『プリズムの瞳』 機動戦士ガンダムビルドダイバーズ 作:ビルダー林檎
「この世界の敵を倒さないと、世界が滅ぶ?」
___それはあまりにも支離滅裂な話だった。
黒の国に連行された彰人を待っていたのは、過酷な拷問でも無ければ尋問でも無かった。数日間独房に捕らえられた後、面会として黒の国の男が彰人の独房を訪れた。案内された部屋の中、薄暗くカビ臭い部屋の一室で見知らぬ男と机越しに向かい合う。彰人の目の前にいる男は黒の国の諜報員だという。そしてこの目の前にいる男も、彰人達の現実世界から来たと言った。
「馬鹿馬鹿しい。」
「本当にそう思いますか?」
「当たり前だろ。こんな訳の分からない話‥‥!」
彰人は心の底から馬鹿馬鹿しいと思っていた。どうもこの男の話によれば、この世界には災厄が降り注ぎ、それによってこちらの世界は滅ぶと同時に向こうの世界も同規模の災害によって地球は人が住めない惑星になるというのだ。
どうにも胡散臭い話だが、目の前のこの男はその説を信じているようだ。
「貴方は何故この世界に来たか分かりますか?」
「勝手に質問を変えるな。突然来たのだから知るわけないだろう。」
「そうですか。では、近しい人を亡くしたり精神的に大きな動揺があった時、何か変わった風景を見ませんでしたか?夢のようでいて現実感があるような光景です。」
「心当たりはあるが、それが何の関係……。」
「結論から申しましょう。私や貴方や柊様の様に特殊な瞳。見る者によって様々な世界の色を写す瞳。世界を観測する瞳。」
「仮に"プリズムの瞳"とでも呼びましょうか。これを持つものは世界を渡る能力を秘めています。それこそ刻を渡ると言われるガンダムのNTのようにね。」
「————っ?」
「貴方は初代ガンプラバトル大会の優勝者をご存知でしょうか。ビルドストライクガンダムとその機体が纏う青色のプラフスキー粒子を。」
「その人なら名前と機体だけは知ってる。実物のガンプラをプラフスキー粒子で動かしてバトルする旧ガンプラバトル。そのチャンピオンだよな。今みたいなGBAとは違う。本当にアナログな頃の。」
「なるほど。ご存知でしたか。ではそのチャンピオンがもしも"異世界の者"だとしたらという説もご存知ですか?」
「そんな訳ないだろ。確か初代チャンプである二人は優勝の後公式のバトルを引退した筈だ。イオリ・セイも純粋な日本人だ。」
「ええ。そうですね。ならばその引退理由として初代チャンプのコンビの一人であるレイジがこの世界に戻ったから。というのは?」
「更にこの世界のMSの基本原理がガンプラをモデルにしていたとしたら。我々の世界のプラフスキー粒子搭載機がこの世界では”ガンダム”と呼ばれていたその理由も辻褄が合うとは思いませんか。」
「しかしそれは君の推論でしか無いだろう?」
「証拠ならここにございますよ。」
「これは……まさか!そんな馬鹿な。」
思わず言葉を失う。男がモニターに表示したこの世界の宇宙にある物体。これは彰人やその他大勢のガンダムマニアが良く知っているものだった。
「スペースコロニー……なのか?」
宇宙に浮かぶ筒状のスペースコロニー。本来ガンダムという空想世界に登場するはずの巨大な建造物がそこにはあった。
「ええ。そしてこのコロニーは地球に落ちます。」
「……何故だ。何の必要があって?いや、そもそもこの世界にコロニーがあるなんて。何処の国にそんな技術があったんだ。」
「あの日。アリアン国の王子がこの世界に帰還したあの日から、この世界はおかしくなり始めました。」
諜報員の話は支離滅裂な内容だったが、その筋は
アリアン国の王子が再びガンプラバトルをやりたいと、アリアンを中心としてMSの開発が始まった事。プラモスキー粒子を応用したコロニーを建設し、アリアン国とコロニー内でMSを用いたガンプラバトルを模したバトルイベントが流行った事。当然プラスチックなんて無いために、この世界ではプラスチックによく似た素材を用いてMSを作った事。王子亡き後そのガンプラバトルに使用されたMSが次第に軍事に用いられた結果、各国が独立を宣言し出した事。数十年に及ぶ戦争の後、MS開発技術は封印されたが黒の国が再びMSを開発し各国を統合しようとまた戦争を始めた事。
「戦争というものは、人を歪めます。」
男は淡々とした口調で語る。
「本来、人を楽しませるはずのガンプラやガンプラバトルが時代を経るごとに次第に曲解され、今では人殺しの道具と成り下がっている。」
男は尚も語り続ける。
「ガンプラはそんなことのためにあるんじゃない。」
彰人は男の言葉を遮る。それ以上聞きたくはなかった。父との思い出でもあったガンプラが、この世界では戦争の道具として使用されている事実に彰人はショックを隠せない。無邪気にガンプラで遊んでいた隼人が、やむを得ないとしても人を殺してしまった事も彰人の心に深い影を落としていた。
「仮にその話が本当のことだとしよう。だがコロニー落下を仮に阻止したとしても、戦争は終わらないんじゃ無いのか?」
「終わらないでしょうね。」
男は少しも迷う事なく、はっきりと言い放つ。
「既にこの黒国を始めとして、各国は戦争による憎しみに囚われ始めています。我々の世界でいうところの第一次世界大戦のように。」
「大量殺戮兵器も今はまだ有りませんが、このまま技術が進めば開発に至るのも時間の問題でしょう。」
「詰まるところ、この世界に平和はまだ訪れない。生物兵器、化学兵器、核兵器といった大量殺戮兵器の登場による仮初めの平和を甘受している我々の世界以上にです。」
「そんなの、そんなのは……なら隼人は。」
隼人やフランだけではない。この世界の人間は現実の世界と同じ過ちを繰り返すというのか。また血が流れると言うのか。彰人は憤る。拳を強く握った。溢れ出る怒りを抑えきれない。
「なら、あの男やお前達は何なんだ!こんな世界で満足なのか!?この世界にいたらいつ死ぬかも分からないんだぞ!」
咄嗟に、男の胸ぐらを掴む。理解出来なかった。
「そうですね。確かに、この世界にいたら死ぬのかもしれません。だが強いて言うなら……。」
「……命を奪う時というのは元の世界では得られない快感なんですよ。本当に、本当に充実感がある。」
男は焦点の定まらない虚ろな瞳を浮かべ、更に陶酔した口調で話す。
「元の世界では人を殺したら捕まるでしょう?だが、この世界では英雄です。戦争?平和?それが何になるというのでしょうか。僕は僕が幸せならそれで良い。」
気が触れたように話す男の声色には、聞き覚えがあった。かつて彰人が戦ったあの男の声。周囲の者のことなど考えない一方的な声色。
「お前だったのか。あの時のガンプラは……!」
「おや、今更気付いたのですか?鈍い人だ……。」
「情報には感謝する。が、やはり俺はお前らの考えは理解できない。お前達は異常だ。」
彰人は男の目を見ながらはっきりと言った。
「貴方が思うよりは健康です。しかし残念です。貴方のような優秀な人材は貴重だったのですが、仕方ありませんね。」
男は腰から銃を抜き彰人に向ける。対する彰人も怒りを抑えられなかった。例え撃たれたとしても、こいつだけは許せなかった。技術や知識があるのにも関わらず、戦争にそれを使う。それは
彰人が男に飛びかかろうと構えたその時だった。男の後ろの扉が突如破られ、勢い良く飛び込んできた男が手に携えていた大太刀でそのまま流れる様に斬りつける。一瞬の出来事だった。斬りつけられた男の胸からは鮮血が溢れる。
「がぁっ!嘘だ!……ぼ、僕は、僕はこんなところで死ぬ訳がな……。」
男は苦痛に顔を歪めながらも、尚も銃を撃とうとするが、その腕ごと断ち切られた。
「……!!」
なす術なく、男はその場に崩れ落ちる。ピクリとも動かない。出血多量によるショック死なのかは分からないが、どうやら絶命したようだ。
「危ねぇ所だったな。」
大太刀に着いた血を振り払いながら、小狼が淡々とした口調で答えた。
「小狼……!お前、生きていたのか!」
「あぁ?すっとぼけんなよ。お前だろ。
ガンダムツァーリ(ツァーリとは皇帝、君主の称号)はダブルオーザンライザーをベースに作られていた。だが、こちらの世界の知識不足なのか、オーライザーの脱出機能が正常に機能していなかったため、彰人が手直ししたのだ。
恐らく、トランザムを使用した後にオーライザーの脱出機能が働いたのだろう。
「あーあ。ったく。華々しく散ろうとした矢先に水をさされたぜ。だが感謝する。お前の調整は完璧だった。」
小狼は頭を軽く下げた。彼なりの礼儀なのだろう。
「小狼‥‥その、ありがとうな。」
その様子を見ながら、彰人も礼を述べた。
「へっ!礼を言われるのはここを出てからだな。」
「ああ!」
「ああ、後お前の機体も見つけたぜ。金ピカだから直ぐに分かった。」
「マジで!?お前すごいな!」
扉を開け、小狼の誘導に従いオルタナガンダムがあるとされる格納庫へと急ぐ。途中何度か襲撃にはあったが、その度に小狼が太刀を振るい敵を薙ぎ払っていく。彰人もあの男の銃を持ってきてはいたが、まだ生身の人を撃つのには抵抗があった。
「ここだ!」
格納庫の中でオルタナガンダムを発見。二人は何度か銃撃を受けるも、無視して走り続ける。オルタナガンダムのコックピットに小狼と乗り込み起動させる。幸いな事に中身は弄られてはいないようだった。
「動かすぞ!」
「行け!アキト!」
オルタナガンダムのフェイスマスクが赤色に輝く。メインスイッチを点火し起動。イーゲルシュテルンで格納庫に穴を開け、強引に脱出した。
金色の獅子が檻から解き放たれ、空を駆ける。小狼が後部に乗っているために、強力なGがかかる可変形態は使えないが、MS形態のままでも飛行に支障はなかった。
改めてオルタナガンダムの素体であるデルタガンダムのポテンシャルの高さを思い知らされる。黒国の城下町が見える。赤国と比べると規模が大きい。街全体には活気があるように見えたが、今はそれどころでは無い。彰人はペダルを踏み込み、オルタナガンダムを加速させた。目標は赤国だ。しかし突如、視界が黒く染まる。空の彼方から迫る黒の機体。
(やはりそう易々とは逃がしてくれないか。)
彰人は唇を噛んだ。
「小狼。少し揺れるぞ。」
「気にすんな。俺は大丈夫だ。全力で行けよ!!」
黒国の機体____ガンダムテンペストが姿を現した。
「現れたか。黒の機体。」
「駄目じゃ無いかぁ〜!僕達の国にいないと!」
「そこをどいてもらうぜ。コロニーを壊しに行かないといけないんでな。」
「うふふ。あいつから話を聞いたんだね。その様子を見るとあいつを殺したんだろ?彰人君が仲間になれば百人力なのになぁ〜!」
「俺はお前らに協力する気は無い。例え目的が一緒だとしてもな。」
「なら、僕達は敵同士だよね。……さようなら。彰人君。」
「お前の方こそな。」
殺意と殺意がぶつかり合う。彰人は羽々斬刀とビームサーベルを抜きガンダムテンペストに迫る。ガンダムテンペストも腕の固定型ブレードを伸ばしオルタナガンダムを叩き斬ろうと腕を振るう。あれだけの質量が直撃すれば即死だろう。だが彰人はあえてブレードをビームサーベルと刀を交差させ受け止める。受け止めると同時にオルタナガンダムのブースターを吹かし剣の勢いを殺す。ブレードの動きが止まった一瞬を見逃さずイーゲルシュテルンでガンダムテンペストを攻撃。傷が入るガンダムテンペスト。しかし傷が瞬時に治っていく。やはり少量の傷では効果は無いようだ。ならばと彰人はブースターを一瞬止め、ブレードを回避。ガンダムテンペストは更にブレードを振り回し続ける。
まさに
リーチの長いハイロングブレードが上から下から右から左からと、縦横無尽にオルタナガンダムを狙う。それらの攻撃の軌道を読み器用に回避する彰人。ガンダムテンペストも強力なMSであることは間違いない。だが彰人の駆るオルタナガンダムも異常な動きだった。世界大会出場選手の純粋な操縦技術の前にはガンダムテンペストも捉えきれない。
(こいつ、エリックや父さんに比べたら全く駄目だな。射撃の腕も総一郎には届かない。)
これまでに戦ってきたビルダー達の顔が頭を過る。色々なビルダーがいたが、共通していたのは、ガンダムに対する想いや自身のガンプラに対する愛着だった。彼らに比べれば、目の前に対峙しているこのMSなど対した敵では無い。
(なっ……何故だ。これまでの彰人君の動きじゃ無いよ〜!)
焦りを覚えつつ攻撃を緩ませない。兎に角オルタナガンダムを近付かせまいとハイロングブレードによる攻撃を続けるガンダムテンペスト。だが腕に取り付けたビームマグナムによる射撃も掠りもしない。
男にとっても、オルタナガンダムの動きは未だかつて経験した事がない。ただ速いだけではない。攻撃が当たる前から予想され避けられる。自慢のナノマクロファージの自己回復によってオルタナガンダムのイーゲルシュテルンは致命傷にはなってはいないのが幸いだった。
(でもハイロングブレードが当たりさえすれば君は終わりだ。それに……えいやっ!)
ガンダムテンペストの背部に取り付けた8枚羽を起動させる。その1枚1枚が独立した大型のファンネルから更に小型のファンネルが多数射出される。
8枚羽とは見た目の通りファンネルである。ただしガンダムテンペスト本体とは違い、自己再生機能は無い。大型のマザーファンネルから小型のチルドファンネルを発射する。数百個のファンネルがオルタナガンダムを囲み、ビームを発射する。
(うふふ。これで終わりだよ。彰人君。楽しかったな。)
勝利を確信したが、目の前には信じられない光景が広がっていた。
オルタナガンダムが空を舞っている。対ビームコーティングされた機体で被弾を最小限にしているだけでは無い。羽々斬刀やビームサーベルを自由自在に振るいファンネルを次々に落としていく。イーゲルシュテルンでファンネルを落とし、ビームサーベルを投げそこにビームライフルを撃ちビームを拡散させファンネルを多数落とし、ファンネルを鷲掴みにしファンネル同士の同士討ちをさせるなど、ありとあらゆる方法でファンネルを攻略していく。
(ファンネルなんて多数の敵に囲まれているのと一緒だ。だから集団戦の戦い方をすればいい。)
彰人は父と遊んでいた時にそう教わったのを覚えていた。ビームコンフューズ、ファンネルジャック、飛び道具によるファンネル狙撃。
ガンダム世界のファンネル対策は多種多様だった。
彰人はその一つ一つを丁寧に実行しているに過ぎない。ファンネルの数が何個あろうと関係無い。オルタナガンダムはファンネルを駆逐し終えると、ガンダムテンペストに向き直り更に攻撃を続ける。ガンダムテンペストもハイロングブレードを馬鹿の一つ覚えのように繰り返し振るうが、当たらない。
(こいつ、あれだけの子機に囲まれているのに無駄がねぇだと!?)
小狼も振り回されるコックピットの中で見る光景を信じられないでいた。
オルタナガンダムがガンダムテンペストの懐に入りハイロングブレードの根元を切断する。ハイロングブレードが自重を支えきれず、 ブレードが千切れ落ちる。オルタナガンダムは咄嗟に背中に刀とサーベルを格納すると千切れ落ちたブレードを両手で掴み思うがままに振るう。横っ面を叩くようにガンダムテンペストの胴体にブレードを力の限り叩き付けた。
殴られたショックによりボロボロになるも、再生機能により再生を始めるガンダムテンペスト。だがブレード部分はその大きさから再生に時間がかかるようだ。オルタナガンダムはその隙を見逃さない。何度も何度もハイロングブレードをガンダムテンペストにぶつける。今までの怒りをぶつけるかのように。
殴られ再生する。殴られ再生する。その繰り返しだ。攻撃の速度は加速度的に増していき、ガンダムテンペストも自慢の再生が追いつかず次第に原形を留めなくなっていった。バラバラの破片があちこちに転がっていく。
「よし。こんなもんでいいかな。」
「なっ……!お、お前、まさか!?」
引きつった顔で小狼が彰人に問う。
「いいパーツが沢山手に入ったぜ。帰るぞ、小狼。」
オルタナガンダムは駄目押しと言わんばかりにガンダムテンペストをとことんまで破壊し尽くすと両腕に破片を拾い集めそのままその場を離れる。
(なるほど……こいつは、キレさせない方がいいな。)
歴戦の勇士の小狼すらも引かせる強さだった。小狼はこの時ハヤトが何故アキトを慕うのか、その理由が理解できた。
原形を留めていないガンダムテンペストのコックピットの中で、男は興奮していた。
(やはり彰人君は強いなぁ〜!僕のテンペストがここまでボロボロにされちゃうなんてね!)
衝撃でバラバラになった男の身体が再生していく。砕けた骨が、流れた血が、引き裂かれた四肢が元に戻って行く。
(あのコロニーは、彰人君達に丸投げするとしよう。その後で僕は‥‥うふ、うふふふ。)
赤の国。城内。静まり返る城内で、突如フランから彰人が帰って来たという知らせを聞き、隼人は飛び上がるくらいに驚いたと同時に嬉しがった。
(彰人さんが帰って来たのか!)
フランに構わず彰人の部屋に走って行く。
「彰人さんっっっ!!帰って来たんですね!ご無事でしたか!!」
部屋に入るなり、隼人が彰人に飛びつく。
「お、おう。……声でかいぞ隼人。今は夜なんだから抑えろ。」
隼人の肩を掴んだ。がっしりとしたその身体に似合わず、隼人の声が震えていた。
「彰人兄さんっ!!無事でよかった!良かったぁ‥‥」
その場にヘタリ込む隼人。後方にいたフランが何事かと血相を変えながら部屋に入る。
「騎士様。もう!時間帯をお考え下さい!城の者達はみんな寝ております!」
彼女は隼人にきつく言い放った。
「あ、ああ。ごめんフラン。よいしょっと。」
その場に立ち上がると、隼人は深呼吸をした。
「彰人さん。すみませんでした。でも、本当に帰って来てくださって嬉しいです。フラン。君も嬉しいだろう?」
「…………は、はい。嬉しいですよ。」
少し、間があった。
「あ〜!ごめんなフラン。2人きりの時間をお邪魔しちゃって。」
彰人は両手を前に出しながら、済まなそうに謝る。冗談のつもりなのだろう。
「もう!彰人様はすぐそういう冗談を仰る!」
膨れ面をしながら、フランは彰人に憤った。
「お、お前ら‥‥俺を忘れてねぇか?」
部屋の隅にぽつんと取り残されていた小狼が、珍しく抗議の声をあげた。
「あ、何だ小狼も居たのか。お疲れ様。」
よっ!といいたげに隼人は小狼に労いの言葉をかけたが、その様子からは全く誠意を感じられない。
「お前!アキトとの温度差激しすぎだろ!?助けたのは俺だぞ?少しは讃えようとか思わねぇのか?」
「でも君が生きてたのも彰人兄さんの改修のおかげだよね。」
「それを言われたらそうだけどよ……。」
「俺は小狼が居てくれなかったら死んでた。だからありがとな。小狼。」
「ま、まぁアキトが十分強いのは分かったし、俺もこうして帰ってこれたからいいぜ。これで貸し借り無しだな。」
素直に褒められたのが照れ臭いのか、小狼は横目のまま答える。
「本当に助かった。」
「彰人兄さん。生きててくださって良かった……本当に良かった。とりあえず今夜はもう休んでください。」
「隼人もフランも早く休めよ。ふぁ〜あ。眠い。しばし寝る。」
彰人はベッドに横になり始める。
「ハヤト。俺も今夜はここに泊まらせてもらうぜ。そのくらいはいいだろ?」
「ああ小狼。君はそこの床でゆっくり休んでくれ……いや嘘嘘。そんな顔をするな。ベッドでゆっくり寝てくれ。」
「明日また詳しく話そう。それにフラン。君も今夜は良く頑張ってくれた。休んでくれ。」
「はい。ハヤト様。それでは私はこれで失礼します。」
「フランそこはじゃあ私に頑張ったご褒美を下さいといって爪先立ちになってキスをせが」
「アキト様はおとなしく寝てて下さい!!良いですね。」
「は〜い。」
おやすみ〜と言い残し布団を被る。彰人自身、隼人達の前では心配かけまいと気楽に振舞っていたが、内心疲れ果てていた。囚われていた時に隼人達は無事なのか、現実世界はどうなっているのか、そして自分はどうなるのか。そんな不安が押し寄せていたが、こうして無事に帰ってこれたのは僥倖だった。
(母さん、文香、総一郎、エリック。みんな大丈夫なんだろうか?俺の体はどうなっているんだろうか。)
不安に押しつぶされそうになるのを必死で抑える。彰人は心身共に疲労が溜まっているのを感じていた。
第17話に続く
好きなガンプラは?
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オルタナガンダム
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シビュラブリッツ
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シルベリアアストレイ シルバーフレーム
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ペーネロペー
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