君色paranoia 作:うに丸
翌日、春歌は元気に起きた
あれから美風の姿は見なかったので帰ったのだと思い
キッチンへ行くと
【起きたら 冷蔵庫に置いておいたから食べなよ】
とメモを見て冷蔵庫を開けたら
みかんがふんだんに使われているゼリーが置かれていた
(…美風さんが作ってくれたのかな…)
そのゼリーを部屋のテーブルに置いてから 洗面所へと向かい
春歌は顔を柔らかい泡で洗った
髪の毛を櫛でとかし 歯ブラシに歯磨き粉をつけて磨く
水を口にいれてうがいをしている時
また部屋の呼び鈴が鳴った
「は!はい〜!!」
春歌はまた美風が来たのか?と心の中で思った
慌てて部屋の扉を開けると
「おっはー!後輩ちゃん」
「こ、寿せんぱい…!」
嶺二が扉の前に立っていた
「アイアイから聞いたよ、熱出たんだって?だからどうしてるかな?ってお見舞い」
袋を差し出してくる、中身は果物と飲み物だった
「すみません…ご心配おかけしました…」
お辞儀をした際 視線を下ろす
その時嶺二の手が春歌の頭上を撫でる
「後輩ちゃんは何も気にしなくていいんだよ!あそこの控え室寒かったからね〜!」
ニコッと優しい微笑みで気を使ってくれる嶺二
「寧ろ僕こそ 邪魔しちゃってごめんね!」
きっとあの時の現場の事だろう。
「こ、寿せんぱいは何も悪くないです!邪魔もしてないです!」
「え?でも…あれは」
「違います!イチャついてなんかないです…あれは、、、」
「あれは??ん?」
嶺二が困った顔で春歌の顔をじっと見ている。
(あ、あれは…)
あたふたしていると
「何してるの?」
「アイアイ〜!おっは〜!」
美風藍も春歌の元へと訪れに来た
「もう大丈夫なの?」
「あ!はい!ありがとうございます…!それからゼリーも…」
「アイアイが誰かの為に頑張るなんて珍しいね〜!れーちゃんにも今度作って欲しいな」
「馬鹿じゃない?何言ってるの」
「酷いなぁ!アイアイ〜」
美風さんの寿せんぱいへの対応はいつもこんな感じだ
世間一般でいう塩対応に近い何か
それでもカルテットナイトの皆さんは何だかんだ仲がいい
「じゃ、ボクこれから仕事だから」
「そっか〜!またね、アイアイ」
「わざわざ来てくれてありがとうございますす…!」
そう言い残し美風はその場から去っていく
「あ、、、そうだ!ちょっと待ってくださいね!」
そう言い残し春歌は部屋の中へと消えて、ベッドの近くへ置いていた嶺二の服が入った袋を持ち また部屋の入口へと戻る
「これ!忘れ物です、寿せんぱいの…!」
「あ〜!これ!無くしちゃったと思ってた!ありがとう、後輩ちゃん」
袋を受け取る嶺二
「いつもそれ着てますよね!その服着ている時のせんぱい、とても素敵です」
春歌がそう笑顔で嶺二に対して呟く
すると嶺二の顔が段々暗くなっていく
「寿せんぱい…?」
「これ昔亡くした好きな人が記念日にくれたものなんだ」
(………え)