしております、本当に!

ではではまた次回〜。

ところで、神聖な校舎の中でプレイって燃えるよね。
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