※この作品はR-18です。

エロゲ的な何か(仮)   作:MC RAT

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第7話

 想いを伝え合ったその日。

 僕と紙縒(こより)は叔母さんに連絡した。お願いが二つあると言って。

 一つは明日の学校を家の事情って事で休みにして欲しいこと。もう一つは明日のお昼までに神社に来て欲しいこと。

 僕一人なら無理があったかもしれないけど、紙縒も一緒だったからかそのお願いは聞いてもらえた。

 そして翌日の昼頃。

 神社の前に一台の車がやってきた。叔母さんの車だ。僕はそれを出迎える。

「叔母さん。わざわざ呼びつけてしまってすみません」

「あなただけじゃくて紙縒ちゃんからも頼まれたからね。よっぽどの事なんでしょ?」

「まぁ。とりあえず中へ」

 僕は叔母さんを神社の奥の家へ案内した。中に入ると紙縒が待っている。

「紙縒ちゃん。こんにちは」

「お、お久しぶりです」

 二人は挨拶をすると奥座敷の方へと移動する。

 僕は紙縒の方を見た。どう見ても緊張してる。って、それは僕もだけど。

 奥座敷に着くと、僕と紙縒は叔母さんと向かい合うようにして座った。紙縒がお茶を持ってくる。

「それで、学校を休んでまで私を呼んだ理由は何?」

「は、はい。それは………」

 紙縒が話し出そうとするが、緊張で上手く話せていない。

 僕は紙縒の肩に手を置くと、自分から話し出した。

 

 

「単刀直入に言います。僕は………紙縒と結婚したい。叔母さんにはその承認をしてもらいたいんです」

 

 

 叔母さんは驚いたような顔をしたが、すぐに元に戻った。そこまでショックではない、のか?

 それから一息置いて叔母さんは話した。

「あなた、その意味が分かってるの?彼女と一緒になる事が、何を意味するか」

「あぁ。この神社を継ぐ。そういう事でしょう。その上で頼んでるんです」

 僕は真っ直ぐ叔母さんを見据える。

 僕達だってただ感情だけで決めたわけじゃない。現実的に見込みがあるのか、それは昨日ちゃんと落ち着いて話し合った。

「紙縒ちゃんも、ちゃんと分かってるのね?」

「はい。本来は私はこのような事が出来る立場ではないのは、重々承知しております。しかし私は、彼を慕い旦那として迎えたい。そのための想いも覚悟もございます」

 叔母さんと紙縒が真っ直ぐと見つめ合う。

 

 

「そう。ならいいわよ」

 

 

「難しい事なのは分かっています!ですが、そこを何と………って、え⁉︎」

 あっさり承認された事に、紙縒はつい素っ頓狂な声を出した。

 突然の事にポカンとしている。

「あ、あの………私達の方からお願いしておいてアレですけど………いいんですか?」

「いいよ。そこまでちゃんと考えてるなら、任せても大丈夫そうだし。紙縒ちゃんの歳なら、もう結婚してもおかしくないしね。問題無いわ」

「は、はぁ………」

 あまりにも簡単に認められて、紙縒はまだ動揺を隠せていないようだ。

「さてと、式はいつにするの?急ぐ必要は無いけど、遅すぎるのも………」

 叔母さんが話し出したのを、紙縒は呆然として見ている。きっと色んな説得を試みるつもりだったんだろう。

 僕はその様子を見て、ふうっと息を吐いた。

 こうして僕は、めでたく紙縒と結婚することが決まった。

 

 

 

 そんなこんなで数日後。東海林神社には、多くの客人が訪れた。

 まぁこんな大きな神社の婚約発表会んだ。客人が多いのは当たり前なんだけどね。

 正直息苦しい事この上ないが、紙縒と結婚すればこんな事も頻繁に起こるかもしれない。予行練習にはちょうどいいか。

 何人かの客人には結婚を反対する人といるかと思ったけど、みんな反対どころか暖かい言葉をかけてくれた。それはそれでプレッシャーだけど。

 唯一救いだったのは、着せられた服が和服だった事かな。タキシードなんて着せられたら物理的にも息苦しくなるところだった。

 発表は滞りなく進み、そのまま祝賀会となった。

『ただの大人の飲み会じゃない?』と聞いたら『野暮な事言うな』と叔母さんに言われたが。

 というわけで僕達も参加した。もちろん僕と紙縒は未成年。お酒はやめさせてもらったけどね。

 こうしてみんなで大きなテーブルを囲んでガヤガヤとお話ししている。

 ぶっちゃけここでする必要のある話か?とは思ったけど、僕達を祝福してくれたのは確かなので気にしない。

 それにこっちの方が、僕にとってもありがたい。

 

 

 

 大人達がお酒を片手にガヤガヤと騒いでいる。予想していたよりも、ずっと砕けた祝賀会だ。

 表裏あるような感じかと思ったけど、事情を忘れて見てみるとただの飲み会だ。僕も私服だし、紙縒もいつもの巫女服だ。

 紙縒曰く、今日はこんなだけど、堅い時はそれなりに堅いんだと。その辺も慣れないと、かな。

「それにしても、紙縒ちゃんも大胆な事したな!まさか普通の同級生と結婚に乗り出すとは」

 客人の一人のおじさんが、紙縒に向かってそう言った。僕達の結婚は本当にイレギュラーなものみたい。

「い、いえ………私は何も。彼が『悪い方には行かないから大丈夫だ』と励ましてくれたんです」

 紙縒が僕の方を見ながら話した。

「ほぉ、大したヤツじゃねぇか!」

 ちょい、絡まれるような事言わんでくれ。いや、ちょうどいいか。

 

 

「別に。事実を元にして言っただけですよ。僕と紙縒が一緒になる事を祝福はされなくても、反対される事はない、とね」

 

 

 僕の言葉にその場が少しだけ静まった。やっぱりか。

「? あの、どういう事でしょうか?事実?」

 唯一状況の分かっていない紙縒は首を傾げた。

 まだ気がついてなかったのか………って、彼女だけの視点から気がつくのは不可能か。

 

 

「簡単な話だ。僕がここに留まる流れは、ここにいる何人か………少なくとも叔母さんの計画だった、って事」

 

 

「え?………そうなんですか?」

 紙縒が叔母さんの方を向くと、叔母さんは気まずそうに顔を背けた。

「いつから気がついてたの?」

「予想してたのは割と最初。いくら家が近いからって、何の車(アシ)も持たない高校生を遺品整理に向かわせるなんて変でしょ?」

「あ、たしかにそうですね。しかし………」

「あぁ、遺品整理は問題無く終わった。滞りなくな」

 僕は納得した紙縒の後の言葉を続けた。

 こんな大きな家の遺品だ。トラックが必要なものだってあって当然なのに、それらは無かった。

「紙縒のご両親が亡くなってからは、その関係で人の出入りも頻繁だったし、紙縒は学校だってある。その隙にそういう大きなものを大人がこっそり先に運んでいてても不思議じゃない」

 蔵の整理の時に少し違和感を感じる事があった。スペースの空き方が不自然だったんだ。

 何でそんな事をしたのか、考えられる理由の一つは『遺品整理を僕と紙縒だけでやってるように見せるため』だ。

 二人きりでやらせているように見せて、周りを気にせず距離を縮められるようにしたわけだ。

「それに僕をわざわざここに泊めさせたのは、これからのここでの生活に慣れさせるため、ですよね?」

「何だ………全部バレてたんだね」

 叔母さんが肩を落としていった。

 

 

「えぇ。ついでにあなた達が紙縒の事を本気で心配してたのもね」

 

 

「私の事を………?」

「あぁ。僕をここに留まらせるだけなら、何も周囲を介入させないようにする必要なんか無い。僕と二人きりにして、少しでも紙縒の負担を減らしたかったんだよ」

 あの時の紙縒は精神的にも肉体的にも弱ってた。それでも彼女は無理をしていた。

 助けてあげたい。でも周りがそれで出しゃばったら、それはそれで紙縒の負担になる。大人が囲んでるのと同じだからな。

 けど出来るだけ身近に頻繁に一緒にいて、気遣ってやれる人が必要。

「それが、学校のクラスも同じ僕だったってわけ」

 家でも学校でも一緒なら、彼女の状態もちゃんと分かってやれる。

 つまりそれで紙縒を倒れさせちゃったのは、僕の落ち度だった。

 それで最低限の負担で、出来る限りの配慮をしたわけだ。

「っと、これが僕の考えた流れですが、訂正入ります?」

「いやぁ、驚いた!完璧にお前さんの言う通りだよ!賢い旦那さん持って、紙縒ちゃんは幸せだなぁ!」

 そう言って客人達は笑った。反応からしてここにいる人みんなグルか。開き直りよって。

「たしかに、あなたがここに留まってくれるようにはしたわ。けど、まさか結婚するなんて予想してなかったわ」

 なるほど、結婚報告の時驚いてたのは内容じゃなくてその早さ。だからあんなにあっさり認めたのか。

 となるとこの人達にとっては、僕がここに留まるだけで良かったのね。つまり紙縒のケア係だ。

 もし僕が普通に帰ろうとしたら、適当な理由作ってもう少しいさせるつもりだったんだろ。

「だから言ったろ?反対はされない。この状況を作ったのはこの人達なんだから」

「皆さん、私のために………ありがとうございます」

 そう言って紙縒は頭を下げた。きっと周りが助けようとしたのは、こんな真面目な子だったからだろう。

 改めて、紙縒を好きになれて嬉しく思った。これからは僕がちゃんと支えてあげよう。

 

 

 

「それじゃあ私は酔った人達を送って行くから。後は二人で頼むね」

「分かりました」

 僕は祝賀会の片付けをしている叔母さんと話した。

「誰も泊まることはしないから安心してね」

「あぁ、そんな人いたら世話が面倒ですから」

 すると叔母さんは呆れたようにため息をついた。え?何?

「あなた目の前の事頑張りすぎて、これから何するか考えてないでしょ?結婚して初めての夜なのよ?」

「それが一体………あ」

 僕は叔母さんの言葉の意味に気がついた。それと同時に顔が熱くなる。

「それじゃあ、後は任せたわよ」

 そう言って叔母さんは部屋を出て行った。

 

 

 

 僕は自室に戻ってのんびりとしていた。そうか、今から僕………大丈夫かな?

 するとその時はやってきた。襖が軽く叩かれる。

「旦那さま、紙縒です。入ってもよろしいでしょうか?」




 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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