過大な期待はしないでね(^^;
「あなた、朝ですよ。起きてくださいな♥️」
涼やかに響く音色で目が覚めたら条件反射っぽく
その源を求めて視線を走らせる。
「おはようございます、あなた♥️」
純白の寝間着を纏い起床を促す美女。艶やかな
長い黒髪、整った顔立ち。そして、頭部に白く
優しい光を放つ二本の角…うん、いつもの妻だ。
俺もむくりと上半身を起こした。
「おはよ〜柳子(りゆこ)。アレ、頼むよ」クシクシ
「はい…♥️」マッカ
失礼しますね、と言うと柳子は自分の唇を静かに
俺の唇に重ねた。
「ん…ちゅ…♥️ れろれろ…♥️」
目覚めのキスはどこにでもありそうな仲睦まじい
夫婦の一コマなんだけど、俺達の場合はちょいと
異なるのだ。
「れろれろ♥️ じゅるるる♥️ こくこく♥️」
忙しく舌を絡め合いながら互いの唾液を交換する
こってりしたディープキス。それを毎日、5分
くらいはやっている。俺達だけの朝の儀式だ。
「あふ…ごちそうさまでした♥️」ホホソメ
「柳子、いつもありがとな」ニコ
そして同時に俺達の全身が青白い光に包まれる。
例えるならば光のコーティングってところか?
十数秒程度でそれは消える。
「あなた、そろそろ…」
「はいよ」
俺はもう一度布団で仰向けになり、柳子が俺の
足元に立つ。
「よし、いいぞ柳子」
「では…始めます」
柳子が言うと、その体が白く柔らかい光を放ち
俺の体に向かって静かに倒れこむ。M78星雲の
戦士が人と合体するシーンを想起してくれると
ありがたい。
(準備…完了です♪)
柳子の声が頭の中に木霊する。
「オーライ。お勤め行こうか」
俺は神様と所帯を構えている。嫁さんの名は
柳子。俺達が住む水治神社(みずちじんじゃ)の
御祭神で治水を司る神様だ。
宮司装束に着替えて本殿内の神棚前に正座する。
静かに一つ深呼吸。それを合図に、柳子が俺の
体から離れ神棚の中にすーっと姿を消す。
祝詞を懐より取り出して広げ、恭しく奏上。
「かけまくも〜 かしこき大神の御前に〜…」
決して急がず、しかし冗長にならぬように、一語
一句丁寧に読み上げる。高校を出るまで過ごした
この土地で学んだ神楽が、こんな時に役立つとは
思わなかった。
「恐れみ恐れみ、謹みて申す〜…」
祝詞をたたみ懐へ戻し祓い串でバサッ、バサッと
緩やかに左右を祓い、深々と一礼。これで朝の
お勤めは終了。
「お疲れ様です、あなた♪」
一礼から上半身を起こす俺に合わせ、柳子が
神棚から降りてきたかと思うと、そのまま俺の
顔に唇を重ねてくる。よく見ると、角の放つ白い
光が起床時より心持ち強い。
「ん〜、ちゅ♥️ ちゅ♥️」
最近納得したのだが、白い光は愛情・好意を表す
色のようだ。喜怒哀楽の「喜・楽」と思えば悪い
気はしない。
「おいおい、今朝はえらく積極的だな?」
「ええ♪ 今日は久しぶりにあなたと"でぇと"
するんですもの♪ だからぁ…早く朝ごはんに
しましょ♥️」グイグイ
「はは、子供じゃないんだから。デートは逃げや
しないって」
せっつく柳子に負けた俺は台所へ急いだ。
底辺リーマンの書き殴り、推敲もロクに
やってませんから、どんどん悪評立てて
ください(^^;
作者は最近まで地元社中で神楽を舞って
いたので祝詞の奏上はかなりガチです。
もちろん地域により形式は様々なんで、
「これぞ正統派!」なわけじゃないです(^^;
亀更新なので期待はしないでくださいm(._.)m