今から1年半ほど前の初冬───
無性に故郷の景色が見たくなった俺は、愛車の
軽バンを走らせ十数年ぶりの里帰りを果たした。
当時の住まいからは2時間ちょいの距離。
しかし、久々に見たふるさとはとんでもなく
様変わりしていた。人口はさほど減っていない
そうだが、緑豊かな草木がどこもかしこも枯れ
まくっているのだ。親はとうに鬼籍なので昔の
ご近所、旧友、果ては町役場にも聞いてみたが
原因が全然わからんという。
一体何が…と想像してみたが、ふと子供の頃に
聞いた古老の話が頭に浮かんだ。
『この町はな、水治神社(みずちじんじゃ)に
住まう龍神様に護られておる。大雨が降っても
川が氾濫せんのは龍神様のご加護のおかげじゃ。
ゆめゆめお社を蔑ろにしてはならぬ』
まさかな、とは思ったが他に心当たりもないし、
とりあえず神社に行くことにした。季節の祭りの
度に奉納神楽を舞っていた俺には少なからず縁が
あるからだ。
「な…何だよこれ…」
駐車場で車を降りた俺は絶句した。二十段前後
ある眼前の石段を上がれば本殿なのだが、その
本殿が年月によるものとは断じえないくらいに
朽ち果てているのだ。
「マジかよ…」
とにかく写真をできる限り撮っておこう。実現の
可否は別にしても、修繕の足しになればいい。
スマホを取り出し石段を駆け上った俺は、そこで
信じられないモノを見た。
「こいつは…」
本殿に続くコンクリ製参道の上。雪と見まがう
ほど白い蛇が力なく横たわっている。長さこそ
6〜70cmくらいだが胴の直径が優に5cmはある。
よく見ると真ん中あたりに裂けた風な傷。蛇は
変温動物だから寒さに弱い。冬本番も近いし、
確実に命にかかわる。
逃げようかと迷ったが、ガキの頃伝え聞いた姿と
ほぼ一致してんだよな…ここで手を打たなんだら
夢見が悪いし何より祟られたらかなわん。
「あーもう、祟られ上等じゃい!」
半分ヤケだった。手拭いで蛇の傷口を軽く縛り、
雪道でスタックした時用のバスタオルに包み車に
戻る。
後席に乗せて暖房全開でエンジン始動。数分で
車内は薄着でもいいくらいに温かくなった。
「これで蘇生したら、俺どうなっちまうんかな…
食われて死んだら笑い話にもなりゃしねぇな」
運転席で脈絡ない想像してたら急激な睡魔に
襲われ、俺は意識を手放した……
「あ、あの…もしもし?」
なんか、萌えキャラの中の人みたいな声がする。
おっかしーなー、夢でも二次元彼女はいないはず
だけどなぁー。
「あの、すみません…起きてください」ユサユサ
「んがっ…?」パカ
左肩を揺すられて目が覚めた。誰か車の中に
いたっけか?首を90度左に傾ける。
「あぁよかった、起きてくれた♪」ニコ
「……はい?」
──デスサイズぷるるんっ♪
視界に広がるは二つのメロン…じゃなくて
おっぱい。
(こりゃあなかなかの巨乳…って、あれ? つまり
胸の上方にあるのは顔、だよな普通)
半覚醒の頭を上に向ける。そこには───
「あ、あの…まじまじ見ないでくださいませ。
恥ずかしゅうございます///」マッカ
「…………(;・△・)」ポカーン
「どう…なされました?」キョトン
「うげりょばぴぎょべぇー!?Σ( ̄□ ̄;ノ)ノ」
「きゃっ!?」
───ガチャッ! ←ドアが開いた
「どぇぉあー!」ドテポキグシャ!「ぶぐぇっ」
「だ、大丈夫ですか!?」
外に転び落ちた俺。そこに遠慮租借もなく寒風が
吹きつける。
「ぐぅぉゎぁぁざびいぃぃぃ!」
驚愕でアドレナリンが出まくるが、それでもこの
温度差は堪えた。何とか起き上がり車に戻る。
「お、お怪我はありませんか!?」
「あぁ、大丈…って裸! 裸でしょ君!」
「そうですが、それが何か…?」キョトン
何なんだこの娘!? 裸より顔を見られるのが
恥ずかしい!? 頭ン中がわやくちゃだ。
どっちにしろ全裸の女を乗せているだけで既に
通報モンだ。俺はコートを脱ぎ彼女に放る。
「早くこれ着て保温! 目のやり場に困るから!」
「は、はい、わかりました…」モソモソ
ギリギリで理性が勝ってくれたが、これからどう
すべか…ここに留まるのは論外となれば家に帰る
しかねェよなぁ。
「とりあえずさ、俺のウチ来る?」
「はい! よろしくお願いいたします♪」パアァ
何でそう無防備に喜ぶんだよ…心の中でクッソ
デカい溜め息をつきながら、俺は自宅へと車を
走らせた。
書きたいことをぶっこみすぎて、なかなか
「じうはちきん」に届かない(^^;