主人公はとある国の王子様、という事で。
第1話
「捕虜を奴隷にしろ?」
城の地下牢に続く道に向かう中で、僕はうんざりした声を出した。
僕はある日の朝、いきなり父さんに呼び出されて今ここにいる。
「そうだ。とりあえずついて来い」
僕の目の前を歩くおじさん、もとい僕の父さんはそう言って歩き続ける。
僕のいる国はいわゆる侵略国家だ。色んな所と戦争をして勝って侵略している。
そして僕の父さんはその国王なわけで。息子ながら呆れるほどの傲慢。まるで自分がこの世界の頂点とでも言わんばかりの態度だ。
犯罪者集団と繋がっていたり、過剰なまでに攻撃さしたり、国民を苦しめたりなどして、とにかく自分の欲求を満たしている。
それでも、自己完結してくれるなら一性格として許容するべきなのかもしれないけど、そうじゃないのがめんどくさい。
その妙に高いプライドを僕にも押し付けてくる。『俺はすごいんだからお前もそうなれ』みたいな。
僕は侵略とか戦争には興味ない。だからあんまり関わらないようにしている。
一年で何度も何度も戦争を行い、その度に国の労働力は戦争に持っていかれる。
税金は高くなるし、国内での物資の流通も良くない。
さらにはその父さんの性格に漬け込んで裏で悪さをする輩もいる。いや、父さん自身叩けば埃が出てくるような人だ。
こんな人の人生に付き合わされるのかと思うと、とてつもなく苦しい。けどこうするしかないしな。
そんなわけで今日もまた妙な事を言われて、それが冒頭のヤツね。
「つい最近我が国が戦った国を覚えているか?」
「えっと………南方の遺跡がどうのこうのってヤツでしたか?」
この国から南に行ったところにある割と大きな国。そこには結構古い遺跡のようなものがあった。
それに金銭的価値を見出した父さんが、その国に遺跡を渡すように要求したところ、当たり前だけど拒否された。
そしたら毎度の如く侵略戦争だよ。
その国の中にいるスパイが暗躍したり、そこの貴族を抱き込んだりとまぁまぁグレーな事をしつつ
「そうだ。その時に捕まえた騎士を一人、お前の奴隷としてくれてやる。好きに調教しろ」
「さも説明終了みたいに言ってるけどちょっと待ってくださいや。僕そんな事頼んだ覚え無いんですけど?」
僕はそうやって無理矢理人を従えるのは好きじゃない。熟議による利害の一致によってならまだいいんだけど。
そんな奴隷なんて渡されてもただデカい荷物が増えるだけ。
「それに仮に頼んでたとしても何故わざわざ捕虜を奴隷に?普通に奴隷商人から調教済みのを買った方が効率はいいかと」
「これは言ってみれば課題だ。人の心を折って自分の手中に収めるためのな。国王には必要な力だ」
そんな課題あってたまるか。というかそれ別に国王じゃなくても周りに頼めば良くない?
「どんな事をしても、僕は基本的には話し合いで解決したいです。利害関係を成立させられれば武力行使の必要はないと思うのですが」
「そんなのは国王のやる事ではない。生まれ持った自分の力でねじ潰す。それが国王だ」
あぁ、やっぱりこの会話面倒だ。毎度平行線なんだよな。
というか生まれ持った自分の力って、周りの人間が助言して周りが実行してるだけだろ。
その人達だって引き継いだ財産で殴って従わせてるだけ。それらによる責任は周りに丸投げ。
どこに自分の力があるんだか。物事の力=決定権じゃないんだよ。
と、こんな事突っ込んでも聞こうとしないだろうし、言ったら言ったで面倒な事になる。
それにしても何年後にはこの人の後を継がされるのか。そう思うたびにストレスで倒れそうだ。
ここは適当に流すか。
「まぁそれでいいですよ。で、その騎士の詳細は?」
「お前からすれば大したヤツではない。ただの軍の指揮官の一人だ」
充分大した事あるよ。そんなの僕に任せるのか?
「それ大丈夫なんですか?割と面倒そうな上に速攻殺される未来しか見えませんが」
「何、ちゃんと拘束の魔道具で押さえつけてある。暴れても何も問題無い」
そういうのから脱出するのも騎士の技術とかでありそうなんだけど、そこはどうなんだ?
そんな事を話している間に、僕と父さんは地下牢に着いた。ここにいるのかな?
そこにいた騎士の一人から牢屋の鍵を預かると、奥へ進む。
「いたぞ、あれだ」
たしかに奥の牢に人が繋がれて吊るされている。あれがそうなのか。
近くに来てその騎士を見て、僕は思わず見惚れてしまった。
おぉ、女騎士だったか。しかも綺麗な人だなぁ。
歳は僕と同じくらいで、綺麗でサラッとした金髪は解かれて肩へと流れている。
まだ光を残した強い碧眼、口はキュッと結ばれており、まだ屈して無いのがよく分かる。気強そうだなぁ。
当たり前だけど武装は解除されていて、アンダーウェアのようなものだけになっていた。
体型もパッと見た感じよく鍛えられているのが分かる。それでいて女性らしい体型を維持している。
わざとじゃないんだろうけど、すごい煽情的だ。
ただ一つ残念なのは、ここに無理矢理連れて来られて閉じ込められたからか、身体は汚れていて傷もある。
さらに彼女を吊し上げている手枷や足枷も痛々しく感じる。
それが彼女が前線に出て剣を振るっていたのがよく分かる。頑張ったんだなぁ。
「名前は?」
「グリア、だそうだ」
グリア、ねぇ。
「それじゃあ後は任せたぞ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。やり方教えてくれないんですか?」
僕調教なんて初めて、というかやるつもりなんて無かったから知識すらない。
「お前の好きにすればいいだろう。それも課題のうちだ。道具なら牢屋の中にある」
だとしても基本知識くらいはあってもいいだろうよ。その手の本とか城にないかな?
「まぁいいや。あ、それとあの枷の鍵は?移動の時とか無いと無理かと」
「どこに移動させるつもりだ。鍵は私が持っている。お前に任せると奪われて逃げられるかもしれん」
たしかにそうかもな。というかこの人逃して一発父さんに泡吹かせてやろうかとも思った。
「まぁそうだな………ちゃんと調教して、コイツがお前に従順になったら渡してやる。その後は好きにしろ」
なるほど………それなら………
「それでは、私は失礼する。せいぜい上手くやれよ。ついでにあの国の秘密でも聞き出せたら教えろ」
そう言って父さんは牢屋の鍵を開けて、地下牢を後にした。牢屋の鍵だけは僕にくれた。
そしてその空間は僕とグリアの二人だけとなった。
けどこのままボーッとしてても仕方ない。何もせずに帰るという手もあるけど、グリアがジッとこっちを見てくるんだよ。
僕はそっと牢屋に入る。たしかに調教で使いそうなものがチラホラ見える。
とりあえず一応警戒しながらグリアに近づく。
その時だった。
「貴様は、この国の王子か?」
その硬い声に僕は一旦足を止める。さっきの話の内容聞いてればさすがに分かるか。
「あぁ、そうだよ」
すると目つきがより鋭くなったように感じた。まぁそうなるよな。
「私を慰み者にでもするように言われたのか」
「厳密に言えば奴隷、ね」
性欲処理前提にされると困るわ。いや、可能だけれども。
「…………ない」
「え?」
僕はグリアの口が僅かに動いたのを見て、思わず聞き返した。
するとグリアはキッと僕を睨んでくる。
「許さない………卑劣な策を使い、罪のない民を虐殺した貴様らを!貴様らは盗賊と何も変わらない‼︎」
そう言われて、僕は何とも言えない気持ちになった。
今回、というかこれまで僕は戦争には関わらないようにしていた。
理由は単純で、今グリアが言った通り、ウチのやり方は盗賊と変わらない。
意味のない大量虐殺、お金で裏切ろうとしない貴族がいれば家族を人質にとって従わせる。捕まえた者は全て奴隷にして欲を満たそうとする。
戦争だから何でもアリ、というのに反対はしない。でもウチの国は常軌を逸している。
後は普通に興味がない。
けど、やられた側からしたらこんな感じなんだな。
すごい強気な人だけどそれでいて真面目そうな人だし、ウチみたいなやり方は気に入らないのだろう。
それなら…………うん、心置きなく調教しても大丈夫かな。
僕はグリアとの距離を縮めた。
「何をするつもりだ!来るな!」
グリアは身体を揺らして威嚇してくる。彼女を吊し上げる鎖がガシャガシャと鳴った。
けどあらかじめ父さんから魔道具で拘束してると聞いているので、その辺は安心して近づく。
見た感じ傷もあるにはあるけど、そこまで酷くない。さすがに出血してる状態でやるのは嫌だからな。
僕はグリアの身体をジッと見た。腹や脚は引き締まっていながら、胸やお尻は大きく膨らんでいる。
それでいて顔立ちも整っていて、つい見惚れてしまうような容姿。
僕の心情はともかく、本能的にはつい襲ってしまいそうだ。
「あんまり騒がない方がいい。下手に騒ぐと上にいる騎士達が来ちゃうからね」
僕はそう言って後ろからグリアを抱きしめた。
失礼だが正直身体は少し硬いのかなとか思ってた。
しかしそんな事はなく、抱きしめた瞬間むにゅっと柔らかい感触がした。
それでいてじんわりとした熱が伝わってくる。僕はしばらくの間そのまま抱きしめていた。
「ッ⁉︎や、やめろ!離れろ‼︎」
グリアは抵抗するようにもがいているが、魔道具のせいか全く力が入っていない。
さてと、ここからどうしていこうか。僕は少しの間考えて行動に移した。
こうして僕のグリアを調教する日々が始まった。
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