※この作品はR-18です。

エロゲ的な何か(仮)   作:MC RAT

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第15話

 六年前

「お兄ちゃん!」

「ん?鶏児草(よめな)か。どうした?」

 ベッドの上で昼寝でもしようかとゴロゴロしていると、鶏児草が部屋に入ってきた。

 小学三年生の鶏児草は、運動するよりも本を読んだり絵を描いたりするのが好きで、六年生だった僕はたまにそれに付き合ったりしていた。

「学校の図書室で面白そうな本見つけたの!一緒に読もう!」

「え?まぁ、暇だし構わんけど」

「やったぁ!」

 鶏児草は嬉しそうに笑うと僕の脚の間に座った。いつものように持ってきた本を読んだ。

「あぁ、面白かったね!」

「僕からしたら懐かしかったよ。昔よく読んだんだ」

 本を読み終わった鶏児草がいつものように僕に身を預けてきた。僕だけに見せてくれる鶏児草の甘えた表情。

 叔父さんと叔母さんが仕事で忙しくて、鶏児草は親に対して甘えるということをしなかった。

 だからかもしれないが、僕といる時の鶏児草は少しだけ甘えん坊だ。けど、僕はそれでいいと思ってる。

「そういえば図書館で借りてた本がそろそろ期限だったな。近い内に返しに行くか」

「それなら私も行きたい!お兄ちゃんと一緒にお散歩したいな」

「ん?何だよ、この前誘ったらいいって言ってたじゃん」

 ちょっと前までは散歩する時はいつも手握って一緒に歩いてたのに、最近じゃそういう事もしなくなってた。

「だって、お兄ちゃんに甘えてるところ、友達に見られたら恥ずかしいし。けど、たまになら、ね?」

 めんどくさいねぇ。別に僕は全然構わないんだけどさ。

「まぁいいけどさ。何というか、鶏児草もよく僕に懐くようになったね。べたべたというか………」

 僕が頭を撫でながら笑うと、鶏児草が嬉しそうに笑って僕の服の裾を掴む。

「お兄ちゃんポカポカして、すごい落ち着くから」

 人にべたべたされるのは好きじゃないが、鶏児草だけは違う。いつも近くにいるからか、全く嫌な感じはしない。

「あっそ。まったく、本当の兄妹ってわけでもないのに、よくそんなに『お兄ちゃん』って懐くなぁ」

 僕がこの家に来て、まだ馴染めなった頃。何も知らない鶏児草だけは僕を兄として、当たり前のように接してくれた。だからこそ、今僕はこうして鶏児草といるんだろう。

 すると鶏児草がビクッと震えて、僕の方を振り向いた。その目は驚きで見開かれている。

 

 

「本当の兄妹じゃないって………どういう事?」

 

 

「え?」

 鶏児草の質問に僕は逆に聞き返してしまった。頭が真っ白になり視界がぼやける。

「私達………兄妹じゃ、ないの?」

「え………鶏児草、知らなかったのか?僕達は、兄妹じゃなくて従兄妹だよ。親は違うし。僕の本当の母さんは鶏児草のお母さんのお姉さん、だから僕『叔母さん』って呼んでたんだよ」

「そんな、だって………わたし、何も知らない………」

 もしかして叔母さん達、鶏児草に何も話してないのか?

 僕がここにやってきた時は五歳で、鶏児草は二歳だった。

 その時から知ってるはずはないが、家族のことだし叔母さん達が話してると思っていた。

 鶏児草の顔から血の気が失せていく。身体が震えて身を縮める。

 それを見て、僕は自分が取り返しのつかないことをしてしまったことを悟った。

「ずっと、兄妹だと、思ってた、のに………私………」

「よ、鶏児草?ちょっと落ち着いて………」

「そんなの、無いよ………ッ!」

 絶望したように顔が真っ青になった鶏児草は、転げ落ちるように僕の脚の間から出ると、階段を降りて玄関から出て行ってしまった。

「鶏児草!」

 僕は慌てて外に出たが、そこに鶏児草はいなかった。

 しまった、どこ行ったんだ?

 それから僕は探せる範囲を必死で探した。周りの大人を巻き込むのはマズい気がしたので、自分一人で。

 しかし鶏児草は見つからなかった。

 夕方になって、辺りがどんどん暗くなっていった。一旦家に戻ってみたがやはりいない。

 これ以上外に出るのは危険だが、それは鶏児草も同じだ。何か危険な目に遭ってないとも限らない。

 早いところ見つけないと。一体どこに?

 ………もしかして、あそこか?

 

 

 

「うぅ………ぐすっ、うっ、うぅ………」

 予想通りの場所に鶏児草はいた。橋の下の土手に蹲って泣いていた。

「鶏児草」

「ッ⁉︎お、お兄ちゃん………」

「やっぱりここにいたな。昔散歩した時は、必ずここ通ってたもんね」

 鶏児草は慌てて逃げ出そうして、僕はそれを呼び止めた。

「待てって!話だけでも、聞いてくれないかな?」

 止まってくれた鶏児草にゆっくりと近づいていく。

「その、ごめんな。家族の事だし、鶏児草だってもう九歳で、こういう事情だって分かる歳だ。だから、叔母さん達が黙ってるなんて知らなかったんだよ」

「………お兄ちゃんは、いつ知ったの?」

「いつも何も、両親が亡くなるところ目の前で見てるから。小さかったからぼんやりとだけど、最初から分かってた」

 僕は鶏児草の隣に座ると、鶏児草は俯いて呟いた。

「本当に………私達、兄妹じゃないの?」

「まぁ、血が繋がってるから家族ではあるけどね。僕の記憶が正しければ親は違うよ」

「それなら、何で私の『お兄ちゃん』でいてくれたの?違うのに」

「それは………鶏児草か僕の『妹』でいてくれたからだね」

「私、が………?」

「鶏児草が『お兄ちゃん』って呼んでくれるから、まぁそれなら兄でいいかなって。そうやって選んだの。子供の考えなんてそんなものだよ」

 僕は鶏児草の頭を優しく撫でた。鶏児草が泣き腫らした顔を上げて僕を見た。

「だから鶏児草も選びなよ、自分の家族を。僕はそれを尊重するから」

「私は………」

 鶏児草が再び俯いた。そして僕の手をギュッと握ると、いつものように身を預けてくる。

「私は………お兄ちゃんともっと一緒にいたい。一緒に本読んだり、お絵描きしたり、お出かけしたいよぉ………」

「そっか。うん、それならこれまで通りだ」

「うんッ………うん!お兄ちゃん!」

 感極まった鶏児草が泣きながら僕に抱きついてきた。僕もギュッと抱きしめてやる。

「お兄ちゃん………お兄ちゃん!」

 そのまま鶏児草が泣き止むまで、僕達は抱き合ったままそこにいた。外はすっかり暗くなってしまっている。

「鶏児草、そろそろ帰るか」

「うん」

 僕が立ち上がると、鶏児草が僕の手を握ってきた。遠慮がちなところが鶏児草らしい。

「その、家まで………いい?」

「うん、いいよ」

 しっかりと手を握って僕達は家に帰った。

 帰りは遅く、いつものようにご飯を食べていれば、すっかり寝る時間だ。

「んじゃ、僕寝るから。おやすみ」

「あの、お兄ちゃん」

 自分の部屋に入ろうとした僕を鶏児草が呼び止めた。

「ん?どうした?」

「えっと、その………今日、一緒に寝ても、いいかな?」

「は?一緒に、って………僕のベッドで?」

 今まで鶏児草がそんな事をお願いしてきたことはなかったから、僕は思わず聞き返してしまった。

「あ、嫌ならいいんだけど………その………」

 口籠った鶏児草が僕から目を逸らした。

 まぁあんな事があったんだ。いくら納得したとは言っても色々整理のついていないところもあるだろう。一人にさせておくのも不安だな。

「いいよ、寝ようか」

 僕は鶏児草の手を引いてベッドに招いた。部屋の明かりを消して鶏児草と一緒にベッドに入る。

「ねぇ、お兄ちゃん」

「何?」

「お兄ちゃんは、この家好き?ずっといたいって思う?」

 今日は色々あったし、疲れていてすぐに寝てしまうかと思ったが、まだ起きているようだ。

 どこか不安そうな顔をした鶏児草が、僕のパジャマの袖を掴んで僕を見上げた。

「そうだなぁ。好きとは嫌いとか以前に、子供の僕が帰る場所はここしかないからね。自分でどうにかできるまでは、いるしかないよ」

「それじゃあ、自分でどうにかできたら………いなくなっちゃう?」

 鶏児草の目が少しだけ潤んだ。袖を掴む手に力が入る。

「そうかもな。いつかは嫌でもいなくなるよ。だからこそ、今こうやって鶏児草と一緒にいる時間を大切にしたいの」

「お兄ちゃん………でも私、お兄ちゃんと離れたくないよ」

「そっか………忘れないでおくよ。おやすみ」

「うん………おやすみ」

 それ以上話すことはなく、僕達は身を寄せ合って眠った。

 

 

 

 

 そして現在

「お兄ちゃん!」

「おぉ、鶏児草。おかえり、ってぇ!」

 家に入ってくるなり抱きついてきた鶏児草に、僕は後ろに倒れそうになった。何とかバランスをとって抱き止める。

「まったく。まぁ、とりあえず卒業おめでとう」

「うん!ありがとう!」

 満面の笑みを浮かべる鶏児草のスクールバッグには卒業証書が入っていて、胸ポケットにはコサージュが付けられている。

 今日は鶏児草の中学校の卒業式だった。半月ほど前、めでたく志望校に合格した鶏児草は今日卒業した。

「叔母さん達は?」

「午後から仕事なんだって。だから学校で別れてきた」

「そっか。お昼ごはん用意しといたから食べるか。フレンチトーストでいい?」

「うん。やったぁ!お兄ちゃんのフレンチトースト久しぶり!」

 鶏児草は制服を着替える事もせずにご飯の準備をした。そんなに食べたかったか?

「はい、どうぞ」

「ありがとう。いただきます」

 僕は鶏児草と一緒にお昼ご飯を食べて、二人で片付けを済ませた。

 それから自分の部屋でのんびりしていると、扉がノックされた。鶏児草か。

「お兄ちゃん、いいかな?」

「あぁ」

 制服を着たままの鶏児草は、部屋に入ってくるとベッドの上にいた僕の隣に座った。そして僕にギュッと抱きついてくる。

「ッ!………どうした?制服皺になるよ」

「だ、大丈夫………ちょっと、こうしていたいな」

 気になって聞いてみたものの、ここ最近鶏児草はこうやって抱きついてくる事が多くなった。

 叔母さん達は相変わらず仕事で家におらず、家で二人きりの時はよくこうしている。

「こうやって出来るのも、今日までだから………」

 そう。この四月から僕は大学に入る。そこはここから通える所では無いのだ。だから僕は明日では明日引っ越す事になっている。

 鶏児草とこんな風にいつも一緒にいる事ができるのも今日までだ。

「ごめんな。ずっといられたらよかったのに」

「ううん、せっかく第一志望受かったんだもん。向こうで頑張ってほしいよ。でも………」

 それ以上言ってしまうのは迷惑になると思ったのか、鶏児草は口籠ってしまった。

「鶏児草、ありがとうな」

 鶏児草を包み込むように僕は優しく抱きしめる。お互いの心音が大きくなり響き合う。

「昔からよくこうしてたからかな。鶏児草の抱き合ってると落ち着く」

「………うん。でも、昔とは違うね。すごいドキドキする」

 顔を赤く染めた鶏児草が熱い吐息を吐いた。

 昔は家族として、兄妹として鶏児草に甘えられてこうしていた。

 でも今は違う。家族としてだけでなく、一人の恋人として僕も鶏児草を求めてしまう。

「そりゃ、彼女と抱き合ってるんだもん。ドキドキするって」

「お兄ちゃん………んっ」

 すると鶏児草は背伸びをするように首を伸ばした。鶏児草の唇が僕の唇に軽く触れる。

「ねぇ、お兄ちゃん………今から、シよ………」

「え?………それなら、制服脱いだ方いいだろ」

「大丈夫、あと着るの離任式の時だけだし。お兄ちゃんにこの制服見てもらうの、最後だし。このまま………シたいな」

「そっか、ありがとうな。嬉しい」

 僕は鶏児草をベッドに寝かせた。すると鶏児草が何か思い出したようにハッとする。

「あ、お兄ちゃん。ゴム、まだある?」

「うん、まだ大丈夫」

 僕はベッドの隣にある棚からゴムを取り出した。二人で近くのコンビニで買ったものだ。

 鶏児草と関係を持ったばかりの頃は使っていなかったが、お互いのことを考えて買うようになった。まだいくつかストックがある。

「これだけあれば大丈夫、だよね?」

「たぶんね。それとも、これ以上必要なくらいするつもりだった?」

「〜〜〜ッ!もう!イジワルなこと言わないの!」

 顔を真っ赤にして鶏児草が叫んだ。僕に抱きついて顔埋める。

「今日は、お兄ちゃんと………ずっと一緒にいたいの」

「鶏児草………今日は、ずっと一緒にいるよ」

 僕達は顔を近づけて再び唇を重ねた。鶏児草の柔らかい唇が僕に押し付けられる。

「んちゅ、れろっ、んんっ!ぷぁ、くちゅ、んっ、れろっれろっ、んっ!んふぅ、くちゅ、ちゅぱっ、んちゅうっ!」

 鶏児草の小さな舌が僕の口腔内に侵入してきて、必死に蠢いている。それが可愛らしくて、僕も激しく舌を絡めた。

「ぷぁっ!………はぁ、はぁっ………お兄ちゃん………もっと、キスしたいよぉ」

「あぁ………!」

 鶏児草の熱っぽい視線に惹き寄せられるように、僕は鶏児草に覆い被さった。




 最後まで読んでいただきありがとうございました。
 評価、感想等ありましたら、ぜひよろしくお願いします。
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