※この作品はR-18です。

デート・ア・ライブ 令音アビス   作:いかじゅん

51 / 125
久しぶりの純愛エチエチ回。

これが私の!全力(で可愛い二亜)だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!








4話(二亜、マリア)

「――――二亜の原稿が完成しない?」

「はい」

 

 士道が返した言葉に、非常に平坦な声色で少女は返した。淹れられた茶をこれまた平静に飲みながら、だ。

 灰寄りの白、色素の薄い髪。人では早々できない姿勢の正しさでソファーに腰かけた士道の隣に座っている。その上で士道を覗き込む双眸は、レンズを彷彿とさせる硝子のような美しさ。

 

「なあ、マリア」

「はい」

 

 少女の名はマリア。〈フラクシナス〉の管理AIにして、実体化可能な人工精霊。

 冷静に彼女を呼び、マリアが頷いたところで刹那の熟考。そして、簡略化。

 

「それ……いつものことじゃないか?」

「はい。その通りです」

 

 また二亜の叫び声が聞こえてきた気がしたが、まあいつもの幻聴だろうと割り切る。

 本条二亜は人気漫画家である。年齢不詳の謎のプロ漫画家、その正体とは見た目〝は〟美少女の本条二亜ちゃんなのだ!

 ――――とは、本人の自己紹介文である。自分で見た目〝は〟とか言ってしまうのは、ネタに体当たりな二亜らしかった。

 と、そんなお調子者の一面がある二亜は、よく締め切りがデッドゾーンに侵入し、決して本人は認めたがらない多方面なマルチスキル持ちの七罪、諸々事情がありアシスタント程度はこなせる士道、そして何かと喧嘩仲間(マリア曰く、喧嘩とは同レベルで発生するものです。つまり、その表現は甚だ心外です。訴訟しますよ? だそうだが)で一つの意思に複数の身体を操るマリアに手伝ってもらうことが日常茶飯事なのである。

 正直、いつものことだとは当然の感想だった。しかし、そういう点を効率化されたマリアが士道に相談しに来るということは、これはいつもの案件ではないのかと目を細める。

 

「じゃあ、原因があるんだな?」

「恐らく――――いえ、九分九厘であると予測しています」

 

 ――――スススッ、とマリアが露骨に距離を詰めてきた。

 

「……マリア?」

「なんでしょうか。今日は少し肌寒いですね、士道。人肌が恋しくなってしまいます」

「おまえ、AIだろ」

「私は人の感覚を基本的にオンにしています。汗や唾液、快感(・・)に至るまでを再現し、取り入れているんですよ? 凝り性の自分にこれほど感謝したことはありません」

「…………話を続けるけど、二亜はどういう状況なんだ」

 

 目に見える圧を感じながら、敢えて触れずに士道は問う。言うだけあって、少女特有の柔らかい四肢を衣擦れを存分に押し付けながら、マリアは言葉を返す。

 

「連絡らしい連絡が取れていたのは、数日前でした。それもアシスタントはいらない、などと突っぱねるようなものでしたが」

「ああ、それは二亜らしくないな……」

 

 人との距離感の測り方、という意味では二亜は士道たち以上のものがある。お調子者としての一面が強いが、その実精霊たちの中では個人のプライバシーや分別は弁えている方だ。

 そんな二亜が、気心知れた仲とはいえマリアすら拒絶する。あごに手を当て思案する……すりすり、とその指、もっと具体的には士道の唇辺りを手で撫でるマリアのアピール(・・・・)に、さしもの士道も一度目を伏せてから声を発した。

 

「マリアさん?」

「どうしましたか。令音だけに飽き足らず、精霊全員をその毒牙にかけた素敵な五河・節操なし・士道」

「もう否定はしないけどさぁ!?」

 

 言い方も何もない。加えて否定が絶対的に封じられた士道は、思わず顔を伏せて叫びを上げた。

 だと言うのに、マリアは何食わぬ顔で士道の膝の上に乗り移る(・・・・・・・・・・・)

 

「……っ!」

「…………」

 

 機械の身体。しかし、少女の肉体。真下にきた髪から、そこはかとなくよい香りが士道の鼻腔をくすぐる。可愛らしい私服のスカート、その下に備わる幼さを感じながら女を覚えさせる桃尻を士道の膝上の深く(・・)まで押し付けられた。

 そこで士道も意を決し、マリアの身体を軽く抱き締める――――自慢するだけあって、ふかふかとしていながらキュッとした素晴らしいものだった。

 

「おや、どうしたのですか士道。私の身体に興奮(・・)を感じてしまいましたか? それならば、さすがは私ですと褒めるべきなのでしょう」

「……もう、冗談じゃ済まないんだぞ」

 

 以前までの士道とは違う。それに、マリアは巻き込まれる責任もないはずだ。

 

「冗談ではありませんよ。それに、私は令音とあなたの異常を黙認していた責任があります」

「考えを読むなって」

「私、優秀ですから」

 

 小生意気で可愛らしくて結構、と士道は軽くマリアの髪に顔を埋める。本当に、少女としか思えない感触と香りだった。

 

「責任感だけなら、今すぐおまえを〈フラクシナス〉に送り返すぞ」

「いえ、あなたが好きです、五河士道。あなたの脳をデータ化して、永遠に一緒にいたい」

「世界一物騒な告白だなぁ……」

 

 マリアならできてしまいそうなのが、もっとも怖い部分だった。

 士道の呆れ声にくすくすとマリアが笑い声を上げる。

 

「ちょっとしたマリアジョークです。ああ、もちろん好意は本物ですが」

「……俺の、何がいいんだか」

「悩みながら、そうして突き進んでしまうところ――――あの世界(・・・・)の記憶は、AIである私が管理する一生(・・)の宝物です」

 

 ――――愛とは何かと問いかけた、電子の海の記録を。

 

「……マリアは〈フラクシナス〉のAIなんだから、俺が何か影響させたら不味いだろ」

「問題ありません。重要かつ制御を行う中枢は念入りに仕込みを終えています。それに、どちらの(・・・・)士道でも、本当に私たちを困らせるようなことはしないでしょう?」

「はぁ……どいつもこいつも、用意周到というかね……」

 

 士道を徹底的に包囲し、逃がしてはくれないのだ。逃げるつもりはないし、逃がすつもりもないけれど(・・・・・・・・・・・・)

 マリアが振り返る。さすがという称賛は、その頬に浮かんだ自然すぎる赤みに捧げるべきであろうか。

 そっと少女の頬に手を乗せる。人肌の温かみ、近づく距離、バックライトのような輝きを映す瞳が瞼で閉じられて――――――

 

「ん……」

「ぁ……ん、ふ」

 

 マリアと士道の唇が、重なった。

 本物の人間と見紛う感触。好意を持った相手とのキスで感じる、暴力的すぎる快楽が脳で分泌されて、この少女を士道のモノにしろと暴れ狂う。

 AIまで守備範囲とは、大した欲望規模だと一瞬苦い思考が過ぎるが、そんなものはすぐにマリアとのキスの快楽で流されていった。

 今さら、少女と変わらない人工知能が恋愛対象など驚くに値しない。士道は、世界を殺す精霊たちをデレさせ、自分のモノにしてしまった男なのだから。

 やがて、唇がどちらからともなく離れていき、マリアが言うように唾液が絡み合った線が二人の間に引かれ、淫靡な光で煌めいていた。

 

「ご満足、いただけたかな?」

「そうですね……言うだけはある、と言わせていただきましょうか」

「……背伸びは生意気だぞ」

「士道こそ、格好つけすぎていませんか?」

 

 互いに不機嫌な貌を作り、またどちらからともなくプッと吹き出して笑い出す。

 また一人、堕ちる――――――深淵なれど、それは楽園に相応しい少年と少女たちの快楽の宴だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「開けろ! 天宮市警だ!!」

「抵抗は無駄です。大人しくお縄につきなさい。罪状は思考言動適当罪です」

「もう開いてるし入ってるしでっち上げすぎるんだけど!?」

 

 襲撃。近場の二亜ちゃん家。作業場と化したリビングスペースに、士道はマリアと共にノリノリで侵入、もといお邪魔した。

 薄いTシャツ一枚で作業机に向かっていた二亜が立ち上がる……ことはせずに(・・・・・・)、机にしがみつきながら叫びを上げる。

 

「そもそもどうやって入った!? あたしの部屋の防犯どうなってんのさ!」

「マリアのハッキング。〈封解主(ミカエル)〉の【(ラータイブ)】。〈贋造魔女(ハニエル)〉の悪戯。好きなのを選んでくれよな」

「どれもイヤなんだけど!? 〈囁告篇帙(ラジエル)〉持ってたあたしが言えたことじゃないけど、キミら何してくれてんの!?」

 

 ちなみに、士道たちの侵入方法はどれでも可である。如何に防犯のテクノロジーが進歩しようと、電子世界最強のマリアと欲を満たす目的という屁理屈が成り立つ状態の士道の前では無意味なのだ。

 とりあえずリビングに入室、しようとした士道の足がコン、と何かを蹴る。視線を落とすと、それはコロコロと転がるビールの空き缶であることに気づき士道は眉根を下げた。

 

「ちょっと見ない間にこれか……二亜、忙しいのはわかるけど、これは不養生だぞ」

「あ、いや……」

 

 空き缶を拾い、ため息を吐きながらよくよく見てみれば、ゴミ山とまではいかないものの、あちらこちらにゴミが散乱している。

 そして、こういう場合の二亜は基本的に開き直るはずなのだが、歯切れが悪そうに視線を逸らした――――怪しい。その追求は士道ではなく、マリアによって行われる。

 

「単純に散らかっているというよりは、幾度か後始末をしようとして何故か(・・・)手につかなかった、という散乱状態に見えますね。まるで、掃除の途中で別のことをしてしまう(・・・・・・・・・・)、とか」

「う……うるさいなロボ子! 余計なこと言わない!」

「私は純粋な分析を行っただけです。二亜、あなたが自宅でしていることで、何かやましいこと(・・・・・・)があると?」

「ぐ、ぐぬぬぬ……」

 

 いつもマリアにやり込められている二亜ではあるが、今日は一段と言葉のキレが悪い。マシンガントークは冬眠のように眠り、綺麗な灰色をした短めの髪が二亜の身体の震えを感じて細やかに動いている。

 

「で……何があったんだよ、二亜」

「しょ、少年には関係ないでしょ! わかったらさっさと帰る! あたしは今一人でいたい気分なの! そういう時はあってもいいでしょ! 少年にはないっていうの!?」

「あるにはあるけど、それが数日続くことは稀だな。特に、二亜と会ってからは初めて見た」

「あ……っ」

 

 さり気なく士道から二亜へとすり替えを行うが、そんな単純なことにも二亜は気が付かず、渋面を作って黙り込む。

 やはり、今の二亜は何かおかしい。士道とマリアが確信に至るのは、彼女の頑なな態度があれば十分だ。

 本条二亜。お気楽でお調子者に見えて、根本的には元人間不信(・・・・・)の精霊だ。全てを知る、全知の天使〈囁告篇帙(ラジエル)〉を所有し、そして精霊になる前でさえ人に絶望した彼女は、いつしか人を信じられなくなり二次元に没頭する精霊になってしまった。

 それだけなら、関わり合うのは士道のお節介で終わっていたのだけれど、二亜の人間不信は人への失望感だけではなく、何でも知れてしまう自分自身への恐れ(・・・・・・・・)、負い目のようなものがあった。

 士道は二亜という少女と正面から皆でぶつかり合い、何とかその人間不信を取り払うことに成功した。故に、士道たちにはわかる。人と人との関係性がどれほど価値あるものか理解している二亜が、感情を剥き出しにして士道たちを拒絶する自体がどれほどおかしいことか、と。

 

「大体、一人になりたいっていうなら、二亜はもっと上手いことやるだろ。少なくとも、音信不通で連載に穴を開けかけたりはしない」

「実際には二亜の修羅場など見慣れているものなので、こうして直に見なければ正確には判断できませんでしたが」

「…………」

 

 普段がズボラだと、狼少年みたいになってしまうんだな、なんて苦笑いで士道は言葉を途切れさせる。

 と――――――

 

「う、うるさい! うるさいうるさいうるさい! いいからほっといてよ! あっちいけ!」

「うおっ!?」

 

 ビュン、と割と本気の速度で空き缶、ペットボトルなどが士道たちへ向かって投げられてきた。避けながら、一度リビングスペースから退避しマリアと顔を寄せて話し合う。

 

「どうしますか?」

「あの二亜がマジな方で感情をコントロールできてないのは不味いな。悪いが、今日の予定は全部二亜に使うぞ」

「イエス、マスター」

「…………やめてくれない、それ?」

 

 方針は決まった。マリアの冗句に苦言を呈して、リビングルームへ向かって飛び込む。

 二亜の狂乱で投げられてくるものなどたかが知れている。職業柄、素の体力も低めな二亜へ士道とマリアが近寄るのはそう難しいことではない。

 

「マリア、拘束は任せた」

「了解」

「なんでそんないいコンビネーションしてるのさ!」

 

 二亜のツッコミもそこそこに、士道に合わせたマリアが机にしがみついた二亜を羽交い締めにし、引きずり出す。

 上半身はTシャツ。そして無理やり毛布を重ねて隠していた下半身は――――それこそ、薄い掛けタオルを結んでいるだけ。さしもの士道も、二亜の艶姿と言っていいのか怪しい姿に目を剥いた。

 

「二亜おまえ、なんて格好してんだ! まさかその下……っ!」

 

臭う(・・)。二亜から、普段は感じない雌の香りがする。士道の本能を刺激する匂いに導かれ、二亜のその服もどきのタオルに手をかけた。

 

「ギャーっ! 少年の変態! 乙女のスカートに何をするー!」

「せめてスカート状のものを履いてから言え――――よっ!!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 色気が全く感じられない悲鳴に、防音性抜群の部屋。何だかなぁ、と思いながら士道は二亜の下半身から無理矢理タオルを奪い取る。

 士道の視界に映ったものは――――下着一つ付けず丸出しの恥部と、愛液に濡れて湿り気を帯びた灰色の恥毛だった。

 

「あー、やっぱり」

「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! なんでそんなに冷静なんだよ少年の癖にぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 

 時すでに遅しだが、ようやくマリアの羽交い締めから抜け出した二亜が、下半身丸出しという誘っているとしか思えない姿で這いずって、部屋の端で縮こまる。毛布を手にして隠してはいるものの、正直隠せているかは怪しく、士道は片手を上げて呆れた目で、顔を真っ赤にしてこちらを睨み付ける珍しい二亜を見やった。

 

「いっつもコスプレやら下着で誘惑してきたのは二亜だろうが。何を今さら、そんな恥ずかしがることがあるんだよ」

「それとこれとは全然違う! 少年、あたしが出会った頃の初心な少年を返せ!」

「それ、耶倶矢にも言われたなぁ。諦めろ。(理性)は諦めたよ」

 

 ちなみに、士道(本能)は余裕でノリノリである。いつもの飄々として親近感を纏う子供なお姉さんの二亜とのギャップが、今猛烈に士道の欲望をくすぐっている。

 

「な、何さそれ……だったら、あたしに構ってないで他の子のところ行きなよ。ほら、しっし」

「……それで、二亜が引きこもるまでオナニーするようだから俺が来たんだろ?」

「は!? あたしがいつそんなのことしたのさ! しょーこ、しょーこを持ってきなさい!」

「見せてやろうか? おまえが令音さんと俺のセックス見ながらオナニーしてた映像」

「変態だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 お互い様だろ、と士道はふぅと息を吐く。さて、どうしたものかと思案する士道に、隣で目を閉じて思考に耽っていたマリアが対話役(?)を変わるように一歩前に出た。

 

「なるほど、概ね理解できました」

「……な、何がかなー。マリアちゃんったら怖いぞ☆」

 

 冗談の声音でウィンクをしてまで誤魔化そうとする二亜だが、マリアは一切の容赦をしない。純粋に、事実のみを突きつける(・・・・・・・・・・)

 

「普段の行いに反し、本物を目撃してしまいどこかで行為に対する恐ろしさが芽生えたのでしょう。しかし、霊力を通して目覚めた身体は快楽を欲してしまう。どうにか自慰行為で誤魔化そうとするも、段々と一人では満足できなくなっていき、しまいには満足できないのなら適当でいいや、など二亜らしい思考と行動を行った結果、仕事は手付かずに意味をなさない酒に溺れ、片付けの途中で自慰行為。果ては作業中に触れていられるように裸同然の姿で――――――」

「マリア、ストップ。ストップストップ。二亜の精神が限界だから」

「う、うぇ……ひっく……そ、そんなに人の恥を暴き立てることないじゃん……マリアのばかぁ……」

 

 泣いてしまった。お姉さんとして、まあ具体的には士道より年上としての矜恃をズタボロにされてはそうなるもの無理はない。

 だが、マリアもただ無感情に追い詰めたわけではないようで、続けて言葉を発する。

 

「申し訳ありません。ですが、頑なな二亜を攻略するには、私が悪に徹した方が話が纏まりやすいでしょう。それと、士道は涙を流す女の子も好みかと思いましたので」

「………………ノーコメント」

 

 それ以上はさらに危ない扉が開かれそうだった。やぶ蛇を突く趣味はない士道は、羞恥という心の壁をボロボロにされた二亜の元へ行き、泣きじゃくる彼女に目線を合わせて声を発した。

 

「二亜」

「……なに。少年を想ってオナニーが趣味になった変態漫画家に何か用?」

「開き直るなよ。まあ、俺は嬉しいけどさ」

 

 士道を二亜が思ってくれている。嬉しくない、などと嘯く必要は全くなかった。指で涙を拭ってやりながら、士道は続ける。

 

「たくっ。俺を想ってくれてるなら、頼ってくれたら話が早かっただろうが」

「あ、あたしだって恥ずかしいんだよ! こういうのキャラじゃないし、どうすればいいかもエロゲでしかしらないし!」

「その様子じゃ、あのとき持ち込んだカメラもさては誤魔化すためのフェイクだな? なら、せめて令音さんに相談するとか……」

「それが恥ずかしいって言ってんの! あたし、そういう乙女みたいなタイプ、似合わないでしょ……」

 

 言いながら、毛布を顔まで持っていって恥ずかしげに目を逸らす二亜――――士道まで顔が赤くなった。

 

「それでこれは世話ねぇだろ……寂しがり屋の癖に、新手のツンデレかよ」

「文句を言いながら、士道の二亜に対する好感度が急上昇しています。――――データベース登録。分類︰デレさせ方。項目︰二亜式」

「勝手に登録すんなー! 製作者に許可を取れー!」

 

 実に漫画家らしいツッコミを入れながら、また開き直った二亜がうがー、と士道へ向かって叫びを上げる。

 

「はいはい悪うございました! それもこれも少年たちのせいだよ! 大人な二亜ちゃんをこんなにしてくれちゃってさ! もう離れられないっての! ホントどう責任取ってく――――――ん、んっ!?」

 

 涙を拭っていた指を二亜のあごに当て、唇を奪う。

 封印が必要だからではない。士道が二亜へ好意を抱き、モノとして支配するためのキス。押し付け、奪うための口付け。

 

「ふぁ……ちゅ、ぁ……」

 

 活気溢れた二亜の瞳が純情に染まり、全身から力が抜けてヘナヘナと壁に寄りかかっていく。彼女を支えながら、士道は唇を離して耳元で囁いた。

 

「離れる必要なんてない。ずっと一緒にいてくれ、二亜」

「ぁ……ふぁ、ふぁい……」

 

 夢見心地な二亜。骨抜きにされた可愛らしい唇にもう一度キスを落とし、士道は彼女を抱き上げた。

 

「よし、行くか」

「はぇ……?」

「了解しました」

「にゃ、に……?」

 

 状況が理解できない様子の二亜が、士道に抱き抱えられながら視線を行ったり来たりさせている。

 二亜を支える手を離さず、手のひらに霊力の粒子を収束させ、鍵の天使〈封解主(ミカエル)〉を器用に回して『扉』を開く。

 そして、さも当然の権利だと士道は予定を口にした。

 

「何って、二亜を抱くに決まってるだろ」

「……は?」

「あのなぁ、俺がそれ以外の理由で来たと思ってたのか? おまえ、中途半端にオナニーしてたせいで身体凄いことになってるんだぞ」

 

 解消し切れない欲を中途半端に捏ねくり回し、マリアの指摘の通り悪癖で自慰行為を止めたりもしていたのだろう。

 士道の見立てでは、今すぐに二亜の欲を解消しなければ、いよいよ原稿を落として連載に穴を開けてしまうだろう。一読者としても、それは嘆かわしいことだ。

 

「ま……待った! あたし心の準備できてない! せめてお風呂に入らせて! さっきまでシてたから汗臭いの!」

 

 あまりにも必死に訴えかける二亜に、士道は顔を近づけて香りを嗅ぐ。確かに汗をかいているようだが、その香りは不快なものではなくいい香り(・・・・)がする。

 士道の欲を刺激し、雄の本能を目覚めさせる香りを含ませている。

 

「うん、そっちの方が萌える。てか、どうせ汗だくになるから一緒だろ」

「少年は乙女心を理解したんじゃなかったの!? 一生に一度のお願いだから降ろして!」

「二亜のお願いは一度じゃ済まないからなぁ。また逃げられたら面倒だし。……ところでマリア。不思議なんだけどさ、精霊ってどうしてこんなにいい香りがするんだと思う? 士織もやるから、女の子の大変さはわかってるつもりなんだが」

「ふむ。当人の努力もあるのでしょうが、精霊にそういった性質があるのか、又は士道という雄に対しての好意から臭いに興奮作用を含んでいるとも考えられます。なかなか興味深いですね」

「人の話を聞けぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 終始ツッコミに回る二亜に、やっぱり根本的に常識人じゃないとムードメーカーは勤まらないんだなぁ、などとズレた感想を抱きながら、士道は自分の女を人攫いの如く連れて『扉』を潜り抜けた。

 

 

 『扉』の先は、当然ながらいつもの秘密部屋。さすがに、作業場や本当に二亜が寝る位置しかない寝室を使うわけにはいかず、選択肢は自ずとこの場所に決まった。

 

「よし、到着」

「っ……!」

 

 優しくベッドに二亜を降ろしてやると、勢いよくベッドの端まで逃げてシーツを引っ張ってまた縮こまる体勢を見せた。……如何に士道でも、その反応は少々傷つくのだが。

 

「ほら、もう諦めろって。あのとき選んだ以上、二亜の身体は俺のモノに変えられてるんだよ」

「わ、わかってるけど……ほ、ホントにあたしを抱くの? あたしで、いいの?」

「抱く。二亜とヤりたい。俺だって我慢できないんだ。二亜、好きだ。二亜は、俺のことは嫌いか?」

 

 嫌いだとか、濁す言葉を発した瞬間、好きだと言わせるまで襲いかかりそうな雰囲気を醸し出す。

 それに気づいているのかいないのか、二亜は普段は見せない純情さで赤面しながら返してきた。

 

「す、好きに決まってるじゃん。誰も信じられなかったあたしを助けてくれて、命を救ってくれた少年のこと……好きだよ。判子用意してくれれば、いつでも養ってあげるくらいに好き」

 

 けど、と二亜は自身の身体に視線を落とす。それは、耶倶矢とは異なる視線の類。二亜は自身のスレンダーな身体をよく武器にしていたため、気にしているのはその格好。

 

「ふ、雰囲気とかあるでしょ。こんな格好で、初めてするとは思わなかったし……」

「あー……」

 

 胸を横から直に触れるようなTシャツ。加えて下着類は何も着けずに下半身は丸出し。

 確かに、情緒がないと言われてしまえばそれまでだ。士道は着の身着のままの二亜で興奮してしまえるのだけれど、二亜には二亜なりに士道と思い出を飾りたいのだろう。

 しかし、とベッドの上で士道は腕を組んで首を傾げた。

 

「……おまえ、俺の前で下着姿になってギャルゲー攻略とかしてた癖に」

「あ、あれは少年を信用してたに決まってるでしょ! あれだけしたって、少年があたしを襲う勇気あるわけないし!」

「今すぐ泣くまで犯し尽くしてやろうかこいつ」

 

 信じているのか乏しているのかどっちなのか、士道は頬をひくつかせる。

 あのときはもし何かあったら、と言っていたが、本当に何かあるとは世の中わからないものである。

 思わず襲いかかりそうな衝動を抑え、士道は思案する。今から服を着てもらうというのもおかしな話だが、二亜が初めて交わる雰囲気を重視したいという気持ちも理解できる。

 

「あ、そうだ」

 

 少し試したいことがあったのだ、と手を叩いて二亜へ近づいていき、彼女の手首をそっと掴む。

 

「な、何よ少年。急に大胆じゃないのさー」

「さっきまでの方が大胆だろ。いいから、試してみたいことがあるんだ」

 

 虚勢を張れるくらいには精神を回復させた二亜の手首を掴んだまま、目を伏せる。

 士道と二亜の中にある経路(パス)。一本に結ばれた繋がりをイメージし、あるもの(・・・・)を浮かび上がらせる。

 ――――固まった。瞬間、士道はその名を呼んだ。

 

「――――〈神威霊装・二番(ヨツド)〉」

「へ……?」

 

霊力(・・)が二亜の身体に光となって纏われる。それは一瞬の間に光の衣となり二亜の身体に顕現した。

 己の身体を纏う懐かしさに、二亜が目を丸くしてその鎧を見回した。

 

「あたしの、霊装?」

「ん。まあ、見た目以外は基本的にハリボテだけどな。その分、見た目だけは完璧な霊装だろ?」

 

 識別名〈シスター〉。その名の通り、二亜の霊装は修道女を思わせる法衣だ。

 頭部を覆うケープと身体のラインがはっきりと見える半透明の服。黒いブーツが一番露出を抑えているようにさえ思える露出度に、腰周りから凄まじい切れ込みが入れられ、そのスリットが情欲を誘うことは言うまでもない。

 精霊を守る絶対の鎧、奇跡の体現。士道の欲望によって擬似的に再現されたそれは、本来の防御力こそ備えられていないものの、その分この世ならざる光の美しさを見せつけている。……まあ、その美しさに性的欲求を抱く士道という不敬な男がいるのだけれど。

 

「えへ、えっへっへ。なんだよ少年くーん。やっぱりこの霊装気に入ってたんじゃないかー。ほれほれ、足派かー?」

 

 と、霊装を士道の意思で着せてもらえたことが嬉しいのか、それとも調子に乗っているのか。誘惑するように横に転がり、かつてこの霊装を見せた時のようにスリットから二亜の程よく肉のついた太股と大胆にもショーツまで見せびらかしてくる。

 なんというか、そういう調子の良い部分は根っこから変わらない二亜だった――――少しは考えてから喋ったなら、士道から主導権を奪うこともできるかもしれないというのに。

 

「気に入ってなかったら、そんな事細かに再現できねぇよ。二亜の足でしてもらうのも期待してるけど――――今日は、そういう余裕はないかもな」

「え――――きゃわっ!?」

 

 二亜の腕を取り、押し倒す。一秒かからず、士道は二亜の全身をベッドへ寝転がせ、その上に覆いかぶさって彼女と顔を突き合わせる。

 胸位は薄いと自称こそしているが、スタイルはいいと二亜は言っている。その良さを余すことなく引き出す霊装。彼女の真っ赤に染まった女の貌。

 士道の笑みが現実味をなくしたのか、二亜が半笑いで士道を見ていた。

 

「さて、これで雰囲気も文句なしだよな?」

「そ、そだね。……ちなみに、霊装を着たら精霊の腕力とか戻ったりは」

「してるわけないだろ。俺を押し返せるか、試してみるか?」

「え、遠慮しておこうかな……」

 

 僅かに力が入れられていた二亜の腕から圧にならない圧が抜け、士道もここにきてようやく我慢を終えられると息を吐く。

 身体を起こしてさっさとズボンと下着を脱ぎ捨て、極限までイキリ勃った士道の一部を露出させ見せつけた。

 

「っ……ん、ぐ♡」

 

 目を見開いて、大きな音を立てて唾液を呑み込む二亜。さらに見せびらかすように、霊装の上から二亜の腹部に先走った汁を垂らす。

 霊装を腹の上に密着させるほどの液が滴り、二亜は引き攣った笑みで声を発した。

 

「あ、あはは……さすがにがっつき過ぎじゃないかな、しょーねん。もっと順序とかあるじゃん?」

「それはまた今度。二亜の身から出た錆なんだから諦めろ」

 

 士道とて、本当は二亜の言うようにゆっくりと楽しませてやりたい。そういう前戯がないのも、全ては士道に相談しないで年上として意地を張った二亜の責任だ。

 

「恥ずかしがって、発情したエロい身体を隠すようなことが二度とないように、たっぷり二亜の子宮に俺のモノを受け入れる快感を教え込んでやらないとなぁ?」

「ひ、ひぃ……♡ま、マリア! 見てないで助け――――いないし!?」

 

 支配される恐怖感が勝り、何も考えず助けてくれるはずのないマリアを呼んだ二亜だったが、彼女はとっくにこの部屋にはいない。が、見ていないというわけでもない。

 

「マリアなら別の部屋だぞ。あの二亜の初めてがどんなものか、貴重すぎるサンプルとして興味があるんだってさ。だから、特別に監視部屋を貸し出した」

「んな部屋貸し出さないでよ! 失礼だしそもそも人の情事を見んな! 視聴料金払えやむっつりマリアー!!」

「こんな時でも罵倒が低レベル……」

 

 まあこれで緊張も解れただろう、と士道は肉棒をゆっくりと下げ、霊装の上から子宮部に当たる下腹を亀頭で押す。

 

「――――お゛っ!?♡」

 

 外から子宮を押された。それだけで、二亜の身体がビクッと跳ね上がり、霊装の下着から多量の水分が吹き出した。インドアな彼女らしく柔らかめの腹肉が、跳ね上がった衝撃で亀頭と接触し、気持ちいい刺激をもたらしてくれる。

 まだ表面に押し付けられただけ。だというのに、軽く絶頂してしまった。加えて、自身が今の嬌声を発したことが信じられない、という顔で二亜が震えた声を発する。

 

「な、なにいまの。オナニーじゃ、こんな感じないのに……♡今の声、ホントにあたしの……?」

「ああ、おまえの声だ。俺のモノを押し付けられただけでイッちまう、最高にエロい二亜の声だよ」

 

 囁きながら、霊装前掛けを退け、紐で結ばれたショーツをズラして二亜の膣内に狙いを定める。陰裂はパックリと割れて、既に受け入れる準備はできていた。

 あとは、感情を乱した二亜次第だ。

 

「ま、待って少年。ホントに、マジでヤバい♡あたし、オナニーでも気持ちよすぎたくらいなのに♡そんなの入られたら……っ!♡」

「頭がおかしくなる、か?」

「……!♡」

 

 ブンブンと得意な言葉遣いすらなく首を振る二亜。だが、悲しいかな。あの約束を超えてしまった時点で、二亜に快楽から逃れられる未来などなくなっていた。

 

「おかしいって思うなら、初めから選ぶべきじゃなかったな。けど、後悔なんてさせない。絶対に気持ちよくしてやる。素直になるまで、イかせてやる」

 

 ぐちゅ。音を立てて入口を大きすぎる亀頭がこじ開け、

 

「――――愛してるぜ、二亜」

 

 愛の告白と共に、己のモノを二亜の内側にねじ込んだ。

 

「あ゛っ♡あぁぁぁぁああぁあぁああっ!♡♡」

 

 二亜の絶頂声に合わせて膣を抉り先端を子宮へ押し込む。

 

「っ、く……」

 

 琴里ほど未成熟ではないとはいえ、まだ士道のモノを呑み込み切るほどの調教は果たされていない。そして二亜も、快楽と綯い交ぜになった苦痛に息を詰まらせる。

 

「お、きぃ♡はいり、きらない……♡あたしの中、こわれちゃう……っ!♡」

「大丈夫だ。俺が傍にいる。ゆっくりでいいから、受け入れるんだ」

 

 少しずつ膣を広げるように緩やかな動きで肉棒を扱いながら、二亜の両手に士道は自らの両手を重ねた。

 

「あ、手が……♡」

 

 それを嬉しげな顔で握り返し、圧迫感に耐える二亜。

 普段とのギャップ。人肌を求める寂しがり屋の少女の素顔。士道にしか見せないと考えれば、普段の二亜と合わせて実に支配欲をそそらされる。

 

「そろそろ、動くぞ」

「う、うん……♡」

 

 苛烈さを潜ませ、肉棒を突く。今までにない行動だが、頼りたいと気持ちが伝わってくるのなら、士道は相応に振る舞う。二亜(愛しい女)が楽しめるよう、じっくり調教を重ねていけばいい。

 

「あ、あっ♡やっ♡っ……ふっ……あんっ♡♡」

 

 膣の奥を突き、戻し、突き、戻しを繰り返す。二亜が喘ぎ声を上げながら、一瞬それを堪えるような素振りを見せるも、数秒経たずに声が戻る。普段、彼女が冗談でする遊びの甘い声ではなく、見た目相応の色香を纏った性的興奮を助長する声音。

 聞いていたい。聴かせてほしい。二亜と自身の快感を進めながら、士道は彼女の耳元で囁きを放つ。

 

「声、我慢しようとしなくていい。二亜の声、もっと聴かせてくれ」

「やっ♡やだよっ♡こんなの、あたしらしくないって……あぁぁっ♡」

「二亜だよ。その声は、二亜のモノだ。俺を悦ばせてくれる大人の声、ホントに素敵だ」

「あ♡う、ぅぅぅ……♡少年のばかぁ!♡♡」

 

 力のない罵声にさえ、甘い色気が乗り士道の気を存分に滾らせる。

 二亜が愛おしい。その気持ちを込めて腰を突いて彼女を愛する。士道のモノになれと、ひたすらに想いを込める。

 

「二亜、二亜……二亜!」

「ん、ぁ♡名前、呼ばれると……もっと、きもちよくなるっ!♡」

 

 ズチュ、ズチュと膣を掻き回す音が段々と激しさを増し、快感の頂点が近づく中、二亜が一際強く士道の手を握り返して、潤んだ瞳で嬌声混じりに喉を震わせる。

 

「これっ♡こんなに気持ちいいのに♡少年に出会わなかったら、ずっとしらないままだったんだよね♡」

「っ……」

「――――ありがとう、少年」

 

 快楽に囚われ、士道のモノに己を蹂躙されながら――――その笑顔は、霊装が求める貞淑な少女が魅せる美しさがあった。

 純情な美しさと、不浄の淫靡。インモラルな光景が脳髄を刺激する。

 

「名前……こういう時くらい、名前で呼んでくれ!」

 

 激しさを増す交わり。奥底を求めて二亜の中を突く。

 

「うん♡うん♡――――士道!♡士道、愛してる♡♡」

「俺も愛してる! 二亜……っ! おまえの子宮に、射精()すぞ!」

 

 強烈な膣の締め付けを潜り抜け、子宮を全力で突き上げる。刹那、二亜の身体が激しく反り返り、握られた手を引っ張りながら子宮で士道の精液を受け止めた。

 

「あ、イクッ!♡イクッ!♡士道の精液受け止めて、イッてる!♡♡」

 

 どぷっ、どぷっ、と重い射精が長く続く。一つ受け止める度に波のある絶頂を感じながら、二亜は健気に士道の全てを受け止めていた。

 

「あ……ずっと出てる♡いっぱい射精してる♡士道のおちんちん……あっ♡あっ♡だめ、あふれる……っ♡♡」

 

 ギュッと膣を締め付け、まだ変わりきっていない子宮で士道の常識を越えた精液を全て受け止めようとする二亜。

 しかし、士道は微笑みながら二亜に顔を近づけていく。

 

「いいんだよ。最初なんだから無理するな。これから、ゆっくり慣れていけばいいさ……ん」

「士道……んんっ♡♡」

 

 射精を続けながら、二亜と舌を絡め合うキスをする。心地よくも、脳髄を劈くような至上の快楽。士道が好ましいと思う雌でしか得られない、口付けの暴力だった。

 

「はふぅ……♡」

 

 やがて長い長い射精も終わり、透き通る霊装の上からわかるほど二亜の下腹部が精液を溜めて膨れ上がっていた。

 至福の貌でキスを終え、余韻に浸る二亜。そういうものもまた新鮮で堪らない――――が、士道は再び腰を振り子宮を突き上げた。

 

「あ゛あ゛っ!♡」

「さて、続きと行くか」

「ま゛って……♡これで、終わりじゃ……っ!?♡」

 

 一転して荒い息で快感に耐えながら問いかけてくる二亜に、士道は目をぱちくりとさせ言葉を返した。

 

「何言ってんだ、そんなわけないだろ。二亜、あの日から何日分自分で寸止めして、身体に溜め込んでると思ってんだよ。ちゃーんと解消しないと、仕事ができないだろ?」

「あ、あたしはもう十分かなー、とか。仕事できるし、許してくれない? えへへ……だめ?」

「だめ」

 

 可愛らしいおねだりを一刀以て切り伏せれば、二亜が真っ赤な貌を蒼白にするという器用なことをしながら表情を凍りつかせる。おそらく、今の二亜ができる最大限の可愛らしい媚び売りなのだが、惜しくも士道には通じない。

 大変に残念だ。二亜が我慢オナニーなど可愛いこと(・・・・・)をしていなければ、士道もこんな抱き方ではなかったかもしれないというのに。ああ、残念(最高)だ。

 

「ゆ、ゆっくり慣れていけばいいって言ったよね、少年」

「俺の思うゆっくりと、二亜の思うゆっくりは違うみたいだな。まあ、安心しろよ。今の二亜なら、他の子より優しく抱いてやれるから。こんな俺、滅多にないんだぜ?」

 

 二亜の短髪を一つ掬いキスを落とし、それから二亜の頬にキスを落とす。

 そうして、心の底から優しい(鬼畜な)笑みをプレゼントして、宣言する。

 

「今日は一日中(・・・)付き合ってやるよ。溜まりに溜まったもの、全部吐き出してくれよな?」

 

 制限時間は、士道と二亜が満足するまで。果ての見えない快楽の極地にご招待。

 再び迫り来る士道に、二亜が目尻に涙を浮かべながら――――――

 

「やっぱあたし、こういうキャラは似合わないってばぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!♡♡♡♡」

 

 そんな叫びと共に、極楽浄土に堕ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『やっ、やだぁ♡もう無理だってばぁ!♡後ろから、感じ過ぎてまた――――イクゥ!♡♡』

『まだまだイけそうだなぁ。ほら、もっと気持ちよくなってくれよ。そしたら、俺も嬉しいからさ』

『もうとっくになってるってばぁ!♡♡』

 

 バックから士道の極太の逸物に突かれ、髪と霊装のケープを振り乱して二亜が震えている。あの二亜が、本物の嬌声を上げて快楽に堕ちている。

 とても気持ちよさそうな貌を、している。

 

「っ……」

 

 ボディ内体温上昇。思考回路に異常発生。修復プログラム――――不要(・・)

 マリアが座るには大きめの椅子に座り、並び建てられたモニタにマリアの目は釘付けになる。優秀な視覚情報処理を、余すことなく二亜と士道の情事を見定めるためだけに扱う。

 

「はっ……はっ……♡」

 

 知識はあった。どういうものかも知っていた。想定は完璧だったはず。

 なのにマリアは、リアルボディの恥部(・・)に指を突っ込んで掻き回すという、冷静なAIに有るまじき行動を取っていた。

 身体が火照る。いつもは完璧に保たれた姿勢が維持できず、ひたすら自慰行為に使われる。思考プログラムにノイズが走る。二人の情事を見て、マリアの並列思考はこの個体のみに異常が発生している。全にして一なるマリアが、明確な異常を受けている。

 

「――――マリア」

 

 ビクッ、と身体が跳ねた。初めての経験。まるで、いけないことをしていた子供が誰かに見つかってしまったようだ。

 

「令、音……」

「……苦しいかい?」

 

 背中に刺さる言葉に、マリアはふるふると首を横に振る。そして、素直な気持ちを吐き出した。

 

「きもち、いいです♡知識として、知っていたはずなのに……♡」

「……そういうものだ。本や電子のデータを取り込んだとしても、現実で触れる情報に敵うものはない。人の感覚は、時にデータを超える」

 

 ――――椅子が回り、令音の貌が見えた。

 原初の精霊。マリアも人工とはいえ、彼女の娘だった。それを認めるかのように、AIのマリアでさえデータでは判別しきれない美しさを持つ面が迫る。

 

「……歓迎しよう。遠縁とはいえ、キミは私の大事な娘だ――――楽園へようこそ、マリア」

 

 重なり合う唇。禁忌と背徳の味――――マリアが知らなかった愛の形が、消えぬ快楽として刻まれた。

 

 

 






エロしてるところが浮かばねぇとか言ってたのに、気がついたら純朴で可愛い純愛枠になってた二亜ちゃんでした。

いや、本当は令音さん乱入させて「れーにゃん、それホントにヤバいって! あたし目覚めちゃうから!」とか言わせるつもりだったんですけど、書いてる間にこれソロの方が綺麗だな……ってこうなりました。これが必殺ギャップ萌え。うんまあ、普通に考えて人間不信だった二亜が経験値貯めた少年に夜の営みで勝てる理由ないしね。
マリア参戦が唐突?でしょうね(この話の直前に迷っていたマリアを書くと決めた顔)

二亜のエチエチ寄りな話って霊装プレイ多いなと思っていました。結果私も普通にそうなった。だってエッチなんだもんシスター霊装。というわけで霊装解禁です。まあここで解禁していなければ八舞姉妹のSMプレイ編で解禁してましたけど。もちろん耶倶矢Mで夕弦がSのお話(はぁと)

感想、評価、リクエスト以下省略。やはりしてほしいことが細かいリクエストほど執筆が早いですわねと実感する今日この頃。短くても気に入ったのは早いだろって?まあ……人って、性欲には勝てないよね、うん。
高カロリー回を連打しているのでモチベ補給に高評価欲しいです。感想はいつもニヤニヤしながら読んでいます(翻訳︰いつでも大歓迎大感謝)

ではではまた次回〜


まあ、可愛いだけじゃなくお調子者なところが二亜ちゃんなわけで。機械姦、純愛、ふたなり。再び性癖盛り盛りな二亜&マリア編、即ちマリア回の後半戦。お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。