「主人様、見つけました!」
森の中へと駆け出して数分後。ルミナがローブの男を発見した。
脇にマーサちゃんを抱えていて、何やら辺りを見渡している。
抱えられているマーサちゃんは、逃げてる最中に気絶させられたのかぐったりしていた。
「その子を返しなさい!」
ルミナは男を見るなり、警告も無しに矢を放った。
さっきは当たったが、今度は男も僕達を警戒していたみたいだ。バックステップで避けられてしまった。
次の一手を放とうとするが………
「動くな!」
男は持っていたナイフをマーサちゃんの首に突き立てる。
これにはさすがのルミナも、手が出せずに固まった。次の矢を取り出す隙が見つからない。
しかし男は、どちらかと言うとルミナに視線が向いている。そうなれば、今マーサちゃんを助けられるのは僕だけだ。
さっきセフィーから貰ったスリングショット。あれならもしかしたら………
試し撃ちもしてないけど、やるしかない!
男の視線がルミナに向いた瞬間に、僕はスリングショットを取り出した。
色々渡された弾から適当なものを選び、構えて狙いを定める。
「ッ!」
男がこちらに気付き振り向いた瞬間、弾を発射した。
額を狙ったつもりだったのだが、こちらの動きを勘付いたのか、男は軽い身のこなしで弾を避ける。
やはり練習無しで当てられるわけもなく、弾は男の背後の木の幹へとぶつかる。
せっかくの好機を外してしまった。
そう思った瞬間………
ドガンッ‼︎
着弾した弾が大爆発を起こした。
およそスリングショットから聞こえるはずのない轟音が、森の中に響き渡る。
目の前に広がる爆炎に、僕は口を開けて惚けることしかできない。
これ火薬だったのか⁉︎
「ぐっ!」
予想していなかった爆発に巻き込まれて、男は軽く吹き飛ばされた。
衝撃により男が手を離したことで、マーサちゃんが空中へと放り出される。
「ッ⁉︎ヤバい………!」
煽ってくる爆風に立ち向かうように、僕は駆け出した。
ギリギリのところで何とか受け止めれて、彼女を庇うように地面に倒れ込む。
あ、危なかったぁ………
しかし、とんでもない火力だったな。
隣を見れば、炸裂した火薬は木の幹を焦がし、浅い窪みを作っている。
撃つ場所間違えてたら、男の体は千切れ、周りの草木に火が燃え広がってたところだ。
セフィー、森をテリトリーにする部族が火薬はダメだって。
「ねぇ、大丈夫?」
軽く体を揺らすと、マーサちゃんが目を開けた。あまり記憶が無いのか、目をパチパチさせながら辺りを見渡す。
「あれ、あるじさま………?なんでここに?」
「よかった、もう大丈夫だよ」
そっと頭を撫でると、優しく抱き締める。
怪我もなさそうだし、ホッと息をつく。
しかしその時、僕は完全に油断してしまった。
吹き飛ばしたはずの男が起き上がって、こちらへと襲いかかってきた。手にはナイフを持っている。
「主人様、後ろ!」
ルミナが警告してくれた時には、もう男は僕の真後ろで手を伸ばしていた。
この状況じゃ逃げることは不可能。それならせめて、マーサちゃんだけでも守らないと。
彼女を庇うように抱えて、男に背中を向ける。
「主人様‼︎」
男の持つナイフが僕に届く、その時だった。
「やぁっ‼︎」
僕達の間を割って入るように、力強い声が差し込んできた。
その声と共に、槍の長い刃がナイフを弾き飛ばす。
「はぁっ!」
続けざまに鋭い蹴りが男の腹に突き刺さり、男を大樹の幹に叩きつけた。
「ぐふッ⁉︎」
男はあっという間に意識を飛ばして倒れた。
僕はその全てをただ固まって眺める。
「主人様、大丈夫?」
「メア!た、助かったよ………ありがとう」
駆けつけてくれたのはエルナだった。身軽な体から放たれた蹴りの姿勢を戻し、肩を貸してくれる。
「セフィーから聞いたよ。まったく、無茶しちゃって」
「任されたことをしただけ」
とは言いつつ、エルナがいなかったら今頃どうなってたか。危なかったぁ。
男はルミナが捕縛してくれた。
一応服の中を色々調べたが、武器や探索に必要な道具が入ってるだけで、身元が分かるものが無い。
「んで、この人は………?」
「誘拐犯。まぁ見たかったのはこっちの不注意かな」
縛られた男を見て、僕は苦笑した。
単独行動で見つかるほど、この村は分かりやすくない。
おそらく食材を獲ってる時に見つかって、そこから尾行されていたんだ。
子供達が騒いでたからなぁ、近くにいたらさすがに気づくか。
「昨日クルア達が見つけた不審者もコイツじゃないかな」
「いや、コイツじゃない。コイツ
「えっ?」
「とにかく警備隊と合流しよ。細かい話はその後ね」
僕達は、捕まえた男を連れてリーナ達警備隊と合流した。
「なるほど、そうだったのか」
クルアから事情を聞いて、僕達は頷いた。
目の前には黒いローブを被った男が二人。仲良く縄で拘束してある。
一人は僕たが捕まえた男、もう一人は同じ格好の知らないヤツ。彼は警備隊が捕縛したらしい。
敵は二人いたわけだ。別行動をとっていたのだろう。
とりあえずこんなヤツらを村に近づけるわけにはいかないので、僕達は森の中で話していた。
「これで全員?」
「おそらくね。念の為他の警備隊員が捜索中だよ」
ティカが肩をすくめる。
まぁあれからしばらく経ってるし、何も起こらないってことは仲間はもういなさそうだけど。
「身元は?」
「分かるものは何も持ってなかったし、この通り黙ったままさ。まぁ、マトモな連中じゃないのは確かかな」
そりゃそうだろうな。
「まったく、主人様も無茶するね。私達がいなかったらどうするつもりだったのさ?」
「ごめんって。それより………」
メアの小言は一旦スルーして、僕は彼女達が捕まえた方の男へ視線を向ける。
それからエルナに耳打ちをした。
「君達どうやって捕まえたの?アレ、口から血吐いてない?」
男は口の端か、血を流しており、近くの岩にも血がついている。普通に小突いて出る量じゃないだろ。
「いやぁ、捕まえるまでは順調だったんだけどね。その後暴れてミミに襲い掛かろうとしたから、クルアがキレてドスッと、ね」
「あぁ………」
具体的にどうしたかは聞かないでおくか。まぁ自業自得だし、命があるだけマシだと思ってもらおう。
さて、疑問も晴れたところで、問題はコイツらの処遇だ。
すると………
「主人様!」
後ろから声がして振り向くと、スフィアさんがこっちに走ってきていた。
「ご無事ですか⁉︎」
「平気です。マーサちゃんも無事ですから」
「そうですか。よかったです」
スフィアさんは安堵して、胸を撫で下ろした。
本来なら、族長故に村から出るのは良くないはずなんだけど。さすがにそうも言ってられなかったみたいだ。
僕達はざっくりとさっきまでの経緯を話した。
「………というわけで、この人達をどうするか検討中です。どうしましょう?」
「お任せください」
クルアが一歩前に出ると、持っている槍を振り上げた。
その目は鋭く、どう見ても慈悲を与える顔じゃない。
「子供を攫うだけでなく、主人様にまで手を出すとは………許しません!」
「待った待った!それはダメだって!」
男達目掛けて、槍を振り下ろしそうになっていたクルアを慌てて止める。
敵に対して人命第一なんて言うつもりはないが、この人達はマズい。
「たぶんこの人達は、どこかの国の諜報員だよ」
昨日一度見つけられて、追いかけられてもなお居座り続けていたんだ。 誰かの命令に従っているのは確かだし、服装が全く同じなところから何かの組織の制服なのが伺える。
しかその辺の怪しい組織が、この村を見つけられるとは思えない。どこかの国の諜報員なのは間違いないだろう。
「諜報員は情報を持ち帰るのが仕事だ。相手の目的が何か知らないけど、行方不明はマズい」
理由は知らないが、諜報員を送り込むということは、それなりに警戒されているってことだ。
そしてそれだけのことをしてでも、この村のことを知ろうとしてるということ。
ここで諜報員を殺して行方不明になったら、相手はますます警戒する。
子供を攫うようなヤツらだ。今度はもっと強硬手段に出るかもしれない。
「しかしヤツらをこのまま帰せば、それこそどんなことをされるか」
「まぁ、それはそうなんだよなぁ」
「それであれば、私にお任せください」
首を捻って考えていると、スフィアさんが前に出た。
万が一男達が暴れ出しても対処できるように、警備隊の人達が周りを取り囲む。
何をするのか分からず困惑するが、たぶん僕がすることはないので近くで見守ることにする。
スフィアさんは男達の額に手をかざし、何やらぶつぶつと呪文のようなものを唱え出した。
すると彼女の手に小さな光が集まり出して、男達の頭の中へと吸い込まれてしまう。
「「うっ………!」」
その途端、男達がビクッと震えると、意識を失ってその場に崩れ落ちた。
「えっ⁉︎ま、まさか、殺したんですか?」
「いえ、術のショックで気絶しただけです。しばらくすれば目を覚まします」
「じゅ、術?」
恐る恐る男達の口元に手を当てるが、弱々しくも呼吸はしている。一応生きてはいるようだ。
とはいえ、いきなり気絶する様を見せられて動揺が隠せない。
「え、えっと………何の術ですか?」
「それは………記憶の消去です。一週間前までの記憶を消しました」
記憶の消去⁉︎
僕をこの村に呼んだ矢といい、色んな術を持ってるのは察してたけど………まさか、こんなことも出来るとは。
「クルアさん。すみませんが、彼らを森の外へ連れ出してください。命令を忘れているはずなので、目覚めれば自分達で帰るはずです」
「かしこまりました」
クルアとティカは数名の警備隊員を連れて、男達を運んでいった。
それを見送りながら、今度はリーナに耳打ちをする。
「ねぇ、あんな術あるの知ってたの?」
「お母さんが色んなこと出来るのは知ってたよ。実際に見たのは初めてだけど」
実にふんわりとしているが、あんまり気にしてない様子だ。
僕からすれば愕然どころの話じゃないんだけど。記憶消去なんて、おいそれと出来ることじゃないぞ。
一緒に暮らしてきて、それなりに分かってきていたつもりだったが、まだまだ知らないことだらけなのかもしれない。
「さぁ、村の皆さんも心配していますから、早く帰りましょう」
スフィアさんがポンッと手を叩き、僕達は村へと帰った。
何はともあれ事件は解決。
他の不審者はいなかったし、男達も帰ったそうなので、とりあえず一安心だ。
子供達はみんな家に帰して、警備隊は今回のことでお話し中。だから帰ってもリーナもスフィアさんもいない。
そんなわけで僕はといえば………
「弾は鉄の弾とトリモチ、それと今回使った火薬弾だよ」
「それなら、もうちょっと見た目で分かるようにしてくれると助かるかも」
改めてスリングショットの説明を受けるために、セフィーの元を訪れていた。
するとちょうどルミナと、意外にもウィーネがいたので、みんなと過ごしている。
「そういえばルミナは大丈夫なの?どこも怪我してない?」
「大丈夫ですよ。主人様の方こそエリさんに診てもらわなくていいんですか?」
「あぁ。疲れはしたけどね」
いつかこういうトラブルが起きるとは思ってたけど、いざ起きると中々に面倒だ。これ以上何もないといいが。
「それでは主人様、こちらへどうぞ」
ウィーネが腕を広げてくれたので、お言葉に甘えて彼女の胸に倒れ込む。
ふくよかな胸に包み込まれて、その温もりと感触がジワッと心をほぐしてくれる。
「今日は、本当にお疲れ様でした」
「ありがとう」
彼女の温もりに癒されていると、後ろから服がクイッと引っ張られた。
振り向くと、セフィーとルミナが唇を尖らせている。
「ウィーネばっかりズルいよ」
「私達もギュッてしたいです」
セフィーに関しては昼間してたんだが、まぁいいか。
今回無事にマーサちゃんを助けられたのは、二人のおかげだ。僕一人じゃ絶対に守れなかっただろう。
ちゃんとお礼しないとな。
名残惜しいが体を起こすと、二人を両腕で抱きしめる。
「二人共、今日はありがとうね。おかげでみんなを守れた」
「主人様………なんか照れちゃうな」
「こちらこそ、村を守ってくれてありがとうございます」
三人で抱き合い、感謝を伝え合う。
するとウィーネも、何も言わずに後ろから抱きついてきた。背中に弾力に富んだ柔らかい感触が、二つ主張している。
これだけでも命を張った価値がある。心からそう思えた。
しかし僕達がそれだけで終わるわけがない。
三人に囲まれるように抱き合っている内に、もっとこの温もりが欲しくなってきた。
「ねぇセフィー、今日泊まっていいかな?」
「うん、もちろん」
その返事をさらに肯定するように、セフィーと唇を重ねた。
すぐに自分よりも小さな舌が、チロッと唇を舐める。僕もそれを受け入れて舌を絡めた。
「んっ………んっ、くちゅ、あぅ………れろっ、んっ、ちゅうっ!」
「主人様、私にもお願いします」
その様子をジッと見ていたルミナが、僕の服の中に手を潜り込ませてきた。
しなやかな手が胸元で蠢き、じっくりと興奮を高めてくれる。
僕も腰に回していた手を上へと滑らせて、ルミナの胸を撫でた。程よく実った果実を鷲掴みにして、尖った先を捏ね回す。
「んぅっ!………あぁ、はぁ、あっ!」
体を跳ねさせながらも愛撫を続ける彼女に、愛おしさが増していく。
ウィーネも負けじと背後で胸を擦りつけている。
全員が淫靡な空気に飲まれ始め、さらに深く求め合おうとしていた。
最初に動き出したのはルミナだ。
「主人様………もう我慢出来ないんです。お願いします」
蕩けた瞳で見つめ、胸板を摩っていた手を下ろした。いきり勃っている下腹部を撫でてくれる。
痺れるような快感に体が支配されると、離すまいと体に力が入る。
もちろん我慢出来なそうなのは、ルミナだけじゃない。セフィーとウィーネも体が火照って赤くなっている。
四人で服を脱ぎながら、布団の方へと向かった。
露わになった褐色の肌が、薄明かりによく映える。
「今日は私達が主人様を癒してさしあげます」
僕を布団に寝かすと、下腹部にルミナが、セフィーが顔の上に、ウィーネが右腕に跨った。
三人の甘酸っぱい香りが充満し、自然と手が不埒な動きを始めてしまう。
ウィーネの秘所に指を潜り込ませると、舌を伸ばして滴り落ちるセフィーの蜜を舐めとった。
「ひゃッ⁉︎はぁっ♡!」
「んあぁッ♡‼︎あ、あるじさまぁ………♡」
「あらあら、もう準備万端のようですね」
ルミナは腰を動かして性器同士を擦り合わせてから、腰を浮かせて自らの秘所に導く。
熱い蜜が溢れ出して、僕のモノに流れ落ちる。
「私達にも………あの子達のような元気な子供、産ませてくださいね♡」
僕がセフィーとウィーネを愛撫すると同時に、ルミナは一気に腰を落とした。
みんなを守れて、共に過ごせる時間を噛み締めながら、僕は夜の快楽に飲み込まれる。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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