そういえばアビスでエロ無し回書いてからかなり経つしここまで続けるつもり一切なかったので聞きたいのですが、ごく稀にエロがない回あっても大丈夫ですかね?確定枠はまさにスレイヴの終盤恐らく1話と、十香ユニゾンの次回なのですが。
大丈夫ですかも何も決めるの私ではと思いはする。けれど一応聞いておきたかった。ストーリーありでここまでエロをねじ込んでるのもしかして半日ででっち上げた霊力暴走の設定は有能説。後付けと屁理屈のオンパレードが効く素晴らしさよ。
もうコートが必要なくなって、春の気候が安定するような、そんな時期。
「ふぁぁ……」
欠伸を一つ。睡眠時間が足りない、ということはなく朝の自然的な仕草だ。顔を洗って朝食を摂り、着替えを済ませ洗濯物を晴天に相応しい日干しにし、家を出た。
少々と早すぎる気はしたが、それもいいだろうと精霊マンションの前で待つ。少し前の士道であれば、時間を持て余した瞬間から思考が在らぬ方向に逸れるばかりであったが、今は待ち人来たる時をぼんやりと待つことが出来る。
「…………」
考えないわけではない。考えないようにしている。考えたところで解決はしない。だから、出来ることを思い、思案し、伝えて、繋がる、それだけだった。
空を仰ぎ見た。今日も変わらない晴天。晴れやかな日。飛行機雲が霞がかる。青い空が眩しく映る。澄んだ思考に視界に――――だけどきっと、彼女を見たらそれしか見えなくなる。
「おはようございます、士道さん」
マンションの扉が開き、少女が静かに現れた。けれど、周りの全てを呑み込むような存在を示し現れた。
年がら年中、彼女だけは変わらないというイメージのある冬服のブレザー。白磁の肌、細すぎる足を隠す黒色のタイツ。射干玉の髪が僅かに揺れ、垣間見える細やかな針の動き。その精緻なモノを見れる視力を得れたことは、士道を突き動かす霊力に感謝してもいいかもしれない。
「……おはよう、狂三」
ほら――――やっぱり、時崎狂三しか見えなくなった。
嫋やかな微笑み。夢魔の妖しさから離れ、士道に魅せる少女の笑みに朝の変わらない挨拶でさえ一瞬の詰まりがあった。狂三という悪魔的な魅力に囚われる、そんなおかしくもあり正しくもある思考が在る。
「行くか」
「はい」
特別な挨拶はなく、士道の一瞬の間も特別な指摘はない。
普通。ただ、普通の時だ。それがどれだけ得難く、狂三にとって異常なことか。いつか、その異常が彼女にとっての普通になってくれたら。
思考を浮かばせながら、狂三の手を取った――――躊躇いは、なくなっていた。
狂三が差し出して、士道が震えた手で受け取る。それは相互契約を境とし躊躇いが消え始め、いつしか自然に、合図もなしに――――手を繋いで歩くことが
「今日は暖かいな。洗濯物もよく乾きそうだ」
「ええ、ええ。もう暑いくらいですわ。干からびてしまいそうですわ」
「じゃあ数ヶ月後の夏服は?」
「わたくし、肌を出してしまうと死んでしまう病気を患っていますの」
「病弱設定が行き過ぎてるだろ」
会話も他愛のない世間話から、冗談めかしたものまで。淡い笑みから苦笑、呆れに、目を丸くする珍しいもの。時崎狂三という少女は、こうして見ると――多少の演技、猫を被っているとはいえ――感情豊かな子であった。無論、その本心を読ませない彼女の手管はあるのだろうが、少なくとも士道の前では必要としていない、のだと思う。断言をできない自分自身への猜疑心が情けがないと士道は内心で苦く笑った。
街並みを過ぎ、曲がり、その間変わらない手の動き。指は動き、絡まる。他者の視線は気にしない。気にしたところで何があるわけではないし、始まるわけでもない。今は狂三とそうすることが士道にとっての
ああ、出会いは衝撃的で、正体は鮮烈で、再会は戦場で、そして運命は凄惨で。だけど狂三は優しかった。否、こんな男を許すほど――――時崎狂三は優しすぎた。
「……」
そんなことを一瞬考えてしまったからだろうか。
それとも、狂三には別の考えがあったのだろうか。
どちらにしろ通学時間を三十分、より多めに使い四十分ほど。校舎の外壁に取り付けられた時計の針は午前八時を示唆し、遅刻には程遠いと言っていい。しかし、何故か狂三は足を止めた。
「狂三?」
道行く生徒たちが訝しげに、或いは無関心に士道たちの横を通り過ぎて歩き行く。それでも狂三は動かない。士道が軽く顔を覗き込んで、ようやく彼女は
「今日は休みましょう」
「は?」
「ですから――――学校、サボってしまいましょう?」
ニコリと微笑んだ優等生な狂三から発せられた、素行不良な一言。
狂三から〝サボり〟などという言葉が出てくる違和感と、案外冗談めかして俗な単語を口にする彼女らしさ。脈絡なく、突然、唐突に彼女の唇から紡がれたもの。
何を言っているのか。さすがにそれはどうなのか、と思ったが
「ん……じゃあ、サボるか」
――――狂三の笑顔を見て、まあそれもいいか、などと今朝と似た考えを以て士道は応えた。顔には苦笑混じりの笑み。サボりの共犯者としての付き合いがあった。
「うふふ、決まりですわ。さ、参りましょう」
悪い微笑を浮かべて、士道を非行へ誘う腕が引かれた――――校舎の中へ。
「いや、学校には行くのかよ」
「まあまあ、だからこそいい場所がありますのよ」
狂三がそう言うなら、そうなのかもしれない。半ば思考を放り投げ、柔らかい指先に導かれるまま足を進める。
校舎の中へ、人の波に乗り、時に逆らって。階段を上がる事に人気は薄まり、辿り着いた場所は屋上の扉前。
鍵は、当然のように閉まっていた。
「ふむ」
「いや、ふむじゃない。ふむじゃないから」
狂三が何をしようとしたかと言えば、影からシレッと古式銃を取り出してドアノブの下辺りに向けたのである。
「二回も同じ方法で壊そうとするなよ」
「あら、あら。わたくしは初めてですわ。そちらは『わたくし』のことでしょう? ですので、わたくしは初犯ですわ」
「初犯でもダメに決まってるだろ!」
一度目だろうが二度目だろうが、校舎の物を物理的に破壊するのは大問題で、強めに声を上げても『面倒くさいですわねぇ』と悪びれた様子のない小悪魔に、士道は空いている片手を額に当てた――――狂三の〝わたくし〟を聞き分けられる自分に少し驚きながら、代案を浮かべ手のひらを開いた
「たく、仕方ないな……【
「あら」
手に小鍵を呼び出し、ドアの鍵に入れて回す。形が合っていないはずだが、まるですり抜けでもしたかのように鍵は差し込まれた。そのままドアノブを捻ると、外の空気が一気に通り抜ける。
万物を開くことができる天使。〈
「ふふ、お上手ですのね」
「不本意な経験でな。……六喰みたいにはやれないけど」
今の能力行使は霊力の暴走で平時においても慣れたことと、イメージのし安さ。仮に鍵以外のものを開けるとなれば、士道はもう少し手間をかける必要がある。ある一つの欲求のためなら、また話は異なるが。
得意気とは程遠い皮肉な笑みを浮かべ、肩を竦めて比較対象をあげた士道に狂三はくすりと笑みを見せた。
「天使と精霊は一心同体。一つの天使を使いこなす所持者に敵う道理はありませんので、お気になさる必要はないかと」
「俺だって、何かに使いたいわけじゃないからな……狂三でも同じなのか?」
何かに使いたいわけではない。むしろ、天使の力など使わない方がいい。これ士道の本音だ。
だが、士道が完全に扱うことが出来ないというのなら、精霊である狂三はどうなのか。それはそれで、興味本位というものだ。
「わたくしですの? そうですわねぇ……その時々、状況に応じて、ですわ」
「へぇ……おまえでも、その時にならないとわからないってことか」
「ええ、ええ。他者の天使を扱うとなれば、その
七罪は完全ではないが〈
そもそも、思いつきの話だ。軽く流す程度に士道は声を返した。
「そりゃあそうか。けど、狂三なら普通に使えちまえそうだよな」
「わたくしへの信頼、と取るべきでしょうか?」
「うん。おまえだって、自分なら使えるって思ってるだろ。完璧ってわけにはいかないだろうけど、俺よりは使える……ってさ」
「……まあ、恐らくは」
いつも不敵で自信満々な狂三と違い、自尊心に嘘は吐けないが褒められ認められることへの恥ずかしさがある素振りを見せる。
士道に先回りされたことで、認めながらも頬は僅かに紅潮。なかなか見られない狂三に、仕掛けた士道がドキリとさせられた――――話の中身は、試される日が来ることがないようにと思うのみだったが。
「……静かだな」
「ええ。先客はいらっしゃらないようですわ」
「いたら怖いだろ」
鍵が開いていないのに、どうやって屋上に上がったというのか。わざわざ外から鍵をかける手間をするか、まさか〈フラクシナス〉の転送装置で先回りしたわけでもないだろうに、と視線を向ければ唇が薄く歪んだ本当の意味の微笑が目に映る。
屋上には誰もいない。登校の喧噪はなりを潜めて、手を繋いだ少年少女が二人きり。太陽で多少の熱を帯びた地面に、高いフェンス、塔屋。そこは変わりなく、けれど今の時代では何故か特別感のある学校の屋上そのものだった。
「狂三、屋上好きなのか?」
「あら、どうしてそう思いますの」
「何かと思い出深くてな」
又は縁深く感じる、だろうか。
今はともかく、以前の二種は殺伐としすぎて例としては複雑。それが表情に出ていたのか、狂三は可笑しそうに結ばれた口元に手を当て声を発した。
「嫌いではありませんわ。こうして、あなた様と二人きり……なんて、素敵な理由は如何でして?」
「…………」
「ふふ、顔が赤いですわよ」
「……うっせ」
余裕を見せるからかいの言葉。顔が赤いことなど、士道が一番よくわかっていた。平時の狂三はすっかり元の雰囲気を取り戻し、士道を戯れに弄ぶことも多くなった――――嬉しい嬉しくないの二択であれば、嬉しい。
「…………」
「…………」
自然と会話が途切れた。その不快ではない自然に従い地面に座って、ゴロンと寝転がる。手だけは繋いだまま、二人で空を仰ぎ見る。
会話がないことが不快にならない不思議な時間が過ぎていく。今日はもしかしたらそういう日、そういう気分。狂三にもそんな日があるのだろうかと、ぼんやりとした頭で考える。
やがて始業の鐘が耳を通り過ぎて、さらに音が複数重なる。それは楽器の音色、ボールが手と地面を行き来する音、グラウンドで靴が幾度となく地を蹴る音――――二人で揃ってサボっている間に、真面目に授業を受ける生徒たちの合唱だった。
「ああ……なかなか良い気分ですわ」
「趣味が悪いぞ」
「あら、あらあら? わたくしは気分が良いと口にしただけですのに、士道さんは何に優越感を覚えたのかしら。教えていただけませんこと?」
「うぐ……」
綺麗に墓穴を掘って呻く。高校生に必要な授業をサボり、悠々自適に屋上で日光浴をする優越感を覚えたとかそういうことが、まあ、ないわけではなかった。
それ以上に、狂三が共にいることの優越感――――感じてはいけない立場でありながら、どうしても覚えてしまう独占欲を胸にしまう。
「んで、なんでまたサボりなんか」
「気分、ですわ」
「気分、ね」
誤魔化すような問いかけは、誤魔化しで返される。
狂三にだってそういう日はある。先の予想と同じだった。しかし、狂三は絡ませた指を遊ばせながら言葉を続けた。
「してみたかった……ではいけませんでしょうか?」
「悪いことを?」
「ええ。いけないと思いまして?」
「俺は、いいと思う。いつもは駄目だけど、たまにはな」
「サボりの共犯者……ですものね?」
「なんだそりゃ」
「よいではありませんの。前は固く、サボりなど考えもしませんでしたのよ? 父と母に知れたら大目玉でしたわ。恐ろしいですわ、泣いてしまいますわぁ」
「そら大変だな………………ん?」
――――話の流れで、何か凄いことを聞いてしまったような気がした。気がしたが、二人の口は不思議なくらいに流暢な語りを続ける。
「狂三にそんな真面目な時期があったなんて、びっくりだぜ」
「まあ酷い。わたくし、これでも善良少女で有名でしたのよ」
「いやどんな有名だよ。今はいいのかい、不良少女ちゃん」
「たまには、でしょう? 一度してみたかったというのも嘘ではありませんのよ。女子校でしたから、殿方を誘って非行などはしたない真似はできませんでしたもの」
「はしたないって……」
表現が大仰だが、士道とて精霊と出会う前は女子生徒と非行に走るなどありえなかった。それを思えば似たようなもの、にはならないなと苦笑。
女子校ということは、美九が通っていた女学院に近い雰囲気なのだろう。確かに、男を誘ってこんなことは出来ない。だが、男でなければどうか。
「いなかったのか、一緒にサボれる友達」
「失礼ですこと。学校の雰囲気が固く、わたくしもそのようなことを当時は考えなかっただけですわ。ですから、共にこのようなことをしてくださる方は――――――ああ、一人だけなら、いましたわ」
――――それだけは、違った。
重さ。言葉の力強さとでも表現すればいいのだろうか。それが、あまりにも違う。狂三が口にした〝一人〟の重みが、あまりにも悲しいまでに、それでいて懐かしげに、響く。
「あの方――――彼女なら、わたくしの戯言を流すことなく真摯に耳を傾け、きっと困った顔で付き合ってくれたことでしょう」
「……いい子、なんだな」
辛うじて口から零れたのは、そんな在り来りな褒め言葉。それ以上は、出てこなかった。
「ええ、とても――――だから、わたくしは……」
それほどまでに、時崎狂三の口から語られる〝彼女〟の存在は、狂おしく、重苦しく――――愛おしい情愛の念が込められていた。
狂三は過去を語った。けれど、士道は過去としては返さなかった。狂三がそれを望んでいないから。事実は過去でありながら、彼女は過去にするつもりがない。そんな気がしてならなかったのだ。
「――――――」
何かを口にしようとした。できなかった。それはまだ、今の士道が踏み込んでいい狂三の領域ではない気がした。臆病だけど、大切な一線だと思ったのだ。
異なる運命があれば、そう思ってしまう。けれど現実は加害者と被害者。欲望の契約で結ばれた人間と精霊。
いつか報いを受ける。それを士道は願っている。
いつか報われる日が来て欲しい。そう狂三へ願っている。
狂三が目的へ到れるのであれば。だけど、狂三はそれを望みながら、望まなかった。酷い矛盾だ。だから士道は生きている。だから士道は、そんな狂三を救いたいと原動力の
「わたくしは……」
「…………」
時崎狂三の領域。五河士道の躊躇い。この手のように結び付きそうで、結ばれない。
狂三は心を許し始めてくれている――――知っている。だけど、それは士道が想像するようなものではないはずだ。
どうしてなんて――――だって、おかしいだろう。そんなはずはない。けれどそうであって欲しい。士道の理性と心こそ、矛盾して、囚われて、動けなくなる。
踏み出した一歩はあまりに大きく――――だけどその一歩先が、あまりに遠く感じてしまった。
「――――いよっしゃあぁぁぁぁぁっ!」
「うお……っ!?」
「あら、あら……」
怒声とは違うが、感情の昂りが感じられる歓喜の雄叫びが屋上まで届き、士道は肩を跳ねさせて、狂三は目をぱちくりとさせて起き上がる。
発信源はグラウンド。如何に士道と狂三の聴覚が人並外れているとはいえ、それは正しく勝利の叫びと言うべき声量。何より聞き覚えしかないそれに、士道と狂三は揃ってフェンスの網目に指をかけ、下を見下ろす。
「どーよ夕弦! 私の見事な無回転シュートは!」
「反撃。まだ一点目です――――勝負は、ここからですよ、耶倶矢」
――――的なことを言っていると思われる屋上からでも目立つ燈色髪の双子、耶倶矢と夕弦。察するに、体育のサッカーで耶倶矢が一点目のゴールを決め、勝ち誇る彼女に夕弦がいつもの表情に闘争心剥き出しな語彙の強さを返した、というところか。
「あ、あいつら……」
その様子を少し見て士道は頬が引き攣った。今更だが、二人のレベルがとても授業中の短い試合のそれではない。耶倶矢と夕弦が異なるチームになっていることが最も良采配。そう思えるほど、二人の技術と身体能力は卓越し過ぎている。
「しかし、今日は耶倶矢さんが優勢のようですわ。……やはり」
「言うなよ、頼むから」
あごに手を当て冷静に試合状況を把握するのは結構だが、その一言は色々と問題が起きそうなため止める。胸部の差が決定的な差だとしたら、試合に勝って勝負に負けるを地でいきかねない。元々、運動部の助っ人が多い耶倶矢に分がある、ということにするとしよう。
と、
『あ』
目が合った。四人の視線が交錯する。屋上とグラウンド。あまりに遠い距離を偶然にも見上げた耶倶矢と夕弦が、明らかにこちらを見て明らかに一瞬固まった。
「やっべ、後で何言われるか……」
「ふふ、授業が終わる前に、どこかへ足を伸ばしましょうか」
「素直に戻る、って選択肢は……なさそうだな」
イタズラな笑みを浮かべ、フェンスに背を向けてトン、トンとステップを踏む狂三にその意志はない。今日はお嬢様の非行に付き合う日らしいと、士道は満更でもない顔で着いていく――――――
「ところで士道さん――――外は、
「っ……」
瞬間、振り返った狂三がふわりと舞ったスカートを摘み、黒生地が眩しいその足をさらに開帳して見せた。
そんな雰囲気は一欠片もなかったのだが――――なかったとしても一秒あれば変わるのが、今の士道と狂三の契約だ。
摘み上げられたスカートは、黒タイツに包まれた禁断の三角形をギリギリで隠す絶妙な具合。つまるところ、士道の返答一つだ。
「…………二人きりなら、嫌いじゃない」
「――――返しがお上手、ですわ」
或いは、上出来。
毎日のように目にしている狂三の下着は、上品かつ大胆な黒。よく似合い、魅力を理解した極上の女――――士道には勿体ない彼女と、無言でキスを交わした。
「ん……ちゅ……あ……♡」
塔屋の壁に狂三の背を添わせ、唇を交わし続ける。お互いの舌を念入りに絡ませ、味わう。
制服のまま屋上で。以前までなら考えたこともなく――――今では、
「なんて言うか、今日は普通だな」
「この状況を普通と仰られるのは、感覚が鈍いと言わざるを得ませんわねぇ」
呆れ気味な狂三の足に手を這わせる。手のひらに肌に張り付くタイツの不思議な感触と、細やかに反応を示す狂三の太股の感触がマッチして堪らない。
「それは、そうだけど……俺の欲を解消するにしても、狂三のしたいことでいいんだぜ?」
「考えておきますけれど、第一にあなた様の欲を解消する前提であれば、こうなるのも致し方ないとは思いませんこと?」
「というと?」
くすりと笑った狂三が、士道のズボンを艶めかしく手で撫で上げた。今度は士道が反応し、身体を痙攣させる番だ。
「普通は、お嫌いです?」
「っ……俺は、嫌いじゃないね」
青空の下、外で狂三ほど美少女を抱く〝普通〟を嫌いと言えるほど、
おかしくなっているのは同じこと。ならば、狂三から求められれば、応えたくなるのもまた同義。違いがあるとすれば、
タイツと肌の隙間に指を入れ、股下まで下ろす。
「破きませんの?」
「困るだろ、色々」
どうせ汚してしまう。けれど、そちらはどうとでもなる。それを言い出したら、破いたところで修復も簡単だろうと思いはした。
ただ、士道は破くより下げる方が
士道の返しにクスリと笑った狂三が声を発する。
「黒は、お嫌い?」
「……似合ってる」
「もう」
いじけたような物言いをしながらも、大きくはみ出したその淫紋はまるで狂三の感情に呼応するかのように二度、三度と光を強くしていた。
士道は彼女が何を言わせたいのか、考えないようにした。下部だけを露出した制服の狂三を見て、力を溜め込んだ肉棒をズボンと下着の中から解く。
竿を狂三の股座に当て、下着に浮かんだ割れ目に沿って擦り付ける。
「ん……っ♡」
甘い声が屋上の静寂に響く。二人きりの空間で、それはあまりにもわかりやすく感じられた。
行為を繰り返す度に秘部の形が鮮明になっていく。それにつれて狂三の声に色が増す。相変わらず敏感な狂三だが、
「あ……ん……んぅ……♡」
「声、我慢しなくていいから……っ」
「そういう、わけに……あうっ♡」
すっかり濡れた下着のクロッチ部を退かし、開いた膣口に亀頭を当てがう。互いの先端は既にずぶ濡れで、触れさせるだけで甘く鋭い声が空気を震わせた。
どうにもならない鋭敏な感覚を耐え抜くため、狂三はどれだけ精神をすり減らしていたのだろう。士道が立ち直り、狂三と寄り添うようになってから、手を、肌を触れ合わせる時間が増えた――――そういうことだ。
だから、行為の中では我慢をしないで欲しい。ああ、それも結局――――狂三の全てを見たいという、士道のエゴでしかないのだろう。
「っ――――い゛……あぁっ!♡♡」
挿入から、一瞬の堪えを得て声が鳴る。対面での行為であり、俯いた狂三の艶やかな表情と、耐えようとして耐え切れない羞恥の貌が視界に入る。それが極上の
「あ、あっ、あっ♡ んあっ……声、出て……っ♡」
「だから、出していいよ。俺しか聞いてないんだからさ」
「……はしたない、ですわ……あっ♡」
「気にしないし――――そういう狂三も、嫌いじゃない」
むしろ、いつになく恥じらう姿が
「うぁ……ひ、ぁ……だ、め……あ、あぁぁっ!♡♡」
奥を突き上げられると狂三が喘ぎ、赤面する。ブレザーに押さえつけられた双丘が跳ねて揺れ、全身が敏感な狂三はそれでさえ感じる。
射干玉の髪が跳ねる。潤んだ紅に加わる金色。無機的なそれが艶色を帯び、けれど針は正しく時を示す二つの美しさ。その異形に士道は惹かれ狂う。
「や、あ♡」
キスをした。唇ではなく、その左の目元に。手を退けてやり、強引に事を成す。反射的な悲鳴はあったが、それ以外はなかった。正確には、子宮を突き上げる刺激にそれどころではなかったのかもしれないけれど。
「は、はっ♡ あ、あぁぁっ!♡♡」
「ぐ……」
膣内が激しく唸り、力強い締め付けが肉棒を絡め取って声が漏れた。また激しく揺れる制服の胸部――――それが士道の身体に押し付けられてくる。
「っ!」
ブレザーの硬さと胸の柔らかさに息を呑む。狂三の震える手が士道の首に回り、蕩けながら美しい面が真正面に映る。
本能的な激しさではなく、理性的な情欲の解放。どちらが優れているかではなく、荒れ狂う霊力を満たす意味であればどちらも優れている。
「士道さん……わたくし、もう……っ!♡」
「ああ、俺も……っ!」
故に、限界。お互いに一度目は長く続いた方だ――――突き穿つ肉棒と穿たれる子宮が、全く同時に脳へその信号を送り届けた。
「あ、あ、あっ♡ あぁぁぁぁぁっ!♡♡♡♡」
「く、あぁっ!!」
膣内で蠢き脈動する士道のモノに、その士道にしがみついて身体を痙攣させる狂三。示し合わせたような絶頂が、途方もない時間に思えるほどに続いた。
「はぁ……ん、ぁぁ……♡」
官能的な吐息は、迸る精液に合わせて零れ落ちた。士道の耳に緩慢ながら濃く注がれる狂三の吐息。鼻腔をくすぐる黒髪の香り。
満たされながら――――滾る。
「狂三……まだ、いけるか?」
「うふふ。青空の下は、そんなにもお気に召しまして?」
「ん、まあ、そういうのもあるけど……」
どちらかと、言えば、
「狂三の制服って……凄く、似合ってるよな」
「あら、あら」
敢えて同意を求める逃げの言い分。困ったような、呆れたような、恥ずかしいような、嬉しいような。どれも合っているような違うような。特に、時崎狂三の――――好意を抱く女の気持ちは、わかりづらい。いいや、わからない方がいいとどこかで諦めて、
男心は単純だが、女心は複雑怪奇だとつくづく思いながら手を重ねて、瞼を閉じて、妖しく優しく美しい精霊少女と――――深く、口づけを交わした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「呵呵、怠惰に呑み込まれし者たちよ! よくぞやってきた!」
「翻訳。サボりとかズルい。私もちょっとやってみたい、です」
「勝手に翻訳すんなし! ていうか言い出したの夕弦でしょ!」
「誤解。ただ夕弦はそれとなく耶倶矢を唆しただけです」
「なお悪いわぁ!」
「……何してんだ、おまえら」
時刻はお昼にはまだ早く、悠々と授業中。狂三と目立たない裏から抜け出した士道と狂三を待ち構えていたのは、今朝目を合わせてしまった耶倶矢と夕弦だった。もちろん、士道たちと同じく制服である。
言い分を要約すると、ズルい、やってみたい、以上。当然ながら、士道は頭を抱えた。
「さすがに目立つだろ……」
「はぁ、琴里さんのお小言はお任せしますわ」
「俺かよ!?」
言い出した狂三ではなく士道が受け持つのか、八舞姉妹は勝手に着いてくるだけだとか色々あるが、引っ括めて士道が受け入れたのが悪いという結論で琴里のお説教もとい小言が頭に浮かんで、さらに頭痛が加速してしまう。
「仕方ありませんわね。耶倶矢さんと夕弦さんに関しては、わたくしにも責任はありますので、同席はいたしますわ」
暗に八舞姉妹が関わらなければ小言は士道に押し付ける気が満々だった、という話し方に何となくあるキレが頼られているのか、傍若無人な狂三が戻ったのかでイマイチ判断し兼ねた。
そうして士道が頬をかき、狂三が整えられた髪を何気なしにかき上げ――――
「あ……」
「ひょえ……」
「観覧」
「……はい?」
それぞれの感情は雑な表現で、士道は〝やべぇ〟、耶倶矢は〝すごい〟、夕弦は〝さすが〟だった。ちなみに狂三はキョトンと目を丸くしていた。
「あ、あー……屋上ってもしかして、そういう感じ……?」
「推察。単純ながら相応の背徳……へっぽこぴーかと思いきや、士道もやるものです」
「は……――――ッ!!」
仄かに頬を赤らめた二人に何かを察した狂三が、常備している手鏡で二度目となる身なりの確認。左眼を隠す髪の下、用意周到な彼女にしては油断し切った見逃し――――
固まった狂三が士道に目を向けているような気がする。気がするというのは、士道が明後日の方向を向いていて雰囲気だけが伝わって来ているが故の表現だ。
「しーどーうーさーんー?」
「わざとじゃない。本当にわざとじゃないんだよ……」
言い訳が虚しく通り抜けていく。わざとではないのは本当だが――――惹かれた想いを載せたことは、否定できそうにない事実。
このあと、琴里より先に狂三の小言が士道に炸裂したのは言うまでもない。
風呂場の大きな鏡を見て、髪をかきあげ、充血を確認して唇を曲げる少女。
「ふふ……」
「…………」
――――素直じゃないわねぇ。
その一言は自分に返ってくると、浴槽の湯に浸かりながら喉元で言葉を止めた琴里であった。
(別に恨んではないけど散々振り回されたしせめて少しは仕返ししたいけど派手なことすると琴里に迷惑がかかるという絶妙なお嬢様属性を発動させたくるみんの)精一杯の背徳行為。
言わせたい女と言えない男の勝負、ファイッ!!ダメみたいですね(諦め)
お外セッッッッッが嫌いじゃないのは周知の事実というか、この二人マジで屋上に縁があるなぁと思い選びました。制服セッッッッッという王道。ていうかこれまでの話があれすぎてこれが凄く王道に見える!タイツを脱がし切らないで股下で止めるのはフェチ。本当は立ちバックだったんだけど何かこうなった。今回は拗らせ士道くんが出来る最大限の愛情表現です。
以前までは受け止める聖母の如き慈悲みんでしたが、メンタルが回復したなら彼女は強かでちゃんと我欲はあるタイプなのでそういう面も出していきたい。オチはそんな感じ。え、ツッコミどころはそこじゃない?なんのことでしょう(棒)
感想、評価、リクエストありがとうございます!のんびり(?)ペースにはなってますが、相変わらず更新は続ける感じで頑張ります。気軽に貰えると嬉しくなるのは最初から変わってないです。よろしくお願いします。
ではではまた次回〜
続けてスレイヴ。次回はちょっと特殊回です。ちゃんとスレイヴ時空で進みますが……目撃者が違うことで一悶着起こるかもね?