「――――おい、また例の先輩が見知らぬ女子を……」
「すげぇ目隠れ美少女じゃねぇか……く、なんて恐ろしい早技……!」
「…………」
視線が痛い。それはもう突き刺さるように痛い。男子生徒から女子生徒、果ては一部先生方まで。好機の目や敵視の視線が向けられている。
そりゃあ――――見知らぬ美少女と『転校生キラー』の称号を持つ士道が手を繋いで仲睦まじく登校してくれば、
その渦中の少女は、くすくすと楽しげに笑うばかりであったけれど。
「うふふ。大人気ですわね、士道さん?」
「……そりゃ、狂三が綺麗だからだろ」
「けれど、士道さんにばかり視線が集中しているようですわ」
「敵視してんだよ。……正直、もうすぐ一年にもなるから慣れてきたよ」
ため息を吐いていつも通りを演じる。やっかみと好奇の視線は常日頃。もはや、士道の日常の一部と化していた――――――だが。
「……やっぱ、そういうテクがあるとか?」
「そりゃおまえ、だらしないに決まってるじゃねぇかよ。毎日あの子たちを――――――」
「っ……!」
どうでもいい想像。下世話な会話。
心臓が連続して痛みを伴う鼓動を刻む。頭が痛い。肺腑に生きるべき糧が届かない。じんわりと滲む汗が、手にした華奢な手を、
しかし、それも長くは続かない。離れかけた手を強引に握り返した少女は、
「どうやら――――煩わしい
『ひ……!?』
あらゆるものを殺戮する眼を生徒たちに向け、気絶しかねない殺気を放つ。
「狂三!」
「なんですの士道さん。わたくしは行動する自信がなければ直接物申す勇気もない、妬むばかりの弱者が目に付いて煩わしいと思っているだけでしてよ」
「っ、ああもう……!」
わざと周りに聞こえる声で
「おまえ、いきなり敵を作りに行ってどうすんだよ……!」
「あら、あら。敵であれば薙ぎ倒して
「中身がどうしようもなく物騒なんだよなぁ!?」
復学初日から荒し回るとは思いもしなかった。一応、以前の狂三は病弱の設定で通してあるはずだったのだが。
確かに、気性が荒い部分が狂三にあることは否定しない。しかし、いきなり一般人に殺気を向けるような少女ではないはずなのに。頭を抱えた士道に、今度は狂三がムッとしながら指を立て声を発した。
「士道さんこそ何を考えていますの。事情を知らない人間の言葉など、耳に入れる価値もありませんわ。今のあなたが考えるべきことは、本来あなたの持つ自信を取り戻すこと、そして精霊の皆様のことですわ」
「……狂三は?」
「は?」
「あ――――いや、何でもない。ごめん……早く行こう」
咄嗟に口走った言葉を目を背けて呑み込む。
自分自身と、精霊たち――――なら、士道に寄り添ってくれる狂三はどうなのだろうか。
馬鹿か、おまえは。そんな、自分からの罵倒が脳髄を焼いた。彼女を犯し、自由を縛る契約を交わした士道が口にしていい言葉ではない。
急かして、階段を上がろうとした士道の手が……狂三に引かれた。
「……狂三?」
「あ、いえ……その……」
口元に手を当て、何か言いたげな狂三。モジモジと言いずらそうにした狂三は、こう言ってはなんだが――――見たことがないくらいに、可愛い。
顔を仄かに赤らめ、まるで乙女のように、いや狂三は乙女なのだが、とにかく目を逸らしながら言い辛そうに小さな声で言葉を紡いだ。
「ご迷惑でなければ……皆様の次程度には、気にしてほしい、ですわ」
「え――――あ、うん。それは、是非とも……」
……揃いも揃って、酷くらしくないやり取りをした気がした。
「っ〜〜〜! 忘れてくださいまし! 行きますわよ士道さん!!」
「お、おう」
自覚は狂三の方が早く、自分自身の中から何かを吐き出すかのように淑女に似合わぬ地団駄を踏んでから、士道の手を引いて階段を上がり始めた。……その頃にはしっかり優雅な足取りを取り戻している辺りは、実に狂三らしいと思った士道であった。
数日ぶりに開いた教室の扉の先は、さして変わりのない騒然たる壮健さのクラスメートたちを色とりどりに飾っていた。
変わらない平穏な日常。道を踏み外した士道は、ようやく戻ってこれた――――傷つけた少女を伴って、のうのうと。
「あら、懐かしいですわねぇ。半年ぶりの学び舎は」
「懐かしいって言えるほど通ってたか? そもそもあの時は、おまえじゃなくて分身だったろ」
「もう、士道さんったら。風情がありませんわよ」
狂三が僅かに頬を膨らませ怒った素振りを見せてくる――――こんな形で通わせたくなど、なかった。
また五河かという――中には心配して損した、みたいな人の良い――視線と、半年ぶりに登校してきた元不思議っ子に注意を払う視線。それぞれを受けながら机に向かう。
「ふむ。先に比べて風紀がしっかりしていますわね 」
「俺には狂三の基準がわからんよ……」
というか、さっきの会話とて男子生徒であれば案外行われるくだらない下ネタの域だ。それをあそこまで気にしてくれた狂三に、
そこで、待っていた両端の机の主に挨拶をする。
「おはよう……十香、折紙」
数日ぶりの教室での挨拶は、不自然でなかっただろうか。
「士道、おはよう」
「おお、おはようだ――――シドー!」
折紙はいつも通り、だが微かに嬉しそうにしながら。十香もいつも通り……とはいかず、少しばかり嬉しさを隠せていない。
その優しさが嬉しくも辛いと思ってしまうのは、士道の心が弱いからなのだろう。
「狂三も、おはよう」
「おはようだ、狂三。今日からまたよろしく頼むのだ!」
「え、ええ。おはようございます……?」
「……ん?」
と、狂三にも挨拶をした二人に対して、狂三が奇妙な反応を返したことに気がつく。よくよく見ると、黒髪の片方に比重を傾けたりなどしている。
「む、どうしたのだ?」
「いえ…………わたくしも、クラスメートなのですね、と」
「今さら!?」
ここまで一緒の教室まで来て、挨拶をしてからようやく自覚をした狂三にギョッと士道は叫びを上げた。
狂三がこれほど天然だったとは思えないのだが、彼女なりに学校へ通うことへ思うところがあるのだろうか。士道がいくら考えたところで、ネガティブな考えしか浮かばないものではあるのだけれど。
士道のツッコミは、あまり見たことのない狂三の苦笑を引き出した。
「実のところ、もう少し絵になる復学を企てていたものでして……まあ、直に違和感も消えますわ」
「何しでかそうとしてたんだよ、おまえ」
「気になさらないでくださいまし。わたくしが選ばなかった未来の話ですわ。さて、わたくしも席へ――――――」
――――グイッ。
「…………」
「…………あ」
無言は士道で、素っ頓狂な声は狂三。
理由は単純。士道と手を繋いだまま狂三が席に向かおうとしたものだから、不自然な形で二人の手が伸びてしまったのだ。
しかも、そうしたにも関わらず手は強固に繋がれたまま――――――一部生徒の視線が集中し、士道は死ぬほど恥ずかしかった。
「あー……すまん。離す、か?」
「え、ええ。申し訳ございません」
しっとりと汗の滲んだ互いの手を、いつの間にか複雑に絡み合っていた指を解いていく。なぜだか焦れったくて、長い時間だと士道は思った。
『あ……』
剥がれた。気のせいでなければ、狂三は士道と同じく名残惜しそうな吐息を零して――――そんなわけはないと、士道は手を上げて席に着いた。
「じゃ、じゃあ……また」
「は、はい。では、また……」
「……折紙。何故だか知らぬが、胸焼けのような感覚がするのだが……」
「私も。だけど、今は我慢しなければいけない」
会話をする二人に気を遣う余裕もなく、狂三の背を見送って机に突っ伏した。久しぶりの登校は、実に濃密で精神がすり減った気がして、机に向かって士道の大きなため息攻撃が繰り出される。
「よう、パーフェクトセクシャルビースト五河」
「……………………はぁ」
ため息が増えた。聞くだけでわかるその声の方向に、士道は仕方なく突っ伏したまま顔を向けた。
「なんだ、殿町」
士道の友人、殿町宏人。逆立てた髪を誇示した彼と疲れた朝から会話をするのは、なかなかに疲れるのだが、しないわけにもいかなかった。
「なんだ、じゃねぇよ! おまえ体調崩して数日休んでたと思ったら、さてはその間に時崎さんとお楽しみに――――って」
「ん、なんだよ殿町」
「五河……何かあったか?」
――――どうやら士道の友人は、士道が思うほど鈍くはないようだった。
十香や折紙に口を出される前に、平静を装って言葉を返す。
「どうしてそう思うんだよ」
「どうって……んな顔してたら誰でもわかるだろうが。たくっ、あんま十香ちゃんたちを心配させんなよー」
「わかってる」
「うわ、やけに素直じゃねぇか……ま、何か悩みがあるならこの殿町くんに相談してみろよ!」
肩に手を置いて、その力加減も彼にしては妙に気を遣っている。たぶん、身体がやつれたこともお見通しなのだろう。
そして、思ったことがある。
「……殿町。おまえ、なんでそんな洞察力あるのにモテねぇんだ?」
「失礼なやつだな! ……見ればいいってもんじゃねぇんだよ!」
見すぎてわかりすぎるのもよくないんだな、とありがたい反面教師だった。まあ、様々な精霊とデートしてきた士道は知っていることだが。
明るい泣き顔を見せる殿町と戯れながら、士道はふと聞いてみた。
「なあ」
「お、なんだ」
「殿町はさ、殿町のこと好きか?」
「……は? んだよそれ。自分が自分を好きか、ってことか?」
「まあ、そうなるかな」
妙な話だが、意味合い的にはそうなるだろう。本当に妙な質問をした士道に対し、殿町が笑いながら返してくる。
「おうおうどうした五河士道くん。遅れた思春期かい?」
「思春期は八歳から俺たちくらいの年齢までらしいぜ」
「凄く言い訳が思春期! ……まあ、真面目な話、自分が好きでもあり嫌いでもある。誰だってそうじゃないか? 肯定したいところも直したいところも、両方あるのが人間ってもんよ」
「……そういう、もんか」
自己肯定。自己否定。人にはどちらも備わっていて、どちらも正しく必要なものなのだろう。
意気を感じない言葉を吐き出したその時、予鈴が鳴る。合わせて殿町が、ポンっと肩に手を置いて士道へ気遣いの言葉を残していった。
「そういうもんだ。何があったか知らないが……あんまり背負い込みすぎんなよ、五河。お人好しもいいが、自分にも気を遣えよー」
「……ああ」
お人好し。言われ続けた言葉が、呪いのように士道を蝕む。
本当に、そうだというのなら、狂三に向けるこの
椅子に姿勢を正して座る狂三の姿。制服に隠れた肢体。その肢体に刻まれた淫紋。士道との契約。彼女が今士道のモノである証。奴隷である証明。何をしても構わない。どんな扱いをしてもいい。あれほどの容姿を。あれほどの女を。あれほどプライドが高く、優しく、気高い精霊を。士道だけが陵辱し、屈伏させ、泣き叫ぶまで恥辱を堪能させられる。
なんて素晴らしい、最高の
彼女が心の底から屈して、何もかもを士道に委ねてしまうその時が、本当に本当に楽しみで――――そして、死にたくなった。
「――――俺は、今の俺が大っ嫌いだよ」
皆が好きになってくれた五河士道など、士道の中に残っているのだろうか。
理不尽な思いをした精霊に幸せでいてほしい。そう願いながら精霊に欲望の目を向ける士道は――――――どこまでも歪で、醜かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ああ、ああ。なかなか得難い体験でしたわ。士道さんの言う『幸せな生活』も、なかなか悪くないものですわ」
「そりゃあ光栄なことだな。もう少し早く気がついてほしかったが」
――――熱い。
「いえ、いえ。興味はありましたけれど、必要がなかっただけですわ」
「同じだろうが。ま、素直に従う狂三ってのもおかしな話か」
「まあ! 酷いですわ士道さん。わたくし、こんなにも純朴な乙女ですのに」
身体が熱い。絡めた指先が熱い。思考が燃える。手にした女への欲望が、燃えている。
ここがどこかなど関係はない。帰路の途中、手を繋いで歩いていようと構わない。
今すぐ、この雌を犯したい。
「今までの行動を省みてくれない!?」
「うふふ。わたくしなりに省みていますわ――――さて」
振り払おうとした指が、強く絡め取られた。
「
「――――――――」
いつから、ではなく。いつまで、と。
確信的な問いを放った狂三に、抵抗を続ける理性が絶句をした。
士道が足を止める。だが後退ることは、鋭い目で睨みつけた狂三が許さない。
「最後の交合いから凡そ一週間。あれほど言いつけたというのに、その今朝からよく耐えていたものですわ。会わない間に自慰行為をしまして? それとも今朝に? まあ、わたくしに会えばどれほど小さくなろうとも無駄なことですけれど」
「……言うな」
事実だけを見てきたかのように惜しげもなく当ててみせる狂三に、情けなくて目を伏せた。伏せようとして、狂三の瞳に捕らえられた
「あなたはわたくしでしか満たせないのですわ。いいえ、わたくしで満たすことこそ、最善の道なのですわ。それとも、あなたに霊力を抱えさせたことを罪過と思う方々を
「もう……いい。もういい!」
周りの視線など気に留めず叫び上げる。もとより、士道の目は
「もう、いいよ。壊れてしまうじゃなくて、とっくに壊れてるんだ、俺。壊れたら、戻らない」
「壊れてなどいませんわ。今この時、わたくしがあなたの手にあること。日常を送ること。本来の目的が果たされた……そう、考えてくださいまし」
違う。士道が狂三を救いたいと、幸せに暮らして欲しいと思ったのはこんな生活じゃない。
腐れた欲望を持つ男に寄り添っていいような少女では、ないはずだったのに。
本能が震える魂を殴りつけ、理性が言葉を交わす。
「……殺してくれ。おまえは、それが目的だったはずだろ」
「できませんわ。外道で悪党ではありますけれど、実はわたくし、案外約束は守る悪党ですのよ?」
「はっ――――悪党に向いてないだろ、それ」
そんな心情で、世界を敵にした大悪党を演じていたのだから、げに恐ろしきは時崎狂三か。
視界にヒビが入った――――自分で流した涙だと気づいた。自分勝手で、最悪の涙だと笑った。
「ごめん」
「士道さん」
「――――ごめんなさい……っ! 巻き込んで、ごめんなさい! 狂三の想いを勝手に変えて、ごめんなさい! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい――――――」
止まらなかった。消え去りそうな理性が、ただ少女への意味のない謝罪を繰り返していた。少女に立ち上がらせてもらったはずの心が、本能に呑まれる恐怖に粉々に砕け散りそうになった。
狂三の手を両手で握り締めて、もう逃れられない運命を待った――――瞬間、目一杯に、金色の時計が迫った。
「ぁ――――」
キス、されていた。公衆の面前、街のど真ん中。そんなことを考える余裕が、まだ理性にあったとみるか。その衝撃は、本能を越した驚きを理性に与えたということか。
直に、驚きを興奮が凌駕してしまうのだろう。だが、その間に狂三は僅かに唇を離した距離で、言葉を告げた。
「一度しか言いませんわ。そして、今だけは偽らざる言葉であり、言の葉で弄ぶことはいたしません――――――わたくしは、こうしてあなたの隣にいることを、不幸だとは決して思っておりませんわ」
「絶対に叶えたい願いが……あるからか?」
士道の答えは、狂三に仕方なさげな微笑みを浮かばせた。その心情は、今の士道には伺いようがなかった。
以前の士道なら、
「好きに解釈してくださいまし。ですが、謝罪はわたくしに対する冒涜ですわ。これから『ごめんなさい』と口にする度に、わたくしがその駄目な唇を
「……ご褒美だろ、それ」
士道がどういう心境と思考であれ、確実に。狂三は、優しげに笑うばかりだったけれど。
「素直でよろしいですわ。――――だから、あなたはあなたを捨ててはなりませんわ。今だけは、そのケモノを抱える間だけは、その欲望を自分のモノとして受け入れて差し上げましょう。大丈夫、わたくしは決して壊れたりいたしませんから」
耳元で、ですから、と囁かれる。
脳髄が揺れ、
「――――あなたがわたくしに願うことを、どうか望みのまま叶えてくださいまし」
理性と本能が、反発を超えて混ざり合った。
狂三の手を攫い、強引に連れて行く。抵抗はなかった。抵抗がないことで、彼女はどんなことをすれば抵抗して、暴れてくれるのだろうと新しい楽しみが生まれた。
そして理性は泣き――――狂三という女を抱けることを、悦んでいた。
「――――それでいいのです、士道さん」
目を閉じた優しい声が、士道に荒々しく抱かれて消えていった。
玄関の扉を開け、力で閉める。そこまでが配慮の限界だった。狂三を連れ込み、玄関の壁に半ば叩き付ける形で退路を断つ。
「っ……ふふ、痛いですわ、乱暴ですわ。きひ、ケモノの目でわたくしを見下ろすご気分は、如何でして?」
「最高だよ。その痛みが、おまえを支配してるってことだろ?」
「きひ、きひひひひひ! ええ、ええ。その通りですわ。わたくしは痛みさえ快楽に変えてしまう身体。あなたにそう変えられた奴隷。さあ、士道さ――――んんっ!♡」
荒々しく唇を奪い、両手を纏めて捻り上げ、股座に足を挟み拘束した。狂三のペースで導かれる時間は終わり、士道の蹂躙が始まる。
唇を啄み、生え揃い汚れのない白い歯を潜り抜け、妖艶な女の舌を絡め取る。
「ん、ふっ♡ふぁ……♡……ちゅ、る♡……ん、んんっ、ちゅ……♡♡」
初めこそ対抗するように舌を絡ませてきた狂三だったが、段々と彼女の全身から力が抜けていき双眸に宿されていた強い意志が薄弱になっていく。
唾液を流し込まれ、飲まされた甘美な味に瞳が潤み薄紅の唇が艶やかな汁で彩られる。
長い。ひたすらに長いキス。抵抗力を削がれ、士道が支えていなければ足腰が砕けてしまいそうな狂三を見て、ようやく満足気に士道は唇を離した。
「……ん、ぷはっ♡はぁー、はぁー……♡」
深く、足りない息を吸う。口を大きく開け、頬の力が抜けた貌は優美には程遠い。だが士道が満足する淫靡な貌。
「可愛いよ、狂三……俺の、狂三」
満足した傍から、欲望の音が鳴る。空いた片腕を使い狂三の顎を軽く上げさせ、唾液を塗りたくられた唇と、開き切って涎を垂らす口をじっくりと観察する。
「あ……、ぁ、あぁ……♡」
まだ力が戻らず、言語化されない喘ぎ声が堪らない。フッと笑って顎から手を離した士道は、次に狂三のタイツに五指を這わせる。
「っ、っ……んっ♡」
形を変えて擦る度に、ビクリビクリと足が跳ねる。タイツ越しだというのに、狂三の美脚の触り心地は素晴らしいものがあった。
そして、グッとその腓腹を手にして、狂三の片足を一気に持ち上げた。
「きゃっ♡」
「さすがに、柔らかいな」
体が硬い者ではそうそうこうはいかないと、士道は感心した声をあげる。
狂三の右足を掴み、狂三の顔以上の位置に足先を揃えさせ、完全に片足立ちにさせる。
「手を使っていいから、俺がいいって言うまで、そのままな」
「は、はい……」
素直に言葉に従った狂三が、手で掴んで片足を掴みバランス立ちを継続する。果たして素直なのか、それとも
「あ……♡」
どちらにせよ、士道がするべきことは一つ。プリーツスカートに隠されていた、禁忌のデルタゾーンをじっくりと眺めること。
足を大きく広げた故に引っ張られ薄くなった黒い生地は、その下の白い下着を隠すには至らない。さらに下着に隠れきれていない巨大な淫紋が、桃色の光を放ち狂三が発情していることを示している。
その証拠にショーツが張り付き、そして士道に見られているからなのか、じわりと染みを作っていた。
「おいおい、まだキスだけだぜ。俺に見られて、感じてるのか?」
「っ……そう、ですわ♡わたくし、あなたの奴隷ですもの♡」
「へぇ……」
「な――――あひぃぃぃぃぃぃっ!♡♡」
まだ入れただけだというのに、軽く愛液を吹き出しながら舌を突き出して嬌声を上げる。しかし、ガクガクと足を震えさせながらもバランスを維持した表向きは従順な奴隷に、士道は善意のご褒美を差し出した。
「あ、あぁ♡ゆびっ♡出し入れされていますわ♡激しい、はげしいですわぁ♡♡」
ぐちゅぐちゅぐちゅ、と愛液を掻き混ぜる音を玄関に激しく響かせながら、士道は狂三の膣を指で味わう。
高速で出し入れし、指の腹を使い撫で回す。時に指を折り曲げ刺激を誘う。
「あっ♡しどうさんっ♡わたくし、もう――――あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!♡♡」
――――ぶしゃ、ぶしゃあ!
まだ数十秒の手マンにも関わらず、狂三は潮を撒き散らしながら絶頂を披露した。さしもの狂三も、イきながら体勢を維持することは不可能だったらしく、体勢を崩して尻もちを突く――――前に、狂三の身体を持ち上げる。
「ふ、ぇ……?♡」
夢見心地に首を傾げた狂三の身体を持ち替え、両の膝裏に手を回し士道なしでは動けなくしたところで狂三の身体を持ち上げ――――勢いよく、狂三の恥部にイキり勃った肉棒を突き刺した。
「が――――あ゛♡♡」
意識が飛び、白目を剥くほどの衝撃が狂三を襲っていることだろう。物のように持ち上げ、オナホールを扱うかの如く肉棒で貫く。
制服のまま士道の肉棒に貫かれ、プリーツスカート内の破かれたタイツとズラされたショーツから見える結合部。一つになった証を、士道は狂三の身体を上下させ出し入れさせた。
「あ゛ぁ!♡♡いぎっ♡はげ、し♡しどう、さん……っ♡♡これ、はっ♡♡」
「どうした狂三、何でもしていいんだろ? まさか、
「っ……! も、もちろん、です、わぁぁぁぁぁぁぁっ!♡♡」
言葉の途中で速度を早め、文字通り突き崩す。顔を反らして愛液をぴゅっぴゅと吐き出し、狂三が与えられる連続絶頂に喘ぐ。
「わ、わたくしは♡士道さんの奴隷♡どのような行いも、受け入れてみせますわ!♡」
それでも健気に意志を失わぬ言葉遣い。素晴らしい。狂三は本当に、素晴らしい――――――
「じゃあ、外に出てみようぜ」
だから、どこまでも
「……え?♡」
「外、このまま出ようぜ。みんなに見せびらかすんだよ。おまえの怖くてカッコイイところを知ってるみんなも、今頃帰ってきてる頃かなー」
ずちゅ、ずちゅ、とピストンを繰り返しながら前進し、狂三を身体の正面に抱えて玄関の前に立つ。
カチカチ、と歯がかち合う音。それは何も、快楽だけのものではあるまい。だが、外への扉を目の前にし、幾秒かの時間で狂三はギュッと震える唇を引き結ぶ。
「……な、なかなか通な趣味ですわね♡お好きになさればよろしいですわ♡」
「お、それじゃあお言葉に甘えて」
「っ……ぁ♡」
少女とはいえ人を上半身の位置に支えたまま、容易くドアノブに手をかけ、躊躇いなく回して背面駅弁で突き上げたまま外の世界へ――――――
「――――ま、待って、くださいまし……!」
鋭い制止の声が響き渡った。
「……!」
しまった、と狂三が手を口元に回すが、士道の意地の悪い笑みを狂三の横目はしっかりと捉えている。
「あは、あははははははっ! やっぱり、狂三はそうでないとなぁ。おまえが、簡単に快楽に屈したりするわけがない」
「っ……ふっ♡……あぁっ!♡♡」
狂三を物のように扱い、子宮をひたすら突き上げる。暴かれた羞恥とプライドは、狂三の嬌声に確かな
「安心しろよ。俺はモノを誰かに見せて喜ぶ趣味はないんだ。だから狂三は、俺が見てる前で、
「……っ!」
「嫌がってみせろ。抗ってみせろ。その上で、俺は狂三を犯す。簡単に従って、壊れてくれるなよ?」
獰猛なる宣戦布告。犯し、屈伏させ、淫紋を刻み、なお足りない。
時崎狂三という雌の全てを味わって、心の底から徹底的に平伏させる。それが最大の楽しみだ。
快感に屈して、懇願するその時でも狂三は折れぬ心を抱いて気高く生き抜く、蘇る。
時崎狂三はそういう女だ。そういう女だから、真の意味で快楽に堕ち、二度と戻れぬ深淵に浸り、士道に心から媚びを売るその瞬間――――――どんな世界の美味より、素晴らしい味があるに違いない。
「きひ、きひひ、ひひひひひひひひひひひひひッ!!」
狂気的な笑いが狂三から上がる。その貌は快感に歪んでいた。膣はキツい締め付けをして、ぶしゃ、ぶしゃ、と情けない潮を吹いている。
士道に身体を支配され。道具のように扱われ。身体は動く度にイキ果て。淫紋は制服の上からでもわかるほどに輝いている。
「このわたくしを堕としきれるものなら、是非にやってみせてほしいものですわ……ッ!!」
狂三の両眼。異形を宿した双眸の奥に宿りし修羅の焔が、煌々と士道を貫いていた。
ああ、その眼だ。その眼が、本当に美しく、気高く、優美で、綺麗で――――――いつか士道を、殺してくれる瞳だった。
「――――ああ、狂三。おまえは、本当に綺麗だ」
高々に狂三を持ち上げ、反り返った肉棒で、全力の一突きを与える。
「――――あああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!♡♡♡♡」
家中に響き渡る喜悦の絶叫と共に、狂三の子宮に特濃精液がぶちまけられた。
新たな始まり、決して堕ちない奴隷との時間は、それから数時間に渡って続いていった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『家、使いますわ』
簡素な連絡分。まあ、よほど急務で打ったものだと考えるべきか。事実、琴里が指示を出した頃には既におっぱじめていたくらいなのだから。
「頼ってくれるだけ、前進……か」
執務室の椅子に座り、テーブルに上半身を預けながら琴里は端末に表示されたそのメッセージを何度も見返した。
これが頼ると言えるのかは曖昧だけれど、少なくともこれから、狂三が琴里を少しでも頼ってくれるのだと思いたかった。
と、業務連絡用の通知が鳴り、琴里は身体を起こしてそれを通した。
「私よ」
『……終わったようだ』
「……そう、わかったわ」
短く返す。それだけで伝わって、通話は途切れた。
用意してある部屋を使う場合とは別に、こういった突発的な場所での行為はさすがに監視の目が必要だった。緊急時に
今日のものはまさにそれだ。琴里と令音、どちらかが監視を行い、マリアが機器の制御をする。これで誰かが家を訪れる心配も、周辺に音が漏れる不安もない。
これが精一杯、琴里たちにできることの全て。
「……ままならない、わね」
天井を見上げ、あまりに無力な自分を嘆いた。
本当は、誰にも見られたくないはずだ。同じ女なのだから、それくらいは理解できる。
狂三は、平気な顔をして見られたところでと言うのだろう。だけど、それを鵜呑みにしてはいつか本当に
「士道ばっかり気にしてないで……少しは自分のこともいたわれっての、意地っ張り」
理不尽だとわかっていても、やるせない気持ちでいっぱいだ。変わってあげられたら、そう思ったところで琴里にできることなどありはしない。
否。
「……せめて、話し相手くらいにはなれるかしらね」
迷惑だお節介だとつっけんどんな態度を取られようと、どれだけ皮肉を言われようと――――――琴里は、狂三の精神を少しでも癒してあげたい。
「けど本当なら――――――士道がいいんでしょうね、あなたは」
ああ。神様という存在がいるのなら――――――どうして、これほど残酷なことをするのでしょう?
そう問わずにはいられないほど、精霊を救うはずの少年が堕ち、救われるはずの少女が犯されて、それでも少年へ献身し、共に堕ちていく様は――――――あまりにも救われぬ、残酷な物語の一幕だった。
想像以上にイチャイチャした。教室までの会話大半がアドリブです。二人の性格と状況を頭でトレースすれば勝手に動いてくれるからまー楽で楽しい。
唇をおしおきの部分は書いてて字を打った瞬間可愛すぎて悶えた。個人的天才な傑作くるみん。
殿町くんエロ作品の方が出番作れる説。男同士だから話せることもあるんだな、これが。
従順に堕ちていくより、プライドを丁寧に折りながら堕ちる。けれど彼女は反骨心で喰らいつく。私がエロいと思うくるみんはどんなものか、と考えながらこの話は書きました。やっぱりくるみんならこう、かなぁと。たぶんこの鉄の女っぷりもエロで文字数増える原因ではある。強いんだこの子。
高評価と感想とリクエスト以下略。いつもモチベーションがお世話になっています。そしてこの小説が皆さんの良きお供になることを心よりお祈り申し上げます。なんだこれ。
ではではまた次回〜
次回、徹底的にぶち折ろう、くるみんのプライド編。リクエスト回でふたなり解禁となります。私普段あまり自信あること言わないんですけど、次回はマジで私の書いたエロの中で一番の傑作、まさに最高傑作だと自画自賛しました。まあ私の中でですが。時崎狂三が屈辱的に感じるであろうものを突き詰めまくった回、ですかね。お楽しみに!