「あ、あの………そんなに、ジッと見ないでくださいよ」
目の前の光景に呆然としていた僕は、地血にそう言われてハッとした。
それと同時に今目の前にある光景の異常さを頭で理解して、思わず顔が赤くなった。
「なぁッ⁉︎なんて格好してるんだよ⁉︎」
僕は熱くなってきた顔を隠すかのように後ろを向いた。心臓がバクバク鳴っている。
それでもつい惹き寄せられてしまうのは、悲しいものだな。
「だって………私制服以外に何も服持っていませんでしたし。制服をシワにするわけにもいきませんから。先輩の服を使うのも申し訳なかったので、こうなりました」
たしかにそれなら仕方ない気もするけど………って、いやいやいや‼︎
「それなら言ってよ‼︎服くらいなら貸すから‼︎」
というかお泊まりしたいとか言い出しておいて、結局何の準備もしてなかったのかよ‼︎
「別にいいです………季節的にも、これで問題無いですから」
「はぁ⁉︎と、とにかく!僕はもう寝るから、おやすみ!」
僕は早口でまくし立てると急いでベッドに潜り込み、部屋の明かりも消さずに横になった。
放っておくのはマズいけど、気にしてやれる余裕なんてない。
一回見ただけなのに、地血の下着姿が目から離れない。
ダメだ。地血が何のつもりかは知らないけど、このまま一緒にいたら間違いなく襲ってしまう。
僕は無理矢理目を閉じて心を落ち着かせようとした。
すると、何かがモゾモゾと布団を中から動かしているのを感じた。
僕は思わず後ろを振り返った。
すると、そこには下着姿の地血がベッドに潜り込んでいた。
「ちょッ⁉︎おい!何してるの⁉︎」
「何って、寝るんですよ。ここ以外に寝られそうな場所はありませんから」
地血はベッドに潜り込むと、僕の隣に寝そべった。
いや、たしかにそうだけどさ………だからって………
いつもは淡々とした口調の地血が、今はどこか熱がこもっているように感じる。
少し振り返れば、しなやかな肢体を露わにした下着姿の地血がいる。僕は襲いたくなる気持ちを必死で抑えた。
「そ、それならせめて服着てくれ!何考えてるんだよ⁉︎」
「何か、問題ですか?」
「当たり前だよ!地血、僕だって男子なの。そういう事されたら、その………色々と困るんだよ!」
意図が掴めない以上下手な事は言えずに、僕は言葉をボカした。
そりゃいつもはゲームしてばっかで、そういった方向の話なんてまともにした事なかったけどさ。
それでもやっぱり女子としての地血に意識はする。綺麗だなって思う時もあるし、近くにいてドキドキする事もある。
あんまりそういう目で見ないようにしてても、それは仕方ない事なんだよ。
とりあえず何とかして地血から離れないと。そろそろマズい。
そう思っていた時、後ろから地血の腕が伸びてきた。それは僕の身体に回される。
地血はそのままギュッと僕に抱きついてきた。むにゅっと微かに柔らかいものが、僕の背中に押しつけられる。
「ッ⁉︎お、おい!」
僕はそれに気がついた瞬間、軽く跳び上がった。
「………な、なぁ、何か揶揄ってるならやめといた方がやめなって?こういうのシャレにならないし」
地血の熱がじんわりと染み込んでくるように感じる。その感覚に僕の理性はどんどん削られていく。
「別に………揶揄ってなんていませんよ」
「だったら何なんだよ。こういう事されたら、その………色々、勘違いするんだよ。その………襲ってもいいのかな、とか………」
地血相手に何言ってるんだろうとは思うけど、今はそれどころじゃない。このままじゃ本当にヤバい。
「襲いたい、んですか?」
「いや、そういうのじゃ………でも、そういうのを意識しちゃうんだよ。分かったら離れなって、それか服着て」
地血の熱が、身体の感触が、僕の背中を撫でる吐息が、どんどん理性を削いでいく。
「それなら…………好きにすればいいじゃないですか」
「………は?」
地血から返ってきた言葉に、僕は呆然とした。
「な、何言って………」
「だから、好きにすればいいじゃないですか。襲いたいなら、襲えばいいんですよ」
そう言われて、僕の心臓は一気に高鳴った。
カァッと上がってきた熱に身体を任せようとして、グッと止まる。
「あ、あのなぁ………その意味、分かってるの?その………襲うって、どういう意味か」
「分かってますよ。私と………ヤラシい事、したいんですよね?それなら、好きにすればいいじゃないですか」
地血は僕の背中に胸を密着させた。より伝わってくる感覚に、僕は唾を飲み込んだ。
「い、いや………そんな。いいわけないでしょ。万が一があったら………僕、責任とれないって」
「私、今日は安全な日ですから………別に問題ありませんよ」
地血の手が僕の体を這っている。その感覚に力が抜けそうになる。
こんなにも人にドキドキするのは初めてだ。
「そういう問題じゃ………その、だって………付き合ってるわけでもないのに………」
「何ですか………先輩だって、少しはそういう事期待して、私を泊めたんじゃないんですか?それとも、私じゃ抱くほどの魅力はありませんか?」
「そうじゃなくて………というか………分かってるなら、何でこんな事するんだよ。襲われたいの?」
「別に………先輩がシたいなら………抵抗するつもりは、ありませんよ。後は、先輩の度胸次第です」
地血は目線を下げて、僕と顔を合わせようとしない。
もしかして、こういう経験あるのかな?
告白はされるとも言ってたし、彼氏とかいて経験あっててもおかしくはない、か。
「それに………その、先輩のが………大きく、なってるんですよ………何だかんだ言って、期待してるんじゃないですか」
「あっ!いや、これは………」
僕はズボンが大きく膨らんでいるところを指摘されて、慌ててしまった。情け無いなぁ。
「このまま寝てても辛いだけでしょうし、私がスッキリさせてあげますよ?」
「地血………」
ダメだ、我慢出来ない。
僕は体の向きを変えて地血と向き合った。下着姿の地血に、無意識に目が惹き寄せられる。
「ようやくですか………ほら、するなら早くシてください」
「本当に、いいの?」
「私は………別に、いいですよ。いっぱい気持ちよく、してあげます」
僕はゆっくり地血に手を伸ばすと、彼女の肩にそっと触れた。ひんやりとして、柔らかい感触にドキッとする。
その肩を引き寄せると、地血と距離を詰めた。
地血は顔を赤くしながらも、目を逸らしている。
僕は地血を優しく抱きしめた。
「せん、ぱい…………?」
「その………よろしく、とかで、いいのかな?」
「………先輩、そんなのいいですよ」
そう言って地血も僕を抱き返してくる。地血の熱が全身に伝わってくる。
「その………嫌だったら、ちゃんと言ってよ?すぐ止めるから」
「………まったく、先輩は」
僕は地血をベッドに寝かせたまま、彼女に覆い被さるような体勢を取る。そして地血の全身を見た。
どこか熱っぽい表情をしている地血は、すごく艶やかだ。
「すごい、綺麗………」
つい思ったことが口から出てしまった。
「そ、そういう事、言わなくていいですから!早くシてください」
「あ、あぁ………それじゃあ………」
僕は息を吐いて少し気を落ち着けると、地血の二の腕に触れた。そのまま指先に向けて、指でなぞっていく。
「んっ………」
地血は少しだけ声を漏らす。それだけでも僕の興奮は高まっていく。
どうすればいいのかが分からない。どうすれば地血も気持ちよくしてあげられるのかな?
僕は地血の腹に手を置く。程よく引き締まったラインに沿って、手を上へと這わせる。
「あっ………んんっ………んっ」
きめ細やかで柔らかい地血の肌は、とても触り心地が良い。こんな感触がするんだ。
僕と地血の熱が僕達の間に籠る。それは僕達の体温を上げていく。
そして僕の手は地血の胸の下まで到達する。
「胸、小さくてすみませんね」
地血はどこか不貞腐れたように言った。
「別に………僕は、全然いいと思うけど」
後輩相手に何言ってるんだか。でも、素直な感想だ。
僕は別にスタイルとかがどうこうって事で、地血を抱こうと思ったわけじゃない。
相手が地血だから、ってのが一番しっくり来る。
「そう、ですか?………男の人は、胸の大きい人の方が好きだと思っていたのですが………」
「周りは知らないけど、僕は気にしないよ。地血はその………うん、まぁ………」
こういう時気の利いた言葉でもかけてやれればいいんだけど、生憎そんな事が出来るほどコミュニケーション能力も無ければ、余裕も無い。
すると地血はフッと口元を歪ませた。少しだけ表情が柔らかくなる。
「先輩、こんな時くらいは何かもっと言うことあるでしょう」
「あ、うん………悪い」
もうそんな事考えられるような状況じゃない。自分の欲求を抑えるので精一杯だ。
「別にいいですよ…………これからいっぱい、行動で示してくれるんですよね?」
そう言って地血は僕のことをジッと見た。真っ直ぐな瞳に、僕は惹きつけられる。
「あぁ………」
僕はそっと頷いて手を進めた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。