デートの待ち合わせで先に待っていて、相手の姿を見つけたときはどうするべきか。
「どうするかな……」
吐息を吐く程度の軽さで問いかけてみるも、今日はインカムなど付けていないため、士道の問いかけに答えられるのは士道しかいない。
通常、相手の姿を見つけたのなら向こうから声をかけられるか、自分から声をかけにいくかの二択。それは今回も変わらないことではあるのだけれど。
天宮駅前。朝早めの待ち合わせ。士道が遅れることはなく、相手も遅れては来なかったのだが。
「……………………」
「あれで隠れてるつもりなのかよ」
相手方が、遠目の柱に隠れているとなれば、士道とて対応に困って小声を零して汗をかいてしまうというものだ。
待ちぼうけにされた士道を柱の影からチラ、チラと覗き、時たま自身の顔や髪をスマホを鏡替わりに確認して、あとはコーデを見返し、以下ループ。
それが真面目なのかツッコミ狙いなのか、普段の素行が素行のためイマイチ判断がつかない。というか、目立っている自覚がないのだろうか。彼女も精霊の例に漏れず、相当に目立つ容姿をしている。その上で、
「……ま、いくか」
あの雰囲気で声をかけにいく男がいるとは考えづらいが、空気を読めない男がいないという保証もなし。可愛らしい彼女の行動を十分に眺めてから、士道は行動を起こす。
先ずスマホにメッセージを入れ、数分席を外すから申し訳ないが待っていて欲しいという案に手洗いを匂わせておく。そうして、二亜がそのメッセージを確認している間に席を外した。
「……ほっ」
「なーに露骨に安心してんだ」
「ひぇっ!?」
で、油断しきった二亜の背後に回り、声をかけた。……こんな簡単で見え見えの行動を見抜けない辺り、本当に緊張しているんだなと頬をかく。
「や、やー少年。今日もご機嫌麗しゅう? じゃなくて……か、かっこいいね?」
「そこで疑問符を付けられると悲しい気持ちになるぞ」
士道が背後に現れたら、ササッと柱の反対側に回って化粧が施された顔だけを覗かせる二亜。普段より梳かれたショートの髪と素顔が、緊張で固まっていようと可愛らしい。
言葉選びにまで支障をきたしているのか、士道を褒める言葉がたどたどしい。二亜に悟られない程度に吐息を吐き、笑顔を見せて続ける。
「そんなに緊張しなくてもいいだろ。いつもの『少年、デートしようぜー!』ってノリはどうしたんだ?」
「しょ、しょうがないじゃん……こんな真面目なデートさせられると、調子狂うっての」
「今までは真面目じゃなかったのか……」
二亜の趣味に付き合うことをデートと呼ぶのであれば、あれはデートであるし、士道も心の底から楽しんでいたと言える。が、こうして
だから、士道が言うべきことは一つ。妹からいの一番、口酸っぱく教え込まれた魔法の言葉。
「その格好、似合ってるよ」
「……二亜だけに?」
「おう。可愛いよ、二亜」
「く……くぅ……」
軽口を正面から打ち返され、顔を真っ赤にした二亜がようやく柱から姿を見せた。
完璧な
「ぜ、絶対似合ってない。マリアめぇ……あたしにこんなもん着せやがってぇ……」
「似合ってるって。てか、スカートならコスプレで履きなれてるだろ」
「それとは絶対違うじゃん!」
「言わんとしていることはわかるけどさ――――本当に似合ってる。見せてくれてありがとう、二亜」
似合わないわけがない。似合っていないなど言わせない。本条二亜という愛らしい少女に誂られたいいコーデ。二亜をよく知るマリア――これを言うとマリアは言葉多めに否定するのだが――らしく、素晴らしい仕事だ。
「うぇ……そ、そう? えへへ、あたしにベタ惚れの少年が言うなら、ちょっとは信じてあげなくもないかなー」
士道の賛美に二亜がいつもの調子を取り戻した様子で返してくる。ただ表情は〝にへら〟っと笑い、大層嬉しいと物語っている。士道としても、そこまで喜んでもらえると褒めがいがあり、顔に熱が溜まっていくのを自覚する――――情熱的な好意を二亜に向けて発しながら、彼女の手を取った。
「さあ、行こうぜ。俺たちのデート。いつもの感じもいいけど、たまにはこういうのも悪くないだろ?」
「た、たまにはね。恥ずかしいから、ほんとにたまにね? 少年ってば、物好きなんだからー」
言いながら、二亜も恋人繋ぎの手を離さずに士道へ歩み寄る。恥ずかしいと、似合っていないと言いながら、二亜も今日のデートを楽しみにしてくれていたのかもしれない。そうだとしたら嬉しいと、士道は笑みを浮かべて愛しい二亜とのデートに望むのだった。
「二亜、狭くないか?」
「へーきへーき。このくらいならどうってことないっしょ」
そんな会話は電車の中で行われていた。満員というほどではないが、多少の混み合いを見せる電車内。独特の揺れの中、はぐれないように扉前で固まって言葉を交わす。
「へぇ、案外慣れてるんだな」
「逆になんであたしが慣れてないって思ったのさ。あたし、少年との初デートにしっかり電車使ってたじゃん」
「や、最近は家に引きこもってるイメージが強くてな……」
「誰かさんと誰かさんのせいでね!?」
そうだった。二亜は自宅での仕事を生業としているが、特別引きこもりすぎるということはない。原稿が修羅場になったら引きこもらざるを得ないが、秋葉原に自ら繰り出して好みのものを物色、他にも漫画資料のために視察などアクティブな一面が多い。そもそも、お調子者の性格が見られる時点でアクティブでないわけがない。言うなれば二亜は、
ただし、二亜が若干つり目で声を上げた通り、最近は強制的に家に閉じ込められる案件が多い。言うまでもなく、主犯はマリアである。士道が加担していないとは言っていないが。
「ところでさ、少年」
「ん、なんだ?」
「――――しないの?」
ドクン。心臓が、不自然に跳ねた。二亜が扉の窓に身体を向け、士道に無防備な背中を晒す。
「……何をだ?」
「んもー、こういうところですることなんて、少年的には一つしかなくない? あたしを辱めたいとは、
「っ……!」
下半身で大人しくしていたはずの肉が、二亜の誘いに血を滾らせ始める。スカートに包まれ、普段とは装いの異なる二亜。そして、人気の多い電車の中――――確かに、士道好みのシチュエーションだ。
「へぇ……
揺れるスカートに、士道は手を這わせた。電車の揺れで触れ合う、などという生易しいものではなく、露骨に二亜の臀部を撫で上げる。
「っ……♡」
瞬間、二亜が顔からぶわっと勢いよく熱を持つ。自分から誘ったというのに、二亜らしい良識のある反応。電車の中という公共機関で、男の手を自らの身体に導く――――無理をしていることは簡単に伺いしれた。
「……無理しなくていいんだぞ。今日は――――――」
「いいから、やってよ。少年のしたいように、してほしい。あたしを大事にしてくれるのは嬉しいけど――――たまには他の子みたいに、してほしい♡」
――――本当に、可愛らしいことを言ってくれる。
羞恥心に苛まれながら、士道に激しさを要求する。確かに士道は、純朴な二亜への可愛さからあまりハードなモノは要求してこなかったが、それを我慢していると思われてしまったようだ。
別段、我慢しているつもりはなかった。が、こうして誘われてしまっては、結果的に我慢しているのと同じかもしれない――――
「いいぜ。二亜がしてほしいっていうなら――――俺だって、したくなっちまうよ」
容赦なく、二亜の身体に手を這わせる。大胆に、それでいてがっつき過ぎないように。
布生地に遮られた二亜のお尻。スレンダーな二亜らしく、小さめの愛らしい臀部。さわりさわりと撫で回し、グッと鷲掴みにする。
「ひ……っ♡」
露骨に肢体を跳ねさせる二亜。短い悲鳴が、まるで本物の痴漢に合っているようだと士道の欲がぐんぐんと引き上げられていく。
円を描くように尻を撫で回し、二亜の細い足に指を這わせる。段々と窓側に押しやり、二亜の耳に口元を当てて囁いた。
「痴漢される気分はどうだ?」
「っ……し、死ぬほど恥ずかしいに決まってるじゃん……っ♡」
士道に後生大事に扱われ、元の良識からも二亜はこういった羞恥には弱いのだろう。声が上擦り、手で口を抑えて全身を震えさせている。
ただ、拒絶の意志は見られない。もっとも、今さら見せられたところで可愛いとは思っても止まろうとは思えない。
「そっか。じゃあ……もう少し、
「へ……ひぃっ!?♡♡」
二亜の甲高い悲鳴と、彼女のスカートの
「ひ、ぁ……っ♡ や、やだ、なにこれっ♡ あぁっ♡」
「あんまり大きな声出しすぎると、気づかれちまうかもな?」
「っ♡♡」
突如現れた未知の振動に翻弄される二亜をからかってやれば、途端に両手で口を抑えて声を堪え始める。もっとも、そうなれば下半身には意識がいかない。
しかも、士道の手は相変わらずお尻や足を撫でて止められていないため、二亜は知った感触と知らない快感、加えて周りの視線という羞恥とも格闘させられていた。
「少年っ♡ あたしの膣内になにか、いれて――――んぁぁぁぁっ♡♡」
ブブブッ、と膣内の振動が激しくなり、二亜が腰砕けに扉へ寄りかかる。激しくなりというより、士道が二亜が声を我慢できなくなるほどに
声に色気が増し、二亜の肌が羞恥だけでは得られない興奮の朱色を帯びていく。その隙を狙い、フレアスカートを一気に捲りあげて内部に手を突き入れた。
「ちょっ、何して――――んぁ♡ ひ、あっ♡ あっ♡♡」
「しーっ。ほら、周りの人が見てるぜ?」
「っっ♡♡ や、やだ……もっと、あたしを隠してっ♡ あぁぁぁぁ……♡」
――――もちろん、見られているなんて嘘っぱちだった。
それでも、扉側に顔を向けて両手で抑えきれない嬌声を発する二亜に確認の余裕などない。むしろ、こちらを見る視線など絶対に向き合いたくないものだろう。
二亜のご希望通り、彼女の身体を隠すように覆い被さる。という名目で、扉側により追い詰めていく。スカートの中に入れた手で二亜の内腿を撫で、握る。
「こ、れ……ローター♡ あたしの膣内で、動き回って……るぅ♡♡」
ビクッと二亜の身体が鋭く痙攣し、足先が立つ。マリアに調教されているのもあってか、ローターと肌を撫でる刺激だけで軽くイッてしまったようだ。
突如として膣内に現れた異物の正体を言い当てられ、士道は上機嫌で二亜の臀部を
「正解。〈
「ほ、他のところで気を遣って、ほしかったかなぁ……っ♡ て、ていうか、あたしのお尻に何か当たって……んっ♡♡」
二亜の艶姿と甘美な声に、士道の肉棒はとっくに臨戦態勢だ。取り出し、二亜のお尻の形が浮き上がるまで力を込めてスカートを押し付け、その上で肉棒を擦り上げる。
「しょ、しょうねーん♡ それは、ちょっと変態的すぎるんじゃないかにゃあ……♡♡」
自身の臀部に押し付けられているモノの正体に気づき、二亜がからかうように言ってくる。まあ、確かに電車内という閉鎖空間でとんでもないことをしているのは事実だ。
しかし、今の二亜にそれを言う資格はない。
「それを言うなら、二亜だってこんな場所でマンコにローター入れる変態だろ?」
「っ♡ それはっ♡ 少年がむりや、りぃっ♡♡」
声音が一段跳ね上がる。我慢していたようだが、またイッてしまったらしい。容赦せず、二段階ほど出力を上げてから声をかけた。
「そうだな。二亜は無理やりされてるだけだもんな。それで感じてる変態ってだけだ」
「う、うぅ♡ あぁぁぁぁぁっ♡♡ はげ、しぃ♡♡ い、ぃぃぃぃっ♡♡♡♡」
ぷしゃっ、とスカート内から水飛沫が鳴る繋がらない言葉とは裏腹に、秘部の叫びは好調そのものだ。
もはや二亜の顔に朱色以外が見られないように見える。が、止まらない。そんな二亜が相手だからこそ、士道は止まることができなかった――――二亜のトップスの裾に手をかけ、捲り上げる。
「へ――――やぁっ!?♡」
一瞬の抵抗が見えたが、動きの速さで二亜が敵うはずがない。可愛らしいブラを上げさせ、小ぶりな丘の先っぽが愛らしく尖頭した乳房を電車内で露出させる。
「あぅっ♡♡」
そして、服を下げさせないために扉に身体と胸を押し付けさせる。透明な窓の先は、高速で動く景色に彩られた〝外〟だ。
擬似的な野外露出を強いられた二亜の羞恥は、察するに余りある。抵抗を試みて足掻いたところで、力でも士道に敵わない二亜ではガラスに張り付けた乳房を救出などできるはずもない。
「はな、してっ♡ しょうねん♡ やめてっ♡♡ お願いだからっ♡♡ あ、あたしの……っ♡」
「うん。二亜の柔らかいおっぱいが外に丸見えだな。擦り付けたら、もっと気持ちいいんじゃないか?」
「ひぅっ♡♡ あっ……あひっ♡♡ ち、乳首いたいっ♡ いたいからぁ♡♡」
とても〝痛い〟という声音ではなく、窓に上下左右に擦れて勃起した乳首で〝気持ちいい〟の間違いだろう。
ローターの刺激と乳首扱きで責め立てられ、スカートの中から濃密な雌臭が士道の鼻腔をくすぐる――――とはいえ、ここまでかと士道の思考がブレーキをかける。
今はデート中な上に、相手はこの手のプレイには慣れていない二亜だ。楽しみ方は他にも十分ある。ここで切り上げて――――――
「――――士道っ♡ あたしが悪かったから、もうゆるしてってばぁ……♡♡」
プツンと、何かが切れた。僅かに顔をこちらへ向け、涙と蕩けた表情で士道へと
今すぐに、二亜を抱きたい。それも、彼女が飛びっきり
「……ごめん。この後、埋め合わせはするから」
「え……ひゃっ♡ な、なにっ!?♡♡」
謝罪だけは何とか入れてから、二亜を強引に引きずり、抱き上げる。そうして、
電車内で腕を縛り上げられ、胸を露出する
「へ、あ……え?♡ なに、これ……っ♡♡」
現実が理解しきれない二亜が、心臓の鼓動を早めていく。士道にはその心音が手に取るようにわかる。
電車内という公共機関の密室でとんでもない姿にされたこと。野外露出という羞恥感。誰も自分を
「二亜」
「へ――――いやぁっ!♡」
その上で、責め立てる。手を縛り上げられ抵抗を封じられた中で、士道はスカートを捲り上げて二亜の下着を見せびらかす。
愛液に濡れ、水が滴るショーツ。中からは相変わらず激しい振動音が響く中、士道は誂えた下着のデザインに目をつけた。
「すげぇエロい下着履いてるな……俺のために履いてくれて、嬉しいよ」
「そ、そうだけど♡ そう、だけど……こ、これ、なに?♡ あ、あたし、電車の中で、下着見せびらかして……る?♡♡」
悲鳴から混乱。混乱からの把握。グルグルと目を回し、身体は快楽で痙攣している。公開露出という未知の世界に、二亜が翻弄され続ける。
当然、今の士道に情けや同情心はない。ずぶ濡れのクロッチ部をズラし、混乱しっぱなしの二亜の不意を突く形で――――肉棒を挿入した。
「あ……あぁぁぁぁぁぁっ!?♡♡♡♡」
揺れる車内に響く、雌の嬌声。しかし、それを知覚できるのは士道のみ。膣内に潜り込み、子宮を穿たんと突き進んだ肉棒の先端が、暴れ狂うローターと接触し、二人で揃っておかしくなりそうな快楽を享受する。
「く、っ……ローター入りってのも、なかなかだな……っ!」
「あっ♡ あんっ♡♡ 少年のおちんちん、膣内に、挿入れられて……ぇっ!?♡♡」
バックから突き上げ、膣内で暴れていたローターを指では届かないほど深くに押し込む。後先など考えず、膣壁と亀頭を揺らす小さな淫具を奥へ、奥へ――――子宮へ。
「んぎっ!?♡ あ、あ、あぁっ♡♡ 子宮っ♡ あたしの子宮こわれるっ♡♡ ふる、えて――――イクゥ♡♡♡♡」
粘液が独特の音を奏で、電車内の地面に散乱する。恐ろしい勢いで振動するローターが、肉棒のピストンで子宮にまで押し付けられ二亜に未知の快楽をもたらしている。
心地がいい。だが、まだだ。バックで突き上げていた二亜の膝裏を
「ひ――――お゛ぉっ!♡♡」
ごりゅっ、と二亜の膣内からえげつない音がした。もしかしたら、ローターが子宮口にくい込んでしまったのかもしれない。
強制的に背面駅弁で貫かれ、
「二亜、二亜、二亜――――好き、だっ!」
「いまっ♡ 言うことじゃ、ないぃっ♡♡ おくっ♡ もう、むりぃっ♡♡」
「ごめんっ! あとで絶対埋め合わせするから――――
あまりに一方的な宣告で二亜の身体を突き上げ、亀頭から濁流のような精液を流し込む。ローターごと子宮へ押し流し、ドロドロとした半固体の粘液が振動を軽減……などするわけがなく、子宮に溜まるザーメンが打ち震えて二亜を絶え間なく責め立てる。
「あ、あーっ!♡ イクっ♡♡ イッてる♡♡ ザーメンぶるぶるしてっ♡♡ お……お〜♡♡♡♡」
意識が飛びかけた間延びの声。蕩け、口を開き、彼女の視界が明滅する。しかし、肉棒とローターの刺激が二亜の意識を覚醒させる。又は、マリアとの情事で耐性があるのかもしれないが――――どうであれ、目的地まで二亜が犯され続けることには変わりなかった。
「ごめんな二亜、機嫌直してくれないか?」
「あたし別に機嫌悪いわけじゃないから、その……とりあえず離してくれない?」
二亜を抱きしめ、座る。街の適当な場所ですることではないのだが、今は二亜の機嫌を直すことが先決だった。
もっとも、二亜は士道の手の中で恥ずかしげにしているだけで機嫌が悪いというわけではかったのだけれど、構わず抱き締める力を強める。
「俺から離れたいってことは、やっぱり機嫌が悪いんだな」
「少年自意識過剰すぎない!? 外でこれ見せつけてるのが恥ずかしいって言ってんの!」
「ああ、初心い年上彼女って感じでいい……」
「外でこんなことされたらあたしじゃなくてもそうなるわ! ていうかさり気なく立場逆転すんなー!」
バタバタと暴れる二亜だが、士道の拘束、もといハグは緩まない。暴れたところで、二亜の身体から香るいい匂いが士道の鼻腔をくすぐり楽しませるだけである。
何気に二亜って身長高いんだよなー、など彼女の怒りをなんてことなく受け流しながら純粋な感想を抱き、そして二亜を抱き締めながら返す。
「だってなぁ、二亜が初々しくて可愛すぎるのが悪いだろ」
「何でもかんでも相手が悪いことにすんなつーの! こんにゃろぉ……いつかあたしの淑女モードで返り討ちにしちゃるからね!」
「楽しみにしてるぜ」
それはそれで楽しみだ。と告げてから、長い時間をかけて二亜を離す。電車であれだけのことをしたにも関わらず、二亜のコーデは変わらぬ形を保っていた。無論、士道の仕業だが。
「……けど、本当にごめん。せっかくのデートなのに」
「あーもういいって。言い出したのあたしだし、少年のことだから他の子とのデートでも変わらないんでしょ?」
「まあ…………………………うん」
「そこは認めたくないんだ……」
半分呆れた顔で笑う二亜に、途端にバツが悪い顔を返してしまう。デート中に発情期の猿より酷い行動の前科がありすぎて、認めたくないが認める他ない。当然、先ほど二亜にしでかしたことも前科の仲間入りを果たしている。
「折り合いは付けてるんだけど、終わったあとはどうしてもな……」
「ダイナミックな賢者タイムだねぇ。ま、あたしはホントに気にしてないから」
「死ぬほど恥ずかしかったけど?」
「許しを乞う立場なのに一言余計だぞー。てか、おねーさんの魅力にクラクラした少年が言えることかい?」
「自分でおねーさんって……この前まで――――――」
「言わせないからね!?」
そろそろ会話のキレがいつも通りになったところで、二亜と手を繋いで歩き出す。少々予定は異なってしまったが、デートはここからが本番だ。
結果的にではあるが、二亜の緊張も程よく解れた様子が手のひらから伝わってくる。やり方は最悪だったが、本当に結果だけは上々なものだと苦笑する。
「ねぇ、少年」
「ん――――服、似合ってるぞ」
一言を告げれば、可愛らしい服で可愛らしい赤面を二亜が披露する。これが日常的におちゃらけた二亜と同一人物なのだから、ギャップというものは恐ろしいものだ。
どちらであろうと、士道が二亜を好きな事実に変わりはないのだけれど。
「な、何で先に言うの!?」
「わかったから、かなぁ? これでもっと信じてもらえたか」
「ぐぬぬ……前の純朴な少年は一体どこへ……」
「二亜へじゃないか?」
無理をしない自然体の姿――――どちらも二亜だからこそ、どこまでも愛おしく、士道は彼女と手を繋ぎ合っていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「――――で、普通に色んなところ歩いて、一緒にご飯食べて帰ってきた。うんうん、なかなかの良好デートじゃない? やー、二亜ちゃんの魅力に少年ベタ惚れって感じ?」
「…………」
大変上機嫌にデート内容を語る二亜の頭に、マリアは湯桶に入れたお湯を頭からぶちまけた。
「うばぁっ!? ……ちょ、いきなり掛けないでよ!」
「はぁ。二亜が甘々すぎて何も言う気になりません。どうしてそこで、士道をホテルに連れ込むという選択肢がないのか……」
「毎回毎回ズレた意見嘆かわしいみたいに言わないでくんない!?」
逆に嘆かわしい以外に何があるというのかと、マリアは仰々しいため息を吐いた。
あれだけ気合いを入れたコーデをして状況を整え、平然と帰宅した時はマリアも空いた口が塞がらなかったというもの。二度目のため息を吐きながら、今度はマリアは風呂椅子に座り二亜に身体を洗ってもらう。
「まったく、士道は二亜を可愛がりすぎています。少しは強引にしていいというのに」
「ねぇねぇ、あたしの人権考えてくれると嬉しいんだけどなー」
「…………」
「無言で手を下に持っていってあたしを襲うスタイルを取るな!」
マリアとしては不甲斐ない二亜を今すぐ躾たいところではあるのだが、デートの余韻に浸る幸せそうな姿を見て思いとどまった。二亜が相手であろうと、幸せな時間の余韻を台無しにする趣味はない。
「ですが、次こそはホテルです。ラブなホテルですよ」
「ロボ子らしからぬ雑な表現しにゃいでほしいにゃー。まあまあ、次はあたしの年上的な魅力で少年をバッチリ誘惑してみせるから任せとけって」
「大人(笑)ですか。数行だけ見せた後に、化けの皮が剥がれること間違いなしですね。あなたはその似合わない純朴さで勝負をしてみてはいかがです?」
「褒めるのか貶すのかどっちかにして、それから言動を一致させてくんない?」
とまぁ、くだらない会話と反省会をしながら身体を洗い流し、共に湯に浸かる――――そんないつも通りの日常、二亜が帰宅したことに仄かな
本当は映画館でフェラやらラブホでイチャラブやらだったのに電車シーン増えて力尽きました。二亜デートはリベンジしたいけど純情エッチが目に見えてると言うかぁ……。
意外と常識人というか常識があるというか、ネタ方面ならぶっ飛ぶけどガチだと奥手な二亜ちゃん概念。士道くんがここまで遠慮(当社比)するの二亜くらいでは?本人すらしてくれないと自覚している純情エッチ型は伊達じゃない。実際凌辱ちっくなのって彼女の過去的にシャレにならんので士道くんも無意識に甘くなっちゃうってことで。ぶっちゃけその辺に突っ込んでいけるのがマリアだとは思いますけれど。そのうちやるかもね。
(多分マリアが寂しがってるだろうから早めに帰すか)くらいの紳士はしてそうな感じある。ナチュラルに百合の距離感バグらせるの好きすぎか?士道くんに似て支配欲ならぬ管理欲と複雑なツンデレを二亜にキメてるマリアの話も書きたいですね。……どっちかと言えば士道くんと揃ってヤンデレですけど(小声)
感想、評価、リクエストなどなどお待ちしておりますー。ないと寂しくなります、私が。リハビリ挟んでノリもそろそろ戻って来る頃です。まあ次回は初期の懐かしさを感じられるかもしれませんが。
ではではまた次回〜
新シリーズになっちゃった十香単独回。アビス本編のマジなマイルド版って感じです。ていうか、狂三も令音さんも士道くんと素直にくっつかせないからな(はぁと)してるから十香っていう王道相思相愛ヒロインだとなんというか、やっぱり王道という感じですね(語彙力)互いを大事にしてる甘カップルな直球イチャラブ特化シリーズになる、かなぁ?