※この作品はR-18です。

エロゲ的な何か(仮)   作:MC RAT

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第8話

「お兄ちゃん、行こう!」

「りょーかい。今行く」

 一階から鶏児草(よめな)の声が聞こえて、僕はバッグを持つと部屋を出た。

 一階に行くと、そこには白いワンピースを着た僕の妹(正確には従兄妹)の鶏児草がいる。

 清楚なその姿に僕は思わず見惚れてしまった。へぇ、可愛い。

 僕の視線に気がついたのか、鶏児草が困惑気味になる。

「あ、えっと………どう、かな?」

「うん。すごい似合ってるよ」

「そう?よかった」

 鶏児草は顔を綻ばせた。昔より一層感情が豊かになった気がする。

 今日は珍しく鶏児草と一緒にお出かけしようという事になったのだ。

 これまで家族でお出かけした事は何度かあったけど、鶏児草とだけというのは初めてだった。

 それでも周りから見れば兄妹が一緒にお出かけだなんて珍しい事じゃないだろう。

 しかし僕達の間にある関係は、前のものとは違う。

 僕が妹である鶏児草と付き合い始めてから数週間が経った。

 初めて身体を重ねて、僕達の距離感は確実に変わった。結構一緒にいる時間も多くなり、叔母さん達も『仲良くなったね』と言ってくれた。

 もちろんその裏で僕と鶏児草が付き合っているなんて予想もしてないだろう。

 僕達の関係はバレるわけにはいかない。受け入れてもらえるはずがないから。

 恋人になった事は、僕の意識にもちゃんと影響していた。

 一緒に寝るのも前と変わっていないが、それに対して抵抗感が薄くはなっていた。

 それに今目の前にいる鶏児草に対して、どこか女性としての魅力を感じるようになっている。

 そんな中、ある日突然鶏児草が『どこか二人でおでかけしたい』と言い出した。

 これを家族とのお出かけととるか恋人とのデートととるか。それはまぁ特には考えずに、僕はその提案を受け入れた。

 叔母さん達にその話をすると、一緒に行きたいけど仕事があるんだと。いや、場合によっちゃ来られたら困るから。

 鶏児草が見たい映画があるからと、映画館のあるデパートへ行く事になり、冒頭に至る。

 そんなこんなで僕達はバス電車を駆使してデパートに着いた。

 時間的にも早い時間の映画を取ったので、映画のチケットを買うと、すぐに僕達はスクリーンに移動する。

 それからしばらくして映画が始まった。

 内容はいわゆる恋愛系だ。しかも三次元の。僕の趣味ではないけど、たまにはいいなと思う。

 辛い過去を持つ主人公の青年はとある女性と恋に落ちる。でも実はその青年の事が好きな女性は他にもいた。

 それは昔からの幼馴染だったり、恋人の妹だったり、立場も過去も様々だった。

 それぞれの恋模様や紐解かれていく過去、そして人物達の複雑な心情が伝わってくる。

 ベタではあったけど、だからこそ気持ちが伝わりやすいものだったと思う。

 するといきなり僕の手が温かくて柔らかいものに包まれた。

 僕はそれを感じて、ふと隣の鶏児草を見た。

 どこか恥ずかしそうに目をキョロキョロさせて、スクリーンの光だけでも分かるほど赤くなっている。

 その手は僕の方に伸びて、僕の手を握っている。

 これまで家で手を繋ぐのを求められた事はあるけど、外では無かったからな。

「………いい?」

「うん。いいよ」

 そう言うと鶏児草は嬉しそうに微笑んだ。手に籠る力が少しだけ強くなる。

 こんな風にしてれば、少しは実感出来るだろうか。

 僕と鶏児草で選んだ道が、少なくとも僕達の中では正しい事が。

 とまぁそんなこんなで映画も終わり、僕達は映画館を出た。

「いい映画だったね」

「だな。あぁいうの初めて見たわ。鶏児草ってあんな感じの映画好きなの?」

「好き、というか………友達に教えてもらったの。それで、お兄ちゃんと一緒に見たいなぁって」

「そうか。ありがとうな」

 そう思ってくれる事が、何となく僕はとても嬉しかった。僕の事考えてくれたんだなぁ。

「というかずっと手繋ぎっぱなしだけど、いいの?」

 僕は鶏児草の手を握っている自分の手を見た。映画の時からずっとこのままだ。

「あ!ごめん!」

「全然いいよ。もうちょっとこのままでいい?」

「………う、うん」

 せっかく二人きりのお出かけなんだ。こういう楽しみも味わいたい。

 僕よりも二回りくらい小さい鶏児草の手を、僕はちゃんと握った。

「それじゃあお昼も近いしお昼ご飯にするか」

「そうだね」

 という事でとりあえずお昼ご飯を食べる事にした。

 

 

 

 それからはあっという間だった。

 お昼ご飯を食べて、それから本屋とか文房具屋とか色んなお店を回った。

「わぁ!お兄ちゃん!色んな色の色鉛筆ある!」

「ん?おぉ、いっぱいあるなぁ。こんなに使う時ってあるのか?」

「十色くらいだと、これって色が出せない時あるからね。いいなぁ」

 鶏児草はいっぱいある色鉛筆を見ながらはしゃいでいる。

 そういえば、昔からよく絵とか書いてたっけな。変わってないんだなぁ。

「買ってやるか?」

「え?いいよ、自分で買うし………」

「ほら、いい映画見せてくれたお礼、な?」

「いいの?ありがとう!」

 まぁ本音はちょっと見ていて面白いと思ったからだ。

 家ではいつも一緒にいて、二人きりな事がほとんどだ。それでもこうやって新しい場所に行くと、とても新鮮な気持ちになる。

 こうやっていつもとはまたちょっと違った鶏児草を見ることが出来て楽しい。

 そうしているうちに外の日は傾いていっている。

「そろそろ帰らないとだな」

「あ、もうそんな時間か………」

 すると鶏児草は少し悲しそうな表情を浮かべた。僕もまだ二人で楽しみたいよ。

「また来ようよ。今度はもっと色んなこと楽しもうか」

「うん」

 僕達はデパートを出て家に帰った。その間もずっと手を握っていた。

 

 

 

 家に着いた僕達は鶏児草の作ってくれた夕ご飯を食べて、自室のベッドでのんびりしていた。

 お風呂は後で入るとして、これからどうしようかな?

 そんな事を考えていると、部屋の扉がノックされた。

「お兄ちゃん?鶏児草だけど。入っていい?」

「ん?いいけど」

 部屋の扉が開かれて、ワンピースのままの鶏児草がやってきた。

「どうしたんだ?」

「うんとね………ちょっと、お話したくて」

「そうか。とりあえず座ったら?」

 僕がそう言うと鶏児草は頷いて、僕の隣に座った。僕は体を起こす。

 よく考えたら仮にも彼女をベッドに招くのはちょっとマズかったかな?まぁ気にしないでおくか。

 今日一日ずっと一緒にいたわけだけど、鶏児草の姿はそれでも飽きない魅力があった。

「それで、どうかしたの?」

「あのさ………お兄ちゃん、今日のお出かけどうだった?」

「は?まぁ、楽しかったけど………」

 いきなりどうしたんだ?そんなに表情変わってなかったか?

「えっと………そうじゃなくて、その………デ、デートとして………どうだったかな、って」

「あぁ、そういうこと」

 やっぱり今回のはデートカウントでいいんだよな。そう思うとどこか嬉しかった。

「私、お兄ちゃんと付き合えてすごく楽しいよ。でも………今まで兄妹で、それで急に恋人になったら、どう接していいのか分からなくて………結局前と変わらなかったからさ」

 なるほど、そんな事気にしてたのか。

 まぁ僕もだけど。

 鶏児草と恋人になって、これまでの関係とはまた違ってくるわけで。それがどう変わってるのか、詳しくは自分にも分からなかった。

 だからどうやって鶏児草と接していけばいいのか、それはやっぱり気にしてた。

 今の関係は純粋に楽しい。けど、だからこそ悩むこともあるわけで。

「お兄ちゃんとデート出来るって分かって、すごい嬉しかったよ。だから服とか、行く所の内容とか、色々調べたんだ。けど、私こういうの初めてで………」

 そういえばここ最近鶏児草の部屋にいる時間増えてたな。デートの事で調べてたのね。

「今日のデート、私、ちゃんと出来たかな?いつもとは違う、お兄ちゃんの彼女でいれたかな?」

 鶏児草がどこか不安そうな表情をした。

「そうだな………まぁ、いつもと変わんなかったかもな」

「ッ………そ、そっか………まだまだ、だね」

 鶏児草は少ししゅんとなって言った。顔を少し俯かせる。

 僕はそんな鶏児草の頭を優しく撫でてやる。

 

 

「でも、それでいいんじゃない?僕はそのいつもの鶏児草が好きなんだし」

 

 

「え?」

 鶏児草が顔を上げた。僕は鶏児草の頭に手を乗せたまま話す。

「今日みたいな特別な鶏児草もいいけど、僕はいつも通りの鶏児草もいいと思うな。だから付き合おうと思ったわけだし」

 最初は同居人としてだったわけだし、そこで見えたいつも通りの鶏児草に僕は惹かれたんだ。

「というか僕もデートとか初めてで、デートっぽいとか分からないしな。だから、いつもと変わらない鶏児草とのデート、すごい楽しかったよ。ありがとうな」

「お兄ちゃん………」

 鶏児草は嬉しそうに笑った。

 うん、この笑顔だ。妹としてでも彼女としてでも見せてくれるこの笑顔が、鶏児草の魅力だ。

 僕の彼女は目の前にいるいつもの鶏児草なんだ。

「ねぇ、お兄ちゃん」

 少しだけ目線を泳がせた鶏児草は、僕との距離を詰めつつ声をかけてきた。

「何?」

「キス、してもいい?」

「………久しぶり、だな」

 付き合い始めてからこんな風にキスをお願いされる事は無かった。

「だって………その、したいなって思うと………その、ハジメテの時のこと、思い出しちゃって………恥ずかしくて………」

 言葉尻が小さくなりながらも、鶏児草は言った。耳の先まで赤くなっている。いや、僕も顔が熱いんだけど。

「あの時みたいな、大人のキス………いい、かな?」

「………うん」

 隣にいてぶつかった指が絡まり合って、お互いの顔がゆっくりと近づいていく。

「恥ずかしい、ね」

「ねだってきたの、そっちだけどな」

 そう言って僕達は唇を重ねた。鶏児草の柔らかい唇の感触が伝わってくる。

「んちゅっ………」

 空いた手を相手の体に回す。鶏児草の熱がゆっくりと伝わってきた。

 しばらく鶏児草の唇の感触を楽しむと、僕は舌を出した。

 僕の舌が唇に触れると、鶏児草は身体をピクッと反応させた。それから少しだけ唇を開いた。

 僕の舌が鶏児草の口腔内へと侵入していく。




 最後まで読んでいただきありがとうございました。
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