(損害を回復させるのに時間は要しましたが、ようやくここまで漕ぎ付けましたね…)
長江にズラリと並ぶ軍船を横目に、亞莎は小さな安堵の溜息を吐く。
本来であれば、既に孫家の当主は蓮華となり、それを傀儡とすることで、江東は神を奉ずるための国、『奉身の国』となっていたはず。しかし宿将と第二の軍師を削ぎ落され、精鋭を失い、兵達からの信頼すら失墜した雪蓮は、ただ一度、たった一度の勝利で、少なくとも兵達からの信頼を取り戻した。
ただ一人で袁術軍の陣を殲滅させ、兵糧を奪取したその武勇は、取りこぼし掛けていた、荒々しい江東の男達の崇敬を勝ち取ったのだ。
(ほんっとうに忌々しい…)
爪を噛み、煮えくり返るはらわたを感じている亞莎の表情は、雪蓮や冥林が見ればどう思うだろうか、少なくとも、彼女が普段見せている顔は、彼女の一つの側面でしかないことを悟るだろう。
「…っ!」
「なんて顔しておるんじゃお主は」
ぱちんと、後頭部を叩かれて彼女は我に返る。政権の中枢で信頼を得ているとはいえ、誰が見ているかも分からない中での彼女の軽率な行動を咎めたのは、孫呉の宿将であるはずの、祭だった。
「此度はお主だけではない、儂もいるんじゃからな、上手くいくわ」
ニヤリと口角を吊り上げる彼女は、三か月前の戦いで殿軍として孤軍奮闘したが、衆寡敵せず敗れた後に神殿へと運ばれ、そこで祝福を受けて作り変えられた。そして今では亞莎と共に、江東に奉身の国を作るべく奔走する、敬虔な神の使徒と成り果てていた。
「小覇王としての雪蓮を殺す策は頓挫しました、最早私たちには一刻の猶予も…」
「うむ…この戦で結果を残せなければ、主教様の為の国造りが大きく遅れることになろう。そうなれば儂らは無能の烙印を押され、寵愛を受ける機会は永遠に失われるじゃろうな…」
そんなこと、考えたくもない。
ぶるりと震える体を冷たい汗が流れる。奉身教徒にとって神に失望され、寵愛を得られないということは、生きながらに地獄に堕とされることと等しい。もしもそんなことになれば、いっそのこと二人そろって自害でもした方が遥かにマシだと確信をもって言えるだろう。
「…袁術軍の陣に張勲の姿がありません、なにか企んでいるとみて、間違いないでしょう」
「謀略家は祝福を受けても謀略家か…分かった。奴が何を企んでいようと儂が対処してみせよう」
遠くに僅かに見える袁術軍を睨みながら、互い以外の全てを敵と認識する。同じ奉身教徒であろうと関係無い。神へと信仰を捧げる神事を邪魔するというのなら、すべてを打ち砕いてみせようと、二人は静かに気炎を燃やした。
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「ん、はぁ♡もう、だめですよ♡景升さまぁ♡」
「お、ほぉ…なんとキツい…!」
性臭が充満する部屋を、朝日が黄色く照らし出す。丸一日に渡って交合を繰り返した二人の男女は、それでも足りぬとばかりに抽挿を繰り返す。
「けい、しょうさまぁ♡さきほどの、ぉ♡話ですけ、ど♡」
「うむっ、任せておけ、くぅぅ…!」
尻穴に挿入されている肉棒を、きゅうっと締め付け、七乃は劉表の体に自慢の美乳を押し付ける。猫撫での甘えた声で強請られれば、劉表は快楽に呆けた表情のまま、彼女からの頼み事を了承した。
「うふふ♡ありがとうございます♡えいっ」
「お、ぉぉ!?こ、これは!」
交渉を成功させた七乃が、キツく肉棒を締め上げたまま、大きく腰を振る。七乃の腸壁が、エラの張った雁首をゾリゾリとこそぐ快楽は、いとも簡単に、劉表を絶頂へと導いた。
「う、ぉぉ…!でる…!でるぞ…!張勲!」
「はい…♡私の尻穴に、景升さまのあっつ~い皇族精液をお恵みくださいませ♡」
すでに何度も吐き出しているにも関わらず、劉表の精液は衰えることなく、七乃の尻穴を白く染める。
精液を吐き出しながらびくびくと震える怒張を尻穴で感じながら、七乃はうっとりと目を細めて快楽の余韻を味わいながら恍惚の表情を浮かべて微笑んだ。それはどこまでも美しく、射精を終えて幾分かの冷静さを取り戻した劉表ですら、思わず見入ってしまうほどのものだった。
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・
・
「…誰かいますかぁ?」
「っは、張勲様」
疲れ果てて泥の様に眠る劉表を横目に、手早く身支度を整えた七乃は、扉の外の部下へと呼びかける。
「紀霊さんに伝令を、『劉表の説得に成功』…と」
「かしこまりました」
部下が走り去る音を聞きながら、七乃は薄く笑みを零す。
今回の策が成れば、江東と荊州、大陸南方がほぼ奉身教の掌中に収まる。そうなればその立役者である自分を、神は褒めてくれるだろうか。
「ふふっ。呂蒙さんに黄蓋さん…孫家はどこまでいっても、私たちに使われる存在なんですねぇ」
七乃と紀霊、袁術軍が企んでいるのは、劉表軍との同盟及び協同での江東攻略。呂蒙と黄蓋が神に捧げるのは小覇王と江東だが、自分達が捧げるのは汝南袁家に始まり、荊州と江東まで至る広大な土地と莫大な財。
同じ奉身教徒といえども、与えられる寵愛に限りがある以上、奪い合いになるのは必定。ここで功績を奪うためならば、同じ信徒ですら蹴落としてみせるのが、張勲の謀略家としての本能ですらあった。
「んっ…さて、私もそろそろ戻りましょうか」
尻穴から垂れる精液が、下着を汚すのを感じながら、張勲も部屋を出る。自分の肢体に夢中となった劉表は最早思いのままであると確信を得た彼女は、江東攻略へとその頭を切り替えた。
▼
「ぅ…ぁ…」
乱雑に作られた小屋の中で、翠は目を開くのもやっとになるほど衰弱しきっていた。蒲公英の命令を果たすことができなかった彼女は、その罰としてこの三か月、荒ぶる兵士達の相手を強制させられた。それは以前の時よりも遥かに凄惨な、性行為というよりも拷問に近い地獄として彼女を蹂躙した。
「うっわ、くっさ」
廃材で適当に作られた扉が音を立てて開かれる。数日振りに浴びる日の光は、白濁液に塗れた彼女の悲惨な姿を照らし出した。顔を向ける気力もない彼女だったが、扉を開け、不快感を隠そうともしないその声の主が、自身の従妹であり、こんな地獄に突き落とした張本人である蒲公英の物であることに気付くと、僅かに口から声にもならない音が漏れる。
「ねぇ、生きてる?」
「……だ、ん…ぽ…ぽ」
男の精液や小水からでしか、水分を取る事のできなかった彼女の喉はカサカサに乾ききり、掠れた声を出す事しか出来ない。
「生きてんならさっさと返事しろよ」
「………」
しかし蒲公英は、そうして辛うじて返事をした翠の頭を踏みつけ、嘲笑と共に哀れな彼女を見下した。
「たす…け、て…く、だ…さい…」
「え~?なんて言ってるか、わかんな~い」
必死に喉を震わせながら助けを求めようと、蒲公英はケタケタと笑いながらふざけた調子で翠の思いを踏みにじる。
もっと惨めに、蒲公英の嗜虐心を満たす様にと、翠は限界を迎えている体を動かして蹲る。
「お、ねがい゛…しま、す…たす゛げ…て」
ゴリッと、額が床へと押し付けられる。なにもいらないから、命だけは助けて欲しいと、恥も外聞もかなぐり捨てて、年下の従妹へと懇願する。
「口開けて♡」
「ぁ、う…?」
にんまりと口角を上げた蒲公英の言葉に従い、口を開く。ごそごそと、脚衣と下着を取り払った彼女が次に何をさせたいのか、翠には良く理解できていた。それは、兵士達に何度も強要された行為であり、彼女の尊厳を破壊する行為。
「ふぅ…」
「ん、ぐ…うぐ、ごきゅ…」
軽快な水音と共に、蒲公英の割れ目から黄色い小水が放たれる。ガニ股で立ったまま出される小水を、翠はまるで便器のように口で受け止め、嚥下していく。口から零れないように喉へと流し込んでいくその手際は、最早手馴れたものであり、彼女の生活がどんなものだったのかを簡単に想像できる。
「ん、綺麗にして」
「れろ、ちゅ…んぐ…じゅる…」
疲労で動かない手足を置き去りにして、蒲公英の性器へと首と舌を伸ばす。小水で汚れた秘裂と、汚れた太ももを舌で舐め清め、掬い取った汚れを飲み込んでいく。
それはどこからどうみても、反抗心を圧し折られた奴隷の姿だった。
「よくできました♡じゃぁ、反省も出来たみたいだし、ここから出してあげるね。…次はないけど」
「ありがとう、ございます…」
蒲公英の小水で、僅かに喉を潤した翠は、万感の思いを込めて、感謝の言葉を口にした。
「ふっふっふ~♪」
▼
「い、ぁぁ、ぁぁああ!!!」
「こら月、暴れないの」
絹の帳で囲われた分娩台の上で暴れる月を、詠が抑え込む。
彼女が髪を振り乱し、暴れているのは、陣痛の痛みだけではない。陣痛などよりも遥かに痛むのは、彼女の心そのものだった。
「ゆる、さないっ…!ぜったいにぃ…ぐ、ううう!!」
「くひひ、怖いのぉ」
血涙すら流しそうなほどに、彼女が睨むのは、今しがたまで愛情を込めて『おじさま』と呼んでいた男だった。
陣痛の報告を聞いて飛んできた男によって、作り変えられた人格をあるべき姿に戻された彼女は、男との吐き気を催す様な醜悪な行為と、自らが行ってきた非道に絶望した。
「え、いちゃんを、みんなを、返して…!!」
男の子を孕んだ自分はもう戻れないとしても、仲間達だけは救いたいと願う彼女は、生来からの善人なのだろう。耐え難い陣痛の痛みに意識を朦朧とさせながらも、仲間の解放を訴える。
「なに言ってるのよ、月。ボクをおじさまに捧げたのは月じゃない」
「え…ぁ…」
しかしそんな少女の歎願を引き裂いたのは、他ならぬ親友だった。
その言葉で思い出すのは、今の自分と同じように寝台に拘束され、悲鳴を上げ、性器から血を溢れさせながら男に犯される詠の姿と、それを見ながら自慰に耽っていた浅ましい自分。なんの躊躇いも忌避感もなく、親友を罠に嵌め、その人格を蹂躙する手伝いをしたのは、誰でもない月自身だった。
「アンタのせいでボクはこんなことになったのよ?なのに今更解放してあげて?笑わせないで。…ほら見なさい、これ全部…アンタの所為よ」
「……え」
バサリと、分娩台を囲う帳を詠が取り払う。
眩しい光と共に、月の目に飛び込んできたのは、巨大な幾本もの柱によって支えられた広大な広間だった。足を広げた格好で分娩台に拘束された月は、まるで神に捧げられる生贄のように、数段高い位置に置かれており、そこから見えるのは、彼女の想像を絶する光景だった。
「お、おぉぉぉ!!!あれが御子を懐妊した使徒さまかぁぁ!!」
「なんと神々しい…!」
「主教さまぁぁぁ!私にも、私にも子種を!!!」
「あぁ!!神よ!御嫡子の生誕をお祝い致しますっ!!」
「お祝いに娘を捧げさせて頂きます!どうぞ、御嫡子の玩具にぃ!!」
「私は蔵一杯の財宝を捧げます!」
「主教さま…!」
「なに…これ…」
広大な広間を埋め尽くしていたのは、滂沱の涙を流す奉身教徒達。手を合わせ、祈りを捧げる老人や、主教の姿で自慰を始める女達、そして生まれたばかりの赤子を玩具に捧げようとする母親や、財宝を掲げる男達、捧げ物として全裸で並ぶ子供達。
誰も彼もが、狂乱の中で男への信仰を叫んでいる。
「月がボクをおじさまに捧げなかったら、今ここにいる人達は、普通の人生を送っていられたのにね」
「あ…ぁぁ…」
深い絶望に目を見開く月の肩を、そっと抱き締めながら、詠は耳元でトドメを刺す。
『全部お前の所為だ』と。
月の目には、狂喜する信徒達が、その心の奥で流している涙が幻視していた。自らの人生を、体を、余すことなく男に捧げてしまっている信徒達。彼らがこうなったのは、自分があっさりと男の手に落ちたことから始まっているのだと、否応なく刻み込まれる。
「くひ、くひゃひゃ!良いのう、良いのう!!良い顔だのぉ、月ぇ」
「ん、ぶ!?…や、め…!」
自失となっている月に興奮したのか、男が月の唇を奪う。巨大な蛭のように口内を蠢く、男のぶよぶよとした舌に、月は湧き上がる嫌悪感のままに、頭を振って拒絶する。
「なんと、嫌なのかのぉ」
「嫌に決まっ…ぁ………おじさまぁ♡」
ワザとらしく肩を落とした男が、模様を光らせる。それだけで月は目尻を下げ、媚びるような声で男の唇へ口づけをする。
厭らしい水音を観衆に聞かせながら、唾液を交換し、雛鳥のように嚥下していく。
「ぅ、っあ…!!おじさまぁ…!う、産まれそうです…!」
「くひひ、良いぞぉ。さぁ、儂らの子を産むのだ…!」
男の言葉に返す余裕も無くし、月は歯を食いしばる。絶頂とはまた違う、男の子を産むという、溺死しそうなほどの多幸感が彼女を襲い、子宮がきゅうきゅうと蠢動していく。そしてその動きに導かれるように、中の赤子が、産道へと降りていく。
「むぅ…悔しいものですが、今はそうもいっていられないのです。……皆さん、御子の生誕ですよー、伏して拝むのですよ」
「わぁ…!神さまの子供が…!」
狂喜乱舞していた信徒たちが、風の言葉に跪く。地上において、主教の次に尊い御子の姿を、ただの信徒たちに晒すなど不敬であると、彼女は考える。
御子の玉体を見ることが出来るのは、教団創設者である自分と、洛陽に於ける巫女、桃香だけである。それ以外の有象無象は、御子の産声を聞けるだけでも感謝すべきなのだから。
「ぃ…ああああ!!!おじさまぁぁ!産まれますっ!…ぁ、ぐぅぅぅ!」
そして、月の悶える声が途切れ、僅かな静寂の後、赤子の産声が大神殿に響いた。
直後に、天を突かんばかりの大歓声が、その産声を掻き消すように鳴り響く。御子の生誕を知らせる早馬が、疾風の様に大陸を駆け巡り、奉身教徒達は洛陽の方角を向いて膝を付き、祈りを捧げた。
「くひひひ…!娘か…!これは楽しみだのぉ…!」
そして祝福と祈りを一身に浴びる男は、その目に獣欲の炎を灯しながら、産まれたばかりの娘を見つめていた。
月、出産!
いやぁ滾りますなぁ…