『プリズムの瞳』 機動戦士ガンダムビルドダイバーズ 作:ビルダー林檎
——戦闘が始まった。
抜刀したオルタナガンダムと未来のHi-Sガンダムが睨み合う。両機の戦闘力の差は歴然としていた。
彰人は牽制にイーゲルシュテルンを発射し距離を詰める。意外にも未来は引かず真っ直ぐ突っ込んできた。背部に搭載されたドラグーンも展開させていない。オルタナガンダムはHi-Sガンダムに斬りかかるが、相手もラケルタ・ビームサーベルでオルタナガンダムに同じく斬りかからんとする。ビームサーベル同士が鍔迫り合いになり粒子が爆ぜる。ビームサーベル同士が拮抗する中、未来が唐突に口を開いた。
「一つ面白い事を言っておこうか。君の父親が職を失った理由は何故だと思う?」
「何!?」
「貴明さんは実に息子思いだった。向こうの世界とこっちの世界を繋ぎ合せるサイコデバイスの設計者。……はぁ、困るんだよね。安易に世界を繋がれたら、こっちと向こうの世界を行き来できるのはーー僕ら瞳”アリスタ”を持つ者だけの特権だと思わないかい?」
Hi-Sガンダムが頭部から頭部バルカンを放ち、彰人は思わず後方へ下がる。鍔迫り合いが解け、その間隙を縫うかのようにビームライフルを放った。しかし、Hi-Sガンダムには全く当たらない。極限までに運動性を高めたストライクフリーダムに、サイコフレームによる共振で反応速度も底上げされた機体。
光の速さで迫るビームですら、目視で回避出来る程の化け物じみた動体視力。これらの要素が合わさり、未来とHi-Sガンダムはもはや誰も攻撃を当てることが出来ない。そう巷のガンプラファイター達の間では囁かれていた。
「どんなに速くたって……こいつのミサイルならどうだっ!!」
オルタナガンダムは尚も諦めず、ハミングバードの両肩部に搭載されたファンネルミサイルを放つ。
全弾発射。唸りを上げたファンネルミサイルが未来に襲いかかる。彰人にサイコミュの適性は無いが、今は真っ直ぐ飛ぶだけで構わない。放たれたミサイルに向け百雷でビームを撃ち爆散させる。爆散したミサイルの破片がHi-Sガンダムを襲うが、未来はHi-Sガンダムの腕に搭載されたMX-2200ビームシールドを展開。その全てを防ぎきった。
余裕綽々。未来は挑発するように彰人に対して語りかけて来る。その声色には嘲りの色が混じっていた。
「実に、君の父親を陥れるのなんて簡単だったよ。他人の個人情報を抜き取ったように彼のパソコンに履歴を残しただけで、無能な警察は君の父親を逮捕した。……更にいえば、君が世界大会で使用したデバイスに細工したのは僕さ。チートで君のガンプラを強化させてもらったよ。あの時の君に勝つのは骨が折れたよ。何しろ君は元から強かったからね、本当にぎりぎりだった。」
未来はドラグーンを起動させオルタナガンダムの四方からオールレンジ攻撃を繰り出す。黒いドラグーンが獲物を見つけた蛇の如く執拗にオルタナガンダムに迫った。
「ッ‥‥!……手強いッッ!!」
四方八方から繰り出されるドラグーンの攻撃を彰人はバーニアとスラスターを我武者羅に吹かしながら回避。更に宇宙空間を上下左右に素早く移動しながらイーゲルシュテルンとライフルで応戦する。ドラグーンを数機は落としたが、何発か喰らってしまった。ミサイルポッドに誘爆する前に両肩からファンネルミサイルのポッド部分をパージする。
(ハミングバード装備のオルタナガンダムに攻撃を当てるなんて……!)
未来の強さは圧倒的だった。ドラグーンのエネルギーが尽きる前にHi-Sガンダムの後部にドラグーンを格納すると同時に、ミサイルポッドを失い制圧力が落ちたオルタナガンダムに高速で迫る。彰人も慌てて二刀流で応戦するも羽々斬刀に何度もビームサーベルを集中的に当てられる。このままでは耐ビームコーティングがされているとしても、実体剣の羽々斬刀では刃が持たない。
彰人はイーゲルシュテルンを撃ち距離を取ると羽々斬刀を背中に格納し代わりにビームサーベルをもう一本携える。その隙を狙わんと迫り来るHi-Sガンダム。ビームサーベルが振られオルタナガンダムも負けじとサーベルで応戦し鍔迫り合いになる。チャンピオンの攻撃一つ一つがオルタナガンダムにとっては致命傷となる攻撃であり、全く隙が無い。イーゲルシュテルンを放つが、数発しか弾が出ない。ついに弾も切れたようだ。
「ははは!イーゲルシュテルンにばかり頼るからさ。そんなレベルで接近戦特化だなんて、笑わせる。」
「それは……どうですかね。」
「何っ!……ぐぅっ!?」
Hi-Sガンダムのビームサーベルを持つ左腕付近にミサイルポッドの誘爆による衝撃が走る。未来はビームシールドでそれを受けるも体勢が崩れたその一瞬の隙を彰人は見逃さない。一瞬で可変し距離を詰め、再度人型に可変しなおすとオルタナガンダムの左脚でHi-Sガンダムの腹に思い切り蹴りを入れる。それはHi-sガンダムのVPS装甲で受け止められ致命傷にはならないものの、後方に大きく吹き飛ばす事に成功した。
「……まさか。この僕に当てただと?彰人が?」
信じられない。といった顔で未来はオルタナガンダムを見る。幼い頃に見た金色の機体が猛烈なプレッシャーを放って自身に敵対している。生意気、と感じた。未来は苛立ちと同時に、全身の血管が波打つのが分かった。
「やっと一発!……初めて、初めて貴方に当てられましたよ。」
ぜいぜいと息を荒げながら彰人は答える。
「なるほど。パージしたファンネルミサイルを利用したか……やるじゃあないか。」
未来も悔しそうに、だが少しだけ弟分の成長に嬉しそうな表情を浮かべつつ彰人とオルタナガンダムを目を細めながら見つめた。
「たまたまです。子供の時、貴方に教えてもらった通りの戦い方、二重三重に意表を突く方法。それを応用しただけです。」
「……そうかい。なら僕も”本気”を出さないとなぁっ!!」
Hi-Sガンダムの機体各所から装甲が開き、開いた箇所からは蒼く輝く光が溢れ出す。更に背部のドラグーンが起動しHi-Sガンダムの両手、両足に取り付いた。
(あの光は……プラフスキー粒子による機体の強化だけじゃない。ドラグーン機動兵装ユニットをスラスターとして応用するつもりなのか!?)
オルタナガンダムのハミングバードと同速、いやそれ以上の速度でHi-Sガンダムがオルタナガンダムに迫る。圧倒せんとする速度で真正面からHi-Sガンダムがオルタナガンダムのコックピットを切り裂いた。……ように見えた。
「残像だとッッ!!」
Hi-Sガンダムの周りを数十台のオルタナガンダムが囲む。
「いいだろう……来いッッ!!」
未来も覚悟を決め、Hi-Sガンダムのビームサーベルを連結させると一本の両刃剣にした。
「うおおおおおおおお!」
彰人も分身したオルタナガンダムに向けビームを放つ。ーープリズムコンセントレート。剥離したヤタノカガミによって乱反射したビームが360度のあらゆる方向からHi-Sガンダムに迫る。Hi-Sガンダムもそれらの攻撃を器用にビームサーベルで防ぎ、更にビームシールドで受け止める。だが爪先や背中のブースターユニットにビームがかする。擬似的とは言えど、光の速さで迫るオールレンジ攻撃を防ぐ未来。その動きはまさに世界チャンピオンそのものだった。
「負ける訳にはぁぁぁぁぁぁぁッ!」
Hi-Sガンダムが光に包まれまいと抗う。Hi-Sガンダムには何十体ものオルタナガンダムがモニターに表示されるが、その分身を一つ一つ攻撃し消していく。分身が消えるごとに、ビームの攻撃も少しずつ減っていく。
「まだだ!!ビット!……オールレンジ攻撃!!」
だが、そこに更にオルタナガンダムの背部からビットが射出された。ビットから放たれたビーム攻撃がヤタノカガミに反射し、更にオルタナガンダムのビームライフルから放たれたビームが迫る。
乱反射に次ぐ乱反射。宇宙空間という暗黒の中に光の嵐が煌めき吹き荒れていく。光の奔流がぶつかり合い、輝きが増していった。
「うおおおおおぉぉっ!ドラグーンッ!」
未来もHi-Sガンダムの機体各所に取り付けたドラグーンを機体周囲に展開させバリアを張りオルタナガンダムの乱反射による猛攻を防ぐ。青の光と赤の光が互いに拮抗しせめぎ合い、形を変えていった。
しかし唐突にオルタナガンダムの分身が止むと同時に光の嵐がおさまる。
「はは。残念だったね。どうやら僕の勝ちのようだね。君の渾身の大技……防いだよ。」
金色の装甲が剥がれ落ち白い機体となったオルタナガンダムを眺めて勝ち誇る未来。だがしかし。
「いいえ!貴方の負けです!未来さんッッ!!」
Hi-Sガンダムに向け彰人は背中に携えた羽々斬刀を手に持ち替え投げる。右腕に渾身の力を込め、ただ一点にのみ集中。
「うおおおおおおおっ!!」
唸りを上げた銀色に輝く羽々斬刀が質量の塊となってHi-Sガンダムに迫る。
「……動けないだと?」
動けなかった。本来、当たらなければ良しとする思想で作成されたHi-Sガンダムの素体であるストライクフリーダムは被弾に弱い。ビームによるダメージが蓄積した結果、未来の反応に対して咄嗟に動くことが出来ないHi-Sガンダム。そこへ鈍い音を立て羽々斬刀がHi-Sガンダムの腰に僅かではあるが突き刺さった。だが、VPS装甲により阻まれ当然それは深手とはならない。
「歯ぁっ!食いしばれぇぇぇぇぇ!」
だが白く輝く鳥ーー可変したオルタナガンダムがHi-Sガンダムに向かって突っ込む。宇宙では慣性が効かない機体がそのままの速度を維持しながら羽々斬刀が突き刺さった箇所に機体ごと体当たりを仕掛けた。
変形部分の機種に該当するオルタナガンダムのシールドが激突の衝撃で砕け散るが、その衝撃はHi-SガンダムのVPS装甲すらも破壊。腰に突き刺さった羽々斬刀が強引にHi-Sガンダムの腰から下を分断する。
「ぐっ!ぐおおおおおぉぉぉっ!!」
衝撃にバイザーが割れ血反吐を吐く未来。
咄嗟に、操縦桿のあるボタンに手をかけていた。
「……ッ!!この光はっ!?」
彰人が気づいた瞬間、Hi-Sガンダムの腹から閃光が放たれる。一瞬でオルタナガンダムを人型に変形させ回避するも、その光はオルタナガンダムの右腕を掠め蒸発させた。
だがその一発で出力が落ちたのか、ディアクティブモードになるHi-Sガンダム。もはや、抵抗出来ない事は明らかだった。彰人は残った左腕でHi-Sガンダムの体を掴む。
「未来さん。もう止めましょう。勝負は着きました……貴方の負けです。」
接触通信により未来に投降を呼びかける。危なかった。最後の最後まで油断出来ない男。それが遠野未来だった。一派間違えば、オルタナガンダムなど瞬殺されていただろうと言うことは想像に難くない。
「はは、そのようだね。君は……勝ったんだ。コロニーを落とす”悪者”の僕にね……!」
自嘲気味に呟きながら、モニター上に腹を抑えながら苦しそうに喋る未来の姿が映った。先ほどの衝撃で至る所に破損個所が出たのか、コックピット内部もボロボロに見える。
「未来さん!痛むのですか!?……諦めないでッッ!!」
「はは……きっと僕はバチが当たったんだね。恥ずかしいけど、実は体がね……。こちらの世界では普通に動けるけど向こうでは、ね。万全とはいかないのさ。みんなを失望させたく無かった。」
「未来さん!もう喋らないで下さい!!」
「……忘れるな。世界は……世界は君が信じているほど単純では……いずれ君も知ることに……。」
「だが彰人君……君は勝ったんだ。だから最後まで、コロニー落とすの……阻止……し……。」
その言葉を最後に、未来は喋らなくなった。かつて未来を創ると言われた男の呆気ない、最期だった。彰人は目から涙を流す。ぽろぽろと零れ落ちる涙がコックピット内を濡らしていく。
(未来さん……あなたの言いたいこと、伝えたいこと。俺はわかりますよ。貴方のことを許してはいけないのかも知れない。でもそれでも俺は……貴方が好きでした。尊敬していました。)
貴明も、彰人もこの男に狂わされた。だがその一方で、幼い頃の楽しい思い出を作ってくれたのもこの未来だった。一生懸命鍛えてくれたのも、ガンプラを褒めてくれたのもこの未来だった。
だから、彰人はこの男が嫌いになれなかった。
だからこそ、嘘だと言って欲しかった。この状況全てが冗談で、目が覚めたら学校で技術情報部のみんなと遊んで。そんな妄想が頭をよぎった。が、打ち消す。
(いや、妄想に浸るな。考える事をやめるな。神取彰人!!やれることをやるしか無いんだ!!!)
両手で頬を叩き気を取り直す。オルタナガンダムで未来のHi-Sガンダムを掴み、そのまま加速してコロニーの内部に入ろうとする。見ると、コロニーの外部には四角い扉の様な進入路が見つかり、そのままコロニーのドッキングベイの中から内部へと侵入する。数分後、視界が開け、コロニー内部の姿が目の前に広がった。
——-コロニーの内部は美しかった。
誰の手にも触れられておらず、廃墟の様な独特な美しさを保っていた。ここは居住区エリアなのか、様々なビルやショッピングモールに加え、バトル用の施設を思わせる建物が見える。
しかし、これらの景色もあと数時間後には消える。
Hi-Sガンダムをコロニーの中で自爆させるためである。別段おかしな話ではない。元々SEEDに登場するフリーダムは最終回で自爆しプラントを守るという役割があった。その設定がストライクフリーダムをモチーフとし作られたHi-Sガンダムに受け継がれていても不思議では無い。
最後に未来がいい残したように、このままHi-Sガンダムをコロニー中枢で自爆させる。自爆にはオルタナガンダムをケーブルを通してHi-Sガンダムに繋ぎ、遠隔操作で自爆装置を起動させるつもりだ。オルタナガンダムはコロニーの中を進み続ける。すると、目の前にコロニーの居住区ブロックと外部ブロックを繋ぐ連結部が見えてきた。
(ここならいいかもな。)
彰人は運んで来たHi-Sガンダムを連結部に設置すると、オルタナガンダムと同期させる。
(これなら……自爆コード!)
Hi-Sガンダムから送られて来た自爆コードを見て驚く彰人。驚くのも無理はなかった。何故なら、自爆コードは「0514」とオルタナガンダムのディスプレイに表示されていたからである。
その数字は彰人の誕生日と同じだった。
(ほんと、あの人は……。)
涙がこぼれそうになるのを堪え自爆装置を震える手で起動させた。残り数十分でHi-Sガンダムは自爆する。彰人と未来の思い出が消える。
(後は隼人を探して帰らないとな。)
仕事を終え、ようやく一息つく。これで終わったのだ。全てが。
ーーその時だった。
「彰人君〜!ここに居たんだね探したんだよ。」
聞き覚えのある声がコロニー内に響く。
「まさか!?」
彰人は悪意を感じるとオルタナガンダムに急いで乗り込む。頭部のデュアルアイで索敵を実施する。
「見つけた!……隼人!?」
黒いガンダムにムラサメガンダムが抱えられていた。逃げられないようにするためなのか、両脚はもぎ取られ更に頭部をはじめとする機体各所にも大きな損傷があった。
「彰人君と僕の邪魔をするこの子にはお仕置きしてあげたんだよ。ねぇ〜隼人君!」
「隼人!!」
「彰人さん。逃げて……ください。その状態の機体ではいくら彰人さんでも……がはっ!」
「邪魔なんだよね。君のそれムラサメでしょ?雑魚の量産型如きがこの僕のガンダムグレモリーに傷をつけるなんてさ。生意気だよねぇ〜!!」
「お前……何なんだ!なぜ俺達に付きまとう!」
「僕は君が好きなだけなんだよ彰人君……殺したいほどにね。」
「おまえ……まさか。柊先生なのか?いやまさか?そんな馬鹿な。」
「違うよ〜柊は合ってるけど、僕はあいつのお兄ちゃんさ。双子のね〜!」
「お前も世界を滅ぼしたいのか!?」
「違う。僕は君と一緒に居たいんだ。君に恋したんだよ。この人誑しのお茶目さんめっ!」
まるで話が通じなかった。何故なのか。あの柊の兄だとするのならば尚更可笑しい。柊先生はもっと理知的な男だったはずだ。どちらにせよ、この男を生かしておく理由はない。
「お前に一つだけ言う。隼人を離してここから消えろ。」
片手でライフルを突きつけ、黒国の男を脅す。
「つまらないな。そんなこというと、この子殺しちゃうよ。」
グレモリーと呼ばれた機体が右手を振り、ムラサメガンダムの機体を激しく揺らす。機体にダメージは無くとも隼人に被害が行くのは確実だった。
「隼人!大丈夫か。必ず助ける!待ってろ!」
オルタナガンダムに無線を飛ばしたのか、隼人の様子がオルタナガンダムのコックピット内のモニターに表示される。息も絶え絶えに弱る隼人の姿が映る。肋骨が折れたのだろうか。脇腹を抑え、苦しそうに呻きながら隼人は一言一言ゆっくりと話す。
「はぁ……はぁ……彰人さん。僕は前にいいましたよね。僕は……人殺しです。この4年間で……大勢殺しました。大人も、子供も、女も男も関係無く。どんな理由だとしても……殺しているんです。だからこうやって……殺されもしますよ。」
「だけど彰人さん。貴方は違う。貴方は僕が出来ないことをして欲しいんです。生きて……下さい。生きてこのコロニーを壊して、向こうの世界に……。」
隼人はそういい放つと、ムラサメガンダムの背中からビームサーベルを抜き、そのまま自身を切り裂いて行く。自爆。嫌なイメージが彰人の頭をよぎる。
「そんなっ……隼人っ!やめろッ!!やめてくれ!!お前が死んだら文香やフランはどうなる!?待っているんだろう!お前の帰りを!」
最大限の笑顔で、彰人の言葉を遮る隼人。
「に……兄さん。どうか御武運を。
ーーフラン、姉さん。約束守れなくて……ごめん。」
融合炉が耐えきれず、大きく爆発するムラサメガンダム。隼人の思い出が、決意が、この世界を守りたいという願いを込めた男が爆発に飲まれ、ばらばらに砕けて消えて行く。この世界から、彼の存在がいなくなる。
「あ、ああ、ああああああああ!!!」
思わず絶叫する彰人。彰人の脳裏に幼い頃の隼人の姿がよぎる。病院の中で大好きなガンプラを一緒に作った時。野菜が嫌いだった隼人が、彰人が作るグラタンなら食べられると言って食べてくれた時。小学生の頃の夏休みで一緒に花火を見た時。それらの楽しい思い出を共有した男が消えて行く。
“大人になってもガンプラを作ろう!”
あの日交わした約束は虚しく砕けて散った。
「あれれ。自爆しちったか。全く。安い死に方するねえ〜!ま、そんなもんだよ。モブの最期なんて。」
黒の国の男が挑発めいた物言いで隼人を侮辱する。
ーー許せなかった。理解出来なかった。
「おまえ……おまえ……!消えろぉぉぉぉ!!」
怒りのあまり我を忘れる。ライフルを乱射し黒の国のガンダムグレモリーを殺そうとする。しかし、当たらない。先ほどの戦闘でのダメージが大きすぎた。
「消えるのは君さっ!!ここで大好きな君を殺す。それが僕の愛!!受け取ってぇぇ!!」
両手に構えた大きな鎌からはビームの刃が展開された。ガンダムグレモリーが唸りを上げてオルタナガンダムに迫った。
ーー命を刈り取る漆黒の機体が迫る。
第23話に続く
好きなガンプラは?
-
オルタナガンダム
-
シビュラブリッツ
-
シルベリアアストレイ シルバーフレーム
-
ペーネロペー
-
Reonガンダム
-
イージスアルケーガンダム