※この作品はR-18です。

洗脳†無双   作:bytheway

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短めの閑話です。

卑弥呼や貂蝉、一刀の話になりますが、読まなくてもストーリー上全く問題ないです。

※エロ無


閑話 管理者と一刀

「どういうつもりかしらん?」

 

荒涼とした涼州の大地を、月と星々の明かりが朧気に照らし出す。そんな中で、一際異彩を放つ三人の人物がいた。

岩に腰掛け、月明かりを得てきらきらと輝く、純白の道士服に身を包む色白の青年を二人の巨漢が囲んでいる。

明らかにただ事ではない様子だが、囲んでいる巨漢達がじっとりと脂汗を浮かべているのに対し、青年は髪を夜風にたなびかせ、夜空に煌々と輝く星を眺めていた。

 

「ここのご主人様をどこにやったの?」

 

褌を締めた筋骨隆々の大男が、似つかわしくない女声で道士服の青年に詰め寄る。

しかし、気の弱い人間ならそれだけで殺せてしまうほどの殺気が籠った視線を受けても青年は穏やかに微笑む。

 

「…北郷一刀君かい?…元気にやってるよ」

 

青筋を浮かべる大男の貂蝉とは裏腹に、青年は人懐っこい笑みを湛えていた。

 

「西門慶(せいもんけい)ッ!!お主自分がなにをやっているか分かっておるのか!!」

 

「へぇ…じゃあ教えてよ、卑弥呼。僕は、何をやってるんだい?」

 

まるで二人を意に介していない青年、西門慶にもう一人の初老の大男、卑弥呼が一喝するも、やはり西門慶はどこ吹く風と言わんばかりに、星を眺めながら、質問を投げ返した。

 

「…ッ!ご主人様は、いわば特異点ッ!特異点無くしては外史は滅ぶッ!」

 

卑弥呼の悲鳴染みた絶叫に、西門慶は初めて表情を崩し、丸く見開かれた目を二人に向けると、噴水のように哄笑した。

 

「ハハハハハ!!なんだい、なんだい!その程度の認識だったのか!そうさ!特異点無くしては外史は存在できない!だからこそ僕は彼を作った!」

 

「な、にを言っておる…?」

 

月を背に、口を裂けんばかりに歪め、西門慶は嗤った。その狂気染みた仕草に、思わず二人は後ずさる。

 

「彼?彼って誰なの?まさか、月ちゃんの所にいる…」

 

「…ここは、滅ぶことを定められた外史の一つだった。特異点は争いの中で命を落とし、彼の死で狂った英雄達が、血みどろの争いを延々と繰り返す、誰も幸せにはなれない、『見捨てられた外史』なのさ…。最悪のバッドエンドを迎える定め…そういった外史ばかりを、僕は管理し続けてきた」

 

貂蝉の問いかけに、一転して無表情となった西門慶は、その色の白さと相まって、まるで死体のような凄惨さを醸し出した。

 

「何度介入しても、特異点の死は避けられなかった。ありとあらゆる不条理が彼を襲う。『見捨てられた外史』とは、そういう外史なんだ」

 

「だからと言って!貴様がご主人様を亡き者にしては意味無かろうッ!その上、あんな俗物に力を与えるとはッ!!」

 

「君らが俗物と言う彼の真名は…なんだと思う?」

 

西門慶の一言に、貂蝉と卑弥呼は言葉を失った。

唇が震え、汗が頬を伝う。ある考えが頭に浮かぶが、必死にそれを否定する。しかし西門慶が続けた言葉が、二人の必死の努力を嘲笑う。

 

「彼の真名はね…一刀、なんだよ」

 

「「き、貴様ァァ!!」」

 

仲間か、友人か、一言では言い表せない感情を、一刀に感じていた二人は、西門慶が一刀の人格を捻じ曲げたことに、憤怒の炎を燃やした。

怒りに狂う二人の巨漢が地を蹴り、西門慶へと迫る。音の壁を突き破るほどの拳速で、この外道の頭蓋を粉砕せんと拳を振るう。

 

パチン。

 

「ぬ、っぐぅ…!」

 

「こ、これは…!?なぜ、私たちに…!?」

 

しかし西門慶が指を鳴らすと、二人はその場に縫付けられたかのように動きを止めた。

外史の管理者が持つ、権能の一端ではあるが、それは同じ管理者には通じないはずのものだった。

 

「君らは随分と一刀君にご執心のようだけど、生憎と僕はそこまで彼に興味がない。僕の望みはただ一つ、『見捨てられた外史』を存続させること。…外史の存続には特異点が必要だ。だけど北郷一刀は『見捨てられた外史』では必ず死んでしまう。だから僕は、死んだ北郷一刀の魂から、特異点と成り得る部分だけを抽出して、この外史の住人の魂と融合させた。まぁ、一刀君もなかなかの女好きだからね。同じような人間としか上手く融合してくれなかった。……分かるかい?君らが一刀君に執心している間、僕はこの外史が存続することだけを願った。それに外史も応えてくれたのさ。…ここでは、僕がルールだ」

 

幾百、幾千と『見捨てられた外史』の滅びを回避するために足掻き続けた西門慶は、滅びを宿命付けられた外史の中でだけは、他のあらゆる管理者よりも上位に位置する力を得た。

魂を連れて外史を渡り、時間を巻き戻すことすら可能な、神にも匹敵する権能。

一管理者でしかない貂蝉と卑弥呼では、逆立ちしても敵わない怪物と成り果てていた。

 

「せ、西門慶…!っぐ、ォォ!」「あ、あなたは…!」

 

動きを封じられ、拳を握ったまま振り絞るように声を上げる二人を、西門慶は冷ややかに見つめた。

 

「彼の下でこの外史は存続する…邪魔はさせない。…さようなら、卑弥呼、貂蝉。もう、会うことはないだろうね」

 

パチン。

 

再び西門慶が指を鳴らす。

すると貂蝉と卑弥呼の姿は、まるで初めからそこに居なかったかのように消滅した。

顔を上げ、穏やかな表情で星を眺める西門慶は、離れた場所に立つ、木の影に居た三人の少女の存在を思い出す。

 

「あぁ、忘れてた。彼にコレをあげようと思ってたんだった」

 

光を失い、人形のようにその場に佇む、赤、青、紫と、それぞれ違う髪色の少女達を連れ、西門慶はその場を後にした。

 




卑弥呼と貂蝉は死んだわけではないです。
例えるなら垢BANみたいなもんです。

西門慶も本編に出てくることは無いと思います。

鬼畜強めと弱め、どっちがいい?

  • 強め
  • 弱め
  • どっちでも
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