※この作品はR-18です。

デート・ア・ライブ 令音アビス   作:いかじゅん

20 / 125
なんだかんだで20話です。これまでの毎日投稿を祝して是非評価押していってください。我こそは妖怪媚び売りマン。







20話

 ――――欲望の暴走は、何も令音を直接(・・)蹂躙することだけで解消されるわけではない。

 令音に何かをさせる。普段、感情表現をあまり表に出せない令音だからこそ、生まれてしまった羞恥をさらけ出させてやりたい。そういうものも、士道の中に生まれてしまう欲望の一瞬。性欲に特化した霊力の暴走だ。

 令音に拒否権がないように、きっと士道にも選択権などない。生まれてしまった欲望を令音にぶつけない。一つ一つは小さくとも、それが重なり続ければやがて――――――士道の欲望は、次なる支配を求める。

 だから令音は拒まない。どんなものであれ、士道の雌奴隷として愛しいご主人様のために命令を忠実にこなす。

 

 それがたとえ、〈ラタトスク〉の機関員としての勤務中(・・・)であったとしても、だ。

 

「……っ♡」

 

 ぐちゅり、そんな音が艦橋に酷く響いた、気がした。無論、それは令音にしかわからないことなのだろう。そう思っていても、きっと(・・・)などと希望的観測を付け足さなければ、令音は正気を保っていられる気がしなかった。

 長い間、隠し通してきた秘密(・・)を通すことは容易くなったというのに、この秘密(・・・・)は一分、一秒であってもここにいたくないと思わせるものだ。

 

「……ぁ♡」

 

 自分の吐息が、あまりにも大きく聞こえてしまう。コンソールを扱い、クルー席に座る令音の姿を誰かが注視している。そんな気さえしてくる。

 身動ぎをしてしまうと、嫌でもそれを感じるのだ。何か粘ついた固形物(・・・)を溜め込んだような音を出す下半身と、妙に肌が擦れる(・・・・・・・)胸部。それらがもたらす、異常極まる快感を。

 

「…………」

 

 早く済ませて、士道のところへ戻らなければ。ぼぅっと熱に浮かされた――幸いにも、普段の令音を知るなら怪しまれることはない――瞳は表記されたモニタにだけ集中させ、誰にも悟られぬよう片手をポケットの中へ導き、その中から携帯端末を取り出す。

 足を開く。大きく、下品に。もし令音の足の間に人がいれば、令音の恥部が丸見えになってしまうくらいに。そんなことができる、許せる人は一人しかいないのだけれど。

 そんな股座に端末のカメラを忍ばせ――――パシャリ、と一枚の写真を撮る。

 

「…………は、ぁ♡」

 

 音は響いていなかっただろうか。誰にも気づかれてはいなかっただろうか。幾らかの疑問は生じたものの、令音とてそれほどの余裕があるわけではない。

 足を閉じれば、挟まれた股座からぐちゃ、ぐちょと粘り気のある何かが摩擦し、令音の正気を益々削り取っていった。

 だが、やるべきことは果たした。立ち上がった令音は、頼りのない足取りで転送装置へと足を運び、クルーたちのいない艦の廊下へと逃れた(・・・)

 

「――――令音」

 

 はず、だった。

 

「……!」

 

 令音が気付けなかったのは、よほど自身のことにしか思考が追いつかなかったことと、彼女の存在そのものが特殊だったからであろう。

 振り返れば、令音を追いかけて転送装置から現れた少女が一人。小柄で、見た目は人と何ら変わりのない少女。その正体は、艦の管理AI。つまりは、〈フラクシナス〉という空中艦そのもの(・・・・)である人格プログラム、マリア。

 

「あなたが背後を取られた程度で驚くとは……やはり変わりましたね、令音」

「……何か用かい、マリア」

 

 敢えて追求、或いは遠回しな問いかけには答えず、あくまで一クルーとして違和感なくマリアと向き合う。

 常と変わらぬ、だがマリアの目は細く令音を射抜いた。そこには疑念と――――令音を慮る光が宿っていた。

 

「――――何か私に、できることはありますか?」

 

 明確な意図、何かしらを悟り(・・・・・・・)マリアは問う。

 

「…………」

 

 如何な令音と言えど、〈フラクシナス〉そのものを騙し続けることは難しい。

 不自然にならない沈黙。思考の時間はそう多くはない。差し伸べられた手を、令音は、

 

「……いや、大丈夫だ。普段通りで構わないよ(・・・・・・・・・・)

 

 首を横に振り、あくまで感情を出すことなく処理をした。はっきりとした拒絶の意志を示し、何もなかったかのように背を向けて歩き出す。

 

「了解しました。――――くれぐれも、ご自愛を忘れずに」

 

 マリアなりに気を遣った言葉を背で受け止め、令音はゆらり揺れて歩く。

 ご自愛――――その心配は無用だ。令音の身体が普通でないことは、令音が一番知ることなのだから。『私』が幾度も呪ったであろう力を、こんなことのために使っている。忌諱すべきことのはずであるのに、今は士道のことしか考えられない(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「……はっ♡……はっ……♡♡」

 

 熱に浮かされる。ぐちゃぐちゃになった下着の中(・・・・)が、令音の残された理性を完璧に溶かし尽くそうと侵食をする。

 もはや、令音自身ですら誤魔化せないほどの嬌声をあげて、長い長い廊下を乗り越え、ようやく令音は愛しい人の顔を目に納めることが出来た。

 

「あ、おかえりなさい、令音さん」

 

 何食わぬ顔で、当然のように令音の私室でくつろぎ、出迎えた少年。その顔は穏やかで、いつも変わらぬ優しさと――――令音を奴隷としてみて止まない、ギラギラとした狩人の眼を蓄えていた。

 

「……シン♡……撮って、きたよ……♡♡」

「お、さすがは令音さん。どれどれ……」

 

 先ほど撮影に使った端末を手渡すと、士道は興味深そうにその画面に目を向け、目的のものがしっかりと撮れていることを知りニヤリと笑みを浮かべた。

 

「よくできました。でも……琴里や同僚の人がいる中でこんなのを撮るなんて、令音さんはとんだ変態ですねぇ」

「……それは、君が……っ♡♡」

「わかってますって。じゃ、そんな変態さんのアソコ(・・・)がどうなってるのか……じっくり、見せてください?」

「……っっ♡」

 

 士道に罵倒されているのに、否、士道に罵倒されてしまうからこそ得難い快楽を感じている。それだけでイッてしまいそうになる。

 快感の波に耐えながら、令音はスカートとストッキングを下ろし、白濁が漏れ出る(・・・・・・・)ショーツの正面をグイッと引っ張り、顕になったその合間を士道と令音自身に見せつけた。

 

 ドロドロのザーメンをたっぷりと蓄え、銀灰の陰毛と絡み合ったその恥辱まみれの極部を。

 そう。先ほどの端末には、ザーメンが染み落ちるショーツを様々に撮影した様子が保存されていたのだ。

 

「うわぁ……すごい臭い。こんなモノをぶちまけられてて、よくみんなにバレませんでしたね。俺の臭いと、令音さんの臭いでいっぱいだ……」

「……んっ♡士道のおちんぽザーメン入れられて♡♡ずっとずっとイキそうだった……よ♡♡」

 

 喉を通るだけで令音が幾度も絶頂してしまうほどの精液を、ショーツで挟み込んで肌に張り付かせる。琴里たちの前で果ててしまわなかったことが不思議なくらいだった。

 

「あは、よく我慢できましたね。さて、こっちは……」

「……あっ♡♡」

 

 優しくボタンを外され、上半身を覆う二枚の布が取り去られる。顕になった胸部にブラはなく、大きな胸を唯一隠すのは乳首を隠す白いニップレスだけだった。

 あまりにも儚く、守るというには小さすぎるそれは、外気に晒された瞬間はらりと零れ落ちる、勃起しきった乳首を士道に晒してしまう。

 

「……やっ♡」

「ふふ……乳首をこんなに勃起させてたら、そりゃこんな小さなニップレスは取れちゃいますよねぇ」

「……う、ぅ♡♡」

 

 コリコリと乳首を弄られ、じくじくと甘く焦れったい感覚が令音を襲う。もう、それで限界だ。いや、とっくに限界なんてきていた。

 

「……し、どう♡♡はやく、抱いて♡……あなた様の淫乱な雌奴隷に♡はずかしいの我慢したご褒美、たくさん恵んでください……っ♡♡」

「ええ、いいですよ。俺の可愛い令音さんに――――――たっぷり、泣き叫ぶまでご褒美をあげます」

 

 甘美なキスを合図にして――――今日もまた、令音は士道と背徳に堕ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「…………」

 

 見えやすいように明るくした部屋で、令音は一人手にしたものを見つめていた。服は全て(・・)取り去り、裸体を惜しげも無く晒してその逸物(・・)をじっくりと眺め、口に含む(・・・・)

 

「……あむっ♡……ちゅる……♡♡んぶ……っ♡♡」

 

 顎が外れんばかりに大きなそれをたっぷりと唾液に浸し、滴るほどに濡れたモノを地面に固定する。これで、準備はできた。

 それはあまりに大きい肉棒もどき(・・・)。ディルド、と呼ばれる淫具だった。だが、何度も確認する。これほどの大きさは、こういった淫具に想定されたものではない。

 

「……ふっ♡……ふ……っ♡♡」

 

 しかし、令音は迷わない。足を開いて腰を深く落とし、自身の恥部に地面に固定したディルドの狙いを定める。両腕は手を頭の後ろに組み、その大股を広げたはしたないポーズで、令音は嬌声じみた声音で言葉を紡いだ。

 

「……いま、から♡士道のおちんちんを再現したディルドを使って♡自慰行為……オナニーをするんだ……っ♡♡見ていて、士道っ♡♡♡♡」

 

 愛おしい少年に対して宣言をしながら、腰を更に落としていき……ずぷっ、とディルドの先端が令音の雌マンコに侵入した。

 

「……くひっ♡♡……お――――オオオオオオォォォォォッ♡♡♡♡」

 

 ずぶぶぶ、と濡れきった雌マンコを引き裂くようにディルドを打ち込み、獣じみた声で令音は悶える。

 

「……おっ♡おほっ♡♡……おぉぉぉぉ♡♡」

 

 けれど、それは腰が止まったという意味ではない。むしろ、激しく身体を上下させディルドを出し入れする令音は、既に狂乱の快楽に呑み込まれつつあった。

 結んだ髪を揺らし、平静を装う顔でだらしなく舌を出し、ガニ股でディルドオナニーに興じる。ぶしゃ、ぷしゃ、と幾度となく潮を吹くその様は、一人の女性として浅ましく、一人の雌奴隷としては完璧な姿だった。

 

「……おぉ♡……きもち、いい♡♡ディルドオナニーきもちいい……っ♡♡……でも♡でも♡♡」

 

 足りない。物足りない――――その思いが通じたのか、足に込めていた自然と力が抜け、上下させていたディルドが一気に奥底まで令音の身体を撃ち貫いた。

 

「……お、ご♡……お……、おぉ……♡♡」

 

 身体を大きく逸らし、膣を占拠したディルドの余韻に耽る。それでも、令音を壊し切るには至らない。

彼に見てもらえるよう(・・・・・・・・・・)顔を正面に戻し、慣れないピースサインを両手で作り、令音は唾液を垂らしながら言葉を紡いだ。

 

「……きもちいい、けど♡やっぱり、君のモノじゃないとダメだ……っ♡♡士道のおちんぽ様じゃないと、きもちよくイケない……っ♡だから、私のオナニーみて♡代わりに士道が満たされるような♡♡雌奴隷のオナニーをもっとみてください……っ♡♡」

 

 決して満たされぬ快感を浸りながら、令音は一人腰を振り続けた――――これを使ってもらえたらいい、そのことだけを一番の快楽にして、令音はディルドオナニーをし続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あの、これ」

「……うん? 君も一人でする(・・)ことがあるだろうから、それ用に撮影したものだよ」

 

 震えた手で令音から支給された携帯端末の動画を見ていた士道に、平然とした顔、さも『当然のことだが?』みたいな顔で令音が丁寧に解説してくれた。

 所謂、自慰行為のためのオカズ(・・・)というやつだ。それも、令音が士道の逸物を再現したディルドでガニ股オナニーをするとんでもないお宝動画。世には絶対に出せないが、値段など付けられるものではない。

 士道の反応をどう解釈したのか、令音が小首を傾げて言葉を続けた。

 

「……もう少し、小綺麗な方がよかったかい? ならば撮り直して――――――」

「それはそれでほしいですけど、これはこれで最高なんですよね」

「……そう……かい?」

 

 ――――たぶん、令音であれば何でもエロく感じるんだろうなぁ。

 そんな思いと感謝を込めたサムズアップは、いまいち令音に伝わらずに終わってしまったようだった。

 

 お宝であると同時に、誰かにバレたら殺されるなと危機感を覚えた士道であった。

 

「……ああ。それと、端末は君以外が起動、或いは何らかの方法でハッキングを試みた場合、自動的にデータが消去される仕様になっている。心配は無用だよ。安心して、使ってくれると嬉しい(・・・)

「………………」

 

 どうやら、抜かりはないようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「……いいのかい。君の部屋に招いてもらって」

「や、恋人を部屋に招くのは当然じゃないですか。それに、令音さんの部屋ばっかりだと悪いですから」

「……厳密には私のものではないのだから、気にすることはないよ」

 

 まあ、その〈フラクシナス〉の部屋を散々色々な意味で使い倒している令音が威張って言える権利ではないのだけれど。

 

「まあ、ゆっくりしていってください。何もないですけどね」

「……そんなことはないよ。君がいるじゃあないか」

 

 気恥しそうに頬をかく士道に、令音は当然の価値を返す。

 

「いや、そういうことじゃないんですけど……と、とりあえず飲み物入れてきますね!」

 

 どこか顔を赤くして部屋を出ていく士道に、何か間違ったことを言っただろうかと令音は首を捻った。

 まあ、今日の令音は客人。一つの礼儀として、大人しくもてなされるのもたまには悪くないかもしれない。そう思い、令音はベッドの上に腰掛けた。

 こうして昼間に招かれるのは初めてだ、と部屋一帯を見渡す。

 

「……ん」

 

 整えられたシーツの感触。真面目で几帳面な士道らしく、ゴミが散乱しているということも、服が不用意に置かれているということもない――――一瞬、残念だと思ってしまった令音は、既にそういう人種(・・・・・・)の仲間入りを果たしてしまっているのかもしれなかった。

 これも一つの変化。令音の身体を襲った変調の一つ――――吸い込んだ部屋の臭い(・・)士道の臭い(・・・・・)

 

「……っっ♡♡」

 

 子宮がずくんと疼き、ショーツの中がじんわりと湿り気を帯びる。

 そう、既に自覚症状はあった。令音は以前から、士道の臭いに強く反応を示している。特に、士道の肉竿を鼻腔に晒したとき。鼻腔で吸い込んだだけで、香しい雄臭でイッた。何もされていないのに、臭いだけで絶頂に届いてしまう身体にされてしまっていたのだ。

 今はその臭いが、部屋いっぱいに充満していて――――気づいた時には、ベッドの上に倒れ込んでいた。

 

「……すーっ♡……はーっ♡♡」

 

 士道が睡眠に使う寝具。時間こそ減ったが、いつも令音が送り届けているため、使われていることには変わりない。

 鼻孔を押し付け、シーツに染み込んだ士道の臭いをたっぷり吸い込む。鼻腔を抜け、脳に圧倒的な快楽物質を生成させ、令音の理性を完璧に狂わせる。

 

「……あっ♡♡……んんんっ♡♡♡」

「――――お待たせしました、令音さ……ん?」

 

 士道が扉を開けて、部屋に入ってきた音が聞こえた。士道の呆気に取られた声が、遠く聞こえる。

 ダメだった。もう、我慢なんてできなかった。ズボンの中に手を突っ込み、恥知らずにも恥部をぐちゅぐちゅと弄りながら、令音は極上の臭いを堪能する他なかったのだ。

 

「……ご……めん、なさい……っ♡♡……士道の臭い♡♡我慢できない……っ♡♡君の臭いで発情してオナニーする♡♡変態雌奴隷でごめんなさい……っ♡」

 

 今日は恋人として尋ねたのに。そういう時間をと思っていたのに――――どうにもならない快感は、令音でも抑えきれないほどに理性を破壊していた。自覚症状があるだけ、きっとマシなのだろう。

 

「――――謝らなくて、いいですよ」

 

 そして、戻れない深淵に堕ちていく令音を、士道はさらに引き摺り込むように覆いかぶさった。

 スボンに手を突っ込んだ令音をさらに導くようにその手を重ね、士道の臭いをわざと嗅がせるように全身を密着させる。

 

「……あぁ……♡♡指、そんなに動かしたら……っ♡♡」

「遠慮しないで。自分の指じゃなくて、俺の指を使ってもいい。もっと俺の臭いを嗅いで、変態オナニーしてください。――――令音さんは俺の恋人なんですから、当然の権利ですよ?」

「……あ、ぁぁぁぁぁぁぁ♡♡」

 

 もう戻れない。彼なしでは、生きてなんかいけない――――――『私』がいなくなる足音は、この時から迫っていたのかもしれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「……何もないが、歓迎しよう。しかし……どうしたんだい? わざわざ私の部屋が見たいなどと」

「ま、まぁいいじゃない。令音の部屋がどんなか、みんな気になるって言うから」

「……ふむ。――――ああ、すまない。私への呼び出しのようだ」

「あら。なら私も行くわ」

「……いや。私一人で十分だろう。すぐに戻るから、君たちはくつろいでいてくれたまえ」

 

 言って、自身の私室から無防備に出ていく令音を笑顔で見送り――――琴里は開戦の狼煙という名の勝鬨を上げた。

 

「よし! ガサ入れよッ!!」

「とても司令官が部下の部屋を物色する台詞じゃない……」

 

 イヤイヤ感をか持ち出し、不機嫌そうな目付き(曰くそう見えるだけで不機嫌ではない)とくせっ毛を流す少女、七罪の的確なツッコミは琴里の耳には届いて、そして右から左へ抜けていった。

 

「ほ……本当に、いいんでしょうか……?」

「むん。盗人のようで、ここで止めてやりたいものじゃのぅ……」

 

 七罪や琴里と同じ中学生くらいの背丈の少女たち。

 穏やかだが決して臆病を宿す意味ではない蒼色(サファイア)の瞳を戸惑わせる四糸乃。

 纏め上げた金髪がなお地に付くほどの長髪と、背丈に見合わぬ豊満すぎる胸部――いやまったく羨ましいゲフンゲフン――を持つ少女、星宮六喰。

 琴里を含めた以上四名が、選び抜いたこのミッションにおける精鋭たちである。……まあ、都合がついたのが七罪たちだけだったという話とも言う。

 

「安心しなさい。これは、とても重要な任務なの。どこの馬の骨とも知らない男に騙されているはずの令音を、その魔の手から救うためのね……っ!!」

「ほ、本当なんですか……!?」

「なんと。そのような輩がいるとは、許せぬのじゃ」

「……いや、シレッと騙そうとしてもそうはならんでしょ」

『なってるんじゃなーい? 嘘を見抜けそうな六喰ちゃんが素直に聞き入れてるくらいだからねー』

 

 そう。四糸乃が手に持つ意志を持つパペット『よしのん』の言う通り、これに嘘偽りはない。これはれっきとした任務なのである。

 

 

 ちなみに嘘偽りはないが、確信があるとも言っていない。たぶん、きっと、恐らく……人を焚き付ける便利な言葉たちだ。

 

 

「さあ、徹底的に部屋を洗うわよ!」

「琴里……私が言うのもなんだけど、何様のつもりなわけ?」

「司令官様よ!」

「………………」

 

 培った七罪からの信頼度が酷く低下している気がしたが、親友である令音を救うためには些細なことである。

 最近、令音の様子がおかしいことには誰もが気づいていた。だが、さすがは令音と褒めるべきか。最後の一線は絶対に明かさない立ち位置を維持している。唯一、秘密を探れそうなマリアは今のところ中立を保っている様子。ならば、もはや上司であり親友の琴里が出張るしかない。

 そこで、一計を案じた。陽動を利用した部屋の捜索。単純だが、令音の活動範囲の狭さをわかっている琴里だからこその策と言えよう。

 胸を張って、いざ部屋を捜索――――とはいうものの。

 

「むん……怪しいものは見当たらぬのじゃ」

「く、さすがは令音ね。隠し所が巧妙だわ」

「いや、単純にないだけじゃないの? ……あ、聞いてない。うん、私の声とか聞いたら耳が腐るわよねそうよね。はっ、さすがは道端の石ころ以下の私。難聴もお手の物よね、あはは」

「七罪さん、大丈夫です。ちゃんと、聞こえてます……!!」

 

 実際、〈フラクシナス〉内の個室は余裕のあるスペースが取られているとはいえ、一般的に不自由のない部屋の広さがせいぜい。なので、隠そうとして隠せるものはそう多くはなく、令音は他のクルーと違い私物も少ないため余計に隠し場所などない(・・・・・・・・)と錯覚しそうになる。

 しかし、そんなはずはない。琴里の直感が告げているのだ。あの令音の変調に、理由がないことなどありえない、と。そして、タイムリミットが迫り焦る中、場を動かしたのは、

 

「……あれ? これ、って……」

 

 令音の秘密に一番懐疑的でありながら、精霊たちの中で卓越した観察眼を持った七罪だった。

 

「七罪さん?」

「その様子では、何か得たようじゃの」

「…………え。や、その……な、何もない! なんでもなかったわ! あははははははは……は、は……」

 

 動揺しか感じられないまま、隠した物置の扉のようなものを背にし、必死に見つけたものを後ろ手に隠している七罪。

 動揺……と一口に言っても、なぜか顔を真っ赤にして見てはいけないものを見てしまった、見つけてしまったという様子が感じ取れた――――ビンゴだ、と琴里は視線を鋭くして七罪に詰め寄る。

 

「七罪。今見つけたものを見せてちょうだい」

「……だ、だめ」

「悪いようにはしないわ。今日の報酬になんでも好きなものを買ってあげる。家とかどう?」

「いらないわよ!? な、何を渡されてもだめだってば! これは……わ、私たちには早すぎるやつなの!」

「何があるって言うのよ!? ほら、勿体ぶらずに早く見せてちょうだい!」

「だ、ダメだってば……っ!!」

 

 意志薄弱というか、いつものネガティブで言葉一つを誤れば塞ぎ込んでしまう七罪とは思えない強い抵抗に、琴里も何かがおかしいと訝しむ。

 だが、手は止まらない。そして、いくら司令官業務でデスクワークが多いとはいえ、七罪に比べれば身体を動かしている琴里との力較べに彼女が勝てるはずもなく――――もつれ合って投げ出された大きな何か(・・・・・)は、音を立てて地面に転がった。

 

「あぁー!!」

「さあ、一体なんだ……て、いうの……よ?」

 

 白日のもとに晒されたそれ(・・)を見て、琴里は目を丸くし、目を細め、最後に耳たぶまで赤く染まる(・・・・・・・・・・)

 

「な、な……な、ななななな!?」

「だ、だから言ったでしょお……」

 

 同じくらいカァ、っと擬音が聞こえるような赤面を手で隠した七罪の声が、今度は流れることなく鼓膜を震わせた。

 転がったそれの形状は、単純に長く、規格外な大きさだった。グロテスクな造形、絶対に琴里の()には入り切らないだろう大きさ。だって、だって、だってそれはディル――――――

 

「? なんでしょうか……?」

「むん? むくにもわからぬが……ふむ、大きいモノじゃのぅ」

「わ――――わああああああああああ!?」

 

 まだ早い。確かに、まだ早すぎる。四糸乃と六喰。純心無垢な二人の視界から一刻も早くその物体を隠すため、全力で飛びかかって背中に隠して全力で後退る。

 しかし、結果として判断は正しく、そして間違っていた。立てかけられた物入れに強く背中を打ち付け、どんな確率なのかそのうちの引き戸が一気に表に出される――――その中身、小さな布切れ(・・・・・・)が琴里の顔に引っかかった。

 

「……え?」

「む……?」

「………………きゅう」

 

 四糸乃が一瞬反応を遅らせ、六喰は目の錯覚を疑うように目を擦り、七罪はいよいよ気絶した。

 

「…………………………」

 

 恐る恐る、琴里は自分の頭から薄すぎる布切れを手にし、目の前で広げた。

下着(・・)。だが、琴里が着用するようなものとは程度が違う。あまりに小さく、もはや女性の大事な部分を隠すという目的には遠すぎる。エロい。簡潔に言えば、エロい。着けたところで見えてしまうであろう形状の下着、まさにTバッ――――――

 

「……琴里」

 

 ひょいと、軽々しい音で琴里の目の前から淫猥な下着と、ついでに後ろ手に隠していたモノが没収される。

 ギギギ、と錆びた機械のようにぎこちない動きで頭を上げると、いつの間にか部屋に帰ってきていた部屋の主が、相変わらず起伏の薄い顔で琴里を見下ろしていた。

 

「れ、令音……」

「……何かな?」

「そ、そそそそそそれは、機関員として想定された所持品よね? 令音個人で何かするためのものじゃないわよね!?」

 

 その場合、秘密組織はいつから違法なほにゃらら組織になったのか。自己のツッコミを処理しきる余裕は、残念ながら今の琴里にはない。

 たどたどしい琴里の問いに、モノを片して唇に手を当てた令音は、

 

「……さて――――子供(ことり)には、まだ早いことだと言っておこう」

 

 琴里が一度だって見たことがない顔で、そう言ったのだ。

 笑みと呼ぶには薄く、わからないほどのもの。だけどそれは、琴里が知らない令音で、琴里にとってあまりに遠い世界に見えて――――――

 

「……………………ふぁ」

「こ、琴里さん!」

「妹御――――ッ!!」

 

 最後に見たのは、大量の鼻血を出して倒れる自分と、それを抱くいつもの令音が見せる表情だった。

 

 薄れ行く意識の中、見知った令音に安堵しながら――――――知らない令音を知っている男は、絶対にコロス、と誓う琴里であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――っくしゅ! な、なんか、急に寒気が……」

 

 

 






(何かおかしいとは気がついているし士道が不自然な動きをしているが、令音ほどの人が必死になって隠しているのなら今はやぶ蛇だということで)ご自愛ください、ですね。

バイブでもよかったんだけど敢えてこうしたかった。私の趣味だよ!
ディルドオナニー回はリクエストから。臭いオナニーは、なんか気が付いたら臭いフェチになってるって指摘からとりあえずジャブで入れてみた。いや下着類とか几帳面な士道くん置いてなさそうじゃん……?
ラストもリクエストから。子供にはまだ早いよね!七罪と琴里はものがなにか知ってそう(偏見)

次回はいよいよ悪魔合体回。ヒントは……要素としては原作デート・ア・ライブを読んでいれば出てくるものです。それが士道くんと令音さんの組み合わせのこの物語で表に出るからなんでそうなるんですか……?となる。特大ヒントは〈贋造魔女(ハニエル)〉使用。いつも使ってるじゃねぇか!ってツッコミはなしで!!
もうノリと勢いなので、ついてこれるかなぁ……。

一度付けてもらった評価が覆ると豆腐メンタルなので軽率にヘラります。まあ私は私に書けるものしか書けないので、合わないものは合わないし面白くないと感じたなら仕方ないと思っています。もちろん私のこういう言動を含めて。私評価にがめついですし。
当然の理屈ですね。それでもかなりのご評価をいただいているのは嬉しい限りです。
でもメンタル減ってるのは間違いないので軽率に高評価くださると復帰します。評価分は毎日更新頑張りますので何卒、これからもよろしくお願いいたしますー。

ではではまた次回〜

組み合わせを予想できたらピタリ賞かニアピン賞回。まあその……なんで、ああなったんだろうなぁ。

あくまでIF。令音を絡ませての精霊たちとのお話は

  • 読みたい
  • いらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。